*

「鉄旅日記」2014年夏【青春18きっぷで、中国ぶらぶら旅】最終日(呉-東京)-呉、広、竹原、安芸幸崎、松永、東尾道、相生、西相生、比叡山坂本、用宗、富士、沼津(呉線/山陽本線/赤穂線/湖西線/東海道本線)

公開日: : 最終更新日:2023/06/21 旅話, 旅話 2014年

鉄旅日記2014年8月17日・・・呉駅、広駅、竹原駅、安芸幸崎駅、松永駅、東尾道駅、相生駅、西相生駅、比叡山坂本駅、用宗駅、富士駅、沼津駅(呉線/山陽本線/赤穂線/湖西線/東海道本線)
5:31 呉(くれ)駅(呉線 広島県)
堺川公園の説明によれば九嶺が呉の語源だという。

呉越峠に目をやり本町アーケード通りに出て駅への道を戻る。
途中右手に繁華街の入場門を見る。

ヒグラシの声が風鈴のような音で街を包んでいる。
蒸し暑い。
駅員さんはとてもきれいな女性だった。

呉越峠を見る

5:45 広(ひろ)駅(呉線 広島県)
2分の停車。
呉の街を一望する峠をトンネルで抜け次の駅へ。
振り返ってみて呉の街があの壁のムコウにあることが不思議に思えた。
町へと広がる視界は駅入口からは遮られていた。

列車は走り出す。
仁方を過ぎると安芸灘大橋の絶景が見えてきた。

6:39 竹原(たけはら)駅(呉線 広島県)
数分の停車。

安芸の小京都を謳う街。
小さな歓楽街を抜けて駅から延びるアーケード通りに出る。
一番端までは行き着けない。
停車時間9分の行動範囲は以上。
小雨がぱらついている。

列車は海を離れ、少し風景に飽いた頃、またもや瀬戸内の島々が見えてきた。

7:02 安芸幸崎(あきさいざき)駅(呉線 広島県)
数分の停車。

駅を出て角のお好み焼き屋まで歩く。
その背後には山が迫っている。
暑さを運ぶ西国の蝉の声が耳につく。
しゅわしゅわしゅわと。

忠海を過ぎて瀬戸内の絶景が続き、しまなみ海道が見えた。
安芸娘はとてもかわいらしく、野球少年たちはよく眠る。

7:54 松永(まつなが)駅(山陽本線 広島県)
糸崎で山陽本線に乗り換える。

北口には古いアーケード街が2号国道まで続いている。
白いアーケードだが空きスペースも目立ち、印象をグレーにしている。

南口は新しい。
ビジネスホテルと歓楽街が一緒になった建物や飲食店が占める一画がある。

線路を挟んで新旧を分かった町。
そう、ここは町だった。
降りてみてよかったと思う。

8:03 東尾道(ひがしおのみち)駅(山陰本線 広島県)
ひと駅戻る。

次の上りがくるまで4分しなかい。
駅を写してすぐに駆け上がった。

駅前に何もないことは車窓から分かっていたけれど、本当のところは降りてみないと分からない。
やはり特筆すべきものはない。

4分あればといつも期待するが、4分とは時に長くもあり、時に一切の情を挟む隙を与えない冷たさも持つ。

相生(あいおい)駅(山陽新幹線/山陽本線/赤穂線 兵庫県)にて

10:45 西相生(にしあいおい)駅(赤穂線 兵庫県)
尾道から140分。

途中の岡山で乗り継いだが、よく眠り、かつ風景を堪能した。
たったひとつの心残りは、去年見た天空に架かる橋に気付かなかったこと。
あれは本当に幻だったのかもしれない。
次回に思いを引き継ぎ、旅は続く。

相生はいつも通りすぎてばかりいたが、ようやく降りる時間を持てた。
駅前の様子は知っていて、知っていたまんまの何もないと表現すべき当時と同じ有り様だったが、やっとだ。

売店で汗まみれの話し好きのオッサンにちょっと苛つき、赤穂線でひと駅戻るように西相生へ。

ここにも何もなくて、言ってみれば想像通りだ。
駅前道路を50メートル分だけ往復して駅に戻り、相生で購入しておいたビールとちょっと早い昼メシ。
高架駅のホームから何の変哲もない播州の風景を見ていると雲の割れ目から日差しが漏れ、この旅での夏の様を思い返した。

改札口には風鈴が下がっていた。
再び列車は東を目指し竜野を過ぎて揖保川を渡った。

13:17 比叡山坂本(ひえいざんさかもと)駅(湖西線 滋賀県)
姫路で新快速に乗り継ぎ、京都で湖西線に乗り換える。

琵琶湖と比叡山に挟まれた傾斜地の住宅街。
ふと目を移した先に鳥居が見える。

歓楽街などはないが、京阪坂本駅やその先の比叡山へ上がるケーブル駅あたりには涼しげな構えの茶屋が見られることだろう。
そこまで行きたかったが、時間がなく途中で引き返す。
ここにはガード下のラーメン屋しかない。

明智光秀が天王山の戦場から再起を図るために向かった坂本城址は、駅前の案内にはなかった。

京都で出会ったかつての恋人はこの町の出身と聞いていた。
ここに寄ったのはそんな理由からだ。

山科まで戻り、東海道本線に乗り換える。


18:36 用宗(もちむね)駅(東海道本線 静岡県)
米原、大垣、豊橋、浜松と乗り継ぐ。

駅改良後は特徴のない高架駅になる例が東海道本線はじめ目立っている。
六合、愛野、豊田町、降りたことはないが木曽川。

用宗駅がそうなる前にと、当初予定していた安倍川駅から変更して降りることにした。

駅が改良中であることを4日前のアナウンスで聞いていた。
次の列車がくるまで11分。
駅前にそば屋の灯が見え、さらにその先に上品な灯があった。
提灯だったのかもしれない。

雨がぽつぽつきたと思ったら不意に雨粒が増してきたので駅に駆け戻る。
先に見えた上り坂の果てまで行きたかった。
さっきそこは夕焼けに神々しく照らされていたんだ。
あそこまで行けば駿河湾が望めたかもしれない。

用宗の存在を知ったのは小説「武田勝頼」による。
落日の甲斐武田家の晩年、徳川家康軍に攻められた用宗城が落城する件で登場するが、武田水軍の棟梁格も城に詰めていて奮闘の末に討死。
海将、陸で死す。

鉄道旅を始めてみて用宗の名が駅として存在することを知って以来ずっと気にしながらも後回しにしていた。
ホームのベンチでパンを頬張っている11分の間、新幹線が何度か視界を横切り、ヒグラシが鳴いていた。

19:27 富士(ふじ)駅(東海道本線/身延線 静岡県)
何度も通り過ぎた街。
降りるのは2回目になる。

今回もそうだが、街を歩いたことはない。
明かりは多いが閑散とした街だ。
車両基地は大きく、ターミナル駅でもある富士に着くと、鉄道文化の街に対する敬意が自然に湧いてくる。

19:53 沼津(ぬまづ)駅(東海道本線/御殿場線 静岡県)
この街は知っている。
駅も何度か目にしてきた筈だ。
でもさっきオレが見てきた駅に見覚えはなく、もちろん「男はつらいよ」第7作で車寅次郎が立ち寄った頃のものでもないが、白く美しい駅だった。
なんだか感動したよ。

さあ、もうこれでいい。
家に帰ろう。

関連記事

「車旅日記」2004年夏【九州を一周してみよう。そう思いたった、真夏の日々でございます。】4日目(鹿児島-田原坂-長崎)走行距離384㎞その1-鹿児島東急イン、城山公園、鹿児島中央駅、出水駅、八代駅、熊本駅

車旅日記2004年8月14日 2004・8・14 9:35 鹿児島東急イン829号室 出発が遅く

記事を読む

「鉄旅日記」2012年春【青春18きっぷで、鶴見線・伊豆・駿河途中下車旅】その1-扇町、浅野、海芝浦、国道、大川、保土ヶ谷、東戸塚、網代、伊豆多賀、宇佐美、熱海(鶴見線、海芝浦支線、大川支線、東海道本線、伊東線)

鉄旅日記2012年4月8日その1・・・扇町駅、浅野駅、海芝浦駅、国道駅、大川駅、保土ヶ谷駅、東戸塚駅

記事を読む

「鉄旅日記」2011夏【みちのくひとり旅】2日目(秋田-函館)-秋田、男鹿、追分、八郎潟、北金岡、大館、浪岡、新青森、青森、中沢、郷沢、蟹田、三厩、五稜郭、函館(男鹿線/奥羽本線/津軽線/津軽海峡線/江差線)

鉄旅日記2011年8月14日・・・秋田駅、男鹿駅、追分駅、八郎潟駅、北金岡駅、大館駅、浪岡駅、新青森

記事を読む

「鉄旅日記」2016年夏【じきに廃線を迎える留萌~増毛に用がありました】初日(東京-弘前)-福島、仙台、北山形、新庄、秋田、井川さくら、大館、弘前(東北本線/仙山線/奥羽本線)

鉄旅日記2016年8月10日・・・福島駅、仙台駅、北山形駅、新庄駅、秋田駅、井川さくら駅、大館駅、弘

記事を読む

「鉄旅日記」2007年新春【本格的に鉄旅が始まりまして、まずは冬の北陸を目指したのでございます。】初日(東京-高岡)-東京、岐阜、美濃太田、下呂、高山、角川、猪谷、富山、高岡(東海道新幹線/高山本線/北陸本線)

鉄旅日記2007年1月6日・・・東京駅、岐阜駅、美濃太田駅、下呂駅、高山駅、角川駅、猪谷駅、富山駅、

記事を読む

「鉄旅日記」2018年春【伊那谷へ。長篠へ。安曇野へ。木曽へ。青春18きっぷを握ったそんな旅でございます。】最終日(飯田-安曇野-木曽-東京)その2-安曇沓掛、信濃常盤、細野、海ノ口、信濃大町、信濃松川、安曇追分、南松本(大糸線/篠ノ井線)

鉄旅日記2018年4月8日・・・安曇沓掛駅、信濃常盤駅、細野駅、海ノ口駅、信濃大町駅、信濃松川駅、安

記事を読む

「鉄旅日記」2009年秋【関東ぶらぶら旅その2-武蔵から相模へ】-川口、浦和、深谷、倉賀野、寄居、東飯能、飯能、寒川、茅ヶ崎、辻堂、新橋(京浜東北線/高崎線/八高線/相模線/東海道本線)

鉄旅日記2009年10月27日・・・川口駅、浦和駅、深谷駅、倉賀野駅、寄居駅、東飯能駅、飯能駅、寒川

記事を読む

「鉄旅日記」2015年春【浜名湖周辺で遊ぶ一日】その2-鷲津、新居町、浜松、新浜松、第一通り、西鹿島、遠州森、円田、遠江一宮、原谷、掛川、安倍川(東海道本線/遠州鉄道/天竜浜名湖鉄道)

鉄旅日記2015年3月28日その2・・・鷲津駅、新居町駅、浜松駅、新浜松駅、第一通り駅、西鹿島駅、遠

記事を読む

「鉄旅日記」2019年如月【週末パスで東京から伊豆。そして上州、信州へ。友人は言ったものでございます。何気に大層な移動距離だと。】初日(東京-安中)その1-金町、熱海、城ヶ崎海岸、伊豆熱川、伊豆稲取、今井浜海岸、河津(常磐線/東海道本線/伊東線/伊豆急行線)

鉄旅日記2019年2月9日・・・金町駅、熱海駅、城ヶ崎海岸駅、伊豆熱川駅、伊豆稲取駅、今井浜海岸駅、

記事を読む

「鉄旅日記」2012年初冬【週末パスで、甲信越途中下車旅】最終日(長野-東京)その2-小諸、岩村田、佐久平、中込、臼田、小海、野辺山、清里、大月(小海線、中央本線)

鉄旅日記2012年12月9日その2・・・小諸駅、岩村田駅、佐久平駅、中込駅、臼田駅、小海駅、野辺山駅

記事を読む

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

2019年師走~2020年弥生【SNSへの投稿より】大晦日、正月、誕生日、菜の花の頃。

【Facebookへの投稿より2019年12月31日】 【今年も暮れ

「鉄旅日記」2019年師走【由利高原鉄道鳥海山ろく線に乗りにいきました。初冬の日本海は荒々しく、美しゅうございました。】最終日(酒田-東京)その4‐水上、高崎、籠原(上越線/高崎線)

鉄旅日記2019年12月8日・・・水上駅、高崎駅、籠原駅(上越線/高崎

「鉄旅日記」2019年師走【由利高原鉄道鳥海山ろく線に乗りにいきました。初冬の日本海は荒々しく、美しゅうございました。】最終日(酒田-東京)その3‐押切、帯織、長岡(信越本線)

鉄旅日記2019年12月8日・・・押切駅、帯織駅、長岡駅(信越本線)

「鉄旅日記」2019年師走【由利高原鉄道鳥海山ろく線に乗りにいきました。初冬の日本海は荒々しく、美しゅうございました。】最終日(酒田-東京)その2‐小波渡、五十川、府屋、あつみ温泉(羽越本線)

鉄旅日記2019年12月8日・・・小波渡駅、五十川駅、府屋駅、あつみ温

「鉄旅日記」2019年師走【由利高原鉄道鳥海山ろく線に乗りにいきました。初冬の日本海は荒々しく、美しゅうございました。】最終日(酒田-東京)その1‐酒田、象潟、砂越(羽越本線)

鉄旅日記2019年12月8日・・・酒田駅、象潟駅、砂越駅(羽越本線)

→もっと見る

    PAGE TOP ↑