「鉄旅日記」2009年晩秋 2日目(倉敷-和田山)その1-倉敷、足立、生山、上菅、伯耆溝口、伯耆大山、赤碕、浦安、松崎、浜村、末恒、湖山、鳥取(伯備線/山陰本線) 【陰陽を行き来した3日間。この国の秋は美しゅうございました。】
鉄旅日記2009年11月22日・・・倉敷駅、足立駅、生山駅、上菅駅、伯耆溝口駅、伯耆大山駅、赤碕駅、浦安駅、松崎駅、浜村駅、末恒駅、湖山駅、鳥取駅(伯備線/山陰本線)
2009・11・22 5:32 倉敷(くらしき)駅(山陽本線/伯備線 岡山県)
当然街は眠っている。
でも5:30の世界がこんなにも暗いとは思っていなかった。
水島臨海鉄道乗場を通り、倉敷駅へ。
駅にはちらほらと人の姿がある。
どこの街にも朝の早い人はいる。
桃太郎のメロディが流れて、米子行がやってきた。
白壁の街を離れる。
7:17 足立(あしだち)駅(伯備線 岡山県)
備中高梁あたりで夜は明け、あたりの乗客が席を立つ。
気温0度の朝。
心配していた雨はどうやら落ちてはこず、かすかな日差しが紅葉を美しく映している。
霜で真っ白になった田畑。
中国路は冷える。
川端にあるこの駅で数分の停車。
すぐ先に工場が見える。
年老いたご婦人が乗ってきた。
7:48 生山(しょうやま)駅(伯備線 鳥取県)
石見川に沿って伯備線は進んでいる。
鳥取県日南町。
新見以来の駅員がいる駅で数分の停車。
高校生をはじめ10人ほどが乗ってきた。
生山はこのあたりの中心地で、見上げた風景は山水画のようだった。
7:59 上菅(かみすげ)駅(伯備線 鳥取県)
特急の通過待ちで4分の停車。
霜は消え、里山は続く。
ここで乗客が増えた。
駅前通りを行く車はなかった。
8:34 伯耆溝口(ほうきみぞぐち)駅(伯備線 鳥取県)
柿がたわわに実った木に目をとめる。
さらに数分の停車。
根雨からは1駅ごとに乗客が増えだした。
彼等は間違いなく米子まで行く。
大山が近い。
単線の線路は、冬枯れていく里山を北へ北へと日本海に向かっている。
8:39岸本駅着。
この駅前を一度通っている。
9:14 伯耆大山(ほうきだいせん)駅(山陰本線/伯備線 鳥取県)
名峰大山を見に行く。
富士山のような姿。
雪をかぶった姿が美しい。
初めて9号国道を走った時からその姿を気にしてきた。
その後にも何度か通ったが、その姿を見ることは叶わなかった。
冬枯れた田畑の先に立つ様。
あまりにも美しすぎてここを離れることができない。
あの山を見に来たのだと、冷たい風の中で思っていた。
ここで山陰本線に乗り換える。
大山の姿は彼女にも共有した。
10:11 赤碕(あかさき)駅(山陰本線 鳥取県)
車窓から大山の姿を追っていたら、いつの間にか日本海に沿って走っている。
山陰を旅しているのだと実感する。
駅の案内板には船上山の名がある。
太平記に登場する山。
南北朝の動乱は、後醍醐天皇が隠岐の島を逃れ、このあたりに上陸して船上山に御座所を構えた時から始まった。
赤崎は懐かしい。
道の駅「ポート赤碕」に寄ったことがある。
干したイカが盛大に回っていた光景を思い出す。
数分の停車。
大山はまだ見えている。
10:27 浦安(うらやす)駅(山陰本線 鳥取県)
数分の停車。
駅から日本海に向けて道が真っすぐに続いている。
駅前の喫茶店は潰れていて、居酒屋が1軒。
廃寺が名所として紹介されている。
このあたりは寂しい。
駅員の姿がある。
ホームに戻ると、脅かすような音の後に快速列車が凄まじい速度で通過していった。
大山はまだ見えている。
かつても見えていたことを知ったが、この角度からは富士山型はしておらず、雪をかぶった様でそれと分かる。
10:36、由良駅着。
10:57 松崎(まつざき)駅(山陰本線 鳥取県)
東郷温泉、羽合温泉を持つ松崎。
駅を降りると「歓迎東郷温泉」の看板の先に東郷湖が覗く。
今日降りた駅の中じゃ一番人の気配を感じたが、駅員はいない。
数分の停車。
宮脇俊三さんの旅に、倉吉を諦めて松崎まで1駅引き返して、駅前の温泉に浸かり、蟹をたらふく食べた描写が登場する。
オレの昼飯は、鳥取駅の「砂丘そば」になるだろう。
11:19 浜村(はまむら)駅(山陰本線 鳥取県)
1駅手前の青谷駅に降りたのは一年前。
ここでも数分の停車。
倉吉を出てから一番多くの人が乗ってきた。
ここ浜村にも温泉があるが、駅前にあるのは廃墟となっているのだろう。
駅の先に人工的な丘が見える。
コンクリートは温泉情緒と相いれない。
11:32 末恒(すえつね)駅(山陰本線 鳥取県)
右手に池を認めると、駅舎を持たない寂しい駅に止まった。
数分の停車。
宮脇俊三さんが書いていたとおり確かに柿が目立つ。
吊してあるのを見るのは久しぶりだ。
11:42 湖山(こやま)駅(山陰本線 鳥取県)
鳥取まで1駅のところまできた。
さらにここでも数分の停車。
いつの間にか乗客が増えている。
駅名の由来はさっき見えた湖とも池ともとれる存在なのだろう。
これまでの旅では見えなかったものを今日は見ている。
以前は夜だったり、鳥取ライナーに乗ったりで注意を払えなかった。
当り前だが、沿線は様々な顔を持つものだ。
千代川渡河。
11:47鳥取駅着。
11:57 鳥取(とっとり)駅(山陰本線/因美線 鳥取県)
街に入る前には川を越える。
倉吉では天神川だったか。
その際に倉吉という街を理解した気になれた。
鳥取に着いて、ホームから車通りの多くない街を見下ろしている。
一度ゆっくり歩いてみたい街だが、山陰にはまた何度も来ることだろう。
最近は詐欺女の件で注目を集めているが不本意だろう。
オレもそう思っている。
とても残念だ。
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