「鉄旅日記」2016年春 最終日(石巻-東京)その1-石巻、西塩釜、下馬、塩釜、岩切、利府、伊達、郡山、白河(仙石線、東北本線、利府支線) 【下北半島から東日本大震災被災地へ】
鉄旅日記2016年3月21日その1・・・石巻駅、西塩釜駅、下馬駅、塩釜駅、岩切駅、利府駅、伊達駅、郡山駅、白河駅(仙石線、東北本線、利府支線)
2016・3・21 5:21 石巻(いしのまき)駅(石巻線/仙石線 宮城県)
ここは漫画の国だという。
駅にも街中にも石ノ森章太郎の描いたサイボーグ009や仮面ライダーがいる。
旧北上川まで歩こうとした7年前。
だけどとても遠くて行き着けなかったことを思い出している。
港の工場の煙突から煙が上がっている。
津波はあのあたりにやってきたのだろう。
今週末のダイヤ改正から、この石巻に仙石線の新しい駅が生まれる。

仙石線車窓風景


西塩釜(にししおがま)駅(仙石線 宮城県)にて

下馬(げば)駅(仙石線 宮城県)にて

6:45 塩釜(しおがま)駅(東北本線 宮城県)
野蒜に差し掛かる地区が朝日に照らされ崇高な姿を見せた。
松島も光に満ちて神々しい。
またしばらくのお別れだ。
旅行者を除いて石巻から乗り込んだ人々は、5年前にほぼ例外なく親族友人知己または己のために哭き、そして悲しみをこらえた人々だ。
眠りこけていたあの女性もそうだ。
そう思うと優しい気持ちになる。
西塩釜で降りて線路に沿って歩く。
下馬駅までは約10分。
下馬は多賀城市に属しているようだ。
入れ違いで行ってしまった列車を恨む様子もなく、駅にやってきた女子高生は静かに改札前の椅子に座った。
彼女はあれから20分近く待つことになる。
手にしていた地図に載っていない道に見当をつけて、まず踏切を渡り坂を駆け上がる。
空がきれいで、こんな時間にこんな縁のない場所を走っているオレがおかしくて笑った。
滑稽で。
だけど楽しくて。
「坂の上の雲」という小説のタイトルが思い浮かぶ。
坂を下りてヨークベニマルを過ぎれば塩釜駅。
西塩釜から三角に歩いた朝だった。
塩釜というと、大きな結婚式場をイメージする。
いつ刷り込まれたのだろう。
いずれにしろ宝船みたいな目出度い街という印象を持ったまま、ここを離れる。

7:05 岩切(いわきり)駅(東北本線/利府支線 宮城県)
東北人はすでにコートを脱いでいた。
ここから仙台までは2駅。
人々がひっきりなしにやってきて改札口を抜けていく。
繁華な物はすべて仙台に託したかのような駅前はすっきりとして見所はない。
仙山国境線に雪を被った山並みが見えて、駅のホームでケータイを向けた。


7:20 利府(りふ)駅(利府支線 宮城県)
利府線に乗る計画は随分前から上がっていて、ようやく日の目を見た。
何もない田園地帯に岩切から支線がまっすぐに延びている。
万葉の歌枕に歌われた十符の里とのことだが、なぜこの地まで鉄路が枝分かれして、この地が終着駅になったのかは不明のままだ。
利府高校は天下の強豪仙台育英、東北高校を時に凌ぎ、甲子園に現れたことがある。
朝の利府駅には活気があったが、各車両とも疎らな人数を乗せて仙台方面に向けて走りだしている。
駅横には昨日の矢幅駅よりも大きな横丁ができていた。

9:06 伊達(だて)駅(東北本線 福島県)
伊達駅は「東北の駅100選」に選ばれている。
新幹線高架の先に火の見櫓がある。
駅前で目につくのはそれのみで、商店の類の進出は見られない。
日が差してきたが空気は冷たく、白く染まった奥羽山脈がきれいに見えている。
県内無敵を誇る聖光学院の豪華な野球グランドがある沿線風景は、オレにとってはもはや馴染みだ。
伊達政宗は米沢に来る前はここにいた筈だが、地名の由来を記す案内板に彼の名はなかった。
仙台地区で人身事故が発生してダイヤが狂った。


10:43 郡山(こおりやま)駅(東北本線/磐越東線/磐越西線 福島県)
福島で乗り継ぐ。
伊達から五百川まで、みちのくの山はずっと見えていた。
晴れた日というのは、空の色と気分に関係するだけじゃなく、こういうものなのだとあらためて感じる。
ずっと奥に頭だけ見えていたのが磐梯山、松川で正面に見えたのが安達太良山脈。
南福島金谷川間での里山の眺めは見事で、お蔭で眠れなかった。
ここ郡山には「駅そば」を食べに降りた。
ここのそばになぜかいい印象を持っていなかったが、麺は平たくて素朴な濃い味でとても美味しかった。
友人のEさんとの再会は叶わなかったけど、東北との再会は感動的だった。
その思いとともに東京に帰る。
白河城址にて


11:56 白河(しらかわ)駅(東北本線 福島県)
関東に入る手前に白い山脈が立ちはだかっている。
あれが奥州関門。
その先の白河城で遊んだ。
それなりの観光客を集めている。
天守閣に上がるのは無料とのことだが、気が進まない。
戊辰戦争の際に東北での戦端が開かれたのもここで、争奪戦、奪還戦があり、やがて理想郷を夢見た東北の願いは様々な理由により潰えた。
6年前の震災は白河を巻き込み、石垣の修復工事中だった。
仙台銘菓「萩の月」を買って帰りたかったけど叶わず、代わりは白河うどん。
えらい違いだ。
でもきっと美味しかろう。
それにしても冷たい風だ。
商店街はこんな規模だったかと記憶を手繰った。
歴史的な駅が残る奥州道中路白河。
気高い街だ。

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