*

「鉄旅日記」2016年春【下北半島から東日本大震災被災地へ】最終日(石巻-東京)その1-石巻、西塩釜、下馬、塩釜、岩切、利府、伊達、郡山、白河(仙石線、東北本線、利府支線)

公開日: : 最終更新日:2024/05/25 旅話, 旅話 2016年

鉄旅日記2016年3月21日その1・・・石巻駅、西塩釜駅、下馬駅、塩釜駅、岩切駅、利府駅、伊達駅、郡山駅、白河駅(仙石線、東北本線、利府支線)

2016・3・21 5:21 石巻(いしのまき)駅(石巻線/仙石線 宮城県)
ここは漫画の国だという。

駅にも街中にも石ノ森章太郎の描いたサイボーグ009や仮面ライダーがいる。

旧北上川まで歩こうとした7年前。

だけどとても遠くて行き着けなかったことを思い出している。

港の工場の煙突から煙が上がっている。
津波はあのあたりにやってきたのだろう。

今週末のダイヤ改正から、この石巻に仙石線の新しい駅が生まれる。

仙石線車窓風景

西塩釜(にししおがま)駅(仙石線 宮城県)にて

下馬(げば)駅(仙石線 宮城県)にて

6:45 塩釜(しおがま)駅(東北本線 宮城県)
野蒜に差し掛かる地区が朝日に照らされ崇高な姿を見せた。

松島も光に満ちて神々しい。

またしばらくのお別れだ。

旅行者を除いて石巻から乗り込んだ人々は、5年前にほぼ例外なく親族友人知己または己のために哭き、そして悲しみをこらえた人々だ。
眠りこけていたあの女性もそうだ。

そう思うと優しい気持ちになる。

西塩釜で降りて線路に沿って歩く。

下馬駅までは約10分。
下馬は多賀城市に属しているようだ。

入れ違いで行ってしまった列車を恨む様子もなく、駅にやってきた女子高生は静かに改札前の椅子に座った。
彼女はあれから20分近く待つことになる。

手にしていた地図に載っていない道に見当をつけて、まず踏切を渡り坂を駆け上がる。

空がきれいで、こんな時間にこんな縁のない場所を走っているオレがおかしくて笑った。
滑稽で。
だけど楽しくて。
「坂の上の雲」という小説のタイトルが思い浮かぶ。

坂を下りてヨークベニマルを過ぎれば塩釜駅。

西塩釜から三角に歩いた朝だった。

塩釜というと、大きな結婚式場をイメージする。
いつ刷り込まれたのだろう。

いずれにしろ宝船みたいな目出度い街という印象を持ったまま、ここを離れる。

7:05 岩切(いわきり)駅(東北本線/利府支線 宮城県)
東北人はすでにコートを脱いでいた。

ここから仙台までは2駅。
人々がひっきりなしにやってきて改札口を抜けていく。

繁華な物はすべて仙台に託したかのような駅前はすっきりとして見所はない。

仙山国境線に雪を被った山並みが見えて、駅のホームでケータイを向けた。

7:20 利府(りふ)駅(利府支線 宮城県)
利府線に乗る計画は随分前から上がっていて、ようやく日の目を見た。

何もない田園地帯に岩切から支線がまっすぐに延びている。

万葉の歌枕に歌われた十符の里とのことだが、なぜこの地まで鉄路が枝分かれして、この地が終着駅になったのかは不明のままだ。

利府高校は天下の強豪仙台育英、東北高校を時に凌ぎ、甲子園に現れたことがある。

朝の利府駅には活気があったが、各車両とも疎らな人数を乗せて仙台方面に向けて走りだしている。

駅横には昨日の矢幅駅よりも大きな横丁ができていた。

9:06 伊達(だて)駅(東北本線 福島県)
伊達駅は「東北の駅100選」に選ばれている。

新幹線高架の先に火の見櫓がある。

駅前で目につくのはそれのみで、商店の類の進出は見られない。

日が差してきたが空気は冷たく、白く染まった奥羽山脈がきれいに見えている。

県内無敵を誇る聖光学院の豪華な野球グランドがある沿線風景は、オレにとってはもはや馴染みだ。

伊達政宗は米沢に来る前はここにいた筈だが、地名の由来を記す案内板に彼の名はなかった。

仙台地区で人身事故が発生してダイヤが狂った。

10:43 郡山(こおりやま)駅(東北本線/磐越東線/磐越西線 福島県)
福島で乗り継ぐ。

伊達から五百川まで、みちのくの山はずっと見えていた。
晴れた日というのは、空の色と気分に関係するだけじゃなく、こういうものなのだとあらためて感じる。

ずっと奥に頭だけ見えていたのが磐梯山、松川で正面に見えたのが安達太良山脈。

南福島金谷川間での里山の眺めは見事で、お蔭で眠れなかった。

ここ郡山には「駅そば」を食べに降りた。

ここのそばになぜかいい印象を持っていなかったが、麺は平たくて素朴な濃い味でとても美味しかった。

友人のEさんとの再会は叶わなかったけど、東北との再会は感動的だった。

その思いとともに東京に帰る。

白河城址にて

11:56 白河(しらかわ)駅(東北本線 福島県)
関東に入る手前に白い山脈が立ちはだかっている。
あれが奥州関門。

その先の白河城で遊んだ。

それなりの観光客を集めている。

天守閣に上がるのは無料とのことだが、気が進まない。
戊辰戦争の際に東北での戦端が開かれたのもここで、争奪戦、奪還戦があり、やがて理想郷を夢見た東北の願いは様々な理由により潰えた。

6年前の震災は白河を巻き込み、石垣の修復工事中だった。

仙台銘菓「萩の月」を買って帰りたかったけど叶わず、代わりは白河うどん。
えらい違いだ。
でもきっと美味しかろう。

それにしても冷たい風だ。

商店街はこんな規模だったかと記憶を手繰った。

歴史的な駅が残る奥州道中路白河。

気高い街だ。

関連記事

2020年水無月【緊急事態宣言から解放された週末。石和温泉につかりにいった記憶をSNS風に綴ります。】-甲府、善光寺、酒折、石和温泉、大月(中央本線/身延)

鉄旅日記2020年6月20日~21日・・・甲府駅、善光寺駅、酒折駅、石和温泉駅、大月駅(中央本線/

記事を読む

「鉄旅日記」2012年春【青春18きっぷで、鶴見線・伊豆・駿河途中下車旅】その1-扇町、浅野、海芝浦、国道、大川、保土ヶ谷、東戸塚、網代、伊豆多賀、宇佐美、熱海(鶴見線、海芝浦支線、大川支線、東海道本線、伊東線)

鉄旅日記2012年4月8日その1・・・扇町駅、浅野駅、海芝浦駅、国道駅、大川駅、保土ヶ谷駅、東戸塚駅

記事を読む

「鉄旅日記」2007年如月【初日天王寺、2日目奈良。宿泊地だけを決めて、心のままに移動した記録でございます。】2日目(天王寺-奈良)その1-南霞町、浜寺駅前、浜寺公園、羽衣、春木、和泉大宮、岸和田、和歌山市、和歌山港、堺(阪堺電気軌道/南海電鉄南海線)

鉄旅日記2007年2月11日・・・南霞町駅、浜寺駅前駅、浜寺公園駅、羽衣駅、春木駅、和泉大宮駅、岸和

記事を読む

「鉄旅日記」2016年夏【じきに廃線を迎える留萌~増毛に用がありました】2日目(弘前-小樽)その1-弘前、蟹田、津軽二股、奥津軽いまべつ、木古内、札苅、桔梗、新函館北斗、大中山(奥羽本線/津軽線/北海道新幹線/道南いさりび鉄道/函館本線)

鉄旅日記2016年8月11日・・・弘前駅、蟹田駅、津軽二股駅、奥津軽いまべつ駅、木古内駅、札苅駅、桔

記事を読む

「鉄旅日記」2018年春【伊那谷へ。長篠へ。安曇野へ。木曽へ。青春18きっぷを握ったそんな旅でございます。】最終日(飯田-安曇野-木曽-東京)その3-日出塩、贄川、村井、上諏訪、日野春、西国分寺、新松戸(中央本線/武蔵野線)

鉄旅日記2018年4月8日・・・日出塩駅、贄川駅、村井駅、上諏訪駅、日野春駅、西国分寺駅、新松戸駅(

記事を読む

「鉄旅日記」2019年霜月【津軽鉄道、弘南鉄道に乗りにいきました。羽州街道を歩いた晩秋の旅でございます。】最終日(北上-東京)その1‐北上、横手、醍醐、十文字、下湯沢(北上線/奥羽本線)

鉄旅日記2019年11月4日・・・北上駅、横手駅、醍醐駅、十文字駅、下湯沢駅(北上線/奥羽本線) 2

記事を読む

「車旅日記」2006年皐月【東京から出かける最後の車旅。関東、東北を2,265㎞走った記録でございます。】最終日(安達-大洗-潮来-東京葛飾)-あだち、二本松駅、磐城石川駅、はなわ、常陸太田駅、大洗駅、潮来駅、十二橋駅、佐原駅、東京葛飾

車旅日記2006年5月7日・・・道の駅あだち、二本松駅、磐城石川駅、道の駅はなわ、常陸太田駅、大洗駅

記事を読む

「鉄旅日記」2017年冬【会津へ。会津へ行きたかったのでございます。】最終日(喜多方-会津若松-会津高原尾瀬口-下今市-東京)その1-会津若松、笈川、堂島、喜多方、会津若松(磐越西線)

鉄旅日記2017年12月3日・・・会津若松駅、笈川駅、堂島駅、喜多方駅(磐越西線) 2017・12・

記事を読む

「鉄旅日記」2009年初夏【上信越ひとり旅】最終日(長岡-東京)-長岡、東三条、吉田、新潟、新津、会津若松、郡山、磐城石川、磐城塙、玉川村、常陸大宮、金町(信越本線/弥彦線/越後線/磐越西線/水郡線/常磐線)

鉄旅日記2009年7月20日・・・長岡駅、東三条駅、吉田駅、新潟駅、新津駅、会津若松駅、郡山駅、磐城

記事を読む

「鉄旅日記」2008年初秋【秋になると北陸に行きたくなるものでございます。能登半島をはじめ、いくつもの終着駅へと行き着いたのでございます。】最終日(福井-東京)-福井駅前、武生新、武生、大府、武豊、知多武豊、刈谷、安城、蒲郡、東京葛飾(福井鉄道福武線/北陸本線/東海道本線/武豊線)

鉄旅日記2008年9月15日・・・福井駅前駅、武生新駅、武生駅、大府駅、武豊駅、知多武豊駅、刈谷駅、

記事を読む

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

「鉄旅日記」2021年春【大人の休日倶楽部パスで東北へ。新幹線、在来線特急乗り放題でございます。続くコロナ禍ではございますが、約半年の辛抱の時を過ぎて、天候にも苛まれながら秋田内陸縦貫鉄道に乗りに行きました。】最終日(米内沢-東京)その1 ‐米内沢、鷹巣、鷹ノ巣、早口、秋田(秋田内陸縦貫鉄道/奥羽本線)

鉄旅日記2021年4月18日・・・米内沢駅、鷹ノ巣駅、早口駅、秋田駅

「鉄旅日記」2021年春【大人の休日倶楽部パスで東北へ。新幹線、在来線特急乗り放題でございます。続くコロナ禍ではございますが、約半年の辛抱の時を過ぎて、天候にも苛まれながら秋田内陸縦貫鉄道に乗りに行きました。】初日(東京-米内沢)その5‐比立内、阿仁合、阿仁前田温泉、合川、米内沢(秋田内陸縦貫鉄道)

鉄旅日記2021年4月17日・・・比立内駅、阿仁合駅、阿仁前田温泉駅

「鉄旅日記」2021年春【大人の休日倶楽部パスで東北へ。新幹線、在来線特急乗り放題でございます。続くコロナ禍ではございますが、約半年の辛抱の時を過ぎて、天候にも苛まれながら秋田内陸縦貫鉄道に乗りに行きました。】初日(東京-米内沢)その4‐雫石、田沢湖、神代、角館(田沢湖線)

鉄旅日記2021年4月17日・・・雫石駅、田沢湖駅、神代駅、角館駅(

「鉄旅日記」2021年春【大人の休日倶楽部パスで東北へ。新幹線、在来線特急乗り放題でございます。続くコロナ禍ではございますが、約半年の辛抱の時を過ぎて、天候にも苛まれながら秋田内陸縦貫鉄道に乗りに行きました。】初日(東京-米内沢)その3‐梅ヶ沢、一ノ関、盛岡、小岩井(東北本線/東北新幹線/田沢湖線)

鉄旅日記2021年4月17日・・・梅ヶ沢駅、一ノ関駅、盛岡駅、小岩井

「鉄旅日記」2021年春【大人の休日倶楽部パスで東北へ。新幹線、在来線特急乗り放題でございます。続くコロナ禍ではございますが、約半年の辛抱の時を過ぎて、天候にも苛まれながら秋田内陸縦貫鉄道に乗りに行きました。】初日(東京-米内沢)その2‐小牛田、瀬峰、田尻、新田(東北本線)/伊豆沼

鉄旅日記2021年4月17日・・・小牛田駅、瀬峰駅、田尻駅、新田駅(

→もっと見る

    PAGE TOP ↑