*

「鉄旅日記」2019年如月【週末パスで東京から伊豆。そして上州、信州へ。友人は言ったものでございます。何気に大層な移動距離だと。】最終日(安中-東京)その1-安中、松井田、西松井田、横川、軽井沢、大屋(信越本線/しなの鉄道)

公開日: : 最終更新日:2024/04/13 旅話, 旅話 2019年

鉄旅日記2019年2月10日・・・安中駅、松井田駅、西松井田駅、横川駅、軽井沢駅、大屋駅(信越本線/しなの鉄道)
2019・2・10 7:05 安中(あんなか)駅(信越本線 群馬県)
霜の下りた安中市内。
冷気は顔を刺し、おそらく氷点下の寒さだろう。
ここしばらくは経験していない寒さだ。

碓氷川に架かる橋から妙義山を眺め、朝焼けを愛でた。

でたらめな配置のように見える突兀とした山々を望み、この気分を味わうためにここまでやって来て、今こうしているのだと思う。


吐く息は白く、東の空がまぶしい。
冬の朝とはこんなにも美しい。

駅に着いて、小さな待合室にしばらくいる。
地元の保育園児によるアート作品や、有志の好意が詰まった民芸作品が並べられた室内は彩りに満ちて、ちょっとした幸福感に包まれる。

7:24 松井田(まついだ)駅(信越本線 群馬県)にて

7:54 西松井田(にしまついだ)駅(信越本線 群馬県)
松井田駅で降りて、跨線橋から妙義山を眺める。

他に何もなく、次の列車が来るのは33分後。
ひと駅先の西松井田駅へは、地図を見る限り歩けない距離じゃない。

それから徒歩約15分。
途中、妙義山を背後に碓氷川に架かる時代を帯びた鉄橋を写した。
こんな風景に出会うためにオレは旅をしている。

西松井田駅でも安中から続く景色を写す。



松井田城跡を指す表示は4km先。

安中氏、武田氏、織田氏、北条氏と、戦国の頃に目まぐるしく領主が交代した土地。
城は豊臣秀吉による小田原征伐の際にひと月にも上る籠城戦に耐えた後に、開城。
そして廃城となった。

上州武士は強く、その名残が時に甲子園や国立競技場で栄冠をつかんでいる。

8:10 横川(よこかわ)駅(信越本線 群馬県)
峠の釜飯の荻野屋の看板が懐かしい。

信越本線が碓氷峠を越えて軽井沢につながっていたかつて。
急勾配の上り下りに対応するため、この駅に着くたびに補助機関車の連結作業行うにあたり、数分の停車時間が生まれた。

大勢の乗客はその間に釜飯売場に列を作った。
小学生だったオレは釜飯を好まず、駅そばを購入したら、カップ容器ではなくどんぶりで渡され、泣きそうなほどに戸惑ったことを覚えている。

そうした過去を持つ大鉄道駅も今は寂しく、駅弁売場も駅そばも撤退して、広い構内の多くを空地が占め、鉄道員の姿もない。





ちらほらと降りた客は、オレと同じように軽井沢行きのバス乗場に急ぐ。

妙義山が真正面にあった。

碓氷峠に雪はなく、碓氷バイパスを行くバスからはかつての鉄道遺跡は見えない。
少し目を閉じる。

8:50 軽井沢(かるいざわ)駅(北陸新幹線/しなの鉄道 長野県)
昨晩雪が降ったようだ。

バス乗場から雪を踏みしめて駅へと歩く。

駅前には雪かきの音が響き、ホームではイベントスタッフがストーブに火を入れている。


洋館造りの旧軽井沢駅舎が鎮座する脇のホームはまるで洋風庭園で、停車している列車はオブジェのように見えた。

冷気は厳しく、動き出した列車は次の中軽井沢に止まり、開いた扉から粉雪が舞い込んできた。

冬の旅もまた格別だ。

9:42 大屋(おおや)駅(しなの鉄道 長野県)
晴れた空から粉雪が舞ってきた。

真田の六連銭が描かれたバス案内が立つ大屋駅。

オレが生まれる頃まで、この駅から丸子町へ、上田東へと上田丸子電鉄が走っていた。

1970年代に甲子園に行った長野県勢の中に、丸子実業の名もある。

駅を出て千曲川まで歩く。
千曲川だとは思っていたが確証はなく、酒屋のおかみさんに聞いて納得した。


オレのルーツのそばを千曲川が流れていることに驚きつつも、誇らしい気持ちも湧く。
そう言えば町田の実家には、五木ひろしさんが歌う「千曲川」のレコードがかつてあり、共に歌う父の声を何度か聞いた。

川からは虫が上がってきて大変だと嘆きつつも、旅人のオレにはおかみさんもどこか誇らしげに見える。

待合室にはストーブが炊かれている。
「人の群れは誰も無口で」と歌われた「津軽海峡冬景色」を彷彿とさせる光景から脱け出してホームへ出ると、若い女性が続き、その後巣穴から出るように人々が続いた。

次の駅は広大な信濃国分寺跡の上にある。
しなの鉄道となってから新設された駅だと聞いた。

1969年に廃線となった上田東へと延びていた上田丸子電鉄。
当時の路線図を見ると、同じく現在のしなの鉄道に沿って数駅が存在していた。

関連記事

「鉄旅日記」2020年睦月【秋田内陸縦貫鉄道に乗りにいきました。五能線の名所も歩いた旅初めでございます。】初日(東京-湯沢)その3‐小牛田、一ノ関、北上、柳原、江釣子(東北本線/北上線)

鉄旅日記2020年1月11日・・・小牛田駅、一ノ関駅、北上駅、柳原駅、江釣子駅(東北本線/北上線)

記事を読む

「鉄旅日記」2013年夏【青春18きっぷで、鹿児島県志布志へ】2日目(徳山-南宮崎)その1-徳山、長府、西小倉、城野、行橋、新田原、中津、中山香、高城、佐志生、熊崎、上臼杵、臼杵(山陽本線、日豊本線)

鉄旅日記2013年8月11日その1・・・徳山駅、長府駅、西小倉駅、城野駅、行橋駅、新田原駅、中津駅、

記事を読む

「鉄旅日記」2020年晩秋【大人の休日倶楽部パスで北陸へ。新幹線、在来線特急乗り放題でございます。魚津、雨晴をめぐり、氷見線、万葉線、城端線、七尾線、えちぜん鉄道、福武線、北陸鉄道との再会でございます。】2日目(砺波-武生)その4‐七尾、金丸、宝達、宇野気、本津幡(七尾線)

鉄旅日記2020年11月22日・・・七尾駅、金丸駅、宝達駅、宇野気駅、本津幡駅(七尾線) 1

記事を読む

「鉄旅日記」2020年文月【コロナ禍でございます。内緒の旅でございました。余部鉄橋へ。萩へ。霧の街へ。東京五輪延期で浮いた4連休の記録でございます。】3日目(萩-三次)その2‐益田、三保三隅、浜田、波子(山陰本線)

鉄旅日記2020年7月25日・・・益田駅、三保三隅駅、浜田駅、波子駅(山陰本線) 10:03

記事を読む

「車旅日記」2005年春【松本から富山へ。今にして思えば、なぜこの旅を思い立ったのか思い出せないのでございます。】初日(松本-飯山-富山)走行距離317㎞ その1-新宿駅、松本駅、明科駅、聖高原駅、冠着駅、姨捨駅、篠ノ井駅、川中島駅、飯山駅

車旅日記2005年4月29日・・・新宿駅、松本駅、明科駅、聖高原駅、冠着駅、姨捨駅、篠ノ井駅、川中島

記事を読む

「鉄旅日記」2018年秋【サンキューちばフリーパスでめぐる上総下総安房旅】初日(松戸-流山-潮来-銚子-東金-松戸)その2-湖北、下総松崎、成田、香取、延方、北浦、佐原、大戸(我孫子支線/成田線/鹿島線)

鉄旅日記2018年9月22日・・・湖北駅、下総松崎駅、成田駅、香取駅、延方駅、佐原駅、大戸駅(我孫子

記事を読む

「車旅日記」2006年皐月【東京から出かける最後の車旅。関東、東北を2,265㎞走った記録でございます。】5日目(青森-八戸-気仙沼-女川-安達)その1-駅前ホテルニュー青森館、野辺地駅、三沢駅、十和田市駅、本八戸駅、陸中八木駅、久慈駅、岩泉駅、茂市駅

車旅日記2006年5月6日・・・駅前ホテルニュー青森館、野辺地駅、三沢駅、十和田市駅、本八戸駅、陸中

記事を読む

「鉄旅日記」2013年夏【青春18きっぷで、鹿児島県志布志へ】4日目(隼人-岩国)その2-熊本、久留米、鳥栖、吉塚、長者原、古賀、東郷、赤間、幡生(鹿児島本線、山陽本線)

鉄旅日記2013年8月13日その2・・・熊本駅、久留米駅、鳥栖駅、吉塚駅、長者原駅、古賀駅、東郷駅、

記事を読む

「鉄旅日記」2020年弥生【富山地方鉄道に乗りにまいりました。太多線、高山本線に乗るのも楽しみにしていたのでございます。】最終日(速星-東京)その1‐速星、越中八尾、楡原(高山本線)

鉄旅日記2020年3月22日・・・速星駅、越中八尾駅、楡原駅(高山本線) 2020・3・22 7:

記事を読む

「鉄旅日記」2014年冬【ふらっと両毛 東武フリーパスで、両毛ローカル旅】初日(東京-桐生)-小菅、五反野、梅島、田島、渡瀬、県、東武和泉、福居、野州山辺、韮川、東小泉、藪塚、阿左美、岩宿、新桐生、下新田(東武スカイツリーライン/東武佐野線/東武伊勢崎線/東武桐生線)

鉄旅日記2014年12月28日・・・小菅駅、五反野駅、梅島駅、田島駅、渡瀬駅、県駅、東武和泉駅、福居

記事を読む

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

「鉄旅日記」2021年春【大人の休日倶楽部パスで東北へ。新幹線、在来線特急乗り放題でございます。続くコロナ禍ではございますが、約半年の辛抱の時を過ぎて、天候にも苛まれながら秋田内陸縦貫鉄道に乗りに行きました。】最終日(米内沢-東京)その1 ‐米内沢、鷹巣、鷹ノ巣、早口、秋田(秋田内陸縦貫鉄道/奥羽本線)

鉄旅日記2021年4月18日・・・米内沢駅、鷹ノ巣駅、早口駅、秋田駅

「鉄旅日記」2021年春【大人の休日倶楽部パスで東北へ。新幹線、在来線特急乗り放題でございます。続くコロナ禍ではございますが、約半年の辛抱の時を過ぎて、天候にも苛まれながら秋田内陸縦貫鉄道に乗りに行きました。】初日(東京-米内沢)その5‐比立内、阿仁合、阿仁前田温泉、合川、米内沢(秋田内陸縦貫鉄道)

鉄旅日記2021年4月17日・・・比立内駅、阿仁合駅、阿仁前田温泉駅

「鉄旅日記」2021年春【大人の休日倶楽部パスで東北へ。新幹線、在来線特急乗り放題でございます。続くコロナ禍ではございますが、約半年の辛抱の時を過ぎて、天候にも苛まれながら秋田内陸縦貫鉄道に乗りに行きました。】初日(東京-米内沢)その4‐雫石、田沢湖、神代、角館(田沢湖線)

鉄旅日記2021年4月17日・・・雫石駅、田沢湖駅、神代駅、角館駅(

「鉄旅日記」2021年春【大人の休日倶楽部パスで東北へ。新幹線、在来線特急乗り放題でございます。続くコロナ禍ではございますが、約半年の辛抱の時を過ぎて、天候にも苛まれながら秋田内陸縦貫鉄道に乗りに行きました。】初日(東京-米内沢)その3‐梅ヶ沢、一ノ関、盛岡、小岩井(東北本線/東北新幹線/田沢湖線)

鉄旅日記2021年4月17日・・・梅ヶ沢駅、一ノ関駅、盛岡駅、小岩井

「鉄旅日記」2021年春【大人の休日倶楽部パスで東北へ。新幹線、在来線特急乗り放題でございます。続くコロナ禍ではございますが、約半年の辛抱の時を過ぎて、天候にも苛まれながら秋田内陸縦貫鉄道に乗りに行きました。】初日(東京-米内沢)その2‐小牛田、瀬峰、田尻、新田(東北本線)/伊豆沼

鉄旅日記2021年4月17日・・・小牛田駅、瀬峰駅、田尻駅、新田駅(

→もっと見る

    PAGE TOP ↑