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「鉄旅日記」2019年如月 最終日(安中-東京)その1-安中、松井田、西松井田、横川、軽井沢、大屋(信越本線/しなの鉄道) 【週末パスで東京から伊豆。そして上州、信州へ。友人は言ったものでございます。何気に大層な移動距離だと。】

公開日: : 最終更新日:2025/05/10 旅話, 旅話 2019年

鉄旅日記2019年2月10日・・・安中駅、松井田駅、西松井田駅、横川駅、軽井沢駅、大屋駅(信越本線/しなの鉄道)

2019・2・10 7:05 安中(あんなか)駅(信越本線 群馬県)
霜の下りた安中市内。
冷気は顔を刺し、おそらく氷点下の寒さだろう。
ここしばらくは経験していない寒さだ。

碓氷川に架かる橋から妙義山を眺め、朝焼けを愛でた。

でたらめな配置のように見える突兀とした山々を望み、この気分を味わうためにここまでやって来て、今こうしているのだと思う。


吐く息は白く、東の空がまぶしい。
冬の朝とはこんなにも美しい。

駅に着いて、小さな待合室にしばらくいる。
地元の保育園児によるアート作品や、有志の好意が詰まった民芸作品が並べられた室内は彩りに満ちて、ちょっとした幸福感に包まれる。

7:24 松井田(まついだ)駅(信越本線 群馬県)にて

7:54 西松井田(にしまついだ)駅(信越本線 群馬県)
松井田駅で降りて、跨線橋から妙義山を眺める。

他に何もなく、次の列車が来るのは33分後。
ひと駅先の西松井田駅へは、地図を見る限り歩けない距離じゃない。

それから徒歩約15分。
途中、妙義山を背後に碓氷川に架かる時代を帯びた鉄橋を写した。
こんな風景に出会うためにオレは旅をしている。

西松井田駅でも安中から続く景色を写す。



松井田城跡を指す表示は4km先。

安中氏、武田氏、織田氏、北条氏と、戦国の頃に目まぐるしく領主が交代した土地。
城は豊臣秀吉による小田原征伐の際にひと月にも上る籠城戦に耐えた後に、開城。
そして廃城となった。

上州武士は強く、その名残が時に甲子園や国立競技場で栄冠をつかんでいる。

8:10 横川(よこかわ)駅(信越本線 群馬県)
峠の釜飯の荻野屋の看板が懐かしい。

信越本線が碓氷峠を越えて軽井沢につながっていたかつて。
急勾配の上り下りに対応するため、この駅に着くたびに補助機関車の連結作業行うにあたり、数分の停車時間が生まれた。

大勢の乗客はその間に釜飯売場に列を作った。
小学生だったオレは釜飯を好まず、駅そばを購入したら、カップ容器ではなくどんぶりで渡され、泣きそうなほどに戸惑ったことを覚えている。

そうした過去を持つ大鉄道駅も今は寂しく、駅弁売場も駅そばも撤退して、広い構内の多くを空地が占め、鉄道員の姿もない。





ちらほらと降りた客は、オレと同じように軽井沢行きのバス乗場に急ぐ。

妙義山が真正面にあった。

碓氷峠に雪はなく、碓氷バイパスを行くバスからはかつての鉄道遺跡は見えない。
少し目を閉じる。

8:50 軽井沢(かるいざわ)駅(北陸新幹線/しなの鉄道 長野県)
昨晩雪が降ったようだ。

バス乗場から雪を踏みしめて駅へと歩く。

駅前には雪かきの音が響き、ホームではイベントスタッフがストーブに火を入れている。


洋館造りの旧軽井沢駅舎が鎮座する脇のホームはまるで洋風庭園で、停車している列車はオブジェのように見えた。

冷気は厳しく、動き出した列車は次の中軽井沢に止まり、開いた扉から粉雪が舞い込んできた。

冬の旅もまた格別だ。

9:42 大屋(おおや)駅(しなの鉄道 長野県)
晴れた空から粉雪が舞ってきた。

真田の六連銭が描かれたバス案内が立つ大屋駅。

オレが生まれる頃まで、この駅から丸子町へ、上田東へと上田丸子電鉄が走っていた。

1970年代に甲子園に行った長野県勢の中に、丸子実業の名もある。

駅を出て千曲川まで歩く。
千曲川だとは思っていたが確証はなく、酒屋のおかみさんに聞いて納得した。


オレのルーツのそばを千曲川が流れていることに驚きつつも、誇らしい気持ちも湧く。
そう言えば町田の実家には、五木ひろしさんが歌う「千曲川」のレコードがかつてあり、共に歌う父の声を何度か聞いた。

川からは虫が上がってきて大変だと嘆きつつも、旅人のオレにはおかみさんもどこか誇らしげに見える。

待合室にはストーブが炊かれている。
「人の群れは誰も無口で」と歌われた「津軽海峡冬景色」を彷彿とさせる光景から脱け出してホームへ出ると、若い女性が続き、その後巣穴から出るように人々が続いた。

次の駅は広大な信濃国分寺跡の上にある。
しなの鉄道となってから新設された駅だと聞いた。

1969年に廃線となった上田東へと延びていた上田丸子電鉄。
当時の路線図を見ると、同じく現在のしなの鉄道に沿って数駅が存在していた。

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