「鉄旅日記」2019年如月 最終日(安中-東京)その2-屋代、坂城、小諸、三岡、中込、羽黒下、松原湖(しなの鉄道/小海線) 【週末パスで東京から伊豆。そして上州、信州へ。友人は言ったものでございます。何気に大層な移動距離だと。】
車旅日記2019年2月10日・・・屋代駅、坂城駅、小諸駅、三岡駅、中込駅、羽黒下駅、松原湖駅(しなの鉄道/小海線)
10:34 屋代(やしろ)駅(しなの鉄道 長野県)
すっかり雪模様となった信濃路。
屋代駅から伸びる駅前通りは果てしなく思え、大きな町に着いたと思わせる。


酒屋を見つけて、駅へ戻る。
「更科日記」と呼ばれる銘菓を口にしていた少年時代には、この駅から松代を通り須坂へと向かう長野電鉄が運行していて、使われなくなったホームがまだ遺されている。
大屋でもポスターを見かけたが、「信州ブレイヴウォリアーズ」というプロバスケットボールチームが千曲を本拠にして活躍しているようだ。
やはりブラジル人だろうか。
サッカーのネイマール選手をくだけさせたような、笑顔の素敵な青年団を見かけた。
11:02 坂城(さかき)駅(しなの鉄道 長野県)
小諸方面に戻り、かつて降りたことのある戸倉を過ぎてひと駅。
戦国時代の豪雄、村上義清の居城葛尾城址がこの町を見下ろしている。
標高805メートルとのこと。


信濃人なら侵略者の武田信玄ではなく、村上義清にシンパシーを感じるべきか。
上田原でぶつかった両軍。
武田軍は宿老の板垣信方、甘利虎泰を失い、武田信玄本人も傷を負い後退。
砥石城攻防戦でも武田軍は、横田備中高松をはじめとして1,000名にも及ぶ戦死者を出す「砥石崩れ」と呼ばれる散々な敗北を喫する。
だが武田軍の策謀が徐々に村上義清を追い詰めていく。
上杉謙信を頼った彼の名は、川中島合戦の上杉軍の中に見られる。
駅前商店街の前面に聳える山が城址なのだろう。
空は明暗を繰り返しながら雪を降らすことを止めていない。
構内に石油タンクを連ねた貨物列車が止まっている。
しなの鉄道は貨物輸送がない中で、旅客を相手に健闘していると兄から聞いたが、唯一の例がある。
目の前には精製所がある。



つり革をせがむ幼児の姿に在りし日を思い出していた。
切ないわけではなく、子供の愛らしい姿が見られる車内空間を愛している。
11:57 小諸(こもろ)駅(小海線/しなの鉄道 長野県)
ひとつ手前の滋野からの車窓で、整然と並んだ家並を眺めては感嘆した。
変わらない駅前風景は心を癒し、2階レストランへと上がる階段は閉鎖されていた。
浅間山を写せる場所がなく、乗り換え10分でこの愛すべき街を離れる。


車寅次郎が恋をした街、小諸。
三田佳子さん演じるマドンナの女医さんは美しかった。
毎年暮れ近くに柴又帝釈天で行れる「寅さんサミット」。
参加資格を持つこの街に、そのポスターがまだ貼られていた。

12:08 三岡(みつおか)駅(小海線 長野県)
行き違い3分の停車。
踏切の設置されていない構内通路を渡り、下りホームにある駅舎を抜けて懐かしさを感じる信州の風景を写す。


浅間山も見えるけど、満足できる景観はここにはない。
列車は再び動き、佐久平が近づき高架線路になると、車窓に再び浅間山が現れた。
美しい姿をしている。


12:32 中込(なかごみ)駅(小海線 長野県)
行き違いと時間調整のため7分の停車。
浅間山がよく見えている。
名山と称される山とは、遠く離れているように見える地域からも、こうして慕われることが実感できる。


中込駅前は車であふれ、ちょっとした都会に着いたような気にさせる。


発車した車内からまた浅間山を写す。






次のカーブを曲がったら、もう見えなくなっていた。
12:50 羽黒下(はぐろした)駅(小海線 長野県)
行き違い4分の停車。
書き忘れたが、屋代、坂城ときて上田から先に雪の気配は消えていた。
佐久平、中込で乗客は減り、この駅でも3名が降りていく。
構内通路を通り下りホーム側にある駅舎を写す。


車窓にまた雪が現れた。
13:12 松原湖(まつばらこ)駅(小海線 長野県)にて


【Facebookへの投稿より】
上州安中の今朝は霜が下りておりました。
ですが、険しい面相をした妙義山に雪はなく、峠下は日差しに満ちておりました。
碓氷峠にも雪は見られず、軽井沢に上がりますと、一夜の内にうっすらと雪化粧が施され、北へ進むにつれて雪深くなっていったのでございます。
ほぼ100%信濃人の血を持つ身でございますが、血や誇りを注入するように、時にこうして信州信濃に足を踏み入れ、東京へと戻っていくのでございます。
関連記事
-
-
2018年秋 最終日(松戸-五井-大原-安房鴨川-松戸)その3-安房鴨川、江見、君津、千葉、西船橋(内房線/総武本線) 【サンキューちばフリーパスでめぐる上総下総安房旅】
鉄旅日記2018年9月23日・・・安房鴨川駅、江見駅、君津駅、千葉駅、西船橋駅(外房線/内房線/総武
-
-
「鉄旅日記」2021年春 初日(東京-米内沢)その2‐小牛田、瀬峰、田尻、新田(東北本線)/伊豆沼 【大人の休日倶楽部パスで東北へ。新幹線、在来線特急乗り放題でございます。続くコロナ禍ではございますが、約半年の辛抱の時を過ぎて、天候にも苛まれながら秋田内陸縦貫鉄道に乗りに行きました。】
鉄旅日記2021年4月17日・・・小牛田駅、瀬峰駅、田尻駅、新田駅(東北本線)/伊豆沼 8:
-
-
「車旅日記」1996年黄金週間【友を訪ねて大阪へ。そして約束の地、金沢へ。夢を見ながら国道を走った日々でございます。】最終日 北陸より東京へ‐その3(R20)諏訪湖、韮崎、道の駅甲斐大和
車旅日記1996年5月6日 16:28 諏訪湖 松本市内を通過して塩尻峠を下りていく。 塩尻峠は
-
-
「鉄旅日記」2020年初秋 最終日(高松-東京)その2 ‐茶屋町、岡山、倉敷、倉敷市、水島、常盤、栄、三菱自工前(宇野線/伯備線/水島臨海鉄道)/倉敷センター街、阿智神社、倉敷美観地区 【時空の友を訪ねて讃州高松へ。金比羅さん、瀬戸大橋、大歩危、小歩危などを友とめぐり、義仲寺に寄り、直島に渡り、水島臨海鉄道にも乗った4日間の記録でございます。】
鉄旅日記2020年9月22日・・・茶屋町駅、岡山駅、倉敷駅、倉敷市駅、水島駅、常盤駅、栄駅、三菱自
-
-
「鉄旅日記」2022年弥生vol.1 初日(東京-熱海)その5 ‐逗子、北鎌倉、平塚、国府津(横須賀線/東海道本線) 【金沢シーサイドライン、根岸線、湘南モノレール、大雄山線、鶴見線、南武線etc.駅旅人本領発揮の旅でございます。】
鉄旅日記2022年3月5日・・・逗子駅、北鎌倉駅、平塚駅、国府津駅(横須賀線/東海道本線)
-
-
「鉄旅日記」2008年皐月 3日目(柳井-徳島)-柳井、大畠、西条、岡山、高松、高松築港、オレンジタウン、引田、池谷、鳴門、徳島(山陽本線/本四備讃線/高徳本線/鳴門線) 【旅は京都から始まり、山陰から下関へ。そして四国へと渡ったのでございます。】
鉄旅日記2008年5月4日・・・柳井駅、大畠駅、西条駅、岡山駅、高松駅、高松築港駅、オレンジタウン駅
-
-
「鉄旅日記」2017年冬 初日(東京-会津若松)その3-七日市、塩川、姥堂、会津若松(只見線/磐越西線)/鶴ヶ城 【会津へ。会津へ行きたかったのでございます。】
鉄旅日記2017年12月2日・・・七日市駅、塩川駅、姥堂駅、会津若松駅(只見線/磐越西線)/鶴ヶ城
-
-
「鉄旅日記」2017年夏 3日目(姫路-十三)その2-新開地、湊川、鈴蘭台、三木上の丸、三木城址、三木、粟生、神鉄三田、ウッディタウン中央、横山、有馬口、有馬温泉、鵯越(神戸電鉄有馬線/粟生線/三田線/公園都市線) 【私鉄王国で過ごす夏】
鉄旅日記2017年8月13日・・・新開地駅、湊川駅、鈴蘭台駅、三木上の丸駅、三木駅、粟生駅、神鉄三田
-
-
「鉄旅日記」2020年盛夏 3日目(肥前鹿島-門司港)その1‐肥前鹿島、肥前大浦、長里、湯江(長崎本線)/鹿島城跡 【コロナ禍の内緒旅VOl.2。宮島へ。錦帯橋へ。筑豊へ。島原へ。千綿駅へ。そして若松~戸畑の渡船。日本晴れの4日間の記録でございます。】
鉄旅日記2020年8月15日・・・肥前鹿島駅、肥前大浦駅、長里駅、湯江駅(長崎本線)/鹿島城跡
-
-
「車旅日記」1998年夏 3日目(秋田-北上ー遠野)-道の駅西目、道の駅東由利、ほっとゆだ駅、北上駅、遠野徳田屋旅館 【20代最後の旅でございます。青森港から北海道上陸を目指して北へ向かったのでございますが・・・。】
車旅日記1998年8月14日 1998・8・14 7:17 7号国道‐西目(道の駅) 自由な日々、
