「鉄旅日記」2019年弥生Part.1 初日(東京-紀伊田辺)その2-滝原、三野瀬、尾鷲、宇久井、田並(紀勢本線) 【和歌山電鐵に乗るために、青春18きっぷで紀伊半島一周を思い立ったのでございます。】
鉄旅日記2019年3月2日・・・滝原駅、三野瀬駅、尾鷲駅、宇久井駅、田並駅(紀勢本線)
14:14 滝原(たきはら)駅(紀勢本線 三重県)
3駅続けて数分の停車時間がある。
ここでは行き違いで8分止まる。


こののんびり旅がオレにはたまらない。
紀勢本線は亀山~新宮間は非電化で単線。
さっき降りた三瀬谷は特急停車駅だが、特急に乗っても名古屋までは約2時間を要する。
先を急げない事情を持った土地がこの国にはごまんとある。
リニア新幹線だの何だのと言っていることが、オレにはとてもアホらしく感じる。
滝原宮は伊勢神宮内宮の別宮とのこと。
インターネット地図で紀伊半島を上空から眺めると、ほとんどが山地であることが見てとれる。
あるいは伊勢からここまでの山地のすべてが神域なのではとの思いがよぎる。
黒潮が流れる海はまだ見えない。
より花粉を感じるようになり、彼女から二通目の返信が届いた。
15:00 三野瀬(みのせ)駅(紀勢本線 三重県)
ひとつ手前の紀伊長島に差し掛かる頃から黒潮流れる海が見えてきた。
かつて眺めた長島港の造船所。
浮かぶ巨大タンカーは錆を浮かせ、まるで置き去りにされたかのようにそこにあった。
その脇ではコンビニが営業している。
普段の仕事を思えば人様のことをとやかく言えた義理じゃないが、その光景を健気に感じて、視線は次なる入江へ向かった。
列車行き違いで14分の停車。
暖かな日差しの下に列車は停車している。




ダウンを脱いで半袖姿になる。
彼女とオレはどんどん親密になっていく。
15:45 尾鷲(おわせ)駅(紀勢本線 三重県)
20分の停車。
海辺までは行けず、コンビニでビールを買って引き返す。
前回降りた時よりも町は廃れて見えたが、車通りの少ない駅前通りを子供たちが元気に駈けていた。
子供が笑顔でいる風景には救いがある。




車窓から見える尾鷲湾は絶景と言っていい。
中部電力の塔が風景にアクセントをつけている。
町からもあの風景を目にすることはできないものかと、さっきは歩いていったんだよ。





スマホに残したこれらだけじゃ、とても足りない。
17:18 宇久井(うぐい)駅(紀勢本線 和歌山県)
九鬼、賀田、新鹿。
かつての旅で、わずかな停車時間の内に降りた駅を過ぎていく。
熊野市駅では海岸まで往復できるほどの停車時間を持ったこともある。
新宮から熊野川を渡って次の鵜殿駅まで歩いた前回。
熊野川渡河の際に現れる景色も絶景と言える。
新宮での乗り継ぎ時間は2分。
紀伊田辺行きに乗り換える。
新宮からは電化路線となるが、紀伊田辺までは変わらず単線。
新宮を出るとすぐに黒潮海道が車窓に広がる。
いつの間にか空は曇り、車内は年若な者たちに占められた。
この駅で行き違い3分の停車。
街道に接した駅前だった。


次の駅が那智。
そしてひと駅を間に置いて紀伊勝浦。
同じように紀勢本線で下ってきて、太地で引き返した前回の紀伊半島旅。
今回は和歌山まで行くよ。
18:23 田並(たなみ)駅(紀勢本線 和歌山県)
紀伊浦神あたりの海辺の集落に打たれてスマホを構えた。



熊野灘を飽かずに見入る。








串本での乗降はわずかで、列車は静かに進路を北へと変えた。
乗ってきた若者たちは一様に眠りに落ちて、2両の乗客はそれぞれ10名ほど。
本州最南端の車窓に写るものは見えず、闇が下りた一帯をひたすら北へ向かっている。
行き違い5分の停車。


駅舎には磯釣りへと誘う古い地図が描かれている。
駅前に串本病院の送迎バスが入ってきて、人を下ろすのかと思いきや180度に方向を変えて走り去った。
たんに方向転換のために入ってきたようだ。
関連記事
-
-
「車旅日記」1998年春 3日目(津軽SA-十和田湖-酒田駅-鳴子温泉)-津軽SA、温川、十和田湖休屋、長木渓谷、道の駅鷹巣、道の駅琴丘、道の駅西目、象潟駅、酒田駅、道の駅戸沢、鳴子サンハイツ 【下北半島を目指した春。男の旅は北を目指すものと思っていた20代後半。高倉健さんの影響でございましょうか。】
車旅日記1998年5月3日 1998・5・3 5:45 東北自動車道-津軽SA 1087km 聞き
-
-
「鉄旅日記」2021年春 初日(東京-米内沢)その4‐雫石、田沢湖、神代、角館(田沢湖線) 【大人の休日倶楽部パスで東北へ。新幹線、在来線特急乗り放題でございます。続くコロナ禍ではございますが、約半年の辛抱の時を過ぎて、天候にも苛まれながら秋田内陸縦貫鉄道に乗りに行きました。】
鉄旅日記2021年4月17日・・・雫石駅、田沢湖駅、神代駅、角館駅(田沢湖線) 14:50
-
-
「鉄旅日記」2022年新春 初日(東京-湯瀬温泉)その1 ‐松戸、神立、友部、水戸、いわき(常磐線) 【巨大な土偶が貼りつく木造駅を見たくて冬の東北を旅しました。】
鉄旅日記2022年1月8日・・・松戸駅、神立駅、友部駅、水戸駅、いわき駅(常磐線) 2022
-
-
「鉄旅日記」2021年夏 最終日(上田-東京)その2 ‐北飯山、飯山、蓮、森宮野原(飯山線) 【4度目の緊急事態宣言前。飯山線に乗りたくて旅を思い立ちました。湯檜曽駅で夏の第一声を聞き、信越路を歩いた記録でございます。】
鉄旅日記2021年7月11日・・・北飯山駅、飯山駅、蓮駅、森宮野原駅(飯山線) 9:16
-
-
「鉄旅日記」2019年弥生Part.1 最終日(紀伊田辺-東京)その1-紀伊田辺、箕島、和歌山、伊太祈曽、貴志(紀勢本線/和歌山電鐵貴志川線) 【和歌山電鐵に乗るために、青春18きっぷで紀伊半島一周を思い立ったのでございます。】
鉄旅日記2019年3月3日・・・紀伊田辺駅、箕島駅、和歌山駅、伊太祈曽駅、貴志駅(紀勢本線/和歌山電
-
-
「鉄旅日記」2020年初秋 初日(東京-高松)その1 ‐金町、東京、米原、坂田(常磐線/東海道新幹線/北陸本線) 【時空の友を訪ねて讃州高松へ。金比羅さん、瀬戸大橋、大歩危、小歩危などを友とめぐり、義仲寺に寄り、直島に渡り、水島臨海鉄道にも乗った4日間の記録でございます。】
鉄旅日記2020年9月19日・・・金町駅、東京駅、米原駅、坂田駅(常磐線/東海道新幹線/北陸本線)
-
-
「鉄旅日記」2020年睦月 初日(東京-湯沢)その4‐ゆだ錦秋湖、ほっとゆだ、横手、湯沢(北上線/奥羽本線)/慶 【秋田内陸縦貫鉄道に乗りにいきました。五能線の名所も歩いた旅初めでございます。】
鉄旅日記2020年1月11日・・・ゆだ錦秋湖駅、ほっとゆだ駅、横手駅、湯沢駅(北上線/奥羽本線)/慶
-
-
「鉄旅日記」2009年秋 5日目(松浦-若松)その1-松浦、有田、伊万里、唐津、筑前前原、姪浜、天神、西鉄福岡、博多(松浦鉄道/筑肥線/福岡市地下鉄空港線) 【遅い夏休みをとり、長崎までの切符を買いました。】
鉄旅日記2009年9月22日・・・松浦駅、有田駅、伊万里駅、唐津駅、筑前前原駅、姪浜駅、天神駅、西鉄
-
-
「鉄旅日記」2022年新春 初日(東京-湯瀬温泉)その2 ‐竜田、原ノ町、鹿島、仙台、小牛田、一ノ関(常磐線/東北本線) 【巨大な土偶が貼りつく木造駅を見たくて冬の東北を旅しました。】
鉄旅日記2022年1月8日・・・竜田駅、原ノ町駅、鹿島駅、仙台駅、小牛田駅、一ノ関駅(常磐線/東北
-
-
「車旅日記」1997年夏 初日(東京-三国峠-新潟)-町田、東福生駅、山田うどん、前橋市田口町、月夜野道路情報ターミナル、奥平温泉遊神館、越後湯沢駅、堀之内パーキング、道の駅豊栄 【男鹿半島を目指した夏。友と過ごし、旧友と再会したみちのく旅でございます。】
車旅日記1997年8月13日 1997・8・13 10:30 東京町田 出発が遅れている。 急ぐべ
