*

「車旅日記」2000年夏Part.1 3日目(能登島-氷見-小千谷)能登島、道の駅いおり、氷見港、道の駅ウェーブパークなめりかわ、朝日町栄食堂、親不知ピア・パーク、道の駅能生、長岡市宮本、道の駅おぢや 【信濃、飛騨、そして能登島。帰りは北陸路。この国の美しさをあらためて感じました夏旅でございます。】

公開日: : 最終更新日:2025/05/10 旅話, 旅話 2000年

車旅日記2000年7月22日

2000・7・22 9:00 能登島某リゾートクラブ
昨夜は風の音を聞いた。

それだけしか聞こえなかった。

今は油蝉の声。

空には薄く雲がかかり、光がその上を飛び交っている。
昨日ほどではないけど、今日もしっかり暑くなりそうだ。

テラスに出て風を浴びていると、また眠気がやってくる。
肩の力は抜け、気怠くて、とっておきと言っていい時間。

できればもう少しこうしていたいけど、契約はそうなっていない。
また来るべきだな。

次はひとりじゃない方がいい。
昨夜は少し寂しかった。

10:49 160号国道‐いおり(道の駅) 704㎞
能登島を約半周。

ガソリンスタンドに寄る。
できることなら、もう少しあの島に金を落としたかった。

さっきまでいたマンションは自然の中に塗り込まれるように存在し、まるで違和感がない。

また来るさ。
そう誓う。

能登島大橋は素晴らしい。
いつから無料になったのだろうか。

琵琶湖大橋を思い出し、強烈な横風を受けながら浮き立つ気持ちを放し飼いにした。
おそらく満面の笑顔でいたことだろう。

あれから視界の多くに海を認め、七尾市内を抜け、ここに着いた。
国道の下に掘られたトンネルをくぐると海水浴場で、30人ほどの姿があった。

ビキニ姿の女性を見るのは久しぶりだ。

ここは観光地か。
県外ナンバーの車を見かける。

気に入った夏が来ている。

11:44 氷見港-氷見(道の駅) 729㎞
昨夜は飛ばした能登の道をゆっくりと走り、氷見へ。

これで能登の旅は終わり。
明るい時間帯に走れてよかったと思っている。
昨日は暗い中をあえぐようだった。

空には雲が多いが、晴れている。
七尾に降り注いだ光は隠れている。

道中、ハヤブサが悠然と行く手を横切る。

ここでは人とのふれあいを持てなかったけど、さっきの庵では店の女性の笑顔に気持ちがほぐれた。
できるだけ優しい顔に会っていたい。

そう言えばさっき、2匹の犬が楽しそうにじゃれ合う姿を見た。
カメラがあれば、迷わず押してる。

海鮮館を持つここは多くの人々を集め、こうしていても次々と車がやってくる。
賑わう場所はキライじゃない。

13:16 1号富山県道-ウェーブパークなめりかわ(道の駅) 780㎞
土産の多い旅になった。
それだけ満足度が高いと言える。

車を止めるたびに日差しが強くなる。
誰かにありがとうと言いたい。

このあたりを走るのは初めてになる。
正確には、北陸自動車道でなら2度通っている。

いずれも早朝だったけど、今日は真夏の昼時。
そう言えば富山県警が粋な表示を出していた。
「さわやかに 走ろう 夏の北陸路」。

今日も気温34度。
海からの風が爽やかさを運ぶ。

能登島がきれいに見える。

家で飲む酒がまたひとつ増えた。

14:59 8号国道‐栄食堂(朝日町) 817㎞
ここじゃなかったかもしれない。
よくは覚えていない。

景色はあの時のままだ。
日本海はさっきまではもう少し青かったけど、今はあの日の朝と同じように少し沈んだ色をしている。

おそらくここで彼女の帰りの無事を祈った。
あの旅の中での最高の瞬間だった。
想いは消えても記憶は残る。

特急「白鳥」が金沢方面に向かった。
誰かの旅は今日も続いている。

国道から線路と海が見える場所。
地図を探してもそんな場所はいくつもない。

あの日の想いはそのまま長いこと生き続け、そして今年の3月に終わった。

いい旅をしている。

15:28 8号国道‐親不知ピア・パーク 828㎞
ひと眠りしようと思ったけど、オレは元気だ。

4年前の旅をさっきから忠実にたどっている。

あの日は波の音だけが聞こえたけど、今日は歓声も聞こえる。
ここは海水浴場なんだ。

親不知の難所は前回よりも楽に越せた。
そういうものなのかもしれない。

あの頃より寂しいが、あの頃より楽に生きている。
今回、こうしていることが心底好きなのだということを確認した。

さっき栄食堂で食べた「たら汁」は美味かった。
クセになりそうだが、東京じゃ食べられない。

17:15 8号国道‐能生(道の駅) 858㎞
いい風が吹いて、1時間ばかり眠ることができた。

起きると太陽がまた顔を出し、海と恋人たちを照らしている。
子供たちも元気に遊んでいる。
みんないい顔をしている。

日本海沿いに生きる人々にとって、今日は素晴らしい夏の日だったのに違いない。

太陽のおかげで、海がまた青くなってきた。

19:35 8号国道‐長岡市宮本パーキング 951㎞
コンビニに1度立ち寄り、柏崎まで。

風呂とトイレを求めて2度にわたる迷走を繰り返し、ようやくここで体を休めた。

日本海は柏崎まで続き、不意に市内の雑踏に姿を消した。
おそらく夕日は海に沈む前に雲間に隠れてしまったのだろう。

北陸路は素晴らしかった。
今度はいつになるだろう。

柏崎ではかつて仲間たちと写真を撮った場所の特定ができた。
その後はタフなルートをたどっている。

そして今、夜が訪れた。
海辺で楽しんだ人々は残された時間をどのように使うのだろう。

とうとう暗くなって、もう行ける場所もない。
長岡から17号国道で東京に向かう。

そろそろ店仕舞いを考えてもいい。
もう十分に楽しんだ。

以前にも感じたことだが、このあたりのドライバーはよく飛ばす。

21:49 17号国道‐おぢや(道の駅) 985㎞
旅の最後の夜。
いい場所に着いた。

風呂にも入ったし、素晴らしい青年にも会ったし、オールスターゲームのハイライトも見れた。
落合選手が長谷川投手から放ったホームランを見れた。
道中では花火も上がった。

今夜はこれでおしまい。
不安視していた自信は完全に戻っている。
これなら眠れるだろう。
起きたら、今回最後の旅立ちが始まる。

涼しいな今夜は。

関連記事

「鉄旅日記」2020年初秋 初日(東京-高松)その1 ‐金町、東京、米原、坂田(常磐線/東海道新幹線/北陸本線) 【時空の友を訪ねて讃州高松へ。金比羅さん、瀬戸大橋、大歩危、小歩危などを友とめぐり、義仲寺に寄り、直島に渡り、水島臨海鉄道にも乗った4日間の記録でございます。】

鉄旅日記2020年9月19日・・・金町駅、東京駅、米原駅、坂田駅(常磐線/東海道新幹線/北陸本線)

記事を読む

「鉄旅日記」2018年弥生 最終日(会津若松-新潟-吉田-三条-東京)その2-新潟、白山、内野、巻、吉田、燕(越後線/弥彦線) 【青春18きっぷを握り、目指したのはまたしても会津。練馬から旅立つ最後の旅でございます。】

鉄旅日記2018年3月4日・・・新潟駅、白山駅、内野駅、巻駅、吉田駅、燕駅(越後線/弥彦線) 11

記事を読む

「車旅日記」2000年夏Part.2 3日目(福山-宇部)尾道西PA、奥屋PA、温品PA、玖珂PA 【友を訪ねて備後福山へ。長門宇部へ。2000㎞に及ぶ長大な旅路でございました。】

車旅日記2000年8月14日 3日目(福山-宇部)尾道西PA、奥屋PA、温品PA、玖珂PA 200

記事を読む

「鉄旅日記」2020年睦月 初日(東京-湯沢)その4‐ゆだ錦秋湖、ほっとゆだ、横手、湯沢(北上線/奥羽本線)/慶 【秋田内陸縦貫鉄道に乗りにいきました。五能線の名所も歩いた旅初めでございます。】

鉄旅日記2020年1月11日・・・ゆだ錦秋湖駅、ほっとゆだ駅、横手駅、湯沢駅(北上線/奥羽本線)/慶

記事を読む

「車旅日記」1998年夏 4日目(遠野-釜石-気仙沼-鳴子温泉)-遠野徳田屋旅館、遠野駅、釜石駅、釜石大観音、道の駅高田松原、気仙沼港、南気仙沼駅、小梨駅、一ノ関駅、鳴子サンハイツ 【20代最後の旅でございます。青森港から北海道上陸を目指して北へ向かったのでございますが・・・。】

車旅日記1998年8月15日 1998・8・15 8:00 遠野 徳田屋旅館 4日目。 宿で知り合

記事を読む

「鉄旅日記」2009年初夏【上信越ひとり旅】2日目(十日町-長岡)-十日町、戸狩野沢温泉、長野、松本、信濃大町、南小谷、直江津、柿崎、長岡(飯山線/篠ノ井線/大糸線/北陸本線/信越本線)

鉄旅日記2009年7月19日・・・十日町駅、戸狩野沢温泉駅、長野駅、松本駅、信濃大町駅、南小谷駅、直

記事を読む

「鉄旅日記」2008年皐月 4日目(徳島-善通寺)その2-海部、桑野、阿南、穴吹、佃、琴平、善通寺(牟岐線/徳島本線/土讃本線) 【旅は京都から始まり、山陰から下関へ。そして四国へと渡ったのでございます。】

鉄旅日記2008年5月5日・・・海部駅、桑野駅、阿南駅、穴吹駅、佃駅、琴平駅、善通寺駅(牟岐線/徳島

記事を読む

「鉄旅日記」2021年師走 最終日(古川-東京)その1 ‐古川、岩出山、有備館(陸羽東線)/岩出山城址(城山公園) 【特急乗り放題の大人の休日倶楽部パスで冬の国へ。山田線完全乗車と鳴子温泉郷を始めとした陸羽東線沿線を歩くことが目的でございました。】

鉄旅日記2021年12月5日・・・古川駅、岩出山駅、有備館駅(陸羽東線)/セレクトイン古川/岩出山

記事を読む

「鉄旅日記」2012年初冬 初日(東京-長野)-吹上、北鴻巣、長野、豊野、新井、高田、春日山(高崎線、長野新幹線、信越本線) 【週末パスで、上越途中下車旅&高田で友人の結婚式に参加】

鉄旅日記2012年12月8日・・・吹上駅、北鴻巣駅、長野駅、豊野駅、新井駅、高田駅、春日山駅(高崎線

記事を読む

2018年初秋 最終日(桑名-東京)その2-大垣、名古屋、金城ふ頭、豊橋、磐田、焼津(東海道本線/名古屋臨海高速鉄道あおなみ線) 【JR東海&16私鉄乗り鉄☆たびきっぷ」でめぐる東海旅】

鉄旅日記2018年9月16日・・・大垣駅、名古屋駅、金城ふ頭駅、豊橋駅、磐田駅、焼津駅(東海道本線/

記事を読む

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

「鉄旅日記」2022年新春 2日目(湯瀬温泉-三沢)その5 ‐青森、三沢(青い森鉄道)/ホテル天水 【巨大な土偶が貼りつく木造駅を見たくて冬の東北を旅しました。】

鉄旅日記2022年1月9日・・・青森駅、三沢駅(青い森鉄道)/ホテル

「鉄旅日記」2022年新春 2日目(湯瀬温泉-三沢)その4 ‐板柳、川部、撫牛子、大釈迦、鶴ヶ坂(五能線/奥羽本線) 【巨大な土偶が貼りつく木造駅を見たくて冬の東北を旅しました。】

鉄旅日記2022年1月9日・・・板柳駅、川部駅、撫牛子駅、大釈迦駅、

「鉄旅日記」2022年新春 2日目(湯瀬温泉-三沢)その3 ‐川部、五所川原、木造(五能線)/神武食堂 【巨大な土偶が貼りつく木造駅を見たくて冬の東北を旅しました。】

鉄旅日記2022年1月9日・・・川部駅、五所川原駅、木造駅(五能線)

「鉄旅日記」2022年新春 2日目(湯瀬温泉-三沢)その2 ‐東大館、大館、弘前(花輪線/奥羽本線) 【巨大な土偶が貼りつく木造駅を見たくて冬の東北を旅しました。】

鉄旅日記2022年1月9日・・・東大館駅、大館駅、弘前駅(花輪線/奥

「鉄旅日記」2022年新春 2日目(湯瀬温泉-三沢)その1 ‐湯瀬温泉、鹿角花輪、十和田南(花輪線)/和心の宿姫の湯 【巨大な土偶が貼りつく木造駅を見たくて冬の東北を旅しました。】

鉄旅日記2022年1月9日・・・湯瀬温泉駅、鹿角花輪駅、十和田南駅(

→もっと見る

    PAGE TOP ↑