「鉄旅日記」2021年師走 最終日(古川-東京)その1 ‐古川、岩出山、有備館(陸羽東線)/岩出山城址(城山公園) 【特急乗り放題の大人の休日倶楽部パスで冬の国へ。山田線完全乗車と鳴子温泉郷を始めとした陸羽東線沿線を歩くことが目的でございました。】
鉄旅日記2021年12月5日・・・古川駅、岩出山駅、有備館駅(陸羽東線)/セレクトイン古川/岩出山城址(城山公園)
2021・12・5 5:31 セレクトイン古川318号
古川駅には昨夜19:40に到着。土産物屋、駅そば、コンビニなどの機能はすでに終了していた。
駅前角の「まぜそば」を売るきれいな店でビールとつまみにチャーシュー。そしてクリームめんたいまぜそば大盛。オレにしては珍しいものを注文した。
美味かったが、やはり汁物の方に馴染みがあり、若干の物足りなさを感じる。だからといって「まぜそば」に罪があるわけじゃない。
国道や通りに沿って飲食店が連なる街。なかなかの明かりを放っていた。
同じく国道沿いにスナックが密集する一画がある。独特で妖艶な明かり。あの色に引かれたことはないが、伝統的な色と言える。



他に客はいないのか、昨夜も今朝も大浴場を独り占め。よくあたたまった。
6:25 古川(ふるかわ)駅(東北・北海道新幹線/陸羽東線 宮城県)
新幹線高架橋が地平線のように見えた街、古川。その先の空に茜の帯が広がっていた。

高架橋は街のどこからでも見える。まるで中世の城郭都市のようで、印象的な風景と言える。
道が濡れている。夜半にひと雨降ったようだ。冷気はさほどでもなく、手をズボンにしまわずに済んでいる。


1984年1月に全日本プロレスはテレビ中継スタッフを連れてこの街で興行を打ち、初めて古川という街の名を知った。

メインイベントはジャンボ鶴田×「怪童」テリー・ゴディ。マイケル・ヘイズとの「ザ・ファビュラス・フリーバーズ」としての初来日シリーズで、「東洋の神秘」ザ・グレート・カブキ、「アカプルコの青い翼」リスマルクなどが華を添えた。
鳴子温泉行の追憶列車がやってくる。
6:51 岩出山(いわでやま)駅(陸羽東線 宮城県)にて




7:38 有備館(ゆうびかん)駅(陸羽東線 宮城県)
6:51岩出山駅着。小京都を謳う雅な町に降りた。


古川に降ったのは雨だったが、ここでは雪で、鉄路は詩情を放つ。
かつての駅舎は鉄道記念館となり、内川に沿った「学問の道」には石畳が敷かれ、うっすらと雪を乗せている。




岩出山城址でもある城山公園が見下ろす町。

中腹にはSLが置かれ、伊達政宗は仙台に移るまでの12年間をここで過ごし、関ヶ原当時もここにいたことになる。当時の彼は「大崎少将」を名乗った。

豊臣秀吉の奥州仕置きの際に葛西大崎一揆が起こり、実は背後で手を回したのが政宗本人だったが、大崎氏滅亡後に米沢より移された。
一揆鎮圧にあたっては重臣も亡くし、証拠隠滅のためもあり苛烈な処置をとった伊達政宗。山上に立つ彼の立像が朝日を浴びて白く輝く様はまるでキリスト像のようで、衣服は宣教師を連想させた。

支倉常長を欧州に遣わした伊達者。彼の逸話は多いが、豊臣秀吉の怒りに触れ、上洛要請に応えて磔柱を押し立てて大坂に上がった話は痛快であり、母の義姫からの愛を受けられず、家督をめぐる争いの種を絶つために実弟の小次郎を殺害する話は悲痛だ。
そうした何事をも終えて覇者の貫禄を備えた頃を立像は表現していた。立派な姿だった。
麓に降りて駅への道。酒蔵の板塀の連なりの先に雅やかな庭園が見える。


有備館は江戸時代の藩校のはしりとも言える存在で、伊達家三代目の藩主による創設というから歴史は古い。その背後には城山公園。

上り列車がやってきて、学生たちが集まってきた。駅の待合室は暖かくしてあり、鉄道がある朝の風景に郷愁を覚える。そこで酒を飲んでいる。

駅は道を挟んで旧有備館正門の目前にあり、多目的な広場を持ち、伊達政宗像をはじめ電飾が施されている。




間もなく迎えるクリスマスをここで過ごすことになるのなら、それは重厚かつ味わい深いものになるだろう。
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