「鉄旅日記」2018年如月 最終日(直江津-六日町-大前-東京)その3-金島、中之条、川原湯温泉、大前、羽根尾、高崎問屋町(吾妻線) 【冬の町を見たくて、週末パスを買いました。】
鉄旅日記2018年2月11日・・・金島駅、中之条駅、川原湯温泉駅、大前駅、羽根尾駅、高崎問屋町駅(吾妻線)
15:43 金島(かなしま)駅(吾妻線 群馬県)
渋川を過ぎて吾妻線に入り、最初の駅で列車行き違い3分の停車。

山々に分け入るように列車は進んでいく。
海音寺潮五郎さんが「執念谷」と小説で表現した痩せ地を往く。
厳寒の風景はここにはなく、豊かな日差しの下で春が来たかと思わせる。
16:15 中之条(なかのじょう)駅(吾妻線 群馬県)
吾妻線の下りでは中之条で待つことになる。
列車2本の行き違いで17分の停車。
前回は時間をつぶすのに苦心してホームの待ち合い室に居座った。


改札横の待合室では、日差しに向かって待ち人が一列に並ぶ。
売店は閉鎖し、ビールでも売っていないかと町に出れば、食堂や酒場は散見されるが酒屋、コンビニの類いは見当たらない。
「あぁそうだったな」と駅に戻る。
「真田街道」と大書された幟が風にはためいている。
穏やかな日曜日の夕暮れ。
じきにオレが帰る場所には誰もいなくなる。
その想像がとても悲しい気持ちにさせる。
16:44 川原湯温泉(かわらゆおんせん)駅(吾妻線 群馬県)
岩島駅を出てしばらくすると長いトンネルに入る。
線路がつけ変わった地点が分かったよ。
かつて2度旧線を上下したことがある。
トンネルの先に生まれ変わった駅がある。
高層駅だ。
行き違い3分の停車という短い時を危ぶみはしたが、迷わず階段を駆け上がる。

八ッ場ダムはまだ建設中で、水は入っていない。
駅を出るとまた長いトンネル。
次は長野原草津口。
到着すると、口々に「寒い寒い」と大勢降りていく。
廃線となった鉄橋が赤錆びていた。
17:22 大前(おおまえ)駅(吾妻線 群馬県)
オレともうひとりの乗客だけを乗せて終点大前へ。
しばらく身を隠せそうな谷間の村だ。


踏切脇にあった食堂は壊されていた。
こんなところに団地があったのか。
この谷の先は上田に通じているのだろう。
関ヶ原合戦まで、沼田からこの峡谷を挟んで信州上田までを真田家が領した。
高台に「大前食堂」の看板を見つけて県道へと石段を上がる。
結構こたえた。



車通りはそれなりに多く、右に行けば嬬恋村役場。
駅の方に目をやると、嬬恋川を挟んで列車が止まる様がほのぼのとして見えた。


何もないことは知っていたけど、そこにいられる喜びがあることを分かっていなかった。
雪の残る終着駅。
もう先へは線路は延ばせそうになかったよ。

17:43 羽根尾(はねお)駅(吾妻線 群馬県)
大前からの帰り道。
列車行き違いで4分の停車。

ここの住人、羽根尾輝幸が海音寺潮五郎さんが描いた小説「執念谷の物語」の主人公。
同属の真田昌幸によって滅ぼされるが、敵の重囲の中で己の最後を華々しくと馬上舞い、腹を切った。
通りへ出てコンビニでも探そうかと思ったけど時間がない。
羽根尾を出ると外はにわかに夕闇に包まれた。
19:23 高崎問屋町(たかさきとんやまち)駅(上越線/両毛線/吾妻線 群馬県)
芸術劇場のような高架駅。
両出口ともだだっ広いロータリーになっていて、それを囲む商店やコンビニの類いはない。

何をすることもなくグリーン券を購入して上野行に乗る。
高崎で5分の停車。
ウイスキーハイボールを買いに走る。
あとは赤羽までくつろぎの時。
雪国への2月の旅が終わる。
春から生活が大きく変わる。
来年の今頃はどこにいる。
関連記事
-
-
「鉄旅日記」2021年夏 初日(東京-上田)その4 ‐長野、御代田、小諸、上田(信越本線/しなの鉄道) 【4度目の緊急事態宣言前。飯山線に乗りたくて旅を思い立ちました。湯檜曽駅で夏の第一声を聞き、信越路を歩いた記録でございます。】
鉄旅日記2021年7月10日・・・長野駅、御代田駅、小諸駅、上田駅(信越本線/しなの鉄道)
-
-
「鉄旅日記」2017年夏 最終日(十三-東京)その1-十三、大阪梅田、大阪、東淀川、茨木、島本、桜井の繹跡、桂川、京都(阪急電鉄宝塚本線/東海道本線) 【私鉄王国で過ごす夏】
鉄旅日記2017年8月14日・・・十三駅、大阪梅田駅、大阪駅、東淀川駅、茨木駅、島本駅、桂川駅、京都
-
-
「鉄旅日記」2011年夏【みちのくひとり旅】4日目(鹿角花輪-花巻)-鹿角花輪、荒屋新町、盛岡、北上、和賀仙人、横手、大曲、角館、田沢湖、雫石、小岩井、花巻空港、新花巻、花巻(花輪線/東北本線/北上線/田沢湖線/釜石線)
鉄旅日記2011年8月16日・・・鹿角花輪駅、荒屋新町駅、盛岡駅、北上駅、和賀仙人駅、横手駅、大曲駅
-
-
「鉄旅日記」2020年睦月 初日(東京-湯沢)その3‐小牛田、一ノ関、北上、柳原、江釣子(東北本線/北上線) 【秋田内陸縦貫鉄道に乗りにいきました。五能線の名所も歩いた旅初めでございます。】
鉄旅日記2020年1月11日・・・小牛田駅、一ノ関駅、北上駅、柳原駅、江釣子駅(東北本線/北上線)
-
-
「鉄旅日記」2022年弥生vol.2 初日(東京-焼津)その1 ‐金町、東京、三島(常磐線/東海道本線) 【念願の大井川鐡道に乗る旅。帰りは身延線経由、武蔵野線全駅下車達成でございます。】
鉄旅日記2022年3月19日・・・金町駅/東京駅/三島駅(常磐線/東海道本線) 2022・3
-
-
「鉄旅日記」2003年冬 初日(宇部-博多)その2-博多の夜 【ご縁と別れがあり、34歳の誕生日を北九州で迎えた日の記憶でございます。】
鉄旅日記2003年2月15日 2003・2・15 サンシティ博多フレックス21 507号 とうとう
-
-
「車旅日記」2003年晩秋 2日目(南紀白浜-伊勢志摩)走行距離421㎞ -白良浜、白浜駅、見老津駅、潮岬、紀伊大島樫野灯台、湯川駅、瀞峡街道・熊野川、十津川、熊野きのくに、紀伊長島駅、伊勢志摩 【紀伊半島に焦がれる日々。南海道を往くのは2度目でございます。】
車旅日記2003年11月23日・・・白良浜、白浜駅、見老津駅、潮岬、紀伊大島樫野灯台、湯川駅、瀞峡街
-
-
「鉄旅日記」2020年睦月 最終日(鷹ノ巣-東京)その2‐角館、大曲、峰吉川、新庄(田沢湖線/奥羽本線) 【秋田内陸縦貫鉄道に乗りにいきました。五能線の名所も歩いた旅初めでございます。】
鉄旅日記2023年1月13日・・・角館駅、大曲駅、峰吉川駅、新庄駅(田沢湖線/奥羽本線) 10:0
-
-
「鉄旅日記」2019年長月 最終日(宮古-東京)その3‐白石、郡山、黒磯、宇都宮(東北本線) 【三陸鉄道、八戸線に乗りにいきました。区界、吉里吉里など、駅旅の者として見過ごせない駅にも寄りましてございます。】
鉄旅日記2019年9月23日・・・白石駅、郡山駅、黒磯駅、宇都宮駅(東北本線) 15:49 白石(
-
-
「車旅日記」1998年夏 4日目(遠野-釜石-気仙沼-鳴子温泉)-遠野徳田屋旅館、遠野駅、釜石駅、釜石大観音、道の駅高田松原、気仙沼港、南気仙沼駅、小梨駅、一ノ関駅、鳴子サンハイツ 【20代最後の旅でございます。青森港から北海道上陸を目指して北へ向かったのでございますが・・・。】
車旅日記1998年8月15日 1998・8・15 8:00 遠野 徳田屋旅館 4日目。 宿で知り合
