*

「鉄旅日記」2018年如月 最終日(直江津-六日町-大前-東京)その2-八色、浦佐、五日町、水上、後閑、上牧、八木原(上越線) 【冬の町を見たくて、週末パスを買いました。】

公開日: : 最終更新日:2025/05/13 旅話, 旅話 2018年

鉄旅日記2018年2月11日・・・八色駅、浦佐駅、五日町駅、水上駅、後閑駅、上牧駅、八木原駅(上越線)

9:47 八色(やいろ)駅(上越線 新潟県)にて

10:33 浦佐(うらさ)駅(上越新幹線/上越線 新潟県)
八色駅で降りて、ひと駅の徒歩行。
歩道まできちんと除雪をしてくれている行政に敬意を。

雪国での仕事を都会では正確に想像することはできない。
敬意を。

雪壁の中を歩くのは心が弾んだ。
右手を伸ばして雪をつかみ、放り投げ、蹴りあげる。
なんて楽しいのだろう。

雪国じゃ時に大人も子どもに戻れる。

魚沼川は清く、「まっしろだ」とつぶやき、小田和正さんの楽曲を一小節口ずさむ。

新幹線駅は遠くから分かる。

浦佐駅は近く感じた。

木のテーブルセットに腰かけてビールと唐揚げ棒。
寒くはないんだ。

旅のない人生をもはや想像できない。

11:02 五日町(いつかまち)駅(上越線 新潟県)
清楚な菓子屋があった。
時代がかったご同業の印刷屋は歴史的社屋を朽ちるに任せて撤退していた。

商店街を一周。
雪国の「暮らしの道」に美を感じてスマホを向ける。

大きな工場を背にした堅固な造りの広い待ち合いで、買い置きのビールを飲んでいる。

寒くはないんだ。
本当だよ。

次の水上行が空いているなら、またワンカップ大関を開けるさ。
混んでいたとしても湯沢までだろう。

悲しみ。
憤り。
仕事はさっぱりで、負の感情のみが48年目の人生最後の時を埋めている。

思えばこうなるのは必然だった。
これからは、本当にオレが望む人生を歩もうと思う。

心配だけどきっと大丈夫さ。
遠くから見守る。

13:03 水上(みなかみ)駅(上越線 群馬県)
水上は風の通り道。
外が吹雪いた一瞬に土産物屋のおかみさんが笑う。

水上で真田幸村もないだろうが、六連銭の家紋が入ったおもちゃの木刀を買う。

オレの場合は自分で買ったよ。
修学旅行で行った日光で。
そのうちどっかにいっちゃったけど。

国境の積雪は驚嘆に価する。
清水トンネルを潜った先の関東にも同じ雪景色が広がっていた。

空は晴れたが、国境の山から雪が下りてくる。
土産物屋で思わず振り向かされた突風が時折吹く。

水上駅もまた塗り変わっていた。
以前の記憶は10年前のもの。
10年を短くも感じ、また長くも感じる。

長かったよ。
そうじゃなきゃ泣けてくる。

次の10年はおそらく人生で一番濃い時代になるだろう。

そうじゃなきゃ、やっぱり泣けるよ。

13:54 後閑(ごかん)駅(上越線 群馬県)
水上までは戦国末期に真田家が治めた沼田領だったのか。

「真田の里」を謳う後閑。
でも武田信玄が率いた甲州武田軍団の上州先方衆に、後閑氏の名があることを主張したい。

降りる場所として選んだ理由はいくつかあるが、ひとつにはその歴史的事実を知っていたからだ。
だから「後閑」という名はオレには懐かしい。

まるで春一番のような空っ風が休みなく吹く後閑の午後。
水上の積雪はここにはなく、幟がはためく様と空は春そのものだ。

だけど寒い。
利根川へと下る坂道を途中で諦め、駅へ戻る。

そして次の水上行で、ひと駅戻っている。

14:18 上牧(かみもく)駅(上越線 群馬県)
上州の風は強く、止まない。

川辺では落ち着いていられた。
利根川を写す。
これがしたくてこうしている。

紛れもない。
雑念もない。
逃げた結果でもない。

日本海では見られなかった日差しがあたたかさを運びはするが、風の音の凄まじさに驚き、これはまさに風の音だと心打たれている。

雪をまぶした上牧の町を高台から見下ろす。

駅がそこにある。
美しかった。

やってきた上り列車に乗り込む。
窓から差し込む日があたたかい。

15:23 八木原(やぎはら)駅(上越線/吾妻線 群馬県)
眠ってしまった。
起きたら渋川。

赤城山が裾からくっきりと見える。
空っ風は変わらず強く、ここではもはや雪は見られない。

角のパン屋を起点に豆腐屋、小学校と坂道を登り、駅から見えた尖った山を目指す。
あれは妙義山なのか?

撮影ポイントは見つからず、上がってきた道を振り返る。
赤城山の彫刻美を思わす姿に見惚れる。
活火山らしい顔をしている。

遠くには雪をかぶった谷川岳が幻のように浮かんでいる。

風の向きが変われば、あれはきっと見えなくなる。

関連記事

「車旅日記」2006年皐月 3日目(仙台-大曲)その1-ホテルイーストワン仙台、陸前落合駅、愛子駅、作並駅、山寺駅、高瀬駅、蔵王駅、北大石田駅、舟形駅 【東京から出かける最後の車旅。関東、東北を2,265㎞走った記録でございます。】

車旅日記2006年5月4日・・・ホテルイーストワン仙台、陸前落合駅、愛子駅、作並駅、山寺駅、高瀬駅、

記事を読む

「鉄旅日記」2013年如月【休日おでかけパスで、上総下総途中下車旅&習志野シンフォニックブラス(NSB)演奏会】その1-我孫子、東我孫子、新木、湖北、布佐、小林、木下、安食、下総松崎、成田空港、酒々井、物井、東千葉、本千葉、西千葉、新検見川、幕張、東船橋、津田沼(成田線、総武本線)

鉄旅日記2013年2月17日その1・・・我孫子駅、東我孫子駅、新木駅、湖北駅、布佐駅、小林駅、木下駅

記事を読む

「鉄旅日記」2007年如月 最終日(奈良-東京)-奈良、亀山、桑名、弥冨、富士、沼津(関西本線/東海道本線) 【初日天王寺、2日目奈良。宿泊地だけを決めて、心のままに移動した記録でございます。】

鉄旅日記2007年2月12日・・・奈良駅、亀山駅、桑名駅、弥冨駅、富士駅、沼津駅(関西本線/東海道本

記事を読む

「鉄旅日記」2019年長月 最終日(宮古-東京)その2‐陸前赤崎、大船渡、気仙沼、一ノ関(三陸鉄道リアス線/大船渡線) 【三陸鉄道、八戸線に乗りにいきました。区界、吉里吉里など、駅旅の者として見過ごせない駅にも寄りましてございます。】

鉄旅日記2019年9月23日・・・陸前赤崎駅、大船渡駅、気仙沼駅、一ノ関駅(三陸鉄道リアス線/大船渡

記事を読む

「鉄旅日記」2016年夏 3日目(小樽-富良野)その2-深川、増毛、留萌、北一已、深川、旭川、美瑛、千代ヶ丘、富良野(留萌本線/函館本線/富良野線) 【じきに廃線を迎える留萌~増毛に用がありました】

鉄旅日記2016年8月12日・・・深川駅、増毛駅、留萌駅、北一已駅、深川駅、旭川駅、美瑛駅、千代ヶ丘

記事を読む

「鉄旅日記」2017年春【近鉄に乗る日々】2日目(新大宮-大阪難波)その4-柏原、道明寺、河内長野、古市、畝傍御陵前、田原本、西田原本、新王寺、近鉄王寺(道明寺線/長野線/南大阪線/橿原線/田原本線/生駒線)

鉄旅日記2017年3月18日・・・柏原駅、道明寺駅、河内長野駅、古市駅、畝傍御陵前駅、田原本駅、西田

記事を読む

「鉄旅日記」2012年夏【青春18きっぷで、富山・岐阜途中下車旅】最終日(富山-東京)その2-美濃太田、可児、姫、下切、南木曽、田立、勝沼ぶどう郷(太多線、中央本線)

鉄旅日記2012年8月26日その2・・・美濃太田駅、可児駅、姫駅、下切駅、南木曽駅、田立駅、勝沼ぶど

記事を読む

「鉄旅日記」2019年年始 最終日(一ノ関-東京)その2-本吉、柳津、前谷地、石巻、宮城野原、仙台空港(気仙沼線/石巻線/仙石線/仙台空港鉄道仙台空港線) 【雪が見たくて北へ向かいました。そして初めて仙台空港線に乗ったのでございます。】

鉄旅日記2019年1月6日・・・本吉駅、柳津駅、前谷地駅、石巻駅、宮城野原駅、仙台空港駅(気仙沼線/

記事を読む

「鉄旅日記」2022年新春 2日目(湯瀬温泉-三沢)その1 ‐湯瀬温泉、鹿角花輪、十和田南(花輪線)/和心の宿姫の湯 【巨大な土偶が貼りつく木造駅を見たくて冬の東北を旅しました。】

鉄旅日記2022年1月9日・・・湯瀬温泉駅、鹿角花輪駅、十和田南駅(花輪線)/和心の宿姫の湯

記事を読む

「鉄旅日記」2019年弥生Part.1 初日(東京-紀伊田辺)その1-金町、名古屋、多気、川添、三瀬谷(常磐線/東海道本線/関西本線/伊勢鉄道/紀勢本線) 【和歌山電鐵に乗るために、青春18きっぷで紀伊半島一周を思い立ったのでございます。】

鉄旅日記2019年3月2日・・・金町駅、名古屋駅、多気駅、川添駅、三瀬谷駅(常磐線/東海道本線/関西

記事を読む

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

「鉄旅日記」2022年弥生vol.2 初日(東京-焼津)その3 ‐新金谷、千頭、アプトいちしろ、長島ダム(大井川鐡道本線/大井川鐡道井川線) 【念願の大井川鐡道に乗る旅。帰りは身延線経由、武蔵野線全駅下車達成でございます。】

鉄旅日記2022年3月19日・・・新金谷駅、千頭駅、アプトいちしろ駅

「鉄旅日記」2022年弥生vol.2 初日(東京-焼津)その2 ‐静岡、金谷、新金谷、代官町、日切、合格、門出(東海道本線/大井川鐡道本線) 【念願の大井川鐡道に乗る旅。帰りは身延線経由、武蔵野線全駅下車達成でございます。】

鉄旅日記2022年3月19日・・・静岡駅、金谷駅、新金谷駅、代官町駅

「鉄旅日記」2022年弥生vol.2 初日(東京-焼津)その1 ‐金町、東京、三島(常磐線/東海道本線) 【念願の大井川鐡道に乗る旅。帰りは身延線経由、武蔵野線全駅下車達成でございます。】

鉄旅日記2022年3月19日・・・金町駅/東京駅/三島駅(常磐線/東

「鉄旅日記」2022年弥生vol.1 最終日(熱海-東京)その6 ‐向河原、津田山、久地、宿河原、中野島、稲城長沼、府中本町(南武線) 【金沢シーサイドライン、根岸線、湘南モノレール、横須賀線、大雄山線、相模線、鶴見線etc.駅旅人本領発揮の旅でございます。】

鉄旅日記2022年3月6日・・・向河原駅、津田山駅、久地駅、宿河原駅

「鉄旅日記」2022年弥生vol.1 最終日(熱海-東京)その5 ‐川崎新町、八丁畷、矢向、平間(浜川崎支線/南武線)/ガス橋 【金沢シーサイドライン、根岸線、湘南モノレール、横須賀線、大雄山線、相模線、鶴見線etc.駅旅人本領発揮の旅でございます。】

鉄旅日記2022年3月6日・・・川崎新町駅、八丁畷駅、矢向駅、平間駅

→もっと見る

    PAGE TOP ↑