「鉄旅日記」2018年如月【冬の町を見たくて、週末パスを買いました。】最終日(直江津-六日町-大前-東京)その2-八色、浦佐、五日町、水上、後閑、上牧、八木原(上越線)
鉄旅日記2018年2月11日・・・八色駅、浦佐駅、五日町駅、水上駅、後閑駅、上牧駅、八木原駅(上越線)
9:47 八色(やいろ)駅(上越線 新潟県)にて
10:33 浦佐(うらさ)駅(上越新幹線/上越線 新潟県)
八色駅で降りて、ひと駅の徒歩行。
歩道まできちんと除雪をしてくれている行政に敬意を。
雪国での仕事を都会では正確に想像することはできない。
敬意を。
雪壁の中を歩くのは心が弾んだ。
右手を伸ばして雪をつかみ、放り投げ、蹴りあげる。
なんて楽しいのだろう。
雪国じゃ時に大人も子どもに戻れる。
魚沼川は清く、「まっしろだ」とつぶやき、小田和正さんの楽曲を一小節口ずさむ。
新幹線駅は遠くから分かる。
浦佐駅は近く感じた。
木のテーブルセットに腰かけてビールと唐揚げ棒。
寒くはないんだ。
旅のない人生をもはや想像できない。
11:02 五日町(いつかまち)駅(上越線 新潟県)
清楚な菓子屋があった。
時代がかったご同業の印刷屋は歴史的社屋を朽ちるに任せて撤退していた。
商店街を一周。
雪国の「暮らしの道」に美を感じてスマホを向ける。
大きな工場を背にした堅固な造りの広い待ち合いで、買い置きのビールを飲んでいる。
寒くはないんだ。
本当だよ。
次の水上行が空いているなら、またワンカップ大関を開けるさ。
混んでいたとしても湯沢までだろう。
悲しみ。
憤り。
仕事はさっぱりで、負の感情のみが48年目の人生最後の時を埋めている。
思えばこうなるのは必然だった。
これからは、本当にオレが望む人生を歩もうと思う。
心配だけどきっと大丈夫さ。
遠くから見守る。
13:03 水上(みなかみ)駅(上越線 群馬県)
水上は風の通り道。
外が吹雪いた一瞬に土産物屋のおかみさんが笑う。
水上で真田幸村もないだろうが、六連銭の家紋が入ったおもちゃの木刀を買う。
オレの場合は自分で買ったよ。
修学旅行で行った日光で。
そのうちどっかにいっちゃったけど。
国境の積雪は驚嘆に価する。
清水トンネルを潜った先の関東にも同じ雪景色が広がっていた。
空は晴れたが、国境の山から雪が下りてくる。
土産物屋で思わず振り向かされた突風が時折吹く。
水上駅もまた塗り変わっていた。
以前の記憶は10年前のもの。
10年を短くも感じ、また長くも感じる。
長かったよ。
そうじゃなきゃ泣けてくる。
次の10年はおそらく人生で一番濃い時代になるだろう。
そうじゃなきゃ、やっぱり泣けるよ。
13:54 後閑(ごかん)駅(上越線 群馬県)
水上までは戦国末期に真田家が治めた沼田領だったのか。
「真田の里」を謳う後閑。
でも武田信玄が率いた甲州武田軍団の上州先方衆に、後閑氏の名があることを主張したい。
降りる場所として選んだ理由はいくつかあるが、ひとつにはその歴史的事実を知っていたからだ。
だから「後閑」という名はオレには懐かしい。
まるで春一番のような空っ風が休みなく吹く後閑の午後。
水上の積雪はここにはなく、幟がはためく様と空は春そのものだ。
だけど寒い。
利根川へと下る坂道を途中で諦め、駅へ戻る。
そして次の水上行で、ひと駅戻っている。
14:18 上牧(かみもく)駅(上越線 群馬県)
上州の風は強く、止まない。
川辺では落ち着いていられた。
利根川を写す。
これがしたくてこうしている。
紛れもない。
雑念もない。
逃げた結果でもない。
日本海では見られなかった日差しがあたたかさを運びはするが、風の音の凄まじさに驚き、これはまさに風の音だと心打たれている。
雪をまぶした上牧の町を高台から見下ろす。
駅がそこにある。
美しかった。
やってきた上り列車に乗り込む。
窓から差し込む日があたたかい。
15:23 八木原(やぎはら)駅(上越線/吾妻線 群馬県)
眠ってしまった。
起きたら渋川。
赤城山が裾からくっきりと見える。
空っ風は変わらず強く、ここではもはや雪は見られない。
角のパン屋を起点に豆腐屋、小学校と坂道を登り、駅から見えた尖った山を目指す。
あれは妙義山なのか?
撮影ポイントは見つからず、上がってきた道を振り返る。
赤城山の彫刻美を思わす姿に見惚れる。
活火山らしい顔をしている。
遠くには雪をかぶった谷川岳が幻のように浮かんでいる。
風の向きが変われば、あれはきっと見えなくなる。
関連記事
-
「鉄旅日記」2015年春【ひらパーGo!Go!チケットで行く、京阪旅】初日その1(東京-宇治)-東福寺、祇園四条、伏見稲荷、稲荷、男山山上、八幡市、枚方市、私市、河内森、河内磐船、交野市(京阪本線/男山ケーブル/京阪交野線)
鉄旅日記2015年3月21日その1・・・東福寺駅、祇園四条駅、伏見稲荷駅、稲荷駅、男山山上駅、八幡市
-
「鉄旅日記」2019年如月【週末パスで東京から伊豆。そして上州、信州へ。友人は言ったものでございます。何気に大層な移動距離だと。】最終日(安中-東京)その3-海尻城址、海尻、八千穂、信濃川上、佐久海ノ口、甲斐小泉、小淵沢(小海線)
鉄旅日記2019年2月10日・・・海尻駅、八千穂駅、信濃川上駅、佐久海ノ口駅、甲斐小泉駅、小淵沢駅(
-
「鉄旅日記」2011年夏【みちのくひとり旅】3日目(函館-鹿角花輪)-函館、木古内、湯ノ岱、江差、津軽新城、川部、深浦、能代、東能代、十和田南(江差線/津軽海峡線/奥羽本線/五能線/花輪線)
鉄旅日記2011年8月15日・・・函館駅、木古内駅、湯ノ岱駅、江差駅、津軽新城駅、川部駅、深浦駅、能
-
「鉄旅日記」2020年初秋【時空の友を訪ねて讃州高松へ。金比羅さん、瀬戸大橋、大歩危、小歩危などを友とめぐり、義仲寺に寄り、直島に渡り、水島臨海鉄道にも乗った4日間の記録でございます。】初日(東京-高松)その4 ‐姫路、相生、有年、三石(山陽本線)
鉄旅日記2020年9月19日・・・姫路駅、相生駅、有年駅、三石駅(山陽本線) 14:31&n
-
「鉄旅日記」2015年春【名鉄電車2DAYフリーきっぷで行く、中京旅】初日その3(東京-岩倉)-太田川、常滑、中部国際空港、上小田井、西春、岩倉(名鉄常滑線/名鉄空港線/名鉄犬山線)
鉄旅日記2015年3月7日その3・・・太田川駅、常滑駅、中部国際空港駅、上小田井駅、西春駅、岩倉駅(
-
「鉄旅日記」2018年如月【冬の町を見たくて、週末パスを買いました。】最終日(直江津-六日町-大前-東京)その1-直江津、土底浜、犀潟、虫川大杉、六日町、塩沢(信越本線/北越急行ほくほく線/上越線)
鉄旅日記2018年2月11日・・・直江津駅、土底浜駅、犀潟駅、虫川大杉駅、六日町駅、塩沢駅(信越本線
-
「車旅日記」2005年冬【どこへ行こうか。まっさきに浮かんだのが、昨夏に旅した南九州でございました。】初日(熊本空港-高森-湯前-都城)走行距離270㎞-羽田空港、熊本空港、立野駅、高森駅、湯前駅、小林駅、都城グリーンホテル
車旅日記2005年2月11日・・・羽田空港、熊本空港、立野駅、高森駅、湯前駅、小林駅、都城グリーンホ
-
「車旅日記」1996年黄金週間【友を訪ねて大阪へ。そして約束の地、金沢へ。夢を見ながら国道を走った日々でございます。】初日(東京-大阪茨木 R246→R1→名神高速)その3-関駅、その後
車旅日記1996年5月3日 16:36 関駅 あれから2時間経ってようやくここに戻ってき
-
「鉄旅日記」2016年春【下北半島から東日本大震災被災地へ】2日目(下北-石巻)その2-金田一温泉、斗米、二戸、好摩、いわて沼宮内、厨川、矢幅、日詰、小牛田、涌谷、石巻(IGRいわて銀河鉄道、東北本線、石巻線)
鉄旅日記2016年3月20日その2・・・金田一温泉駅、斗米駅、二戸駅、好摩駅、いわて沼宮内駅、厨川駅
-
「鉄旅日記」2011夏【みちのくひとり旅】2日目(秋田-函館)-秋田、男鹿、追分、八郎潟、北金岡、大館、浪岡、新青森、青森、中沢、郷沢、蟹田、三厩、五稜郭、函館(男鹿線/奥羽本線/津軽線/津軽海峡線/江差線)
鉄旅日記2011年8月14日・・・秋田駅、男鹿駅、追分駅、八郎潟駅、北金岡駅、大館駅、浪岡駅、新青森