「鉄旅日記」2015年夏 4日目(西鉄柳川-広島)その1-西鉄柳川、西鉄久留米、西鉄甘木、甘木、基山、けやき台、原田、桂川(西鉄本線、西鉄甘木線、甘木鉄道、鹿児島本線、筑豊本線) 【日本最南端の終着駅、枕崎までの往復旅】
鉄旅日記2015年8月15日その1・・・西鉄柳川駅、西鉄久留米駅、西鉄甘木駅、甘木駅、基山駅、けやき台駅、原田駅、桂川駅(西鉄本線、西鉄甘木線、甘木鉄道、鹿児島本線、筑豊本線)
2015・8・15 6:15 西鉄柳川(にしてつやながわ)駅(西鉄本線 福岡県)
言ってみれば街全体が城跡だ。
地図を見てそう思った。
そこかしこにミミズのように水路がうねっている。
昨夜巡った堀端を通って駅へと向かった。
駅前で小心そうな男に写真を撮らせてくれてせがまれ、断れずに彼のデジカメの前に立った。
気になるけど、もう気にしない。
オレは柳川の人間じゃないから正体は掴めないだろうし、街の情報誌か何かに載せるのだろう。
駅に断りを入れたという彼の言を信じてみたい。
西鉄に乗り込んで、筑後平野に日が昇り、聞き馴染みのない駅にひとつひとつ止まっていく。
今日は終戦の日にあたる。

柳川散歩






6:59 西鉄久留米(にしてつくるめ)駅(西鉄本線 福岡県)
眠ったりしながらふと目を上げると穀倉地帯を走っている。
思えば、柳川からずっと変わり映えのしない風景が続いていた。
鹿児島本線を下に見て久留米に入る。
ひとつ手前に花畑という街中とは思えない駅名を持つ特急停車駅がある。
JR駅とは距離を置いたここが久留米の中心街になる。
街に出て、一番街では人っ子ひとり見かけなかった。
それでも大きな街だ。
銀行や役場の待合所を思わせるバスの待合所の脇に0番街と記された箱型の仮設店舗がある。
独特だ。
筑後川を越えると宮の陣に着く。
ここで本線から甘木線へ分岐する。

西鉄甘木(にしてつあまぎ)駅(西鉄甘木線 福岡県)にて

8:03 甘木(あまぎ)駅(甘木鉄道 福岡県)
終点甘木まで西鉄線に乗っていたのはオレを含めて3名だけだった。
残りの2名は若いカップルで、朝の終着駅に気怠く散っていく。
この地には旧国鉄甘木線である甘木鉄道も終着駅を置いていて、今はその停車中の列車に乗り込んでいるわけだが、ここ甘木に2線が乗り入れている理由がよく分からない。
一切の情報を仕入れず、漠然と神話めいた町かと降り立ってみれば、風情あふれる秋月は遠く、甘木は宿場町とのことだが、駅前に特色を見つけることはできなかった。
「卑弥呼の里」「日本発祥の地」と刻まれた石碑が駅前に鎮座している。
この町の説によると邪馬台国はここ甘木で生まれ、後に大和へと移ったという。
黒岩重吾さんも邪馬台国九州説を唱えている。
論争は永遠に続いていくものと思われる。


8:50 基山(きやま)駅(鹿児島本線/甘木鉄道 佐賀県)
甘木鉄道の沿線風景は退屈ではあったが、悪くはなかった。
キリンビールをはじめいくつかの工場が進出していて、廃れ果てた印象を与えなかったことが殊の外よかった。
線路が高架になったと思ったら高速バスの発着所を伴った駅で、次は西鉄との乗換駅でもある小郡。
ここは西鉄の町で、降りてみたいと思うような彩りが車窓から見てとれた。
終点の基山に着く頃、車内にはゆるやかな音楽が流れてきて、とても爽やかな気持ちで駅に降りる。
基山駅前に語れるような色はなかった。

9:05 けやき台(けやきだい)駅(鹿児島本線 佐賀県)
脇をびゅんびゅん走っているのは3号国道。
11年前に羽田から佐賀に下りて、レンタカーで筑豊へと向かう際にここを通っている。
この風景はよく覚えていた。
海も山も川も目を引くものは一切なく、たんたんと鉄道と国道が通された一帯だ。
駅を出ればその名の通り台地上で、新興と思われる住宅街の入口になっていて、犬を連れて散歩する男性のみを見かけた。
退屈してしまい、すぐにホームへと階段を下りる。

9:18 原田(はるだ)駅(鹿児島本線/筑豊本線 福岡県)
筑豊本線の名称は消えた。
桂川までを原田線と称して0番線へと放逐されている。
終着駅の若松、洞海湾は遠くなった。
ともあれ草深い道を往くこの線に分け入るのを楽しみにしていた。
原田は長崎街道の宿場町で、昔も今も国境。
五郎山古墳が駅前通り正面に森を形成している。
なるほど九州は民話の地だ。
甘木での学説をより信じたくなる。

10:02 桂川(けいせん)駅(筑豊本線/篠栗線 福岡県)
装飾古墳とは聞き馴染みのない括りだが、その一端を占める王塚古墳が駅からたいして離れていない場所にある。
サンドイッチを買った売店には「いい人生」と「悪い人生」についての教訓めいた紙が貼られていて、ほんの少しだけ粛然とした気持ちになり、ラジオからは清宮選手で話題の早実の試合が流れている。
原田線は閑散地域で一日に9本のみ運行している。
ここ桂川は篠栗線によって博多に近く、住宅が広がる高架駅を想像していたけど、周囲は田園地帯で、田舎駅といっていい。

関連記事
-
-
「鉄旅日記」2014年春 初日(東京-紀伊勝浦)その2-山田上口、宮川、川添、伊勢柏崎、尾鷲、新鹿、熊野市、紀伊勝浦(参宮線、紀勢本線) 【青春18きっぷで、紀伊半島へ】
鉄旅日記2014年3月8日その2・・・山田上口駅、宮川駅、川添駅、伊勢柏崎駅、尾鷲駅、新鹿駅、熊野市
-
-
「鉄旅日記」2008年初夏 初日(東京-和歌山)その2-畝傍、高田、大和高田、近鉄郡山、郡山、王寺、五条、和歌山(桜井線/近鉄大阪線/近鉄橿原線/和歌山線) 【まほろばの路から紀州へ。紀伊半島で過ごした短い夏の記憶でございます。】
鉄旅日記2008年7月19日・・・畝傍駅、高田駅、大和高田駅、近鉄郡山駅、郡山駅、王寺駅、五条駅、和
-
-
「鉄旅日記」2019年師走 初日(東京-酒田)その4‐矢島、前郷、金浦、酒田(由利高原鉄道鳥海山ろく線/羽越本線) 【由利高原鉄道鳥海山ろく線に乗りにいきました。初冬の日本海は荒々しく、美しゅうございました。】
鉄旅日記2019年12月7日・・・矢島駅、前郷駅、金浦駅、酒田駅(由利高原鉄道鳥海山ろく線/羽越本線
-
-
「鉄旅日記」2019年長月 初日(東京-盛岡)その3-盛岡、上米内、区界(東北本線/山田線)/大正館 【三陸鉄道、八戸線に乗りにいきました。区界、吉里吉里など、駅旅の者として見過ごせない駅にも寄りましてございます。】
鉄旅日記2019年9月21日・・・盛岡駅、上米内駅、区界駅(東北本線/山田線)/大正館 17:39
-
-
「鉄旅日記」2016年春 2日目(下北-石巻)その1-大湊、野辺地、浅虫温泉、小湊、東青森、上北町、小川原湖、下田、八戸(大湊線、青い森鉄道) 【下北半島から東日本大震災被災地へ】2日目(下北-石巻)
鉄旅日記2016年3月20日その1・・・大湊駅、野辺地駅、浅虫温泉駅、小湊駅、東青森駅、上北町駅、小
-
-
「鉄旅日記」2021年皐月 初日-浜金谷駅、金谷港、勝浦駅(内房線/外房線)/遠見岬神社/旅館松の家 【ツレと房総に出かけました。宿泊地は勝浦でございます。房総横断鉄道に乗り、養老渓谷でも思い出深い時を過ごしたのでございます。】
鉄旅日記2021年5月22日・・・浜金谷駅、金谷港、勝浦駅(内房線/外房線)/遠見岬神社/旅館松の
-
-
「車旅日記」1996年黄金週間【友を訪ねて大阪へ。そして約束の地、金沢へ。夢を見ながら国道を走った日々でございます。】最終日 北陸より東京へ‐その1(北陸道→R8)有磯海SA、玉ノ木パーキング、親不知ピアパーク、能生
車旅日記1996年5月6日 3:40 北陸自動車道-有磯海SA 多少はスッキリしたんだ。 あれから
-
-
「鉄旅日記」2019年弥生Part.1 初日(東京-紀伊田辺)その3-周参見、椿、白浜、紀伊田辺(紀勢本線) 【和歌山電鐵に乗るために、青春18きっぷで紀伊半島一周を思い立ったのでございます。】
鉄旅日記2019年3月2日・・・周参見駅、椿駅、白浜駅、紀伊田辺駅(紀勢本線) 19:12 周参見
-
-
「鉄旅日記」2020年盛夏 初日(東京-防府)その5‐北河内、川西、西岩国、櫛ケ浜、防府(錦川鉄道/岩徳線/山陽本線)/錦帯橋 【コロナ禍の内緒旅VOl.2。宮島へ。錦帯橋へ。筑豊へ。島原へ。千綿駅へ。そして若松~戸畑の渡船。日本晴れの4日間の記録でございます。】
鉄旅日記2020年8月13日・・・北河内駅、川西駅、西岩国駅、櫛ケ浜駅、防府駅(錦川鉄道/岩徳線/
-
-
「鉄旅日記」2022年皐月 初日(東京-磐梯熱海)その1 ‐金町、上野、宇都宮(常磐線/東北本線) 【日光線全駅乗降を果たし、猪苗代湖畔に遊び、磐梯熱海の湯につかり、国定忠治を訪ねた旅でございます。】
鉄旅日記2022年5月7日・・・金町駅、上野駅、宇都宮駅(常磐線/東北本線) 2022・5・
