「鉄旅日記」2020年睦月【秋田内陸縦貫鉄道に乗りにいきました。五能線の名所も歩いた旅初めでございます。】初日(東京-湯沢)その4‐ゆだ錦秋湖、ほっとゆだ、横手、湯沢(北上線/奥羽本線)
鉄旅日記2020年1月11日・・・ゆだ錦秋湖駅、ほっとゆだ駅、横手駅、湯沢駅(北上線/奥羽本線)
17:49 ゆだ錦秋湖(ゆだきんしゅうこ)駅(北上線 岩手県)
17:17にこの駅に降りている。
雨は雪に変わっていた。
積もり始めたばかりで、駅前の酒屋も開いていた。
どんつきには銭湯がある。
なかなか粋な構えだった。
最初に湖と見たのは雪原で、錦秋湖は橋の上から眺めた。
湖というより橋からの眺めは川だ。
たまに通る車に注意しながら、ほんのわずかな時間を橋の上で過ごした。
風がなければ雪の降る中もさして寒くはない。
行きにオレが残した足跡を見ながら駅に戻る。
今じゃもう、行きのも帰りのもオレの足跡は消えているだろう。
定刻通り56分発の北上行がやってきた。
この村に降りる者はいない。
外に出たら雪は止んでいた。
雪が見たかったオレに、奇跡はあるのだと天が示してくれたのだと受けとる。
星象天神「どんどろ」は、人として生きた前世では社会に馴染めず、つまはじきのような扱いを受けながらも、村を襲った災害の際に村人を救い、落命したという。
そんな神やそんな人が、今もこのあたりにはいそうだ。
暖房などない待合室でひとり列車を待っている。
時折木から雪が落ちる音がする。
楽しみにしていたゆだ錦秋湖との出会いは満足のいくものじゃない。
ただ、ここにこうしているオレには満足している。
あと5分もすれば列車がくる。
19:16 ほっとゆだ駅(北上線 岩手県)
約20年振りの再訪。
あの時は車だった。
そして今夜は列車で。
これはこれで素晴らしい人生だ。
当時の湯に関する記憶はないし、記録に残しているか疑問だが、オレにとってちょうどいい熱さの湯で、心から温泉の素晴らしさを味わった。
先のゆだ錦秋湖駅周辺には民家が見られたが、ここには多くは見られない。
そんな場所にできた奇跡のような湯館。
その冗談みたいな駅名がオレには災いして記憶の上位には上がらないが、再訪してみてこの場所を維持している地域の思いや価値に気づいた。
番台の女性が元気なのもいい。
このオレが圧倒されたよ。
雪を見て、やはり良かったと思っている。
20:06 横手(よこて)駅(奥羽本線/北上線 秋田県)
横手に下るともはや雪はなかった。
街をくまなく歩いてお城にも上がったことがある。
翌年には泊まりもした。
そんな縁のある街、横手。
真冬の1月に「かまくら」で有名な街に雪がない。
雪がないんだ。
今から39年前のある一夜、この街はプロレスに沸いた。
リッキー・スティムボート×ジミー・スヌーカ、ジャイアント馬場×バグジー・マグロー、ジャンボ鶴田、天龍源一郎×ケビン&デビッドのエリック兄弟、大木金太郎×ザ・シーク。
テレビ中継もされている。
そんな日はもう戻らないのだろうか。
20:31 湯沢(ゆざわ)駅(奥羽本線 秋田県)にて
20:50 湯沢「慶」
湯沢の灯りはこんなものだったか。
駅に降りての第一印象はそうだった。
かつては横手を凌駕していた駅前。
でもきりたんぽ鍋をはじめ、美味しい料理を提供する店が、文字通り町角にあった。
そこで幸せに過ごしているよ。
湯沢駅はかつての姿じゃない。
横手でも感じたが、駅舎が変わることは街の印象すら変えてしまう。
湯沢に20年前からの後退を感じた。
でもまた町角の店の効用で思いを新たにする。
縦に長い秋田県を明日明後日と見に行く。
【Facebookへの投稿より】
「2020年旅初め」
この国の冬を感じたく、昨年暮れに続き東北を旅しております。
福島、仙台に雪はなく、北上では雨でございましたが、国境に近づくにつれて雪に変わり、峠の「ほっとゆだ駅」という冗談みたいな駅に降りて、併設された湯館であたたまったところでございます。
今夜はこのまま横手に出て、少し南に下った秋田の湯沢に投宿いたします。
関連記事
-
-
「鉄旅日記」2009年秋【関東ぶらぶら旅その2-武蔵から相模へ】-川口、浦和、深谷、倉賀野、寄居、東飯能、飯能、寒川、茅ヶ崎、辻堂、新橋(京浜東北線/高崎線/八高線/相模線/東海道本線)
鉄旅日記2009年10月27日・・・川口駅、浦和駅、深谷駅、倉賀野駅、寄居駅、東飯能駅、飯能駅、寒川
-
-
「鉄旅日記」2017年春【近鉄に乗る日々】最終日(JR難波-東京)その2-大曽根、勝川、春日井、中津川、上松、原野、広丘、みどり湖、相模湖、豊田(中央本線/篠ノ井線)
鉄旅日記2017年3月20日・・・大曽根駅、勝川駅、春日井駅、中津川駅、上松駅、原野駅、広丘駅、みど
-
-
「鉄旅日記」2020年卯月【緊急事態宣言発令直前のことでございます。常磐線全線運転再開を祝して人知れず旅に出たのでございます。】初日(東京-新津)その2‐水戸、いわき、原ノ町、鹿島(常磐線)
鉄旅日記2020年4月4日・・・水戸駅、いわき駅、原ノ町駅、鹿島駅(常磐線) 7:40 水戸(みと)
-
-
「鉄旅日記」2018年師走【伊勢のいくつもの終着駅に降りまして、神島で2018年最後の満月を眺めたのでございます。】2日目(津-松阪-伊勢奥津-鳥羽-神島)その1-津、阿漕、松阪、家城、伊勢奥津(紀勢本線/名松線)
鉄旅日記2018年12月23日・・・津駅、阿漕駅、松阪駅、家城駅、伊勢奥津駅(紀勢本線/名松線) 2
-
-
「鉄旅日記」2019年師走【由利高原鉄道鳥海山ろく線に乗りにいきました。初冬の日本海は荒々しく、美しゅうございました。】最終日(酒田-東京)その3‐押切、帯織、長岡(信越本線)
鉄旅日記2019年12月8日・・・押切駅、帯織駅、長岡駅(信越本線) 15:35 押切(おしきり)駅
-
-
2018年秋【サンキューちばフリーパスでめぐる上総下総安房旅】最終日(松戸-五井-大原-安房鴨川-松戸)その2-養老渓谷、上総中野、大多喜、国吉、大原(小湊鉄道/いすみ鉄道)
鉄旅日記2018年9月23日・・・養老渓谷駅、上総中野駅、大多喜駅、国吉駅、大原駅(小湊鉄道/いすみ
-
-
「鉄旅日記」2008年初夏【まほろばの路から紀州へ。紀伊半島で過ごした短い夏の記憶でございます。】最終日(松阪-東京)-松阪、鳥羽、伊勢市、宇治山田、亀山、名古屋、豊橋、浜松、熱海(近鉄山田線/参宮線/紀勢本線/関西本線/東海道本線)
鉄旅日記2008年7月21日・・・松阪駅、鳥羽駅、伊勢市駅、宇治山田駅、亀山駅、名古屋駅、豊橋駅、浜
-
-
「鉄旅日記」2020年弥生【富山地方鉄道に乗りにまいりました。太多線、高山本線に乗るのも楽しみにしていたのでございます。】2日目(高山-速星)その5‐府中鵜坂、西富山、速星(高山本線)
鉄旅日記2020年3月21日・・・府中鵜坂駅、西富山駅、速星駅(高山本線) 17:53 婦中鵜坂(
-
-
「鉄旅日記」2005年聖夜【廃線となった鹿島鉄道に乗った記録が残されておりました。】-鹿島神宮、新鉾田、鉾田、石岡(鹿島線/鹿島臨海鉄道/鹿島鉄道/常磐線)
鉄旅日記2005年12月24日・・・鹿島神宮駅、新鉾田駅、鉾田駅、石岡駅(鹿島線/鹿島臨海鉄道/鹿島
-
-
「鉄旅日記」2013年春【青春18きっぷで、房総途中下車旅】その2-上総興津、安房小湊、安房天津、安房鴨川、和田浦、九重、若井、竹岡、上総湊、佐貫町、青堀、稲毛海岸、新習志野(外房線、内房線、京葉線)
鉄旅日記2013年3月9日その2・・・上総興津駅、安房小湊駅、安房天津駅、安房鴨川駅、和田浦駅、九重