*

「鉄旅日記」2008年皐月 4日目(徳島-善通寺)その2-海部、桑野、阿南、穴吹、佃、琴平、善通寺(牟岐線/徳島本線/土讃本線) 【旅は京都から始まり、山陰から下関へ。そして四国へと渡ったのでございます。】

公開日: : 最終更新日:2025/05/19 旅話, 旅話 2008年

鉄旅日記2008年5月5日・・・海部駅、桑野駅、阿南駅、穴吹駅、佃駅、琴平駅、善通寺駅(牟岐線/徳島本線/土讃本線)

13:16 海部(かいふ)駅(牟岐線/安佐海岸鉄道 徳島県)にて

14:35 桑野(くわの)駅(牟岐線 徳島県)
甲浦で冷たいビールを飲み、彼女にささやかな土産を購入した。
邪魔にはならないものだ。
きっとそばに置いてくれるだろう。

あたりには銃声のようなものが定期的に聞こえていた。

海部、牟岐と、待ち時間なく乗り継いで、再びの阿南が近い。
若い女性ばかりの巡礼者たちが乗り込んできた以外に、車内に特筆すべき変化はない。

ここで行き違い待ち8分の停車。
雨は上がり、低い山並からは盛んに雲が湧きだしている。

15:11 阿南(あなん)駅(牟岐線 徳島県)
車両連結のために32分の停車。

ビールとハンバーガー2個。
ワルくない。
ほんのわずかでも街に金を落とせてよかった。

駅員さんに聞くと、今日は休みの店が多いとのこと。
つまり観光客相手の街じゃない。

そう言えば最近、新日本プロレスが阿南にやってきたことを思い出した。

徳島で時間があれば、うどんでも食おう。

空が明るくなってきた。

17:56 穴吹(あなぶき)駅(徳島本線 徳島県)
徳島で徳島本線に乗り換える。

清流のような少女が降りていった。
四国一の清流穴吹川、剣峡観光、うだつのついた家並、そして吉野川。




素敵な駅に着いた。

剣山といえば、少年の頃に読んだ本に「剣山の大蛇」とあったのを思い出すが、観光案内板には大蛇の絵が描かれていた。

18時の鐘の音が聞こえた。
もはや空に雨の気配はなく、蝶や燕が乱れ飛んでいる。

徳島ではずいぶん遊んだ。
これから池田まで吉野川に沿う。

そして、ボブ・ディランを聞きながら池田から徳島までの道を走った、かつての夏を思い出す。

18:49 佃(つくだ)駅(徳島本線/土讃本線 徳島県)
無人の廃れた分岐駅で待っている。

にわかに体を冷たくさせる風が吹いてきた。

この風情は孤独な男に似つかわしい。

これから往く方向を眺めている。
琴平行がきた。

20:16 琴平(ことひら)駅(土讃本線 香川県)
別世界にきたような気がする。
陽気な神様がいる町だ。

大正12年建設の三代目駅舎、琴電琴平駅、金倉川の灯にソープランド、神域に入り込んだスナック、浴衣姿の湯治客。

想像していた繁華さはなかったが、まるでおとぎの国に入ったかのようだ。

時間がゆるやかに止まった。

出雲でも伊勢でも感じることのなかった神を身近に思う。

神聖だが、どこか可笑しみのある町だった。

この町の神様と酒を酌み交わしたい。

20:28 善通寺(ぜんつうじ)駅(土讃本線 香川県)にて

22:45 ステーションホテル善通寺507号
四国霊場第七十五番札所、総本山善通寺のある街はとても静かだった。

車通りもなく、金髪少年たちも穏やか。
遥かなる弘法大師に気兼ねをしてか風俗店もない。
わずかにスナックの灯が洩れる。

琴平からはひと駅の距離だが、「こんぴらさん」の町との違いが際立っている。

100年の昔に四国健児が集まった第11師団本部が置かれていたのが、現在の陸上自衛隊基地だったのだろう。

この街への憧れは司馬遼太郎の「坂の上の雲」による。
20年越しの夢が叶った。

最近は甲子園でその姿を見ることはないが、尽誠学園を駅の反対側に見る。
彼等は善通寺からきていたのか。
次に登場する際は応援しよう。

雨は完全に上がり、今は星空の下でこうしている。

厳つい大将がやっている店は信用できる。
居酒屋の酒と料理に満足してホテルに戻り、この旅日記に彼女を登場させるために、「おやすみ」の便りを出す。

やがてすぐに、うれしくさせるような返信を寄越してくれる。

オレのいない東京は中途半端な雨に濡れているとのこと。

そしてこの旅の記憶は彼女へも受け継がれた。

夜の善通寺は神々しく、五重塔はライトアップされている。

弘法大師が何を伝えたのか詳しくは知らないが、数あるありがたい教えの中には、こんなオレでもひとつくらいは実行していることがあるだろう。

関連記事

「車旅日記」2005年春 初日(松本-富山)走行距離317㎞ その2-妙高高原駅、親不知駅、アパホテル富山駅前 【松本から富山へ。今にして思えば、なぜこの旅を思い立ったのか思い出せないのでございます。】

車旅日記2005年4月29日・・・妙高高原駅、親不知駅、アパホテル富山駅前 16:44 妙高高原駅

記事を読む

「車旅日記」1998年夏 2日目(木曽-野麦峠-信州新町-志賀高原湯田中)-道の駅日義 木曾駒高原、木曽福島駅、木曽福島タイムリー、開田村、野麦峠扇屋、奈川渡ダム、道の駅信州新町 【伊那、木曽から志賀高原へ。気乗りのしない旅で選んだ行き先は、初夏の信濃路でございました。】

車旅日記1998年7月19日 1998・7・19 6:28 19号国道‐日義 木曽駒高原(道の駅)

記事を読む

「車旅日記」1998年春 2日目(岩手山SA-大間崎-青森駅)-岩手山SA、折爪PA、三沢市ドライブイン三陸、東通村レストラン潮騒、田名部駅、大間崎公営パーキング、大湊駅、陸奥横浜駅、青森駅 【下北半島を目指した春。男の旅は北を目指すものと思っていた20代後半。高倉健さんの影響でございましょうか。】

車旅日記1998年5月2日 1998・5・2 7:43 東北自動車道-岩手山SA 昨夜の強風が続い

記事を読む

「車旅日記」2005年初夏 2日目(山形-新潟)走行距離313㎞ その1-アパホテル山形駅前大通、羽前山辺駅、寒河江駅、左沢駅、柴橋駅、天童駅、村山駅、新庄駅、羽前前波駅 【長岡、会津、庄内。戊辰戦争ゆかりの地を巡りたかったのだと記憶しております。】

車旅日記2005年7月17日・・・アパホテル山形駅前大通、羽前山辺駅、寒河江駅、左沢駅、柴橋駅、天童

記事を読む

「鉄旅日記」2022年新春 2日目(湯瀬温泉-三沢)その4 ‐板柳、川部、撫牛子、大釈迦、鶴ヶ坂(五能線/奥羽本線) 【巨大な土偶が貼りつく木造駅を見たくて冬の東北を旅しました。】

鉄旅日記2022年1月9日・・・板柳駅、川部駅、撫牛子駅、大釈迦駅、鶴ヶ坂駅(五能線/奥羽本線)

記事を読む

「車旅日記」2005年冬 2日目(都城-人吉)走行距離284㎞ その1-都城駅、西都城駅、財部駅、霧島神宮駅、国分駅、錦江駅、鹿児島駅 【どこへ行こうか。まっさきに浮かんだのが、昨夏に旅した南九州でございました。】

車旅日記2005年2月12日・・・都城駅、西都城駅、財部駅、霧島神宮駅、国分駅、錦江駅、鹿児島駅

記事を読む

「鉄旅日記」2013年如月【休日おでかけパスで、上総下総途中下車旅&習志野シンフォニックブラス(NSB)演奏会】その1-我孫子、東我孫子、新木、湖北、布佐、小林、木下、安食、下総松崎、成田空港、酒々井、物井、東千葉、本千葉、西千葉、新検見川、幕張、東船橋、津田沼(成田線、総武本線)

鉄旅日記2013年2月17日その1・・・我孫子駅、東我孫子駅、新木駅、湖北駅、布佐駅、小林駅、木下駅

記事を読む

「車旅日記」2004年夏 4日目(鹿児島-田原坂-長崎)走行距離384㎞その2-田原坂古戦場跡、大牟田駅、肥前山口駅、長崎ニューポート 【九州を一周してみよう。そう思いたった、真夏の日々でございます。】

車旅日記2004年8月14日・・・田原坂古戦場跡、大牟田駅、肥前山口駅、長崎ニューポート 2004

記事を読む

「鉄旅日記」2009年晩秋 2日目(倉敷-和田山)その1-倉敷、足立、生山、上菅、伯耆溝口、伯耆大山、赤碕、浦安、松崎、浜村、末恒、湖山、鳥取(伯備線/山陰本線) 【陰陽を行き来した3日間。この国の秋は美しゅうございました。】

鉄旅日記2009年11月22日・・・倉敷駅、足立駅、生山駅、上菅駅、伯耆溝口駅、伯耆大山駅、赤碕駅、

記事を読む

「鉄旅日記」2022年如月 初日(東京-常陸大子)その2 ‐十二橋、潮来(鹿島線) 【十二橋駅~潮来駅、鹿島神宮西の一之鳥居~鹿島神宮、棚倉を歩く旅。】

鉄旅日記2022年2月5日・・・十二橋駅、潮来駅(鹿島線) 8:18  十二橋(じ

記事を読む

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

「鉄旅日記」2022年皐月 初日(東京-磐梯熱海)その3 ‐黒磯、泉崎、白河、郡山(東北本線) 【日光線全駅乗降を果たし、猪苗代湖畔に遊び、磐梯熱海の湯につかり、国定忠治を訪ねた旅でございます。】

鉄旅日記2022年5月7日・・・黒磯駅、泉崎駅、白河駅、郡山駅(東北

「鉄旅日記」2022年皐月 初日(東京-磐梯熱海)その2 ‐文挟、鹿沼、鶴田、宇都宮(日光線) 【日光線全駅乗降を果たし、猪苗代湖畔に遊び、磐梯熱海の湯につかり、国定忠治を訪ねた旅でございます。】

鉄旅日記2022年5月7日・・・文挟駅、鹿沼駅、鶴田駅、宇都宮駅(日

「鉄旅日記」2022年皐月 初日(東京-磐梯熱海)その1 ‐金町、上野、宇都宮(常磐線/東北本線) 【日光線全駅乗降を果たし、猪苗代湖畔に遊び、磐梯熱海の湯につかり、国定忠治を訪ねた旅でございます。】

鉄旅日記2022年5月7日・・・金町駅、上野駅、宇都宮駅(常磐線/東

「鉄旅日記」2022年弥生vol.2 最終日(静岡-東京)その5 ‐東浦和、東川口、吉川、吉川美南、南流山(武蔵野線) 【念願の大井川鐡道に乗る旅。帰りは身延線経由、武蔵野線全駅下車達成でございます。】/江戸川堤菜の花絶景

2022年3月21日・・・東浦和駅、東川口駅、吉川駅、吉川美南駅、南

「鉄旅日記」2022年弥生vol.2 最終日(静岡-東京)その4 ‐西国分寺、北府中、新小平、青梅街道、北朝霞、朝霞台(武蔵野線) 【念願の大井川鐡道に乗る旅。帰りは身延線経由、武蔵野線全駅下車達成でございます。】

鉄旅日記2022年3月21日・・・西国分寺駅、北府中駅、新小平駅、青

→もっと見る

    PAGE TOP ↑