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「鉄旅日記」2014年春【ときわ路パスで、常陸ローカル旅】その1-水海道、三妻、下妻、大田郷、下館、久下田、茂木、真岡、大和、新治、水戸(関東鉄道常総線/真岡鐵道/水戸線)

公開日: : 最終更新日:2020/08/29 旅話 2014年

鉄旅日記2014年4月27日その1
2014・4・27 7:49 水海道(みつかいどう)駅(関東鉄道常総線 茨城県)
保谷、池袋、日暮里と乗り継ぎ、常磐線で取手まで。
取手で「ときわ路パス」を購入。

「ときわ路パス」とは、「つくばエキスプレス」を除く茨城県内を走る全鉄道と真岡鐵道の栃木県区間が一日間乗り降り自由になる、なかなか得がたい切符で、まずは取手始発の関東鉄道常総線の水海道行きに乗る。

いつかの5月に車で津軽半島まで向かった道と平行する鉄路であの日と同じコースを往く。
駅前に第一ホテルがあったことを駅に着く前に思い出した。
ここから関東鉄道は単線になる。

途中TX(つくばエキスプレス)との乗換駅の守谷で大半の客が降りた。
東京に出る人々だろう。
映画「下妻物語」の主人公も、今じゃ取手を経由する理由はない。
そして守谷にはまるで新幹線でも止まりそうな途方もない駅ができていた。

沿線風景はかなり退屈だ。
田舎丸出しの牧歌的なものではなく、平野に住宅が散在するのみで面白みに欠ける。
茨城らしさ、つまり田舎らしさは、車内でたまに人の姿をした形で見かける。

8:03 三妻(みつま)駅(関東鉄道常総線 茨城県)
数分の停車。

田に水が張られ春の日差しに輝いている。
アルミ雨戸が下ろされた一般的家屋のような駅前通りの角に、カルピスの看板を掲げた商店が見える。
あとは何もない。
平凡な住宅街だ。
これは田舎らしいとも言えるが、見たかった風景ではなく、特筆するレベルのものでもない。

列車は走りだす。
やがて広大な関東平野が姿を現す。
沿線の家並みがそこで途切れた。

8:25 下妻(しもつま)駅(関東鉄道常総線 茨城県)
数分の停車。

圧倒的なまでの愛らしさを弾けさせた「下妻物語」での深田恭子さん。
独身の頃に通っていた新橋のスナックのママは彼女によく似ていると思っていた。
そんなママにオレは惚れていたんだ。

今見てきた駅が映画に登場したものだったかどうか記憶に自信は持てないが、きっと同じなのだろう。
水海道でも触れたけど、いつかの5月の旅の夜に下妻も通り、駅にも寄っている。
街の中心街は駅から離れていて、関東鉄道の車窓から下妻の街は窺い知れない。

深田恭子さんか、その5月の旅のことか、はたまた新橋のママを思ってか、とにかく懐かしい気持ちでいる。

「水のまち」下妻。
いくつか目にした水田は湖のようだった。

インチキ格闘サイボーグを引き連れたキラー・トーア・カマタが33年前に、この街で馬場鶴田が持つタイトルに挑み、呆気なく破れている。

8:42 大田郷(おおたごう)駅(関東鉄道常総線 茨城県)
数分の停車。

躑躅が真っ赤な色をつけた石段を上がったところに駅がある。
上がった場所から閑散とした町が見える。
関東鉄道の旅も次の下館で終わる。

8:52 下館(しもだて)駅(水戸線/関東鉄道常総線/真岡鐵道 茨城県)
人気のない日曜日。
関東鉄道の駅舎には神宮球場の通路と同じ昭和の匂いが濃厚に残っている。
関東鉄道常総線の改札を出た薄暗い突き当りにはカレー屋が店を構えているが、まだ開いていない。
真岡鐡道を茂木まで往復して2時間後にまたここに戻るが、その時にも開いている保証はない。

階段を下りて外に出ると、線路を挟んで反対側のJR出口にような人通りもなければ、街もなかった。

9:08 久下田(くげた)駅(真岡鐵道 茨城県)
数分の停車。

294号国道に沿ってトロトロと走る真岡鐵道。
国道の住人だった頃、どこかの高架橋からこの線路を見て旅情を感じた。

過ぎてきた駅は簡素でろくに駅舎もない。
ここ久下田は尊徳親鸞所縁の地らしく、ぼってりとした枝垂れ桜が咲き誇る駅は市民ホールを兼ね、とても立派なものだった。
関東でもいくつかの法難に遭った親鸞上人。
でも彼の情熱は関東にも根を下ろし、また新たな家族をこの地に持った。

可笑しな案山子だなぁ。
車窓から畑を凝視した。老夫婦が体を突き出すようないくぶん無理な格好で身じろぎもせず互いを見ていた。
あるいはあれは、本物の人間だったのだろうか。

10:06 茂木(もてぎ)駅(真岡鐵道 栃木県)
下館で塞がっていた席は益子で大方空いた。
そして終点の茂木へ。
こんな駅で旅を終えるのもいい。
あるいは、こんな駅から旅を始めるのもいいだったか。
13年前に車でここに寄った際にそう記したことを覚えている。

駅のたたずまいは記憶の中の小さな駅とは違って大きく、「駅そば」もある終着駅だった。

この町にレース場があることを知ったのは、ここを訪れてから後のことだ。
何か催しがあるのか近くの「道の駅」は車で溢れている。

田植えが始まり、農夫は列車の気配に気付くと目を向けてくる。
どこの国からやってきたのか、下館に戻る車内で大男が物珍しそうにきょときょととしている。

11:00 真岡(もおか)駅(真岡鐵道 栃木県)
10数分の停車。

ここは鉄道の街。
駅舎はSLを模し、改札口はざわめいている。
茂木方面のホームもまたざわめいている。
SL車が客車に満載の人を乗せて入線してきた。

一時のざわめきが過ぎて、、、人々はカメラを置き、上げていた腰を下ろし、また列車に揺られていく。

ここの「駅そば」は薄味だった。
少し物足りない気がしたが、親爺さんの笑顔がよかった。

11:46 大和(やまと)駅(水戸線 茨城県)
下館で水戸線に乗り換え、水戸方面へ。

涼風に吹かれる単線ホーム。
名前も由来も記されていないが、駅前には水辺があり、池に浮かんだ小島に祠がある。

駅を出て正面の林には道が開かれ、そこを抜けると住宅地に出るようだ。
その住宅地から歩いてきた男とすれ違う。
林ゆえに電灯などはなく、住人は雨の夜など心細い思いをしているのに違いない。

数分の滞在で下館方面にひと駅戻る。

12:21 新治(にいはり)駅(水戸線 茨城県)
中国人に占拠された待合室。
未成年の娘に占拠された喫煙所。
東京の外に出ると不思議な光景に出くわすことがある。

行けども行けどもどこにも辿り着かない町で、診療所の洋館の角を曲がりしばらく歩いて、店を閉めた寿司屋のところで引き返した。
強烈な匂いを発する鶏肉屋で唐揚を買い、酒屋で新作ビールを仕入れ、駅のホームで4月にしては熱い風に吹かれている。

筑波山がよく見えている。
ただここでは絶好のポイントは見当たらなかった。

再び水戸方面へ。

13:36 水戸(みと)駅(常磐線/水戸線/水郡線/鹿島臨海鉄道 茨城県)
水戸はいつ以来になるのか思い出すことができない。
降りるのは4度目くらいか。
いずれにしろよくは覚えていないが、初夏の日差しを浴びて、ここ最近の夏を生きるつらさを思い出した。

駅前のスクランブル交差点と50号国道を眺めて、車で駅前を通ったことを思い出した。
街を歩いたことはない。
駅で一杯ひっかけたことならある。
水戸は駅ビルが見える範囲しか知らないが、大鉄道駅で、いつも多くの人々が行き交い、さっきの新治駅で見かけたような人々や光景はここにはない。

「あしなが育英会」への寄付を募る少女たちに対して募金をせずに通り過ぎることをすまなく思い、オレもしばらくは死なないことが人のためかとも思い、改札へ戻る。

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