「鉄旅日記」2014年春 その2-瓜連、静、山方宿、袋田、西金、下小川、後台、常陸津田、常陸青柳、神立、高浜、牛久(水郡線/常磐線) 【ときわ路パスで、常陸ローカル旅】
鉄旅日記2014年4月27日その2・・・瓜連駅、静駅、山方宿駅、袋田駅、西金駅、下小川駅、後台駅、常陸津田駅、常陸青柳駅、神立駅、高浜駅、牛久駅(水郡線/常磐線)
瓜連(うりづら)駅(水郡線 茨城県)にて

14:37 静(しず)駅(水郡線 茨城県)
瓜連駅前ロータリーは立派だが、それを取り巻く建物はなく、どこか古代遺跡を思わせる。
老婦人とすれ違い会釈の交換。
初夏というより夏の日差しに焼かれ、特筆すべきものとてない埃っぽい道を歩き、コンビニでビールを求め、線路を挟んだお宅を借景にした簡素な静駅に到着。
瓜連から徒歩約15分の距離だった。
古徳沼というのが唯一見かけた観光場所で、そこには白鳥が飛来するらしい。
静の町に似つかわしくない騒音が聞こえてくる。
やってきた郡山行は案に相違して混んでいる。

15:06 山方宿(やまがたじゅく)駅(水郡線 茨城県)
数分の停車。
宿場の名がついている駅だ。
人家が疎らになってきた街道に、確かに宿場を形成してきたであろう一郭があった。
列車の若干の遅れが3分を予定していた停車時間が2分になり、改札までの往復を走り、しまいには軽く警笛を鳴らされた。
オレの旅はこうした緊張を伴う険しいものだ。
列車は常陸大宮を過ぎてから旅情路線に入り、久慈川と抱き合っている。
このあたりをJRは観光区間と位置づけている。

15:41 袋田(ふくろだ)駅(水郡線 茨城県)
しきりに鶯が鳴いている。
春だな。
ちょぼちょぼと水音が聞こえる。
使われなくなったホームに「ミニ袋田の滝」が造られている。
それは花園に包まれていて、オレのように駅にだけ用があったような者にとって有り難く、また結構なこしらえだ。
駅前の酒屋の造作もよく、ビールを購入。
「男はつらいよ」第42作目の冒頭にこの駅は登場する。
車寅次郎とイッセー尾形さん演じる老人のドタバタ劇に笑うが、映画には登場した駅員の姿はなく、駅舎もまた当時のものとは違っていた。
ここから引き返す。
オレと一緒に女性の二人連れが乗り込んできた。
ここは袋田の滝で知られた「瀑布」の町だ。
彼女たちが存在する列車内の景色もまたいい。
ちょっとした小旅行でたくさん喋って、そして二人は街に帰っていく。



西金(さいがね)駅(水郡線 茨城県)にて


西金~下小川間(徒歩)





16:44 下小川(しもおがわ)駅(水郡線 茨城県)
祭の気配はないが、車寅次郎がいたことがありそうな人っ子一人いない西金駅を後にして、オレも久慈川と抱き合うように歩いた。
熊が出てもおかしくない山路を下り、橋に出て対岸へ渡ると、空では隼と鴉が遭遇し、いさかいの果てに鴉は糞をタレて去り、隼は悠々と旋回する様を見せた。
古い鉄橋は時代を映し、通りがかりの者に日々歴史の重みを伝えている。
目の前に見えるのが盛金富士か。
ちょっと裾が広すぎるな。
今日は茨城にビールを飲みにきたようなもので、晴れた夕暮れ時にはどこにいても気持ちのいいものだが、こんな里山にいられる今日という日は素晴らしい。
次の水戸行きたら旅先の車寅次郎のようにひとり乗り込む。
ちょうど他には誰もいない。

後台(ごだい)駅(水郡線 茨城県)にて

常陸津田(ひたちつだ)駅(水郡線 茨城県)にて

18:51 常陸青柳(ひたちあおやぎ)駅(水郡線 茨城県)
後台駅から常陸津田駅まで40分の徒歩行。
時間的に意外に手こずった。
38号県道には代官屋敷のような門構えが散見され、僅かながら杉並木もある。
水戸藩の重役連の子孫が暮らしているのかもしれない。
打って変わってソーラーパネルを備えた廃屋も見られた。
なんという夢の跡だろう。
帰るべき持ち家を得たオレに感慨を催させる街道だった。
そして今日という日に夏の暑さをもたらした太陽が沈む。
坂道を下ると水田が広がり左に折れた丘陵上に常陸津田駅はあった。
周囲には民家があるだけで、こんな場所に駅があるのかと思わずにはいられなかった。
ビールとハンバーガーを途中のコンビニで購入していて、それを食べ終えたところで列車が到着した。
何かを書き記す時間は持てなかった。
ひと駅乗ってここ常陸青柳で降りる。
水戸までもまたひと駅の距離だが、あたりは暗く何も探し出せない。
後台から駅舎もない無人駅を3つ辿る中に水戸の夕暮れを味わった。
どの街の郊外も似たようなものだが、哀愁と旅情を感じた。
おそらく夕暮れ時じゃなかったらこの感慨もまた違ったものになっていただろう。


20:07 神立(かんだつ)駅(常磐線 茨城県)
水戸で常磐線に乗り換えて上野方面へ。
駅前通りには明かりがある。
キオスクもまだ開いている。
懐かしい町に降りたという感慨があった。
山口商店という古い雑貨屋は昭和の時代そのもので、街道とともに生きてきて駅前を照らし、きっとこれからもそうした未来を描き、続いていくであろう町。
そうであったらいいなとオレは無責任に思う。
オレの故郷は往時の面影を半分以上失くしている。

20:20 高浜(たかはま)駅(常磐線 茨城県)
ひと駅戻る。
駅舎は上りホーム側にあり、改札を抜けて外に出てみると階段になっている。
つまり駅は少しばかり高い所に位置していて、階段下にはおびただしい数の迎えの車がひしめいている。
町の灯はほぼ消えていた。
古めかしい駅前風景に好感を持つ。
上り列車がすぐにやってくる。

21:01 牛久(うしく)駅(常磐線 茨城県)
本日5本目のビールを飲む。
よく歩いた一日だった。
同僚がここ牛久から日暮里まで毎日仕事で通っている。
そんな街を旅先として設定するのもどうかと思い、牛久で降りることは後回しになっていた。
かつて暮らしていた金町によく似た駅前だった。
明かりは金町の半分にも満たないが、高層アパートが視界を塞ぐ風景に大いなる既視感があった。
ただ、歩ける範囲は狭かった。
東京のベッドタウンと言ってもいいが、牛久沼に牛久大仏と見所を持つ街で、「男はつらいよ」第34作には牛久から日本橋まで通勤する昭和の猛烈サラリーマンが登場する。
しかし彼は精神を病んで、第一線から引いていく。
山田洋次監督の価値観がよく分かる作品だった。
牛久から上野までは約1時間。
遠いとも言えるが、東京では別に珍しい話じゃない。

関連記事
-
-
「鉄旅日記」2017年夏 (姫路-十三)その1-山陽姫路、山陽網干、飾磨、大塩、高砂、山陽垂水、垂水、滝の茶屋、山陽塩屋、塩屋、山陽須磨(山陽電車本線/山陽電車網干線) 【私鉄王国で過ごす夏】
鉄旅日記2017年8月13日・・・山陽姫路駅、山陽網干駅、飾磨駅、大塩駅、高砂駅、山陽垂水駅、垂水駅
-
-
「鉄旅日記」2008年初夏 最終日(松阪-東京)-松阪、鳥羽、伊勢市、宇治山田、亀山、名古屋、豊橋、浜松、熱海(近鉄山田線/参宮線/紀勢本線/関西本線/東海道本線) 【まほろばの路から紀州へ。紀伊半島で過ごした短い夏の記憶でございます。】
鉄旅日記2008年7月21日・・・松阪駅、鳥羽駅、伊勢市駅、宇治山田駅、亀山駅、名古屋駅、豊橋駅、浜
-
-
「鉄旅日記」2005年秋 最終日(小諸-東京)その2-高崎、新前橋、前橋、中央前橋、小山、水戸、東京葛飾金町(信越本線/両毛線/水戸線/常磐線) 【軽井沢で挙式する身内を祝うために、初めて鉄道で旅をいたしました。】
鉄旅日記2005年11月7日・・・高崎駅、新前橋駅、前橋駅、中央前橋駅、小山駅、水戸駅(信越本線/両
-
-
「車旅日記」2003年晩秋 3日目(伊勢志摩-京都)走行距離239㎞ -大王崎、御座港、鵜方駅、飯高駅、天誅組終焉之地、吉野駅、吉野神宮駅、吉野口駅、京都ホーユウコンフォルト二条城 【紀伊半島に焦がれる日々。南海道を往くのは2度目でございます。】
車旅日記2003年11月24日・・・大王崎、御座港、鵜方駅、飯高駅、天誅組終焉之地、吉野駅、吉野神宮
-
-
「鉄旅日記」2014年冬 最終日(桐生-東京)-間藤、足尾、通洞、神戸、水沼、大間々、相老、桐生、西桐生、新里、膳、大胡、江木、中央前橋、治良門橋、三枚橋、太田(わたらせ渓谷鐵道/上毛電鉄/東武伊勢崎線) 【フリー切符で行く、両毛ローカル旅】
鉄旅日記2014年12月29日・・・間藤駅、足尾駅、通洞駅、神戸駅、水沼駅、大間々駅、相老駅、桐生駅
-
-
「鉄旅日記」2022年盛夏 2日目(伊那市-高松)その2 ‐木曽福島、上松、大桑、大垣、姫路(中央本線/東海道本線/山陽本線)【讃州高松に時空の友を訪ねて。小海線、津山線、播但線、山陰本線の駅旅も印象深い旅でございます。】
鉄旅日記2022年8月12日・・・木曽福島駅、上松駅、大桑駅、大垣駅、姫路駅(中央本線/東海道本線
-
-
「鉄旅日記」2020年如月 初日(東京-大船渡)その3‐多賀城、高城町、石巻、鹿又(仙石線/石巻線) 【東日本大震災で被害を受けた大船渡に泊まりにまいりました。山田線完全乗車も目指しておりましたが・・。】
鉄旅日記2020年2月22日・・・多賀城駅、高城町駅、石巻駅、鹿又駅(仙石線/石巻線) 12:44
-
-
「鉄旅日記」2018年弥生 初日(東京-会津若松)その3-只見、会津川口、会津本郷、南若松、会津若松(只見線/会津鉄道) 【青春18きっぷを握り、目指したのはまたしても会津。練馬から旅立つ最後の旅でございます。】
鉄旅日記2018年3月3日・・・只見駅、会津川口駅、会津本郷駅、南若松駅、会津若松駅(只見線/会津鉄
-
-
「鉄旅日記」2018年如月 最終日(直江津-六日町-大前-東京)その3-金島、中之条、川原湯温泉、大前、羽根尾、高崎問屋町(吾妻線) 【冬の町を見たくて、週末パスを買いました。】
鉄旅日記2018年2月11日・・・金島駅、中之条駅、川原湯温泉駅、大前駅、羽根尾駅、高崎問屋町駅(吾
-
-
「鉄旅日記」2005年秋 最終日(小諸-東京)その1-小諸、軽井沢、横川(しなの鉄道) 【軽井沢で挙式する身内を祝うために、初めて鉄道で旅をいたしました。】
鉄旅日記2005年11月7日・・・小諸駅、軽井沢駅、横川駅(しなの鉄道) 2005・11・7 東京
