*

「鉄旅日記」2014年春【ときわ路パスで、常陸ローカル旅】その2-瓜連、静、山方宿、袋田、西金、下小川、後台、常陸津田、常陸青柳、神立、高浜、牛久(水郡線/常磐線)

公開日: : 最終更新日:2024/05/30 旅話, 旅話 2014年

鉄旅日記2014年4月27日その2・・・瓜連駅、静駅、山方宿駅、袋田駅、西金駅、下小川駅、後台駅、常陸津田駅、常陸青柳駅、神立駅、高浜駅、牛久駅(水郡線/常磐線)

瓜連(うりづら)駅(水郡線 茨城県)にて

14:37 静(しず)駅(水郡線 茨城県)
瓜連駅前ロータリーは立派だが、それを取り巻く建物はなく、どこか古代遺跡を思わせる。

老婦人とすれ違い会釈の交換。
初夏というより夏の日差しに焼かれ、特筆すべきものとてない埃っぽい道を歩き、コンビニでビールを求め、線路を挟んだお宅を借景にした簡素な静駅に到着。
瓜連から徒歩約15分の距離だった。

古徳沼というのが唯一見かけた観光場所で、そこには白鳥が飛来するらしい。

静の町に似つかわしくない騒音が聞こえてくる。
やってきた郡山行は案に相違して混んでいる。

15:06 山方宿(やまがたじゅく)駅(水郡線 茨城県)
数分の停車。

宿場の名がついている駅だ。
人家が疎らになってきた街道に、確かに宿場を形成してきたであろう一郭があった。

列車の若干の遅れが3分を予定していた停車時間が2分になり、改札までの往復を走り、しまいには軽く警笛を鳴らされた。
オレの旅はこうした緊張を伴う険しいものだ。

列車は常陸大宮を過ぎてから旅情路線に入り、久慈川と抱き合っている。
このあたりをJRは観光区間と位置づけている。

15:41 袋田(ふくろだ)駅(水郡線 茨城県)
しきりに鶯が鳴いている。
春だな。
ちょぼちょぼと水音が聞こえる。
使われなくなったホームに「ミニ袋田の滝」が造られている。
それは花園に包まれていて、オレのように駅にだけ用があったような者にとって有り難く、また結構なこしらえだ。

駅前の酒屋の造作もよく、ビールを購入。
「男はつらいよ」第42作目の冒頭にこの駅は登場する。
車寅次郎とイッセー尾形さん演じる老人のドタバタ劇に笑うが、映画には登場した駅員の姿はなく、駅舎もまた当時のものとは違っていた。

ここから引き返す。

オレと一緒に女性の二人連れが乗り込んできた。
ここは袋田の滝で知られた「瀑布」の町だ。
彼女たちが存在する列車内の景色もまたいい。
ちょっとした小旅行でたくさん喋って、そして二人は街に帰っていく。


西金(さいがね)駅(水郡線 茨城県)にて

西金~下小川間(徒歩)




16:44 下小川(しもおがわ)駅(水郡線 茨城県)
祭の気配はないが、車寅次郎がいたことがありそうな人っ子一人いない西金駅を後にして、オレも久慈川と抱き合うように歩いた。

熊が出てもおかしくない山路を下り、橋に出て対岸へ渡ると、空では隼と鴉が遭遇し、いさかいの果てに鴉は糞をタレて去り、隼は悠々と旋回する様を見せた。

古い鉄橋は時代を映し、通りがかりの者に日々歴史の重みを伝えている。
目の前に見えるのが盛金富士か。
ちょっと裾が広すぎるな。

今日は茨城にビールを飲みにきたようなもので、晴れた夕暮れ時にはどこにいても気持ちのいいものだが、こんな里山にいられる今日という日は素晴らしい。

次の水戸行きたら旅先の車寅次郎のようにひとり乗り込む。
ちょうど他には誰もいない。

後台(ごだい)駅(水郡線 茨城県)にて

常陸津田(ひたちつだ)駅(水郡線 茨城県)にて

18:51 常陸青柳(ひたちあおやぎ)駅(水郡線 茨城県)
後台駅から常陸津田駅まで40分の徒歩行。
時間的に意外に手こずった。

38号県道には代官屋敷のような門構えが散見され、僅かながら杉並木もある。
水戸藩の重役連の子孫が暮らしているのかもしれない。

打って変わってソーラーパネルを備えた廃屋も見られた。
なんという夢の跡だろう。
帰るべき持ち家を得たオレに感慨を催させる街道だった。

そして今日という日に夏の暑さをもたらした太陽が沈む。

坂道を下ると水田が広がり左に折れた丘陵上に常陸津田駅はあった。
周囲には民家があるだけで、こんな場所に駅があるのかと思わずにはいられなかった。

ビールとハンバーガーを途中のコンビニで購入していて、それを食べ終えたところで列車が到着した。
何かを書き記す時間は持てなかった。

ひと駅乗ってここ常陸青柳で降りる。
水戸までもまたひと駅の距離だが、あたりは暗く何も探し出せない。

後台から駅舎もない無人駅を3つ辿る中に水戸の夕暮れを味わった。
どの街の郊外も似たようなものだが、哀愁と旅情を感じた。
おそらく夕暮れ時じゃなかったらこの感慨もまた違ったものになっていただろう。

20:07 神立(かんだつ)駅(常磐線 茨城県)
水戸で常磐線に乗り換えて上野方面へ。

駅前通りには明かりがある。
キオスクもまだ開いている。
懐かしい町に降りたという感慨があった。
山口商店という古い雑貨屋は昭和の時代そのもので、街道とともに生きてきて駅前を照らし、きっとこれからもそうした未来を描き、続いていくであろう町。
そうであったらいいなとオレは無責任に思う。

オレの故郷は往時の面影を半分以上失くしている。

20:20 高浜(たかはま)駅(常磐線 茨城県)
ひと駅戻る。

駅舎は上りホーム側にあり、改札を抜けて外に出てみると階段になっている。
つまり駅は少しばかり高い所に位置していて、階段下にはおびただしい数の迎えの車がひしめいている。
町の灯はほぼ消えていた。
古めかしい駅前風景に好感を持つ。

上り列車がすぐにやってくる。

21:01 牛久(うしく)駅(常磐線 茨城県)
本日5本目のビールを飲む。
よく歩いた一日だった。

同僚がここ牛久から日暮里まで毎日仕事で通っている。
そんな街を旅先として設定するのもどうかと思い、牛久で降りることは後回しになっていた。

かつて暮らしていた金町によく似た駅前だった。
明かりは金町の半分にも満たないが、高層アパートが視界を塞ぐ風景に大いなる既視感があった。
ただ、歩ける範囲は狭かった。
東京のベッドタウンと言ってもいいが、牛久沼に牛久大仏と見所を持つ街で、「男はつらいよ」第34作には牛久から日本橋まで通勤する昭和の猛烈サラリーマンが登場する。
しかし彼は精神を病んで、第一線から引いていく。
山田洋次監督の価値観がよく分かる作品だった。

牛久から上野までは約1時間。
遠いとも言えるが、東京では別に珍しい話じゃない。

関連記事

「鉄旅日記」2013年如月【休日おでかけパスで、上総下総途中下車旅】その2-久留里、上総亀山、横田、木更津、巌根、袖ヶ浦、長浦、姉ヶ崎、八幡宿、浜野(久留里線、外房線)

鉄旅日記2013年2月17日その2・・・久留里駅、上総亀山駅、横田駅、木更津駅、巌根駅、袖ヶ浦駅、長

記事を読む

「鉄旅日記」2020年弥生【富山地方鉄道に乗りにまいりました。太多線、高山本線に乗るのも楽しみにしていたのでございます。】2日目(高山-速星)その1‐高山、打保、猪谷、富山、電鉄富山(高山本線)

鉄旅日記2020年3月21日・・・高山駅、打保駅、猪谷駅、富山駅、電鉄富山駅(高山本線) 2020

記事を読む

「鉄旅日記」2015年春【ひらパーGo!Go!チケットで行く、京阪旅】初日その1(東京-宇治)-東福寺、祇園四条、伏見稲荷、稲荷、男山山上、八幡市、枚方市、私市、河内森、河内磐船、交野市(京阪本線/男山ケーブル/京阪交野線)

鉄旅日記2015年3月21日その1・・・東福寺駅、祇園四条駅、伏見稲荷駅、稲荷駅、男山山上駅、八幡市

記事を読む

「鉄旅日記」2014年夏【青春18きっぷで、中国ぶらぶら旅】初日(東京-津山)-尾張一宮、播磨高岡、太市、余部、播磨新宮、三日月、西栗栖、美作江見、林野、上月、津山口、津山(東海道本線、山陽本線、姫新線)

鉄旅日記2014年8月13日・・・尾張一宮駅、播磨高岡駅、太市駅、余部駅、播磨新宮駅、三日月駅、西栗

記事を読む

「鉄旅日記」2020年盛夏【コロナ禍の内緒旅VOl.2。宮島へ。錦帯橋へ。筑豊へ。島原へ。千綿駅へ。そして若松~戸畑の渡船。日本晴れの4日間の記録でございます。】最終日(門司港-東京)その2‐若松渡場、戸畑渡場、戸畑、下関(若戸渡船/鹿児島本線)

鉄旅日記2020年8月16日・・・若松渡場、戸畑渡場、戸畑駅、下関駅(若戸渡船/鹿児島本線)

記事を読む

「鉄旅日記」2020年卯月【緊急事態宣言発令直前のことでございます。常磐線全線運転再開を祝して人知れず旅に出たのでございます。】初日(東京-新津)その2‐水戸、いわき、原ノ町、鹿島(常磐線)

鉄旅日記2020年4月4日・・・水戸駅、いわき駅、原ノ町駅、鹿島駅(常磐線) 7:40 水戸(みと)

記事を読む

「鉄旅日記」2009年秋【関東ぶらぶら旅その2-武蔵から相模へ】-川口、浦和、深谷、倉賀野、寄居、東飯能、飯能、寒川、茅ヶ崎、辻堂、新橋(京浜東北線/高崎線/八高線/相模線/東海道本線)

鉄旅日記2009年10月27日・・・川口駅、浦和駅、深谷駅、倉賀野駅、寄居駅、東飯能駅、飯能駅、寒川

記事を読む

「車旅日記」1996年黄金週間【友を訪ねて大阪へ。そして約束の地、金沢へ。夢を見ながら国道を走った日々でございます。】初日(東京-大阪茨木 R246→R1→名神高速)その3-関駅、その後

車旅日記1996年5月3日 16:36 関駅 あれから2時間経ってようやくここに戻ってき

記事を読む

「鉄旅日記」2019年師走【由利高原鉄道鳥海山ろく線に乗りにいきました。初冬の日本海は荒々しく、美しゅうございました。】最終日(酒田-東京)その1‐酒田、象潟、砂越(羽越本線)

鉄旅日記2019年12月8日・・・酒田駅、象潟駅、砂越駅(羽越本線) 2019・12・8 5:34

記事を読む

「鉄旅日記」2009年秋【遅い夏休みをとり、長崎までの切符を買いました。】2日目(新山口-大分)その2-香春、田川伊田、田川後藤寺、日田、豊後森、豊後中村、野矢、由布院、大分(日田彦山線/久大本線)

鉄旅日記2009年9月19日・・・香春駅、田川伊田駅、田川後藤寺駅、日田駅、豊後森駅、豊後中村駅、野

記事を読む

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

「鉄旅日記」2020年晩秋【大人の休日倶楽部パスで北陸へ。新幹線、在来線特急乗り放題でございます。魚津、雨晴をめぐり、氷見線、万葉線、城端線、七尾線、えちぜん鉄道、福武線、北陸鉄道との再会でございます。】最終日(武生-東京)その2‐敦賀、北鉄金沢、内灘、金沢、野々市(北陸本線/北陸鉄道浅野川線)

鉄旅日記2020年11月23日・・・敦賀駅、北鉄金沢駅、内灘駅、金沢

「鉄旅日記」2020年晩秋【大人の休日倶楽部パスで北陸へ。新幹線、在来線特急乗り放題でございます。魚津、雨晴をめぐり、氷見線、万葉線、城端線、七尾線、えちぜん鉄道、福武線、北陸鉄道との再会でございます。】最終日(武生-東京)その1‐越前武生、武生、三方、美浜(北陸本線/小浜線)

鉄旅日記2020年11月23日・・・越前武生駅、武生駅、三方駅、美浜

「鉄旅日記」2020年晩秋【大人の休日倶楽部パスで北陸へ。新幹線、在来線特急乗り放題でございます。魚津、雨晴をめぐり、氷見線、万葉線、城端線、七尾線、えちぜん鉄道、福武線、北陸鉄道との再会でございます。】2日目(砺波-武生)その6‐三国港、田原町、福井駅(えちぜん鉄道三国芦原線/福井鉄道)

鉄旅日記2020年11月22日・・・三国港駅、田原町駅、福井駅電停(

「鉄旅日記」2020年晩秋【大人の休日倶楽部パスで北陸へ。新幹線、在来線特急乗り放題でございます。魚津、雨晴をめぐり、氷見線、万葉線、城端線、七尾線、えちぜん鉄道、福武線、北陸鉄道との再会でございます。】2日目(砺波-武生)その5‐福井、新福井、勝山、福井口(えちぜん鉄道勝山永平寺線)

鉄旅日記2020年11月22日・・・福井駅、新福井駅、勝山駅、福井口

「鉄旅日記」2020年晩秋【大人の休日倶楽部パスで北陸へ。新幹線、在来線特急乗り放題でございます。魚津、雨晴をめぐり、氷見線、万葉線、城端線、七尾線、えちぜん鉄道、福武線、北陸鉄道との再会でございます。】2日目(砺波-武生)その4‐七尾、金丸、宝達、宇野気、本津幡(七尾線)

鉄旅日記2020年11月22日・・・七尾駅、金丸駅、宝達駅、宇野気駅

→もっと見る

    PAGE TOP ↑