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「鉄旅日記」2014年春【ときわ路パスで、常陸ローカル旅】その2-瓜連、静、山方宿、袋田、西金、下小川、後台、常陸津田、常陸青柳、神立、高浜、牛久(水郡線/常磐線)

公開日: : 最終更新日:2020/08/29 旅話 * 結婚後2014年

鉄旅日記2014年4月27日その2
瓜連(うりづら)駅(水郡線 茨城県)にて

14:37 静(しず)駅(水郡線 茨城県)
瓜連駅前ロータリーは立派だが、それを取り巻く建物はなく、どこか古代遺跡を思わせる。

老婦人とすれ違い会釈の交換。
初夏というより夏の日差しに焼かれ、特筆すべきものとてない埃っぽい道を歩き、コンビニでビールを求め、線路を挟んだお宅を借景にした簡素な静駅に到着。
瓜連から徒歩約15分の距離だった。

古徳沼というのが唯一見かけた観光場所で、そこには白鳥が飛来するらしい。

静の町に似つかわしくない騒音が聞こえてくる。
やってきた郡山行は案に相違して混んでいる。

15:06 山方宿(やまがたじゅく)駅(水郡線 茨城県)
数分の停車。

宿場の名がついている駅だ。
人家が疎らになってきた街道に、確かに宿場を形成してきたであろう一郭があった。

列車の若干の遅れが3分を予定していた停車時間が2分になり、改札までの往復を走り、しまいには軽く警笛を鳴らされた。
オレの旅はこうした緊張を伴う険しいものだ。

列車は常陸大宮を過ぎてから旅情路線に入り、久慈川と抱き合っている。
このあたりをJRは観光区間と位置づけている。

15:41 袋田(ふくろだ)駅(水郡線 茨城県)
しきりに鶯が鳴いている。
春だな。
ちょぼちょぼと水音が聞こえる。
使われなくなったホームに「ミニ袋田の滝」が造られている。
それは花園に包まれていて、オレのように駅にだけ用があったような者にとって有り難く、また結構なこしらえだ。

駅前の酒屋の造作もよく、ビールを購入。
「男はつらいよ」第42作目の冒頭にこの駅は登場する。
車寅次郎とイッセー尾形さん演じる老人のドタバタ劇に笑うが、映画には登場した駅員の姿はなく、駅舎もまた当時のものとは違っていた。

ここから引き返す。

オレと一緒に女性の二人連れが乗り込んできた。
ここは袋田の滝で知られた「瀑布」の町だ。
彼女たちが存在する列車内の景色もまたいい。
ちょっとした小旅行でたくさん喋って、そして二人は街に帰っていく。


西金(さいがね)駅(水郡線 茨城県)にて

西金~下小川間(徒歩)




16:44 下小川(しもおがわ)駅(水郡線 茨城県)
祭の気配はないが、車寅次郎がいたことがありそうな人っ子一人いない西金駅を後にして、オレも久慈川と抱き合うように歩いた。

熊が出てもおかしくない山路を下り、橋に出て対岸へ渡ると、空では隼と鴉が遭遇し、いさかいの果てに鴉は糞をタレて去り、隼は悠々と旋回する様を見せた。

古い鉄橋は時代を映し、通りがかりの者に日々歴史の重みを伝えている。
目の前に見えるのが盛金富士か。
ちょっと裾が広すぎるな。

今日は茨城にビールを飲みにきたようなもので、晴れた夕暮れ時にはどこにいても気持ちのいいものだが、こんな里山にいられる今日という日は素晴らしい。

次の水戸行きたら旅先の車寅次郎のようにひとり乗り込む。
ちょうど他には誰もいない。

後台(ごだい)駅(水郡線 茨城県)にて

常陸津田(ひたちつだ)駅(水郡線 茨城県)にて

18:51 常陸青柳(ひたちあおやぎ)駅(水郡線 茨城県)
後台駅から常陸津田駅まで40分の徒歩行。
時間的に意外に手こずった。

38号県道には代官屋敷のような門構えが散見され、僅かながら杉並木もある。
水戸藩の重役連の子孫が暮らしているのかもしれない。

打って変わってソーラーパネルを備えた廃屋も見られた。
なんという夢の跡だろう。
帰るべき持ち家を得たオレに感慨を催させる街道だった。

そして今日という日に夏の暑さをもたらした太陽が沈む。

坂道を下ると水田が広がり左に折れた丘陵上に常陸津田駅はあった。
周囲には民家があるだけで、こんな場所に駅があるのかと思わずにはいられなかった。

ビールとハンバーガーを途中のコンビニで購入していて、それを食べ終えたところで列車が到着した。
何かを書き記す時間は持てなかった。

ひと駅乗ってここ常陸青柳で降りる。
水戸までもまたひと駅の距離だが、あたりは暗く何も探し出せない。

後台から駅舎もない無人駅を3つ辿る中に水戸の夕暮れを味わった。
どの街の郊外も似たようなものだが、哀愁と旅情を感じた。
おそらく夕暮れ時じゃなかったらこの感慨もまた違ったものになっていただろう。

20:07 神立(かんだつ)駅(常磐線 茨城県)
水戸で常磐線に乗り換えて上野方面へ。

駅前通りには明かりがある。
キオスクもまだ開いている。
懐かしい町に降りたという感慨があった。
山口商店という古い雑貨屋は昭和の時代そのもので、街道とともに生きてきて駅前を照らし、きっとこれからもそうした未来を描き、続いていくであろう町。
そうであったらいいなとオレは無責任に思う。

オレの故郷は往時の面影を半分以上失くしている。

20:20 高浜(たかはま)駅(常磐線 茨城県)
ひと駅戻る。

駅舎は上りホーム側にあり、改札を抜けて外に出てみると階段になっている。
つまり駅は少しばかり高い所に位置していて、階段下にはおびただしい数の迎えの車がひしめいている。
町の灯はほぼ消えていた。
古めかしい駅前風景に好感を持つ。

上り列車がすぐにやってくる。

21:01 牛久(うしく)駅(常磐線 茨城県)
本日5本目のビールを飲む。
よく歩いた一日だった。

同僚がここ牛久から日暮里まで毎日仕事で通っている。
そんな街を旅先として設定するのもどうかと思い、牛久で降りることは後回しになっていた。

かつて暮らしていた金町によく似た駅前だった。
明かりは金町の半分にも満たないが、高層アパートが視界を塞ぐ風景に大いなる既視感があった。
ただ、歩ける範囲は狭かった。
東京のベッドタウンと言ってもいいが、牛久沼に牛久大仏と見所を持つ街で、「男はつらいよ」第34作には牛久から日本橋まで通勤する昭和の猛烈サラリーマンが登場する。
しかし彼は精神を病んで、第一線から引いていく。
山田洋次監督の価値観がよく分かる作品だった。

牛久から上野までは約1時間。
遠いとも言えるが、東京では別に珍しい話じゃない。

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