「鉄旅日記」2008年皐月【旅は京都から始まり、山陰から下関へ。そして四国へと渡ったのでございます。】初日(東京-出雲)-静岡、豊橋、京都、亀岡、福知山、上夜久野、豊岡、浜坂、鳥取、青谷、倉吉、米子、出雲市(東海道本線/山陰本線)
鉄旅日記2008年5月2日・・・静岡駅、豊橋駅、京都駅、亀岡駅、福知山駅、上夜久野駅、豊岡駅、浜坂駅、鳥取駅、青谷駅、倉吉駅、米子駅、出雲市駅(東海道本線/山陰本線)
2008・5・2 1:59 静岡(しずおか)駅(東海道新幹線/東海道本線 静岡県)
雨が上がった東海路。
今頃は東京が濡れている。
恋人が持たせてくれた芝大明神のお守りは鞄の中。
これがあってよかったと思う。
明日は満席になるであろう「ムーンライトながら」号も、今夜は平日の入り。
でも喫煙所に集まる人数は、いつでも大体あんなもの。
4:39 豊橋(とよはし)駅(東海道新幹線/東海道本線/飯田線/名鉄本線 愛知県)
お騒がせな男のせいで遅れたこの列車も、浜松で停車時間の調整が行われ、正常に戻った。
勝手知ったる豊橋の街。
懐かしさはない。
去年と同じように同じ場所でおにぎりを購入。
今朝は酒はいらない。
空が明るくなってきた。
雨上がりの街は冷気に包まれている。
三河湾はこの時間帯でも見えるものか。
6:39 岐阜駅を過ぎて
一瞬のうちに名古屋からの乗客が消えて、尾張一宮駅の煤けた駅舎の姿もまた消えて、車窓から何度も眺め、その姿に惚れていた木曽川駅舎は廃墟となっていて、木曽川を渡ると右手に岐阜城が見えてくる。
岐阜駅前の工事は終わっただろうか。
長良川を渡る。
終点の大垣が近づいてくる。
8:40 京都(きょうと)駅(東海道新幹線/東海道本線/山陰本線/奈良線/湖西線/近鉄京都線 京都府)
近江娘に目を奪われ、そして三島由紀夫の「豊饒の海」4部作。
立ちっ放しだった。
朝のラッシュ時の京都人の流れには、東京のような殺伐さはないが、山陰本線のホームに向かうオレを迎えたのは、到着した丹波人が走ってくる様だった。
京都言葉で話す少女たち。
そして記憶のアルバムに、かつて恋人と別れのキスを交わした烏丸口改札口が加わった。
9:31 亀岡(かめおか)駅(山陰本線 京都府)
京都駅を出ると右手に東山を眺める。
いつ見ても胸が熱くなる。
かつてオレがいた場所。
そしてそれからの風景を眺めた。
京都の奥座敷。
菜の花の園を見ている。
名勝保津峡を過ぎると丹波の国。
駅名の雅風はまだ消えない。
11:21 福知山(ふくちやま)駅(山陰本線/福知山線/舞鶴線/北近畿タンゴ鉄道宮福線 京都府)
園部駅は町外れにあって、かつて通った9号国道沿いの園部の賑わいはなく、古ぼけた列車は日本古来の里山風景が続く丹波盆地を往く。
まだ京都に縁があった頃に、川向うに通じる9号国道から眺めた鄙びた風景。
その風景に参加しながら、北へ向かった。
京都北都に着いた。
京都を出てから久々に現れた街。
川を渡ると城が見える。
駅舎が変貌したことは知っていた。
行き来する列車以外のすべてが新しかった。
11:52 上夜久野(かみやくの)駅(山陰本線 京都府)
9号国道の風景を覚えている。
盆地は狭まり、風景に変化が現れた。
但馬国が近い。
駅舎も持たないようなこの駅から、3名の外国人が乗ってきた。
12:52 豊岡(とよおか)駅(山陰本線/北近畿タンゴ鉄道宮津線 兵庫県)
養父、八鹿、国府。
古い町名を持つ道を進んできた。
あの堤の先には思い出の由良川が流れる。
もはや何年前のことだったか忘れた。
美味い「駅そば」だった。
格式を持つ大きな駅に、但馬色をしたディーゼル車が入線する様には誰もが郷愁を覚えるだろう。
じきに城崎温泉に着く。
城崎温泉(きのさきおんせん)駅(山陰本線 兵庫県)にて
14:25 浜坂(はまさか)駅(山陰本線 兵庫県)
竹野、香住、久谷、鎧、餘部。
右手に日本海が見え始めると車内がざわついた。
余部鉄橋からの眺めは壮観だった。
橋の下では、列車が往く様を見上げる姿がある。
海水浴と松葉ガニを売りにする港町の風情に惹かれる。
「鉄子」のコーナーがある。
浜坂駅前には枯れたような旅情がある。
小説の舞台のような風景の中をこのまま鳥取まで。
15:26 鳥取(とっとり)駅(山陰本線/因美線 鳥取県)
日本海からは徐々に離れて里山へ。
眠ってしまった。
里山から唐突に線路は高架を走り、鳥取市内に入る。
駅に降りるとあたたかかった。
「砂丘そば」美味かったよ。
そして千代川を渡り街を離れる。
駅周辺をうろついたのは4度目になるが、またしてもそっと離れる。
16:31 青谷(あおや)駅(山陰本線 鳥取県)
因州の習俗に慣れないまま「紙と海の町」へ。
美しい海に白い砂浜。
誰もいない。
ここらあたりの浜辺の砂は、「泣き砂」だと町の地図にはある。
海岸線は9号国道。
車通りの極端に少ない一帯だった。
かつてオレも2度ばかりここを通り過ぎている。
そんな記憶が蘇る。
こんなに遠くまでくれば、それも当り前だけれど。
17:08 倉吉(くらよし)駅(山陰本線 鳥取県)
確かに駅から繁華街は離れているようだ。
この街で遊ぶのなら温泉か。
歓迎三朝温泉。
駅にそうした立て看板がある。
パチンコ屋に銭湯。
駅前にあったのは潰れていた。
味わい深い駅舎だ。
街に着いたことを教えてくれる、格式のある駅舎だ。
最近の倉吉北高校はどうした?
しばらく甲子園で姿を見ていない。
子供たちは、その話す方言も含めて愛らしい。
立派に育ってほしい。
18:43 米子(よなご)駅(山陰本線/伯備線/境線 鳥取県)
山陰本線の車窓からは日本海が眺められる。
9号国道じゃ、確かああじゃなかったはずだ。
弱い西日を浴びながら伯耆の国へ。
米子へ。
大山はもう少し様子のいい山だと記憶していたが、見る角度によるのだろう。
米子に降りたのはちょうど一年前。
当時開業していなかったビジネスホテルが存在感を放っていた。
今日も街に下りる時間が持てればよかったけれど。
西国の日はなかなか沈まないが、宍道湖は判別できるだろうか。
できるとうれしい。
22:30 スーパーホテル出雲駅前513号
「豊饒の海」はまだ序盤。
小説の展開も楽しみにできる。
この旅の長さを想う。
それこそ果てしない気持ちになる。
明日の柳井到着は22時前後を見込んでいる。
ここから先へ行く人は減っていくのだろう。
がらがらの下り列車に対して、上りは混雑していた。
鳥取、米子、松江。
大舞台とまでは言わないが、かつて舞台に上がった街だ。
少し寂しい。
駅前は閑散としているが、出雲駅前の風情は気に入っている。
気持ちよく酒も飲んだ。
刺身の量も多いし、出雲そばも美味。
駅前に立つ大鳥居も素晴らしい。
出雲という国の神域の広大さを想う。
去年の「無限カノン」3部作に、今年の「豊饒の海」4部作。
旅のスタイルができた。
ひょんなことから付き合うことになった恋人を愛している。
「彼女」と表現してきた女性が別にいるけど、恋人を愛している。
関連記事
-
-
「鉄旅日記」2017年夏【私鉄王国で過ごす夏】最終日(十三-東京)その1-十三、大阪梅田、大阪、東淀川、茨木、島本、桜井の繹跡、桂川、京都(阪急電鉄宝塚本線/東海道本線)
鉄旅日記2017年8月14日・・・十三駅、大阪梅田駅、大阪駅、東淀川駅、茨木駅、島本駅/桜井の繹跡、
-
-
「鉄旅日記」2006年如月【房総半島から1週間。常磐線に乗って、下っていったのでございます。】その1-取手、土浦、勝田、阿字ヶ浦、那珂湊、日立、大津港(常磐線/茨城交通)
鉄旅日記2006年2月11日・・・取手駅、土浦駅、勝田駅、阿字ヶ浦駅、那珂湊駅、日立駅、大津港駅(常
-
-
「鉄旅日記」2008年初秋【秋になると北陸に行きたくなるものでございます。能登半島をはじめ、いくつもの終着駅へと行き着いたのでございます。】最終日(福井-東京)-福井駅前、武生新、武生、大府、武豊、知多武豊、刈谷、安城、蒲郡、東京葛飾(福井鉄道福武線/北陸本線/東海道本線/武豊線)
鉄旅日記2008年9月15日・・・福井駅前駅、武生新駅、武生駅、大府駅、武豊駅、知多武豊駅、刈谷駅、
-
-
「鉄旅日記」2021年春【大人の休日倶楽部パスで東北へ。新幹線、在来線特急乗り放題でございます。続くコロナ禍ではございますが、約半年の辛抱の時を過ぎて、天候にも苛まれながら秋田内陸縦貫鉄道に乗りに行きました。】初日(東京-米内沢)その4‐雫石、田沢湖、神代、角館(田沢湖線)
鉄旅日記2021年4月17日・・・雫石駅、田沢湖駅、神代駅、角館駅(田沢湖線) 14:50
-
-
「鉄旅日記」2014年夏【青春18きっぷで、中国ぶらぶら旅】最終日(呉-東京)-呉、広、竹原、安芸幸崎、松永、東尾道、相生、西相生、比叡山坂本、用宗、富士、沼津(呉線/山陽本線/赤穂線/湖西線/東海道本線)
鉄旅日記2014年8月17日・・・呉駅、広駅、竹原駅、安芸幸崎駅、松永駅、東尾道駅、相生駅、西相生駅
-
-
「鉄旅日記」2016年春【下北半島から東日本大震災被災地へ】最終日(石巻-東京)その2-久田野、新白河、豊原、白坂、黒磯、西那須野、那須塩原、矢板(東北本線)
鉄旅日記2016年3月21日その2・・・久田野駅、新白河駅、豊原駅、白坂駅、黒磯駅、西那須野駅、那須
-
-
「鉄旅日記」2020年初秋【時空の友を訪ねて讃州高松へ。金比羅さん、瀬戸大橋、大歩危、小歩危などを友とめぐり、義仲寺に寄り、直島に渡り、水島臨海鉄道にも乗った4日間の記録でございます。】3日目(高松)その1 ‐片原町駅、瓦町駅、高松築港駅、玉藻公園(高松城跡)、一宮寺、滝宮天満宮、滝宮駅、満濃池
車旅日記2020年9月21日・・・片原町駅、瓦町駅、高松築港駅、玉藻公園(高松城跡)、一宮寺、滝宮
-
-
「鉄旅日記」2020年晩秋【大人の休日倶楽部パスで北陸へ。新幹線、在来線特急乗り放題でございます。魚津、雨晴をめぐり、氷見線、万葉線、城端線、七尾線、えちぜん鉄道、福武線、北陸鉄道との再会でございます。】初日(東京-砺波)その2 ‐電鉄魚津、西魚津、新魚津、魚津、高岡(富山地方鉄道本線/あいの風とやま鉄道)/魚津城跡
鉄旅日記2020年11月21日・・・電鉄魚津駅、西魚津駅、新魚津駅、魚津駅、高岡駅(富山地方鉄道本
-
-
「鉄旅日記」2020年卯月【緊急事態宣言発令直前のことでございます。常磐線全線運転再開を祝して人知れず旅に出たのでございます。】初日(東京-新津)その2‐水戸、いわき、原ノ町、鹿島(常磐線)
鉄旅日記2020年4月4日・・・水戸駅、いわき駅、原ノ町駅、鹿島駅(常磐線) 7:40 水戸(みと)
-
-
「鉄旅日記」2012年夏【青春18きっぷで、福井・石川途中下車旅】初日(東京-富山)-大垣、田村、近江塩津、敦賀、越前花堂、美山、九頭竜湖、越前大野、福井、美川、金沢、津幡(東海道本線、北陸本線、越美北線)
鉄旅日記2012年8月25日・・・大垣駅、田村駅、近江塩津駅、敦賀駅、越前花堂駅、美山駅、九頭竜湖駅