*

「鉄旅日記」2017年春【近鉄に乗る日々】2日目(新大宮-大阪難波)その2-生駒、鳥居前、宝山寺、生駒山上、布施、俊徳道、JR俊徳道、河内山本、信貴山口、高安山(生駒ケーブル/奈良線/大阪線/信貴線/西信貴ケーブル)

公開日: : 最終更新日:2023/04/26 旅話, 旅話 2017年

鉄旅日記2017年3月18日
8:36 鳥居前(とりいまえ)駅(生駒ケーブル 奈良県)
車窓から生駒山が目に入った時、なんて街だと思ったよ。

聖徳太子の息子、山背大兄王が蘇我入鹿の襲撃に遭い、一族と共に果てた山。

黒岩重吾さんは「斑鳩王の慟哭」で、山背大兄王の人間性に疑問を持ち、
澤木興道さんは「禅談」で、無闇な争いが他に拡がるのを恐れた、彼の美学による最期だと説く。

近鉄タウンに奥行きは見られない。
近鉄百貨店はオープン前で、どうして時間をつぶすか考える。

麓のアーケード街を歩き、右にそれて飲み屋街へ。
新旧入り混じった店が並び、悪くない風情だった。

アーケードを抜けた先は階段になっている。
生駒山への第一歩だ。
登る時間までは考えていなかった。

ここは麓のケーブル駅。
街歩きはもういいと、発車を待っている。

生駒(いこま)駅(近鉄奈良線/近鉄生駒線/近鉄けいはんな線 奈良県)にて

生駒山

9:05 宝山寺(ほうざんじ)駅(生駒ケーブル 奈良県)
生駒山の中腹に家を購入して、ケーブル線に乗って仕事に向かう。
悪くない想像だ。

見晴らしのいい場所でそんなことを想う。

駅で下りて道のりに従って歩くと、生駒聖天宝山寺への参道につながる。

遥かに見える山下から続く道だ。

参道には旅館や土産物屋が連なり、天界にもこんな場所があったかと感動した。

よちよち歩きのちっちゃな女の子と一緒に山を登ってくる爺さんの姿があり、由緒がありそうな旅館からは若い中国人女性の姿が見られた。
あの民族は本当にあらゆる場所で見かける。

聖天様を祀る宝山寺は、清廉な道場だった。

宝山寺参道




9:44 生駒山上(いこまさんじょう)駅(生駒ケーブル 奈良県)
山上へいくケーブル線は混雑していた。
駅は到着すると乗客は散っていく。
山上遊園地はまだオープン前。
なるほど。
乗客のことごとくが職員だったわけだ。

まだオープン前の遊園地を歩く。
山頂だけあってたいして広いわけじゃない。

でも、ここはいい。
一望の下の河内平野は霞み、阿倍野ののっぽビル「あべのハルカス」が見えた。

帰りのケーブル線は空いていた。

時間があれば途中駅まで歩いて下りたかった。

生駒山頂より河内平野を望む

10:46 布施(ふせ)駅(近鉄奈良線/近鉄大阪線 大阪府)
生駒に下りて、奈良線で大阪方面に向かう。

奈良線と大阪線が交わるターミナル駅は二層構造になっていて、とても大きな駅だった。

ここは東大阪市。
繁華な街だ。
大阪らしい原色的インチキ臭さがまたいい。

この感じ、懐かしい。
大阪じゃなきゃ味わえない。

生業が掴みづらい大阪中高年が、でれっとした態度でベンチで寛いでいる。
東京じゃ見られない。
特殊な風景を形作るのは、たいていの場合人間であることが多い。

駅前アーケード街では、古内東子のこれまた懐かしいバラードを流している。

あの名曲がまるで演歌のように聞こえるコテコテ感。

圧倒されるというよりもむしろ、オレも仲間に入れてほしい。


11:10 俊徳道(しゅんとくみち)駅(近鉄大阪線 大阪府)
布施から大和八木方面に向かい1駅。
ここには布施の繁華さはない。

街とはそういうものだ。
ひとつの角を過ぎれば一変したりする。

まだ新しいJRおおさか東線の駅との間を往復してビールを開ける。

コンビニのお姉さんの対応がよかった。
愛すべき大阪人。

こうして関西弁が行き交う中に身を置いていると外国にいるような感覚になる。
ひとつの国には様々な文化が詰まっている。

少なくとも還暦まではこのままでいよう。
やっと人生が面白くなってきた。

オレが言う「大阪らしい」の根拠は定かじゃないけど、俊徳道とは大阪らしい地名だ。

JR俊徳道(じぇいあーるしゅんとくみち)駅(おおさか東線 大阪府)にて

11:36 河内山本(かわちやまもと)駅(近鉄大阪線/近鉄信貴線 大阪府)
たこ焼き、キャベツ焼き、お好み焼き。
派手な看板を掲げて街を彩っている。

縁日でもなければ、東京じゃ露天で粉物を購入して食べる文化はない。
色彩とともにこれが大阪。

駅を一周して薄暗い裏路地に目をやり、余った時間はビール。

ここから信貴山に向けて鉄路は分かれる。

信貴山でオレの脳裏に浮かぶのは戦国の悪人、松永久秀。
彼の居城が信貴山にあった。

織田信長に逆らった彼の死にざまは、爆死だったと諸書謳っている。
茶の名器を道連れにしたと記憶している。

そういう人生だった。
共感してるわけじゃない。

11:46 信貴山口(しぎさんぐち)駅(近鉄信貴線/西信貴ケーブル 大阪府)
高安山の麓。

すでに西信貴ケーブル線に乗り込んでいる。
ちいさな男の子の声が聞こえてきて顔が綻ぶ。

ここは単なる接続駅のようだ。

改札を出ると幽玄な気が漂っていたけど、石段を上がった先は単なる住宅街だった。

とても残念だが、他に記すべきものを発見できなかった。

12:10 高安山(たかやすやま)駅(西信貴ケーブル 大阪府)
こんな山の上に天智天皇は城を築こうとしたのか。

よほどに唐を恐れ、都は近江に移し、唐の軍隊が攻め寄せてきたら、山に上がってのゲリラ戦でしか対抗できないと思ったのだろう。

永久的な築城術が採られたらしい。

駆り出された民の苦しみは途方もない。

当時のことだ。
牛馬のように扱われたのだろう。

救うべきだ。
そして壬申の乱は起こった。

見事な眺望だ。
スカイツリーとどっちが上だろう。
どっちでもいいが。

駅は山の入口で、奥へはバスで上がっていくことになる。

人道もあるにはあって、惹かれた。
その道からおじさんが下りてきた。

関連記事

「車旅日記」2000年夏Part.1【信濃、飛騨、そして能登島。帰りは北陸路。この国の美しさをあらためて感じました夏旅でございます。】初日(東京‐諏訪)葛飾金町、調布駅、高尾駅、桂川ドライブイン、甲府芸術の森公園、道の駅信州蔦木宿、上諏訪

車旅日記2000年7月20日 2000・7・20 8:10 東京葛飾金町 天気は良好。 やけに

記事を読む

「鉄旅日記」2007年如月【初日天王寺、2日目奈良。宿泊地だけを決めて、心のままに移動した記録でございます。】初日(東京-草津-柘植-木津-天王寺)-東京、名古屋、大垣、米原、草津、柘植、草津、京都、木津、京橋、天王寺(東海道新幹線/東海道本線/草津線/奈良線/学研都市線/大阪環状線)

鉄旅日記2007年2月10日 2007・2・10 23:54 スーパーホテル天王寺303号室 東

記事を読む

「鉄旅日記」2018年如月【冬の町を見たくて、週末パスを買いました。】初日(東京-河口湖-新島々-長野-直江津)その1-保谷、代々木、都留市、富士山、河口湖(西武池袋線/山手線/中央本線/富士急行)

鉄旅日記2018年2月10日 2018・2・10 4:28 保谷(ほうや)駅(西武池袋線 東京都)

記事を読む

「車旅日記」2006年皐月【東京から出かける最後の車旅。関東、東北を2,265㎞走った記録でございます。】3日目(仙台-山形-大曲)その2-羽前豊里駅、真室川駅、及位駅、院内駅、湯沢駅、横手駅、後三年駅、大曲グランドホテル

車旅日記2006年5月4日 14:15 羽前豊里駅(738㎞) 駅では少女たちが待っている。

記事を読む

「鉄旅日記」2008年初秋【秋になると北陸に行きたくなるものでございます。能登半島をはじめ、いくつもの終着駅へと行き着いたのでございます。】2日目(羽咋-穴水-金沢-内灘一三国港-福井)その2-松任、小松、あわら湯のまち、三国港、福大前西福井、田原町、福井(北陸本線/えちぜん鉄道三国芦原線/福井鉄道福武線)

鉄旅日記2008年9月14日 13:03 松任(まっとう)駅(北陸本線 石川県) 金沢から3駅。

記事を読む

「鉄旅日記」2013年春【爆弾低気圧襲来日、青春18きっぷで西へ】最終日(和歌山-東京)その2-海老江、野田、吹田、摂津富田、向日町、西大路・・・(東西線、大阪環状線、東海道本線)

鉄旅日記2013年4月7日その2 海老江(えびえ)駅(東西線 大阪府)にて 新橋筋入口に

記事を読む

「鉄旅日記」2013年夏【青春18きっぷで、鹿児島県志布志へ】最終日(岩国-東京)-岩国、海田市、岡山、西大寺、播州赤穂、山科、南草津、豊橋、愛野、菊川、熱海(山陽本線、赤穂線、東海道本線)

鉄旅日記2013年8月14日 2013・8・14 4:50 岩国(いわくに)駅(山陽本線/岩徳線 

記事を読む

「鉄旅日記」2019年年始【雪が見たくて北へ向かいました。そして初めて仙台空港線に乗ったのでございます。】最終日(一ノ関-気仙沼-前谷地-石巻-仙台空港-東京)その2-本吉、柳津、前谷地、石巻、宮城野原、仙台空港(気仙沼線/石巻線/仙石線/仙台空港鉄道仙台空港線)

鉄旅日記2019年1月6日・・・本吉駅、柳津駅、前谷地駅、石巻駅、宮城野原駅、仙台空港駅(気仙沼線/

記事を読む

「鉄旅日記」2016年春【下北半島から東日本大震災被災地へ】初日(東京-下北)その2-村崎野、六原、盛岡、八戸、野辺地、下北(東北本線、いわて銀河鉄道線、大湊線)

鉄旅日記2016年3月19日その2 16:41 村崎野(むらさきの)駅(東北本線/岩手県) 一ノ

記事を読む

「鉄旅日記」2018年春【伊那谷へ。長篠へ。安曇野へ。木曽へ。青春18きっぷを握ったそんな旅でございます。】初日(東京-岡谷-長篠-飯田)その1-国立、高尾、宮田、伊那八幡、三河東郷、新城、三河一宮(中央本線/飯田線)

鉄旅日記2018年4月7日 2018・4・7 6:13 国立(くにたち)駅(中央本線 東京都)

記事を読む

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

「鉄旅日記」2019年弥生Part.3【明知鉄道、名鉄築港線。その2線に乗るために、青春18きっぷで東海道を下っていったのでございます。】最終日その2-中津川、坂下、落合川、南木曽、十二兼、洗馬、塩尻(中央本線)

鉄旅日記2019年3月24日・・・中津川駅、坂下駅、落合川駅、南木曽駅

「鉄旅日記」2019年弥生Part.3【明知鉄道、名鉄築港線。その2線に乗るために、青春18きっぷで東海道を下っていったのでございます。】最終日その1-多治見、瑞浪、明智、岩村、極楽、恵那(中央本線/明知鉄道)

鉄旅日記2019年3月24日・・・多治見駅、瑞浪駅、明智駅、岩村駅、極

「鉄旅日記」2019年弥生Part.3【明知鉄道、名鉄築港線。その2線に乗るために、青春18きっぷで東海道を下っていったのでございます。】初日その4-古虎渓、釜戸、美乃坂本、多治見(中央本線)

鉄旅日記2019年3月23日・・・古虎渓駅、釜戸駅、美乃坂本駅、多治見

「鉄旅日記」2019年弥生Part.3【明知鉄道、名鉄築港線。その2線に乗るために、青春18きっぷで東海道を下っていったのでございます。】初日その3-笠寺、熱田、熱田神宮、神宮前、大江、名古屋東港、金山(東海道本線/名鉄常滑線/名鉄築港線/名鉄名古屋本線)

鉄旅日記2019年3月23日・・・ 笠寺駅、熱田駅、神宮前駅、大江駅、

「鉄旅日記」2019年弥生Part.3【明知鉄道、名鉄築港線。その2線に乗るために、青春18きっぷで東海道を下っていったのでございます。】初日その2-西小坂井、三河三谷、愛知御津、三河安城、共和(東海道本線)

鉄旅日記2019年3月23日・・・西小坂井駅、三河三谷駅、愛知御津駅、

→もっと見る

    PAGE TOP ↑