「鉄旅日記」2017年春【近鉄に乗る日々】2日目(新大宮-大阪難波)その2-生駒、鳥居前、宝山寺、生駒山上、布施、俊徳道、JR俊徳道、河内山本、信貴山口、高安山(生駒ケーブル/奈良線/大阪線/信貴線/西信貴ケーブル)
鉄旅日記2017年3月18日
8:36 鳥居前(とりいまえ)駅(生駒ケーブル 奈良県)
車窓から生駒山が目に入った時、なんて街だと思ったよ。
聖徳太子の息子、山背大兄王が蘇我入鹿の襲撃に遭い、一族と共に果てた山。
黒岩重吾さんは「斑鳩王の慟哭」で、山背大兄王の人間性に疑問を持ち、
澤木興道さんは「禅談」で、無闇な争いが他に拡がるのを恐れた、彼の美学による最期だと説く。
近鉄タウンに奥行きは見られない。
近鉄百貨店はオープン前で、どうして時間をつぶすか考える。
麓のアーケード街を歩き、右にそれて飲み屋街へ。
新旧入り混じった店が並び、悪くない風情だった。
アーケードを抜けた先は階段になっている。
生駒山への第一歩だ。
登る時間までは考えていなかった。
ここは麓のケーブル駅。
街歩きはもういいと、発車を待っている。
生駒(いこま)駅(近鉄奈良線/近鉄生駒線/近鉄けいはんな線 奈良県)にて
生駒山
9:05 宝山寺(ほうざんじ)駅(生駒ケーブル 奈良県)
生駒山の中腹に家を購入して、ケーブル線に乗って仕事に向かう。
悪くない想像だ。
見晴らしのいい場所でそんなことを想う。
駅で下りて道のりに従って歩くと、生駒聖天宝山寺への参道につながる。
遥かに見える山下から続く道だ。
参道には旅館や土産物屋が連なり、天界にもこんな場所があったかと感動した。
よちよち歩きのちっちゃな女の子と一緒に山を登ってくる爺さんの姿があり、由緒がありそうな旅館からは若い中国人女性の姿が見られた。
あの民族は本当にあらゆる場所で見かける。
聖天様を祀る宝山寺は、清廉な道場だった。
宝山寺参道
9:44 生駒山上(いこまさんじょう)駅(生駒ケーブル 奈良県)
山上へいくケーブル線は混雑していた。
駅は到着すると乗客は散っていく。
山上遊園地はまだオープン前。
なるほど。
乗客のことごとくが職員だったわけだ。
まだオープン前の遊園地を歩く。
山頂だけあってたいして広いわけじゃない。
でも、ここはいい。
一望の下の河内平野は霞み、阿倍野ののっぽビル「あべのハルカス」が見えた。
帰りのケーブル線は空いていた。
時間があれば途中駅まで歩いて下りたかった。
生駒山頂より河内平野を望む
10:46 布施(ふせ)駅(近鉄奈良線/近鉄大阪線 大阪府)
生駒に下りて、奈良線で大阪方面に向かう。
奈良線と大阪線が交わるターミナル駅は二層構造になっていて、とても大きな駅だった。
ここは東大阪市。
繁華な街だ。
大阪らしい原色的インチキ臭さがまたいい。
この感じ、懐かしい。
大阪じゃなきゃ味わえない。
生業が掴みづらい大阪中高年が、でれっとした態度でベンチで寛いでいる。
東京じゃ見られない。
特殊な風景を形作るのは、たいていの場合人間であることが多い。
駅前アーケード街では、古内東子のこれまた懐かしいバラードを流している。
あの名曲がまるで演歌のように聞こえるコテコテ感。
圧倒されるというよりもむしろ、オレも仲間に入れてほしい。
11:10 俊徳道(しゅんとくみち)駅(近鉄大阪線 大阪府)
布施から大和八木方面に向かい1駅。
ここには布施の繁華さはない。
街とはそういうものだ。
ひとつの角を過ぎれば一変したりする。
まだ新しいJRおおさか東線の駅との間を往復してビールを開ける。
コンビニのお姉さんの対応がよかった。
愛すべき大阪人。
こうして関西弁が行き交う中に身を置いていると外国にいるような感覚になる。
ひとつの国には様々な文化が詰まっている。
少なくとも還暦まではこのままでいよう。
やっと人生が面白くなってきた。
オレが言う「大阪らしい」の根拠は定かじゃないけど、俊徳道とは大阪らしい地名だ。
JR俊徳道(じぇいあーるしゅんとくみち)駅(おおさか東線 大阪府)にて
11:36 河内山本(かわちやまもと)駅(近鉄大阪線/近鉄信貴線 大阪府)
たこ焼き、キャベツ焼き、お好み焼き。
派手な看板を掲げて街を彩っている。
縁日でもなければ、東京じゃ露天で粉物を購入して食べる文化はない。
色彩とともにこれが大阪。
駅を一周して薄暗い裏路地に目をやり、余った時間はビール。
ここから信貴山に向けて鉄路は分かれる。
信貴山でオレの脳裏に浮かぶのは戦国の悪人、松永久秀。
彼の居城が信貴山にあった。
織田信長に逆らった彼の死にざまは、爆死だったと諸書謳っている。
茶の名器を道連れにしたと記憶している。
そういう人生だった。
共感してるわけじゃない。
11:46 信貴山口(しぎさんぐち)駅(近鉄信貴線/西信貴ケーブル 大阪府)
高安山の麓。
すでに西信貴ケーブル線に乗り込んでいる。
ちいさな男の子の声が聞こえてきて顔が綻ぶ。
ここは単なる接続駅のようだ。
改札を出ると幽玄な気が漂っていたけど、石段を上がった先は単なる住宅街だった。
とても残念だが、他に記すべきものを発見できなかった。
12:10 高安山(たかやすやま)駅(西信貴ケーブル 大阪府)
こんな山の上に天智天皇は城を築こうとしたのか。
よほどに唐を恐れ、都は近江に移し、唐の軍隊が攻め寄せてきたら、山に上がってのゲリラ戦でしか対抗できないと思ったのだろう。
永久的な築城術が採られたらしい。
駆り出された民の苦しみは途方もない。
当時のことだ。
牛馬のように扱われたのだろう。
救うべきだ。
そして壬申の乱は起こった。
見事な眺望だ。
スカイツリーとどっちが上だろう。
どっちでもいいが。
駅は山の入口で、奥へはバスで上がっていくことになる。
人道もあるにはあって、惹かれた。
その道からおじさんが下りてきた。
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