*

「鉄旅日記」2013年春【青春18きっぷで、甲斐駿河途中下車旅】その1-新宿、初狩、笹子、酒折、善光寺、甲斐岩間、波高島、内船、芝川、西富士宮(中央本線、身延線)

公開日: : 最終更新日:2025/06/16 旅話, 旅話 2013年

鉄旅日記2013年3月3日その1・・・新宿駅、初狩駅、笹子駅、酒折駅、善光寺駅、甲斐岩間駅、波高島駅、内船駅、芝川駅、西富士宮駅(中央本線、身延線)

2013・3・3 5:16 新宿(しんじゅく)駅(山手線/中央線/総武線/埼京線/小田急線/京王線/東京メトロ/都営地下鉄 東京都)
あたたかい雛祭りだ。
2週間で季節は随分変わるものだ。

16分の待ち時間があったので気ままに歩いてみる。

足は中央口に向かった。
1987年12月31日。
「ばる~ん」での仕事を終えて友人と立ち寄ったあたりへと向かう。
毎年暮れが近くなると思い出す光景だ。
なぜか美しくもある。
初恋に胸を焦がしていた大人一年目の切ない頃の記憶だ。

あのあたり、中央改札口から甲州街道へと歩いていくあたりのことだが、どこがどう変わったとか分かるわけもなく、欲望の街角をいくつか曲がり駅に戻ると、当時よく聴いていた1980年代の甲斐バンドを口ずさんでいた。

7:21 初狩(はつかり)駅(中央本線 山梨県)
大和屋旅館と初狩郵便局の間を抜け甲州街道へ。

角のローソンで一服。
桂川も旅愁を脱ぎ捨て平凡な姿を晒し、脇にはブルドーザーが置かれている。

霜柱の道を寒風をまとい往く。

茂みからオレを窺っていたのは猫だった。

爽やかな朝ではある。

7:42 笹子(ささご)駅(中央本線 山梨県)
隧道の村で登山客が下りる。
たいていが初老の男たちだった。

峠の風は冷たく、山間に位置する現在の状況を見回し、これが甲州かとあらためて思う。

中央道での天井崩落事故があったのは3ヶ月前あたりか。
賛否はあるが、鎮魂の時は去り、高速で行き交う車の音は絶え間ない。

今日の甲府は東京より気温が高い予報が出ていたけれど。

酒折(さかおり)駅(中央本線 山梨県)にて

善光寺にて

9:10 善光寺(ぜんこうじ)駅(身延線 山梨県)
酒折で降りて聞こえてきたのは駅前のFMステーションからの誰かへ贈るハッピーバースデー。

車通りの多い県道を西へ行きヤマトタケル「東征伝」に登場する酒折宮を右手に過ぎると、ほどなくで善光寺通りに出る。
その先には身延線の高架が見える。
想像以上に近かった。

善光寺の赤い山門が中央本線の高架先に見える。
本堂の偉容に胸を打たれ、賽銭を投じた。

信州信濃からこの地に善光寺を移し、のちに滅びた武田一族に対してささやかに祈った。

小高い場所にある駅からは雪をかぶった南アルプスの美しい姿が見える。

10:02 甲斐岩間(かいいわま)駅(身延線 山梨県)
春の日差しに包まれた車内はあたたかく眠るのに恰好の条件を与える。

雄大な南アルプスは、車窓風景として愛でられる栄誉を他の地元の山々に譲るように姿を隠し、列車はいつしか狭隘な地を走っている。

駅前に特筆すべきものはない。

10:20 波高島(はだかじま)駅(身延線 山梨県)
2分遅れでの運行とみて支障はなさそうだ。

河原が見えてきた。
身延線の景色の中でも出色で、これから長い区間を楽しませてくれる。

駅前にはやはり何もない。

10:52 内船(うつぶな)駅(身延線 山梨県)
山梨県南巨摩郡南部町。
県境が近い。

今まで気づいていなかったが、寄り添うのは富士川か。

信玄餅の幟がはためく駅前通りには上品な構えの土産物屋とジンギスカンの看板を掲げる食事処が営業していた。

特急の停車駅でもある駅舎の天井は高く、ちょっとしたコンサートホールを思わせ、駅前通りを振り返ると南アルプスの端が覗いていた。

11:29 芝川(しばかわ)駅(身延線 静岡県)
富士宮に入り、駅横には工場の白煙が上がっている。

富士川には数多くの手が入れられ自然な姿を発見することができない。

2、3の商店が車窓から散見できたこともあり、橋まで往復5分の距離を歩く。
電気屋から聞こえてきたのはJ-WAVE。
理髪店に懐かしさを覚えた。

富士宮の地図には平維盛の墓の所在や、織田信長公首塚なるものの存在が記されていた。
土地土地に様々な伝説があるものだ。

駅舎は存在しなかったけど、春の日差しもあって、気候的にもまた人情的にもあったかそうな町だったよ。

11:57 西富士宮(にしふじのみや)駅(身延線 静岡県)
富士の裾野に広がる真っ平らな富士宮の街は白く美しかった。
夜景もさぞかし見事なことだろう。

12時の時報とともに爆竹が弾ける音が聞こえた。

西富士宮に降りるのは2度目になる。

前回あのアーケードを歩いたのは覚えている。
そのアーケードがあんなに先まで続いている記憶はなかった。
先端はまるで蜃気楼のようだった。

霊峰富士山は今日も見えない。
オレにとって近づくと見えなくなる存在として最たるものらしい。

シティホテルの1階テナントは空いていた。

関連記事

「鉄旅日記」2015年夏 3日目(鹿児島中央-西鉄柳川)その1-指宿、枕崎、入野、開聞、山川、喜入、瀬々串、慈眼寺、南鹿児島、郡元(指宿枕崎線) 【日本最南端の終着駅、枕崎までの往復旅】

鉄旅日記2015年8月14日その1・・・指宿駅、枕崎駅、入野駅、開聞駅、山川駅、喜入駅、瀬々串駅、慈

記事を読む

「鉄旅日記」2016年春 初日(東京-下北)その1-郡山、安達、苦竹、東仙台、花泉、石越(東北本線、仙石線) 【下北半島から東日本大震災被災地へ】

鉄旅日記2016年3月19日その1・・・郡山駅、安達駅、苦竹駅、東仙台駅、花泉駅、石越駅(東北本線、

記事を読む

「車旅日記」2000年春 最終日(郡山‐茂木‐下館‐東京)郡山スターホテル、新白河駅、黒羽くらしの館、茂木駅、下館駅、みつかいどうロードパーク、葛飾金町 【一年のブランクを経て、旅再開。出発場所は東京町田から、下町葛飾へと変わっております。】

車旅日記2000年5月7日 2000・5・7 8:35 郡山スターホテル510号室 最後の朝がやっ

記事を読む

「鉄旅日記」2022年新春 2日目(湯瀬温泉-三沢)その2 ‐東大館、大館、弘前(花輪線/奥羽本線) 【巨大な土偶が貼りつく木造駅を見たくて冬の東北を旅しました。】

鉄旅日記2022年1月9日・・・東大館駅、大館駅、弘前駅(花輪線/奥羽本線) 9:53 東

記事を読む

「鉄旅日記」2015年春 最終日その3(岩倉-東京)-津島、須ヶ口、神宮前、豊明、岡崎公園前、中岡崎、東岡崎、国府、豊川稲荷、豊川(名鉄津島線/名鉄本線/名鉄豊川線) 【名鉄電車2DAYフリーきっぷで行く、中京旅】

鉄旅日記2015年3月8日その3・・・津島駅、須ヶ口駅、神宮前駅、豊明駅、岡崎公園前駅、中岡崎駅、東

記事を読む

「鉄旅日記」2015年夏 2日目(新南陽-鹿児島中央)その1-新南陽、新山口、阿知須、宇部新川、小野田港、下関、八幡、陣原(山陽本線/宇部線/小野田線/鹿児島本線) 【日本最南端の終着駅、枕崎までの往復旅】

鉄旅日記2015年8月13日その1・・・新南陽駅、新山口駅、阿知須駅、宇部新川駅、小野田港駅、下関駅

記事を読む

「鉄旅日記」2019年年始 初日(東京-一ノ関)その1-金町、上野、高崎、六日町、長岡、見附(常磐線/高崎線/上越線/信越本線) 【雪が見たくて北へ向かいました。そして初めて仙台空港線に乗ったのでございます。】

鉄旅日記2019年1月5日・・・金町駅、上野駅、高崎駅、六日町駅、長岡駅、見附駅(常磐線/高崎線/上

記事を読む

「車旅日記」1996年黄金週間【友を訪ねて大阪へ。そして約束の地、金沢へ。夢を見ながら国道を走った日々でございます。】初日(東京-大阪茨木 R246→R1→名神高速)その1-町田、御殿場、道の駅富士川、静岡駅、掛川

車旅日記1996年5月3日 1996・5・3 0:36 東京町田 旅が始まる。 今はそれ以外の感慨

記事を読む

「鉄旅日記」2021年師走 最終日(古川-東京)その4 ‐立小路、赤倉温泉、村山、さくらんぼ東根(陸羽東線/奥羽本線/山形新幹線) 【特急乗り放題の大人の休日倶楽部パスで冬の国へ。山田線完全乗車と鳴子温泉郷を始めとした陸羽東線沿線を歩くことが目的でございました。】

鉄旅日記2021年12月5日・・・立小路駅、赤倉温泉駅、村山駅、さくらんぼ東根駅(陸羽東線/奥羽本

記事を読む

「鉄旅日記」2013年夏 4日目(隼人-岩国)その2-熊本、久留米、鳥栖、吉塚、長者原、古賀、東郷、赤間、幡生(鹿児島本線、山陽本線) 【青春18きっぷで、鹿児島県志布志へ】

鉄旅日記2013年8月13日その2・・・熊本駅、久留米駅、鳥栖駅、吉塚駅、長者原駅、古賀駅、東郷駅、

記事を読む

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

「鉄旅日記」2022年新春 2日目(湯瀬温泉-三沢)その3 ‐川部、五所川原、木造(五能線)/神武食堂 【巨大な土偶が貼りつく木造駅を見たくて冬の東北を旅しました。】

鉄旅日記2022年1月9日・・・川部駅、五所川原駅、木造駅(五能線)

「鉄旅日記」2022年新春 2日目(湯瀬温泉-三沢)その2 ‐東大館、大館、弘前(花輪線/奥羽本線) 【巨大な土偶が貼りつく木造駅を見たくて冬の東北を旅しました。】

鉄旅日記2022年1月9日・・・東大館駅、大館駅、弘前駅(花輪線/奥

「鉄旅日記」2022年新春 2日目(湯瀬温泉-三沢)その1 ‐湯瀬温泉、鹿角花輪、十和田南(花輪線)/和心の宿姫の湯 【巨大な土偶が貼りつく木造駅を見たくて冬の東北を旅しました。】

鉄旅日記2022年1月9日・・・湯瀬温泉駅、鹿角花輪駅、十和田南駅(

「鉄旅日記」2022年新春 初日(東京-湯瀬温泉)その3 ‐盛岡、渋民、八幡平、湯瀬温泉(IGRいわて銀河鉄道/花輪線) 【巨大な土偶が貼りつく木造駅を見たくて冬の東北を旅しました。】

鉄旅日記2022年1月8日 盛岡駅、渋民駅、八幡平駅、湯瀬温泉駅(I

「鉄旅日記」2022年新春 初日(東京-湯瀬温泉)その2 ‐竜田、原ノ町、鹿島、仙台、小牛田、一ノ関(常磐線/東北本線) 【巨大な土偶が貼りつく木造駅を見たくて冬の東北を旅しました。】

鉄旅日記2022年1月8日・・・竜田駅、原ノ町駅、鹿島駅、仙台駅、小

→もっと見る

    PAGE TOP ↑