*

「鉄旅日記」2011年夏【みちのくひとり旅】3日目(函館-鹿角花輪)-函館、木古内、湯ノ岱、江差、津軽新城、川部、深浦、能代、東能代、十和田南(江差線/津軽海峡線/奥羽本線/五能線/花輪線)

公開日: : 最終更新日:2019/08/04 旅話 * 結婚後2011年

冒険家志望のあなたへ【1話】

 

鉄旅日記2011年8月15日
2011・8・15 6:45 函館(はこだて)駅(函館本線/江差線 北海道)
天気予報は当たり、夜半に一雨あったようだ。

そこから予報は外れ、眩しい朝が訪れている。

函館山から湯の花温泉に連なる海岸線で海鳥や烏といった連中としばしたたずんだ。
あぁ、やっぱり海はいいなっ。

青森、蟹田、三厩についでこの旅で4つ目の海。
海がある街に着いたらその街の海を見に行く。
それだけは欠かさずしてきたつもりだ。

函館駅はきっと函館山を模しているとオレは見た。
路面電車が走る函館。
「男はつらいよ」第15作で車寅次郎と浅丘ルリ子さん演じるリリーが再会した街。
懐かしい気分にさせてくれる街だ。

6:53漁火街を離れる。

8:05 木古内(きこない)駅(江差線/津軽海峡線 北海道)
松前街道。
確かそう言った筈だ。

あぁ、あの時はあそこをずっと走って小樽まで行ったのだと思い出す。

当時は函館山の存在を意識していなかった。
でも今回はまだ見えるなあと眺めながら、矢沢永吉の歌がいくつか浮かんで、その中の気に入ったフレーズを繰り返し聞こえないように口ずさんでいたよ。

木古内には戊辰戦争の古戦場がいくつか残っている。
圧倒的な軍事力で押し寄せた新政府軍このあたりから上陸したのだろうか。

番屋のような構造物を街中でも見かける。
これが北海道なのだと勝手に納得して美しい沿岸の町並みを眺めていた。

そこで暮らす人々は、3月の津波の映像を見て、ただならぬ思いを持ったのではないだろうか。
それでも海辺で生きていくことを選択していく人々。
そんな思いがいつまでも希望と共に続いていってほしい。

この国はどこまでも美しい。

2015年開業予定の北海道新幹線。
新函館駅は大沼あたりに建設されるようだ。
そしてそれと同時にこの江差線は廃止される。
こうしてまた偉大な鉄道の歴史にひとつ終止符が打たれる。
とても切ないよ。

今とても美しい緑の中を走っている。
あたりに道も人の暮らしもない。

こんなところに線路を敷いていった先人に畏敬の念を覚えるとともに、それを切り捨てていく現代人に憤りを感じ、その愚かさを嘆く。

あぁ、本当に美しいよ。

8:46 湯ノ岱(ゆのたい)駅(江差線 北海道)
久々の集落。

鉄道員が二人待機していた。
やがてひととき職場を失う人たち。
あの集落はどうなっていくのか。

大自然のほんの僅かな部分だけを切り取り生きていく人々。
本来人間もそういった存在なのだろうが、それにしても屈強だ。

普段は邪魔なものでしかない電線だが、こんなところまで引いていった男たちがかつていた。

川で二人の少年が遊んでいるのを目撃した。
あるいは目の錯覚で、少年に見えたのは鳥か何かだったのかもしれないけど。

10:24 江差(えさし)駅(江差線 北海道)
江差追分流れる駅。
去りがたい思いにかられる町もまた久しぶりだ。
本当に僅かだが少しでも金を落としたくて最後にビールと煙草を買った。

江差の5月は江戸にもないと言われ、かつて繁栄を謳歌した町。
日本海側には鰊で栄えた今昔物語がある。

鴎島に渡る入江に開陽丸が係留されている。
幕末は北海道で終わった。
江差にも戊辰に戦没した将兵の墓があった。

朝食を済ますことができた。
一年の僅かな期間だけ営業しているバラックでラーメンを。

前歯の抜けたオジサンの話す方言は独特だった。
ラジオでは高校野球中継。
龍谷大平安を飲み込んだ新湊旋風が東洋大姫路の8回裏の猛攻によって止められたところだった。

中央商店街は坂の上にあった。
ホテルに飲食、スナック、和菓子屋。
廃墟になったレディースショップがあったけど、まあひとつくらいはあるだろう。

とても充実した町並みに目を見張り、心が騒いだ。
駅からは少し歩くが、鉄路の終着駅に相応しい町だった。
沿線には上ノ国を除いてめぼしい集落はないが、廃線は残念でしょうがない。

相撲どころ北海道だけあって、江差相撲場があり、松ヶ根部屋の看板がかかっていた。
太った少年をまとめて間近に見るのは初めてだ。

当初は江差に泊まる計画をたてていたけど、インターネットではヒットしなかった。

初めて北の大地に上陸した際に江差を通過した。
国道から見た江差の町。
その光景をオレは覚えていたよ。

11:55 木古内(きこない)駅(江差線/津軽海峡線 北海道)
今夜、咸臨丸まつりが行われる。

終焉140年とのこと。
勝海舟が米国に渡った船の末路を知っている者は少ない。

みそぎ浜では1月15日が祭りの日だという。
4名の屈強な若者が寒中の海に入りご神体を清める儀式だという。

その鳥居の下で2名の異人が所在無げにしていた。
右手に松前半島、左手にぼんやりと函館山。

これで満足して北の大地を離れることができる。
12時の時報が鳴っている。
ステキなメロディーだ。
夏の甲子園のテーマ曲によく似ている。

3・4・5駅前通り脇の朽ちそうな建物にスナックがいくつか点在している。
場末の風景に見える。
どこの町にも男がいて、そしてそれを待つ女がいる。

そんなふうにオレも2、3年通った店が新橋にある。
でももうそこには一昨年のクリスマス以来行っていない。

本州に戻る時間がやってきた。
海底トンネルを抜けて最初に見えた北海道は美しかった。

関門トンネルを抜けて九州の門司に初めて上陸した時の感動も思い出したよ。

14:01 青森(あおもり)駅(奥羽本線/津軽線/津軽海峡線/青い森鉄道 青森県)
青森は雨の多いところだ。

統計的にはどうか知らないが、この街でオレはよく降られる。
前回もそうだったし、その前は土砂降りだった。

今日も激しい天気雨。
雨雲の動きが不気味だ。

多くの津軽人と弘前行に乗り込んでいる。

14:07新青森着。

14:15 津軽新城(つがるしんじょう)駅(奥羽本線 青森県)
青森に降った雨はここまで届いていない。

すぐ隣に新幹線駅ができたことにも無関心に見えるよな町で数分の停車。
発展を拒んでいるかのような古い駅舎がある。
オレにはこれこそ好ましい。

これで駅前に商店のひとつでもあれば涼しげだが、そんなものはなかったよ。

14:50 川部(かわべ)駅(奥羽本線/五能線 青森県)
五能線リゾートしらかみ4号へ。
特急券510円は安いし、とても快適な車内だ。

昨日寄った浪岡で乗客の大幅な交換が行われ席を得ると、前後とも空と緑の大地しかない津軽平野に包まれた。

車窓の風景として上位にランクされてもおかしくない感動的なものだった。

川部で下りて少し歩けば平野を見渡すことができるかと思ったが叶わず、駅前にはタクシー会社があったことくらいしかもはや記憶にない。

16:30 深浦(ふかうら)駅(五能線 青森県)
津軽平野と岩木山。
素晴らしい眺めだ。

しかし隣の男は辿っていく景観に何の興味も示さない。
あれは確かに岩木山。
富士山のような形で五合目あたりから上を雲で隠していた。

あたりは暗く、ぼんやりとした見え方だったから、無口でもっさりとした大男を思わせた。
同じ四股名を持つ相撲レスラーがいるが、彼の印象とも少し違う。

鯵ヶ沢までの間、気づくと岩木山は左手に姿を移しながら、やはりぼんやりと見えていた。

所々で雨を落とし、時に黄金に輝く海を現出させ、天も忙しい。

千畳敷をはじめ名所に差し掛かるとガイドが入るリゾート号。
深浦は風待ち港として栄えたところだという。

夏空が戻った。
北の大地から今日はずっと涼しい。

16:47ウェスパ椿山着。

18:43 能代にて
やあやあ

そうかい。
そっちも毎日イベントがあって楽しそうだ。
よかったよかった。

秋田の能代って街で1時間の列車待ちなんだ。
だから歩き回ってたよ。
結構気に入った。

今この街の若者たちが甲子園で勝ち進んでいる。
能代商業ね。
バスケが強いらしい。

今日泊まるのはやっぱり秋田の鹿角って街。
十和田湖とか八幡平が近いが、歩いてはいけない。
小さい街だからな。
今夜は何を食べられるかな。
着くのは21:00頃なんだ。

むちゃくちゃ元気よ。
だいいち涼しい。

またね

18:44 能代(のしろ)駅(五能線 秋田県)
もう10年以上前に駅に寄ったことがある。
米代川はこの街で日本海に達していた。

能代商業、頑張っているじゃない。
明日は3回戦。
健闘を祈る。

能代はバスケの街を謳ってる。
能代商業、そっちでも聞いたことがある気がするよ。

柳町アーケード街は飲食店、スナックが充実している。
八幡様を挟んで金勇、魚松の二大料亭が鎮座していた。
表通りにはおそらく通りが整備された頃のままと思われるどこか懐かしい町並。

七夕祭にも誇りを持っていて、待合室でミニチュアが光ってた。

19:03 東能代(ひがしのしろ)駅(奥羽本線/五能線 秋田県)
奥羽本線の停車駅だけあって乗降は能代に勝る。
だが五能線各駅停車はここを出ると一駅目の能代が終点になる。
親分をしっかり立てているわけだ。

実際に客の流れはそうなっているのだろう。
だけどさっき能代で特急から下りたのはオレひとりだった。
本当にオレだけなのかと、思わず後ろを振り返ったよ。

隣に座った秋田美人。
色っぽかったね。

20:08 大館(おおだて)駅(奥羽本線/花輪線)
昨日の大館に戻った。
震災の影響もあるだろうが、想像以上に街は暗かったよ。

あの団地下のスナック街からは歌声が響いていた。

奥東北をゲリラ的に襲った雨雲は大館上空にはなく、オレンジ色の月が出ている。
高架下には提灯がぶら下がってて酔客が楽しそうにやっていた。

夏はどこに行っても祭だ。
だから東京を離れると夏が好きになる。

それにしてもいい月だ。
今夜はあとどれくらい付き合える?

20:50 十和田南(とわだみなみ)駅(花輪線 秋田県)
花輪線の大館発最終列車に乗っている。

月明かりに照らされた広いロータリーには人影はおろか車も止まっていない。

闇に十和田観光の看板だけを確認した。
ここで進行方向が変わる。

この路線はなかなか複雑なようだ。

大館でも思っていたのと逆の方向に動き出したんだ。
今夜の終点まであと2駅。

関連記事

「鉄旅日記」2011夏【みちのくひとり旅】2日目(秋田-函館)-秋田、男鹿、追分、八郎潟、北金岡、大館、浪岡、新青森、青森、中沢、郷沢、蟹田、三厩、五稜郭、函館(男鹿線/奥羽本線/津軽線/津軽海峡線/江差線)

冒険家志望のあなたへ【1話】   鉄旅日記2011年8月14日 2011・8

記事を読む

「鉄旅日記」2011年秋【再びみちのくひとり旅】最終日(長井-東京)-長井、荒砥、赤湯、羽前千歳、作並、東照宮、槻木、角田、福島、飯坂温泉、本宮、宇都宮、雀宮(山形鉄道/仙山線/阿武隈急行/福島交通飯坂線/東北本線)

冒険家志望のあなたへ【1話】   鉄旅日記2011年11月6日 2011・1

記事を読む

「鉄旅日記」2011年夏【みちのくひとり旅】4日目(鹿角花輪-花巻)-鹿角花輪、荒屋新町、盛岡、北上、和賀仙人、横手、大曲、角館、田沢湖、雫石、小岩井、花巻空港、新花巻、花巻(花輪線/東北本線/北上線/田沢湖線/釜石線)

冒険家志望のあなたへ【1話】   鉄旅日記2011年8月16日 2011・8

記事を読む

「鉄旅日記」2011年夏【みちのくひとり旅】最終日(花巻-東京)-花巻、平泉、一ノ関、仙台、白石、福島、郡山、矢吹、黒磯、宝積寺、古河、蓮田、西川口(東北本線)

冒険家志望のあなたへ【1話】   鉄旅日記2011年8月17日 2011・8

記事を読む

「鉄旅日記」2011年夏【みちのくひとり旅】初日(東京-秋田)-保谷、高崎、長岡、新津、新発田、村上、鼠ヶ関、酒田、上浜、秋田(西武池袋線/高崎線/上越線/信越本線/羽越本線)

冒険家志望のあなたへ【1話】   鉄旅日記2011年8月13日 2011・8

記事を読む

「鉄旅日記」2011年秋【再びみちのくひとり旅】初日(東京-長井)-保谷、宮内、柏崎、小島谷、内野、関屋、早通、豊栄、佐々木、坂町、小国、羽前小松、今泉、長井(西武池袋線/上越線/信越本線/越後線/白新線/米坂線/山形鉄道)

冒険家志望のあなたへ【1話】   鉄旅日記2011年11月5日 2011・1

記事を読む

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

「車旅日記」2004年春【旭川に下りて、思う存分に北の大地を走った旅の記録でございます】3日目(釧路-旭川)走行距離533㎞-釧路パシフィックホテル、阿寒丹頂の里、阿寒湖、足寄駅、池田駅、十勝清水駅、樹海ロード日高、夕張駅、熊追橋付近、藤田観光ワシントンホテル旭川

冒険家志望のあなたへ【1話】   車旅日記200

「車旅日記」2004年春【旭川に下りて、思う存分に北の大地を走った旅の記録でございます】2日目(紋別-釧路)走行距離367㎞その2-止別駅、緑駅、裏摩周、摩周駅、塘路駅、釧路湿原駅、細岡駅、釧路パシフィックホテル

冒険家志望のあなたへ【1話】   車旅日記200

「車旅日記」2004年春【旭川に下りて、思う存分に北の大地を走った旅の記録でございます】2日目(紋別-釧路)走行距離367㎞その1-紋別港、サロマ湖三里浜オートキャンプ場、芭露駅跡、サロマ湖ワッカ原生花園、網走市鉄道記念館、網走監獄、網走駅、北浜駅、浜小清水駅

冒険家志望のあなたへ【1話】   車旅日記200

「車旅日記」2004年春【旭川に下りて、思う存分に北の大地を走った旅の記録でございます】初日(東京-旭川-紋別)走行距離339㎞-深川駅、留萌駅、おひら鰊番屋、士別駅、にしおこっぺ花夢、紋別セントラルホテル

冒険家志望のあなたへ【1話】   車旅日記200

「鉄旅日記」2016年夏【じきに廃線を迎える留萌~増毛に用がありました】最終日(大館-東京)-大館、十和田南、荒屋新町、前沢、一ノ関、愛宕、国府多賀城、陸前山王、北白川、東白石、蒲須坂、片岡(花輪線/東北本線)

冒険家志望のあなたへ【1話】   鉄旅日記201

→もっと見る

    PAGE TOP ↑