「鉄旅日記」2011夏【みちのくひとり旅】2日目(秋田-函館)-秋田、男鹿、追分、八郎潟、北金岡、大館、浪岡、新青森、青森、中沢、郷沢、蟹田、三厩、五稜郭、函館(男鹿線/奥羽本線/津軽線/津軽海峡線/江差線)
鉄旅日記2011年8月14日・・・秋田駅、男鹿駅、追分駅、八郎潟駅、北金岡駅、大館駅、浪岡駅、新青森駅、青森駅、中沢駅、郷沢駅、蟹田駅、三厩駅、五稜郭駅、函館駅(男鹿線/奥羽本線/津軽線/津軽海峡線/江差線)
2011・8・14 5:46 秋田(あきた)駅(秋田新幹線/奥羽本線/羽越本線/男鹿線 秋田県)
秋田美人を思わせるどことなく清楚な街のたたずまい。
秋田駅をオレは覚えていたよ。
秋田市内にいるのはいつも夜だったと錯覚していたけど、正確に思い出した。
一度だけ朝にいたことがある。
象潟に泊まった翌日のことだ。
日本の道100選というのがあるそうだが、そのひとつに選ばれているお堀端広小路を約10分。
宿泊したホテル「はくと」は旭川沿いにあった。
街を流れている風を気に入った朝。
駅に着く頃には湿気がまとわりついていた。
もうじきに離れる。
心地いい眠気と共にいる。
秋田は夜も朝も人通り車通りとも少なく、ひっそりと清潔感を漂わせている。
7:12 男鹿(おが)駅(男鹿線 秋田県)
夏の陽に焼かれたかつての男鹿駅。
上空には暗雲がたれこめ、船川港には腐臭が漂い、町はいつまでも眠っていそうな気配だ。
ヤマセはここにも吹くのか?
そんな風に吹かれたよ。
酒田も男鹿も記憶と違っている。
どうしてこうも小さく見えるのか。
当時の感動が再来しないことに苛立っている。
ほんの少しだけ寂しい気持ちでいるよ。
8:02 追分(おいわけ)駅(奥羽本線/男鹿線 秋田県)
男鹿線起点駅に戻る。
折り返しの車内ではずっと眠っていた。
ここで大館行に乗り換え。
男潟、女潟を巡る散歩コースの案内に惹かれた。
完全に朝になった秋田県内。
駅には人が集まってきている。
先の信号所で交換待ち停車。
8:29 八郎潟(はちろうがた)駅(奥羽本線 秋田県)
八郎太郎の伝説の地。
よくは知らないが竜の話らしい。
東北には民話伝説の類が似合う。
広大な秋田平野の先に八郎潟が見える。
八郎潟の干拓は子供の頃に社会科の授業で習ったな。
車窓風景が素晴らしい。
8:53 北金岡(きたかなおか)駅(奥羽本線 秋田県)
商店のない駅前。
簡素な駅舎はまるで集落の中の一軒のようだった。
ご高齢のご婦人が一人下りていった。
10:33 大館(おおだて)駅(奥羽本線/花輪線 秋田県)
あの日は雨だった。
鷹ノ巣から大館に向かう国道の風景を退屈だと感じていた。
でも今日は違った。
奥羽の山河は美しかった。
しかし大館駅を降りてまたもや途方に暮れることになる。
やはり記憶との誤差に対してだ。
あの廃線跡を通るまで、実は街の記憶は記憶は消えていた。
以前も確かに通ったアーケード街。
そこにオレの用を満たす店は存在せず、すぐに引き返す。
スナック街が団地の1階を占拠していた。
変わった趣向だ。
住民はきっとおおらかなのだろう。
大館は忠犬ハチ公の故郷だという。
今でさえ遠い東京まで、よくぞはるばる上ったものだ。
知人のAさんはこの街に嫁ぎ、やがて息子のみを連れて東京に戻ってきた。
亭主の不義が原因らしいが、この街の暮らしに耐えられなかったとも聞く。
大館には毎年厳しい冬がやってくる。
こんな夏の日にもその寒さを想像することができる。
あたりの山河を見れば分かるよ。
専門的な話をするつもりはないけれど。
この駅には明日も降り立つ。
街に着くといつも夜の姿を想像するが、そんなことをしなくても明日になれば分かる。
11:53 浪岡(なみおか)駅(奥羽本線 青森県)
能代商業甲子園2回戦突破。
うれしいね。
その能代を明日通る。
津軽平野の近代的な集落で3分停車。
新しい駅舎と整備されたロータリーがそう感じさせる。
リンゴ農園には美を感じる。
あるいは岩木山も見えていたのかもしれない。
12:19 新青森(しんあおもり)駅(東北新幹線/奥羽本線 青森県)
青森手前の平野に忽然と現れた新幹線駅。
新幹線がやってきた青森にも、そのことで悩みが生じたと聞いたが、青森にとって悪い話であるわけがない。
ただ、さすがに駅前にはまだ何もなく、当然の如くすべてが新しい。
13:00 青森にて
やあ、起きたかい。
昨夜楽しかったようでなによりなにより。
北の空の下で元気に旅してます。
青森に着いたよ。
これから本州最果ての駅まで行って、ちょっと戻って、青函トンネルくぐって、そんで函館。
着くのは18:00前だよ。
そんじゃ今日も楽しんでねー。
13:32 中沢(なかさわ)駅(津軽線 青森県)
駅舎もない駅で7分停車。
オレと一緒に下りたおばあさんは難儀の末に今、最後の階段を下っていった。
田圃に囲まれた、廃屋でもあれば似合いそうな駅だった。
津軽線ではそんな駅がずっと続いている。
13:38蓬田着。
海峡の海はまだ見えない。
もし見えたら、そこには道があり、オレはかつてそこを爆走したことがある。
13:45 郷沢(ごうさわ)駅(津軽線 青森県)
ここでも数分の停車。
変わらず退屈な風景が続いている。
津軽弁を操る老人が何か大声を出した。
ひとつとして言葉を理解することはできなかった。
14:14 蟹田(かにた)駅(津軽線/津軽海峡線 青森県)
あの藤色の花の名は。
海峡の海が見え、国道とも並走しだした。
オレにとって3度目の津軽路。
さっき海を眺めた浜の名は外ヶ浜。
去年大切な出会いがあり、共に暮らし、そして今ひとりで海を見ていた。
単純に海を愛でればいいのだと思った。
以前は恋だの愛だのを間において眺めていたんだ。
こうなれてよかったよ。
ありふれた漁村の風景と名産売りの建物。
太宰治の小説「津軽」に登場する町で、食べ物の豊かなところだと書かれてた筈だ。
前回通った時に寄りたかった場所だから、今回この旅の計画を立てた時から楽しみにしていたよ。
14:26中小国発。
ここも懐かしい。
あの日は雨で、どういう理由か知らないが、車の中でラジオの野球中継を聞いている男がいた。
オレはその男の横に車を止めて、簡素な駅へと歩いていったんだ。
15:18 三厩(みんまや)駅(津軽線 青森県)
外ヶ浜街道に暮らしは続いていた。
津軽線最果てはここ三厩。
竜飛崎観光を謳っている。
ここにも義経伝説が残り、近くに義経寺がある。
平泉を逃れ、大陸に渡ったという話だろう。
太宰治「津軽」の一節を記した額がかかった駅舎は変わっていないが、もっとぼろぼろだったような気がする。
壁の塗り替えくらいはしたのかもしれない。
廃墟と化したスナックのネオンサインは現役を思わせた。
あるいは雪に埋もれると、たいていの塵埃がこそげ落ちるのだろうか。
今別に奥津軽駅として新幹線駅が誕生するという。
三厩に吹いていた風の音を記憶に残したいと思った。
蟹田まで戻り、北の大地に渡る。
18:54 五稜郭(ごりょうかく)駅(函館本線/江差線 青森県)
海底トンネルから北の大地に上陸して1時間。
函館駅から歩き始め、土方歳三最期の地に詣で、ここ五稜郭駅まで。
結局オレはこれがやりたかったようだ。
函館駅前は人でいっぱいだった。
だからとても大きな街に着いたと感じた。
今はここで暮れ行く空の下で風に吹かれている。
これはこれで粋じゃないかと思ってる。
さっきここを出ていく大阪行の超豪華特急が出ていくところに立ち会った。
土方歳三最期の地にて
19:18 函館にて
いったん函館に着いて歩き回って、今は五稜郭駅で風に吹かれている。いい風だよ。
さすがに北の大地。
涼しいぜ。
そんでまた函館駅に戻るんだ。ここでこうしているうちに夜になった。
オレ的にはとても粋な時間だったよ。
さあ、何食おう。
明日からまた頑張ってな。
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