*

「鉄旅日記」2014年春【青春18きっぷで、丹後若狭から北陸、信州へ】初日(東京-西舞鶴)その2-東雲、宮津、天橋立、豊岡、国府、和田山、梁瀬、福知山、西舞鶴(北近畿タンゴ鉄道宮津線/山陰本線)

公開日: : 最終更新日:2024/05/31 旅話, 旅話 2014年

鉄旅日記2014年3月21日その2・・・東雲駅、宮津駅、天橋立駅、豊岡駅、国府駅、和田山駅、梁瀬駅、福知山駅、西舞鶴駅(北近畿タンゴ鉄道宮津線/山陰本線)

16:51 東雲(しののめ)駅(北近畿タンゴ鉄道宮津線 京都府)
舞鶴線に乗って西舞鶴で降りる。
乗り降り自由のフリー切符を購入して、北近畿タンゴ鉄道宮津線に乗り換える。
西舞鶴にはまた夜に戻る。

ここで数分の停車。

丹後に入ると春の嵐が吹き荒れている。
雨の中をひとり外に飛び出て駅を写して戻る。

右手前方に宮津湾が覗き、いま広大な由良川と並んだ。
素晴らしい眺めに観光列車の年寄りたちが腰を浮かす。

とても愛らしい女性車掌さんの表情が豊かでよけいに愛らしい。
名所案内も親切でいい。

車窓より覗いた宮津湾

17:26 宮津(みやつ)駅(北近畿タンゴ鉄道宮津線/北近畿タンゴ鉄道宮福線 京都府)
10数分の停車。
丹後の北の街との再会。

覚えているものは特になかったが、港までの往復の道すがら、宮津へと戻ってきた旅程に満足した。
前回は回転寿司屋に入ったが、当時と同じ道を辿れた自信はないが、今日は見かけなかった。

街を歩く者の姿も見かけなかったが、かつては北海道の江差のように、江戸にもないと謳われた繁華を誇った街。
当時の繁栄はもはやないが、静謐な空気はきっと当時からのものだろう。

雨上がりだ。
特に空気は澄んでいる。



17:36 天橋立(あまのはしだて)駅(北近畿タンゴ鉄道宮津線 京都府)
数分の停車。
日本三大名勝の松林が宮津湾とともに遠ざかる。

あの橋も以前途中まで歩いたよ。
何年も前に一般国道のみを使って東京から大分、そして四国へと至ったあの壮大な旅の3日目の朝、オレはあそこにいた。

岩見重太郎仇討ちの石碑を見て、さらに丹後の奥へと車を走らせていったんだ。
最近メディアで見かける機会が多くなった伊根の舟屋群で感嘆の声を上げたのもその日のことだ。

夕暮れの駅前は暖色の灯を連ねて賑わい、駅ではホテルの迎えの人が二人競い立っていた。

列車に戻ると客が入れ替わっていて、あの美人車掌さんの姿も消えていた。

KTR宮津線。
風光明媚な路線だ。
また乗りにくるもあることだろう。

19:26 豊岡(とよおか)駅(山陰本線/北近畿タンゴ鉄道宮津線 兵庫県)
駅が新しくなっていた。
一度食したことのある「駅そば」はなくなり、真新しい橋上駅へと姿を変えていた。
いつぞやの水害の影響もあるのだろうか。

駅前風景にはおそらく変化はない。
百貨店アイティがあって、その脇にアーケード街が続いている。

駅近くで「おでん」の看板を掲げる食堂に入って、おでんと熱燗を注文する。
北国の太平洋岸に季節外れの大雪をもたらした風が但馬の国府をも冷たくしている。

テレビを見れば、列島はどこも大荒れ。
春先の大風に苛まれたのは東京も例外じゃない。

山陰本線に乗り換えて、上りの福知山方面に向かっている。
お祝い帰りの一団が近くではしゃいでいる。

19:44 国府(こくふ)駅(山陰本線 兵庫県)
数分の停車。
但馬国府は闇の中だった。

駅舎のない駅で、線路を潜るトンネルの先で恋人を待つ男の姿がぼんやりと浮かぶ。
変質者かと一瞬疑いもしたが、たんに男が立ち小便をしているのかと思った。
あちらさんもオレに対しての警戒を緩めていなかったが、オレの後ろを歩く恋人の存在を認めると、「ふにゃ」っという音がするほど、にわかに彼の体から力が抜け、やがて二人すぐに歩き去った。

20:18 和田山(わだやま)駅(山陰本線/播但線 兵庫県)
数分の停車。
5年振りに和田山に降りた。
変わっていないことに安堵した駅前風景。
ここで乗っていたほとんどの乗客が降りた。
但馬人が一日のうちに国境を越えることはそうそうないのだろう。
その事情はどこの地域でも変わらない。

旅の高速化は多くの場合、新幹線に委ねられ、鉄路は分断され、日本国中をつなぐという当初の壮大な目的は形を変えて、過疎地域が広がっていきつつある。
この国は、人口面なども含めあらゆる意味で小さくなっていく過程にあるのだろう。

久々の和田山で、こんなことを考えなくてもいいものを。

20:25 梁瀬(やなせ)駅(山陰本線 兵庫県)
数分の停車。

駅は古い民家の正面に位置していた。
駅前に商店も何もなく、思わずケータイを向けようかと思った昔懐かしい形の2階屋の家屋は売りに出されていた。

深い闇を切り裂く龍の如く銀河鉄道が往く。

21:06 福知山(ふくちやま)駅(山陰本線/福知山線/舞鶴線/北近畿タンゴ鉄道宮福線 京都府)
5年前に訪れた際の朝とは違う顔を持っていた福知山。
やはりこの街には一度泊まってみたいと思う。

去年この街から出た「プロレス界の鉄人」小橋建太が引退し、9月には水害に見舞われた。
水浸しになった京都、福知山は見るに忍びなかった。

「ドッコイセ」の掛け声があふれるであろう福知山踊りのブロンズ像の脇を通って駅へ戻る。
今日から始まったセンバツには、京都から2校が選ばれ、出場の度に応援する龍谷大平安とともに福知山成美も席を得ている。
駅には健闘を祈る横断幕が懸かっていた。京都勢が紫紺の大優勝旗を持ち帰ることをオレはもう10年以上待ち続けている。

北近畿タンゴ鉄道で宮津に戻り、西舞鶴へ向かうことを考えていたが、舞鶴線で高津から先は数時間前と同じ鉄路を辿るコースを選ぶことにした。

西舞鶴(にしまいづる)駅(舞鶴線/北近畿タンゴ鉄道宮津線 京都府)にて

22:49 西舞鶴グランドホテルヴィラ7002
ところどころ建て付けの悪い部屋に荷物を下ろした。
西舞鶴の夜は、サンモールあたりではおそらく朝まで続く。

人通りは絶えていたが、数ある飲食店に目を向けるとそれぞれ数人ずつがこじんまりと飲んでいる。
スナックの灯も多く、このホテルの本館にも進出している。

昭和に見かけた街と照明。
そういったものを探しにきたわけじゃないが、この街では落ち着いていられそうだ。
かつての軍港の風格は明日の車窓から見ることができるだろう。

忙しい3月。
でも昨日の仕事に目処がついて、自然とこの旅への道が開けた時はうれしかった。
こうして舞鶴の街で酒を飲んでいるたった今のオレから不安を抽出するのはいささか困難だが、「いろいろあるのが人生」と謳うオレにようやく訪れた男の甲斐性について考え続けている。

舞台はかつての想像の域から脱して、現実へと展開している。
頑張らなきゃな。
テレビの横に置かれた「ピーチチャンネル」番組表のカバーガールがさっきからずっとオレに笑いかけている。

かつてオレの人生に存在した京都の恋人。
「ゆうさん」と最後まで呼んでいた女性。
心の触れ合いは持てなかったけど、彼女の存在を頼りに暮らし、総括するにはまだ早いが、様々な社会の仕組みを理解できた貴重な歳月だった。
今、幸せであってほしいと心から思う。
京都との縁を取り持ってくれたことに感謝もしたい。
ツテもなく歩けるような街じゃないし、彼女と出会わなければ、京都がこうして特別な存在としてあり続けることはなかっただろう。

西舞鶴に降りたらまた雪。
でもダウンの前は閉めずに歩き、コンビニでビールを買って出てきたら、雪はやんでいて星が見えた。

関連記事

「鉄旅日記」2020年晩秋【大人の休日倶楽部パスで北陸へ。新幹線、在来線特急乗り放題でございます。魚津、雨晴をめぐり、氷見線、万葉線、城端線、七尾線、えちぜん鉄道、福武線、北陸鉄道との再会でございます。】2日目(砺波-武生)その4‐七尾、金丸、宝達、宇野気、本津幡(七尾線)

鉄旅日記2020年11月22日・・・七尾駅、金丸駅、宝達駅、宇野気駅、本津幡駅(七尾線) 1

記事を読む

「車旅日記」2004年夏【九州を一周してみよう。そう思いたった、真夏の日々でございます。】2日目(別府-阿蘇-宮崎)走行距離337㎞その1-別府日名子、大分駅、菅尾駅、三重町駅、豊後竹田駅、阿蘇駅

車旅日記2004年8月12日・・・別府日名子、大分駅、菅尾駅、三重町駅、豊後竹田駅、阿蘇駅 200

記事を読む

「鉄旅日記」2013年春【青春18きっぷで、房総途中下車旅】その1-検見川浜、大貫、保田、那古船形、富浦、安房勝山、館山、太海、江見、勝浦、行川アイランド、東浪見、御宿(京葉線、内房線、外房線)

鉄旅日記2013年3月9日その1・・・検見川浜駅、大貫駅、保田駅、那古船形駅、富浦駅、安房勝山駅、館

記事を読む

「鉄旅日記」2015年夏【日本最南端の終着駅、枕崎までの往復旅】2日目(新南陽-鹿児島中央)その1-新南陽、新山口、阿知須、宇部新川、小野田港、下関、八幡、陣原(山陽本線/宇部線/小野田線/鹿児島本線)

鉄旅日記2015年8月13日その1・・・新南陽駅、新山口駅、阿知須駅、宇部新川駅、小野田港駅、下関駅

記事を読む

「鉄旅日記」2012年初冬【週末パスで、甲信越途中下車旅】最終日(長野-東京)その1-長野、信州中野、湯田中、安茂里、戸倉、上田、別所温泉、西上田、田中(長野電鉄、信越本線、しなの鉄道、上田交通)

鉄旅日記2012年12月9日その1・・・長野駅、信州中野駅、湯田中駅、安茂里駅、戸倉駅、上田駅、別所

記事を読む

「鉄旅日記」2020年初秋【時空の友を訪ねて讃州高松へ。金比羅さん、瀬戸大橋、大歩危、小歩危などを友とめぐり、義仲寺に寄り、直島に渡り、水島臨海鉄道にも乗った4日間の記録でございます。】3日目(高松)その1 ‐片原町駅、瓦町駅、高松築港駅、玉藻公園(高松城跡)、一宮寺、滝宮天満宮、滝宮駅、満濃池

車旅日記2020年9月21日・・・片原町駅、瓦町駅、高松築港駅、玉藻公園(高松城跡)、一宮寺、滝宮

記事を読む

「鉄旅日記」2015年春【名鉄電車2DAYフリーきっぷで行く、中京旅】初日その3(東京-岩倉)-太田川、常滑、中部国際空港、上小田井、西春、岩倉(名鉄常滑線/名鉄空港線/名鉄犬山線)

鉄旅日記2015年3月7日その3・・・太田川駅、常滑駅、中部国際空港駅、上小田井駅、西春駅、岩倉駅(

記事を読む

「鉄旅日記」2015年夏【日本最南端の終着駅、枕崎までの往復旅】最終日(広島-東京)-広島、向洋、東岡山、高島、守山(山陽本線、東海道本線)

鉄旅日記2015年8月15日その2・・・広島駅、向洋駅、東岡山駅、高島駅、守山駅(山陽本線、東海道本

記事を読む

「鉄旅日記」2014年冬【フリー切符で行く、両毛ローカル旅】最終日(桐生-東京)-間藤、足尾、通洞、神戸、水沼、大間々、相老、桐生、西桐生、新里、膳、大胡、江木、中央前橋、治良門橋、三枚橋、太田(わたらせ渓谷鐵道/上毛電鉄/東武伊勢崎線)

鉄旅日記2014年12月29日・・・間藤駅、足尾駅、通洞駅、神戸駅、水沼駅、大間々駅、相老駅、桐生駅

記事を読む

「鉄旅日記」2016年夏【じきに廃線を迎える留萌~増毛に用がありました】4日目(富良野-大館)その1-富良野、滝川、岩見沢、白石、新札幌、北広島、恵庭、千歳、新千歳空港(根室本線/函館本線/千歳線/石勝線)

鉄旅日記2016年8月13日・・・富良野駅、滝川駅、岩見沢駅、白石駅、新札幌駅、北広島駅、恵庭駅、千

記事を読む

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

「鉄旅日記」2021年春【大人の休日倶楽部パスで東北へ。新幹線、在来線特急乗り放題でございます。続くコロナ禍ではございますが、約半年の辛抱の時を過ぎて、天候にも苛まれながら秋田内陸縦貫鉄道に乗りに行きました。】最終日(米内沢-東京)その1 ‐米内沢、鷹巣、鷹ノ巣、早口、秋田(秋田内陸縦貫鉄道/奥羽本線)

鉄旅日記2021年4月18日・・・米内沢駅、鷹ノ巣駅、早口駅、秋田駅

「鉄旅日記」2021年春【大人の休日倶楽部パスで東北へ。新幹線、在来線特急乗り放題でございます。続くコロナ禍ではございますが、約半年の辛抱の時を過ぎて、天候にも苛まれながら秋田内陸縦貫鉄道に乗りに行きました。】初日(東京-米内沢)その5‐比立内、阿仁合、阿仁前田温泉、合川、米内沢(秋田内陸縦貫鉄道)

鉄旅日記2021年4月17日・・・比立内駅、阿仁合駅、阿仁前田温泉駅

「鉄旅日記」2021年春【大人の休日倶楽部パスで東北へ。新幹線、在来線特急乗り放題でございます。続くコロナ禍ではございますが、約半年の辛抱の時を過ぎて、天候にも苛まれながら秋田内陸縦貫鉄道に乗りに行きました。】初日(東京-米内沢)その4‐雫石、田沢湖、神代、角館(田沢湖線)

鉄旅日記2021年4月17日・・・雫石駅、田沢湖駅、神代駅、角館駅(

「鉄旅日記」2021年春【大人の休日倶楽部パスで東北へ。新幹線、在来線特急乗り放題でございます。続くコロナ禍ではございますが、約半年の辛抱の時を過ぎて、天候にも苛まれながら秋田内陸縦貫鉄道に乗りに行きました。】初日(東京-米内沢)その3‐梅ヶ沢、一ノ関、盛岡、小岩井(東北本線/東北新幹線/田沢湖線)

鉄旅日記2021年4月17日・・・梅ヶ沢駅、一ノ関駅、盛岡駅、小岩井

「鉄旅日記」2021年春【大人の休日倶楽部パスで東北へ。新幹線、在来線特急乗り放題でございます。続くコロナ禍ではございますが、約半年の辛抱の時を過ぎて、天候にも苛まれながら秋田内陸縦貫鉄道に乗りに行きました。】初日(東京-米内沢)その2‐小牛田、瀬峰、田尻、新田(東北本線)/伊豆沼

鉄旅日記2021年4月17日・・・小牛田駅、瀬峰駅、田尻駅、新田駅(

→もっと見る

    PAGE TOP ↑