*

「鉄旅日記」2014年春 初日(東京-西舞鶴)その1-西岐阜、京都、二条、日吉、胡麻、下山、和知、綾部、高津(東海道本線/山陰本線) 【青春18きっぷで、丹後若狭から北陸、信州へ】

公開日: : 最終更新日:2025/06/06 旅話, 旅話 2014年

鉄旅日記2014年3月21日その1・・・西岐阜駅、京都駅、二条駅、日吉駅、胡麻駅、下山駅、和知駅、綾部駅、高津駅(東海道本線/山陰本線)

2014・3・21 11:54 西岐阜(にしぎふ)駅(東海道本線 岐阜県)
列車の遅れもなく、初日の計画は順調に推移している。

ただひとつ。
池袋駅でいつものように西武線改札から駆けて4:53発の山手線外回りに乗る際、すでに到着した該当列車から下車した人々がぞろぞろと階段を下りてくるところに出くわし、焦って駆け上がろうとしたら腰が抜けるような感触と痛みを味わいながら、どうにか間に合うことができたという一幕があった。
体に不安を感じることはもちろん初めてじゃないが、できると確信していたことにケチがついたのは初めてで、心に暗い影が生じた。
今回も僅かな停車時間を利用して駅に降りていく計画をいくつも予定している・・・。

東京、沼津、静岡、浜松、豊橋で乗り換えて、新快速大垣行きに乗り、西岐阜駅に下りる。
途中の三河の空は広く、さらにその前の行路では目の覚めるような遠州美人が目の前に立った。

去年の爆弾低気圧を凌駕するような強風が吹き荒れている。
空はよく晴れているが、時折どこかの町を濡らしてきたであろう雨粒の一団が流れてきて、ここ西岐阜をも濡らす。
美濃人は寒さに震え、列車は遅れている。

駅周辺に田舎臭さはないが、特に目を引くものもない。
便所の鏡に映った顔には疲労と鼻クソが張りついていた。

13:57 京都(きょうと)駅(東海道新幹線/東海道本線/山陰本線/奈良線/湖西線/近鉄京都線 京都府)
大垣で乗り継いで、米原じゃ雪。新快速姫路行きに乗り換える。

京の都には薄日が差したが、風は冷たい。
前を行く女性にかつてこの街で出会った恋人の面影を見ながら改札口へ。
2001年の宵々々山の日には、別れ際にあの改札を跨いで唇を重ねた。

京都駅と京都タワー。
シャッターを押しているうちに僅かな滞在時間は暮れた。
京都に近づくにつれて、あの時代が自然に浮かんでくる。

京都駅に到着すると、降り立つ度に「帰ってきた」という感覚を伴った当時のときめきを思い出した。
ただしあの頃オレが降り立っていたホームは在来線ではなく、高い場所にある新幹線ホームだったよ。

山陰本線に乗り換えて丹波路へ。




14:12 二条(にじょう)駅(山陰本線 京都府)
東山へ碁盤の目状に街が続く様が見える。
京都・・・いい街だ。

かつて車で寄ったことがある二条駅。
モダンかつ古都の持つ上品さを表した木組みの和傘に包まれた二条駅。
駅前通りに出るくらいの時間しかなかったが、いいよ。
あの時代にはずいぶん街を歩いた。
でも懐かしいな。

夏が来たら、また帰ってこようか。

14:56 日吉(ひよし)駅(山陰本線 京都府)
数分の停車。
保津川の濁流は緑を帯び、鄙びた景色が9号国道に沿って続いている。
丹波路には名残り雪。
列車の中からじゃ横殴りに降っている。

2分の停車時間はやはり短く、列車に戻る手前で駅構内の踏切に阻まれた。
発車には間に合わないかと観念しかけたが、「バーが下りたら押して出るべし」との注意書きに気づき、戻った。
待たせてしまって申し訳ないことをしたよ。

15:07 胡麻(ごま)駅(山陰本線 京都府)
数分の停車。
お年寄りと子供の一団とともに改札へ向かう。
多目的ホールを兼ねる駅では軽食を摂る人の姿も見える。

丹波の名残り雪は霰となり音を立てて降っている。
そしてすぐに雲は流れ日差しが漏れる。
冬には暮らしも景色も険しい丹波路を、列車は分け入っていく。

15:19 下山(しもやま)駅(山陰本線 京都府)
数分の停車。
駅前には理髪店が一軒。
店先の時計は正確に時を刻んでいた。
自動販売機横の灰皿には心が揺れた。
でも時間がない。

随分と高地を走っている。
さっき渡った鉄橋を見渡す眺めはさぞかし壮観だろう。

春の風は冷たい。
そしてこの風を覚えている。
雪の気配が濃厚な地域でかつて浴びたことがある。
あるいは春の最中だったかもしれない。

15:31 和知(わち)駅(山陰本線 京都府)
数分の停車。
立派な駅に降りた。
駅前には大きな料理旅館があり、駅にはちょっとした土産も売る軽喫茶が併設されている。
そして「歓迎」の看板。
近くに温泉場でもあるのだろうか。

乗降客ともにそこそこの数が見られた。
車内で聞こえるのんびりとした京都弁に羨ましさを覚える。

15:56 綾部(あやべ)駅(山陰本線/舞鶴線 京都府)
10分ほどの停車。
街に降りた。
ここは舞鶴線との分岐駅になる。

近くを走る8号県道には街の匂いがあり、ビジネスホテルに、居酒屋は2軒を数え、栄温泉の看板。
正直言うともう少し繁華な様を思い描いていたが、春雨の似合うこじんまりとした北の街だった。

16:03 高津(たかつ)駅(山陰本線/舞鶴線 京都府)
高津八幡宮を擁する駅に駅舎はなく、こんな空の下では寂しさを覚える駅だった。

目の前に川堤が無愛想に横たわっている。
綾部福知山間は複線化されていて、上りの客は下りに比べて多い。

ここで上りに乗り換えて再び綾部へ。
広い空にアイグレーの雲がゆっくりと流れ、気紛れに雨粒を落としていく。
舞鶴線で西舞鶴に向かっている。

関連記事

「鉄旅日記」2020年盛夏 最終日(門司港-東京)その3‐宇部、富海、福川、戸田(山陽本線)/富海海岸 【コロナ禍の内緒旅VOl.2。宮島へ。錦帯橋へ。筑豊へ。島原へ。千綿駅へ。そして若松~戸畑の渡船。日本晴れの4日間の記録でございます。】

鉄旅日記2020年8月16日・・・宇部駅、富海駅、福川駅、戸田駅(山陽本線)/富海海岸 8:

記事を読む

「鉄旅日記」2019年弥生Part.3 最終日(多治見-東京)その1-多治見、瑞浪、明智、岩村、極楽、恵那(中央本線/明知鉄道) 【明知鉄道、名鉄築港線。その2線に乗るために、東海道を下っていったのでございます。】

鉄旅日記2019年3月24日・・・多治見駅、瑞浪駅、明智駅、岩村駅、極楽駅、恵那駅(中央本線/明知鉄

記事を読む

「鉄旅日記」2017年秋 その3-腰越、江ノ島、湘南江の島、片瀬江ノ島、新宿(江ノ島電鉄/小田急電鉄江ノ島線)/龍ノ口寺 【湘南へ向かう休日。江ノ電に乗りに行ったのでございます。】

鉄旅日記2017年11月12日・・・腰越駅、江ノ島駅、湘南江の島駅、片瀬江ノ島駅、新宿駅(江ノ島電鉄

記事を読む

「鉄旅日記」2018年春 初日(東京-飯田)その2-野田城、長篠城、大海、三河大野、浦川、門島、桜町、飯田(飯田線) 【伊那谷へ。長篠へ。安曇野へ。木曽へ。青春18きっぷを握ったそんな旅でございます。】

鉄旅日記2018年4月7日・・・野田城駅、長篠城駅、大海駅、三河大野駅、浦川駅、門島駅、桜町駅、飯田

記事を読む

「鉄旅日記」2013年春【青春18きっぷで、甲斐駿河途中下車旅】その2-源道寺、入山瀬、下部温泉、塩之沢、甲斐常葉、市川大門、甲府、新府、穴山、東山梨、東所沢(身延線、中央本線、武蔵野線)

鉄旅日記2013年3月3日その2・・・源道寺駅、入山瀬駅、下部温泉駅、塩之沢駅、甲斐常葉駅、市川大門

記事を読む

「鉄旅日記」2019年弥生Part.1 最終日(紀伊田辺-東京)その2-吉野口、高田、畝傍、桜井、柳本(和歌山線/桜井線) 【和歌山電鐵に乗るために、青春18きっぷで紀伊半島一周を思い立ったのでございます。】

鉄旅日記2019年3月3日・・・吉野口駅、高田駅、畝傍駅、桜井駅、柳本駅(和歌山線/桜井線) 10

記事を読む

「鉄旅日記」2019年長月 最終日(宮古-東京)その3‐白石、郡山、黒磯、宇都宮(東北本線) 【三陸鉄道、八戸線に乗りにいきました。区界、吉里吉里など、駅旅の者として見過ごせない駅にも寄りましてございます。】

鉄旅日記2019年9月23日・・・白石駅、郡山駅、黒磯駅、宇都宮駅(東北本線) 15:49 白石(

記事を読む

「鉄旅日記」2016年夏 最終日(大館-東京)-大館、十和田南、荒屋新町、前沢、一ノ関、愛宕、国府多賀城、陸前山王、北白川、東白石、蒲須坂、片岡(花輪線/東北本線) 【じきに廃線を迎える留萌~増毛に用がありました】

鉄旅日記2016年8月13日・・・大館駅、十和田南駅、荒屋新町駅、前沢駅、一ノ関駅、愛宕駅、国府多賀

記事を読む

「車旅日記」2000年夏Part.2 2日目(琵琶湖志賀-福山)桂川PA、三木SA、白鳥PA、篠坂PA、芦田川畔 【友を訪ねて備後福山へ。長門宇部へ。2000㎞に及ぶ長大な旅路でございました。】

車旅日記2000年8月13日・・・桂川PA、三木SA、白鳥PA、篠坂PA、芦田川畔 2000・8・

記事を読む

「鉄旅日記」2009年秋-川口、浦和、深谷、倉賀野、寄居、東飯能、飯能、寒川、茅ヶ崎、辻堂、新橋(京浜東北線/高崎線/八高線/相模線/東海道本線)【関東ぶらぶら旅その2-武蔵から相模へ】

鉄旅日記2009年10月27日・・・川口駅、浦和駅、深谷駅、倉賀野駅、寄居駅、東飯能駅、飯能駅、寒川

記事を読む

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

「鉄旅日記」2022年水無月 初日(東京-中山平温泉)その1 ‐金町、石岡、友部、水戸(常磐線)【鳴子温泉郷の湯を求めての旅でございます。】

鉄旅日記2022年6月11日・・・金町駅、石岡駅、友部駅、水戸駅(常

「鉄旅日記」2022年皐月 ツレと訪ねた下部温泉~富士宮~田子の浦旅でございます。最終日(下部温泉-東京) ‐下部温泉、波高島、身延、甲斐大島、内船、西富士宮、富士宮、東田子の浦(身延線/東海道本線)/富士浅間神社【Facbookへの投稿より振り返ります。】

鉄旅日記2022年5月29日・・・下部温泉駅、波高島駅、身延駅、甲斐

「鉄旅日記」2022年皐月 ツレと訪ねた下部温泉~富士宮~田子の浦旅でございます。初日(東京-下部温泉) ‐市川大門、下部温泉(身延線)【Facbookへの投稿より振り返ります。】

鉄旅日記2022年5月28日・・・市川大門駅、下部温泉駅(身延線)

「鉄旅日記」2022年皐月 最終日(磐梯熱海-東京)その3 ‐駒形、前橋大橋、高崎、本庄(両毛線/高崎線)【日光線全駅乗降を果たし、猪苗代湖畔に遊び、磐梯熱海の湯につかり、国定忠治を訪ねた旅でございます。】

鉄旅日記2022年5月8日・・・駒形駅、前橋大島駅、高崎駅、本庄駅(

「鉄旅日記」2022年皐月 最終日(磐梯熱海-東京)その2 ‐国定(両毛線)/国定忠治墓(養寿寺)【日光線全駅乗降を果たし、猪苗代湖畔に遊び、磐梯熱海の湯につかり、国定忠治を訪ねた旅でございます。】

鉄旅日記2022年5月8日・・・国定駅(両毛線)/国定忠治墓(養寿寺

→もっと見る

    PAGE TOP ↑