「鉄旅日記」2014年春 初日(東京-西舞鶴)その1-西岐阜、京都、二条、日吉、胡麻、下山、和知、綾部、高津(東海道本線/山陰本線) 【青春18きっぷで、丹後若狭から北陸、信州へ】
鉄旅日記2014年3月21日その1・・・西岐阜駅、京都駅、二条駅、日吉駅、胡麻駅、下山駅、和知駅、綾部駅、高津駅(東海道本線/山陰本線)
2014・3・21 11:54 西岐阜(にしぎふ)駅(東海道本線 岐阜県)
列車の遅れもなく、初日の計画は順調に推移している。
ただひとつ。
池袋駅でいつものように西武線改札から駆けて4:53発の山手線外回りに乗る際、すでに到着した該当列車から下車した人々がぞろぞろと階段を下りてくるところに出くわし、焦って駆け上がろうとしたら腰が抜けるような感触と痛みを味わいながら、どうにか間に合うことができたという一幕があった。
体に不安を感じることはもちろん初めてじゃないが、できると確信していたことにケチがついたのは初めてで、心に暗い影が生じた。
今回も僅かな停車時間を利用して駅に降りていく計画をいくつも予定している・・・。
東京、沼津、静岡、浜松、豊橋で乗り換えて、新快速大垣行きに乗り、西岐阜駅に下りる。
途中の三河の空は広く、さらにその前の行路では目の覚めるような遠州美人が目の前に立った。
去年の爆弾低気圧を凌駕するような強風が吹き荒れている。
空はよく晴れているが、時折どこかの町を濡らしてきたであろう雨粒の一団が流れてきて、ここ西岐阜をも濡らす。
美濃人は寒さに震え、列車は遅れている。
駅周辺に田舎臭さはないが、特に目を引くものもない。
便所の鏡に映った顔には疲労と鼻クソが張りついていた。

13:57 京都(きょうと)駅(東海道新幹線/東海道本線/山陰本線/奈良線/湖西線/近鉄京都線 京都府)
大垣で乗り継いで、米原じゃ雪。新快速姫路行きに乗り換える。
京の都には薄日が差したが、風は冷たい。
前を行く女性にかつてこの街で出会った恋人の面影を見ながら改札口へ。
2001年の宵々々山の日には、別れ際にあの改札を跨いで唇を重ねた。
京都駅と京都タワー。
シャッターを押しているうちに僅かな滞在時間は暮れた。
京都に近づくにつれて、あの時代が自然に浮かんでくる。
京都駅に到着すると、降り立つ度に「帰ってきた」という感覚を伴った当時のときめきを思い出した。
ただしあの頃オレが降り立っていたホームは在来線ではなく、高い場所にある新幹線ホームだったよ。
山陰本線に乗り換えて丹波路へ。





14:12 二条(にじょう)駅(山陰本線 京都府)
東山へ碁盤の目状に街が続く様が見える。
京都・・・いい街だ。
かつて車で寄ったことがある二条駅。
モダンかつ古都の持つ上品さを表した木組みの和傘に包まれた二条駅。
駅前通りに出るくらいの時間しかなかったが、いいよ。
あの時代にはずいぶん街を歩いた。
でも懐かしいな。
夏が来たら、また帰ってこようか。

14:56 日吉(ひよし)駅(山陰本線 京都府)
数分の停車。
保津川の濁流は緑を帯び、鄙びた景色が9号国道に沿って続いている。
丹波路には名残り雪。
列車の中からじゃ横殴りに降っている。
2分の停車時間はやはり短く、列車に戻る手前で駅構内の踏切に阻まれた。
発車には間に合わないかと観念しかけたが、「バーが下りたら押して出るべし」との注意書きに気づき、戻った。
待たせてしまって申し訳ないことをしたよ。

15:07 胡麻(ごま)駅(山陰本線 京都府)
数分の停車。
お年寄りと子供の一団とともに改札へ向かう。
多目的ホールを兼ねる駅では軽食を摂る人の姿も見える。
丹波の名残り雪は霰となり音を立てて降っている。
そしてすぐに雲は流れ日差しが漏れる。
冬には暮らしも景色も険しい丹波路を、列車は分け入っていく。

15:19 下山(しもやま)駅(山陰本線 京都府)
数分の停車。
駅前には理髪店が一軒。
店先の時計は正確に時を刻んでいた。
自動販売機横の灰皿には心が揺れた。
でも時間がない。
随分と高地を走っている。
さっき渡った鉄橋を見渡す眺めはさぞかし壮観だろう。
春の風は冷たい。
そしてこの風を覚えている。
雪の気配が濃厚な地域でかつて浴びたことがある。
あるいは春の最中だったかもしれない。

15:31 和知(わち)駅(山陰本線 京都府)
数分の停車。
立派な駅に降りた。
駅前には大きな料理旅館があり、駅にはちょっとした土産も売る軽喫茶が併設されている。
そして「歓迎」の看板。
近くに温泉場でもあるのだろうか。
乗降客ともにそこそこの数が見られた。
車内で聞こえるのんびりとした京都弁に羨ましさを覚える。

15:56 綾部(あやべ)駅(山陰本線/舞鶴線 京都府)
10分ほどの停車。
街に降りた。
ここは舞鶴線との分岐駅になる。
近くを走る8号県道には街の匂いがあり、ビジネスホテルに、居酒屋は2軒を数え、栄温泉の看板。
正直言うともう少し繁華な様を思い描いていたが、春雨の似合うこじんまりとした北の街だった。

16:03 高津(たかつ)駅(山陰本線/舞鶴線 京都府)
高津八幡宮を擁する駅に駅舎はなく、こんな空の下では寂しさを覚える駅だった。
目の前に川堤が無愛想に横たわっている。
綾部福知山間は複線化されていて、上りの客は下りに比べて多い。
ここで上りに乗り換えて再び綾部へ。
広い空にアイグレーの雲がゆっくりと流れ、気紛れに雨粒を落としていく。
舞鶴線で西舞鶴に向かっている。

関連記事
-
-
「鉄旅日記」2020年盛夏 2日目(防府-肥前鹿島)その5‐筑豊直方、直方、筑前大分、城戸南蔵院前、柚須(筑豊電気鉄道/筑豊本線/篠栗線) 【コロナ禍の内緒旅VOl.2。宮島へ。錦帯橋へ。筑豊へ。島原へ。千綿駅へ。そして若松~戸畑の渡船。日本晴れの4日間の記録でございます。】
鉄旅日記2020年8月14日・・・筑豊直方駅、直方駅、筑前大分駅、城戸南蔵院前駅、柚須駅(筑豊電気
-
-
「鉄旅日記」2006年如月 その2-勿来、いわき(常磐線) 【房総半島から1週間。常磐線に乗って、下っていったのでございます。】
鉄旅日記2006年2月11日・・・勿来駅、いわき駅(常磐線) 2006・2・11 いわき東急イン6
-
-
「鉄旅日記」2018年神無月 2日目(越前大野-福井-米原-名古屋-松本)その1-越前大野、南今庄、敦賀、武並(越美北線/北陸本線/東海道本線/中央本線) 【北陸へ。信州へ。友を訪ねての巡礼旅でございます】
鉄旅日記2018年10月7日・・・越前大野駅、南今庄駅、敦賀駅、武並駅(越美北線/北陸本線/東海道本
-
-
「鉄旅日記」2020年弥生 最終日(速星-東京)その2‐猪谷、高山、久々野、古井、美濃川合(高山本線/太多線)/今渡ダム【富山地方鉄道に乗りにまいりました。太多線、高山本線に乗るのも楽しみにしていたのでございます。】
鉄旅日記2020年3月22日・・・猪谷駅、高山駅、久々野駅、古井駅、美濃川合駅(高山本線/太多線)/
-
-
「鉄旅日記」2022年弥生vol.1 最終日(熱海-東京)その2 ‐茅ヶ崎、南橋本、上溝、橋本(相模線) 【金沢シーサイドライン、根岸線、湘南モノレール、横須賀線、大雄山線、鶴見線、南武線etc.駅旅人本領発揮の旅でございます。】
鉄旅日記2022年3月6日・・・茅ヶ崎駅、南橋本駅、上溝駅、橋本駅(相模線) 11:03&n
-
-
「鉄旅日記」2021年師走 初日(東京-古川)その2 ‐水沢江刺、盛岡、上米内(東北新幹線/山田線)【特急乗り放題の大人の休日倶楽部パスで冬の国へ。山田線完全乗車と鳴子温泉郷を始めとした陸羽東線沿線を歩くことが目的でございました。】
鉄旅日記2021年12月4日・・・水沢江刺駅、盛岡駅、上米内駅(東北新幹線/山田線) 9:4
-
-
「鉄旅日記」2022年弥生vol.1 初日(東京-熱海)その2 ‐八景島、金沢八景、杉田、新杉田(金沢シーサイドライン/京浜急行本線) 【根岸線、湘南モノレール、横須賀線、大雄山線、鶴見線、南武線etc.駅旅人本領発揮の旅でございます。】
鉄旅日記2022年3月5日・・・八景島駅、金沢八景駅、杉田駅、新杉田駅(金沢シーサイドライン/京浜
-
-
「鉄旅日記」2019年霜月 2日目(五所川原-北上)その3‐黒石、弘前、津軽新城、青森(弘南鉄道弘南線/奥羽本線) 【津軽鉄道、弘南鉄道に乗りにいきました。羽州街道を歩いた晩秋の旅でございます。】
鉄旅日記2019年11月3日・・・黒石駅、弘前駅、津軽新城駅、青森駅(弘南鉄道弘南線/奥羽本線)
-
-
「車旅日記」2003年夏 2日目(札幌-北見)走行距離431㎞ -岩見沢駅、砂川駅、旭川駅、白滝PA、遠軽駅、サロマ湖、網走刑務所、網走駅、北見東急イン 【北海道初上陸。2,300㎞を移動した5日間の記録でございます。】
鉄旅日記2003年8月14日・・・岩見沢駅、砂川駅、旭川駅、白滝PA、遠軽駅、サロマ湖、網走刑務所、
-
-
「車旅日記」2000年夏Part.2【友を訪ねて備後福山へ。長門宇部へ。2000㎞に及ぶ長大な旅路でございました。】最終日(東京町田-東京葛飾)
車旅日記2000年8月16日 2000・8・16 23:09 東京葛飾金町 旅が終わってほっとして
