「鉄旅日記」2019年如月【週末パスで東京から伊豆。そして上州、信州へ。友人は言ったものでございます。何気に大層な移動距離だと。】初日(東京-安中)その2-伊豆急下田、伊豆高原、橋本、八王子、東福生、福生、拝島(伊豆急行線/横浜線/八高線/青梅線)
鉄旅日記2019年2月9日・・・伊豆急下田駅、伊豆高原駅、橋本駅、八王子駅、東福生駅、福生駅、拝島駅(伊豆急行線/横浜線/八高線/青梅線)
11:59 伊豆急下田(いずきゅうしもだ)駅(伊豆急行線 静岡県)
駅前の記憶はいい加減なものだった。
このような駅前だったか。
初めて降りたような気持ちにさせてくれる姿だった。
寝姿山ロープウェーには確か乗ったはずだが、30年前の記憶だ。
正確性には期待していない。
その後も何度か降りたけど、どれも古い記憶。
巨大なエビフライを出してくれた食堂は、どのあたりにあるのだろう。
この街じゃ有名な店だと聞いていた。
ペリーロードも吉田松陰の道も、また今度。
運河をしばらく歩き、駅に戻った。
南の終着駅は賑わい、冷たい風は消えて、雪雲がかかる予報はどうなったのか知らないが、外には光さえ感じられる。
彼女からは東京に雪が落ちてきたとメッセージが届いた。
13:19 伊豆高原(いずこうげん)駅(伊豆急行線 静岡県)
かつて伊豆高原と名のついたリゾート小屋に当時の仲間と泊まったことがある。
この駅や一帯を見渡す丘の上だった。
細部はもはや覚えていない。
そうした団体行動に限りない魅力を感じていた20歳代。
誰がそこにいたのか。
正確なものは脳が捨て去ってしまった。
伊豆はリゾート地。
仲間で向かうべき土地だった。
そんな過去を生きて、こうしてひとり。
今じゃこっちが性に合っている。
下り列車の遅れにより10分の停車が短縮され、さらに遅れての出発。
天は雨を寄越すが、雪にはならない。
気象庁は土地柄を読み違えたようだ。
通路に並んだひな飾りを横目に駅を写し、ウイスキーハイボールを追加購入して、オーシャンビューのリゾート号に戻る。
各駅停車の列車に、このような豪華客車を投入する伊豆急行の奮闘に敬意を。
16:04 橋本(はしもと)駅(横浜線/相模線/京王電鉄相模原線 神奈川県)
熱海、茅ヶ崎と乗り継ぎ、相模線で橋本へ。
都心近くでは雨に変わったと聞いた雪は、降り積もるようには見えないが、夕方の冷気を得て勢いを増したように見える。
およそ20年前にほぼ隔週でサッカーをしに通っていた橋本。
行く度に何かが増えていく街だった。
最後に降りてからは10年以上の歳月が流れている。
街は完成していて、駅構内の店先から一歩外へと踏み出した光景のすべてが見覚えのないものに変わっていた。
16:27 八王子(はちおうじ)駅(中央本線/横浜線/八高線 東京都)
草木の上が雪で白くなりつつある。
たくさんの子供たちの愛らしい姿があふれた八王子駅構内。
心をほころばせながら歩いた。
喧騒から距離を置いた南口のたたずまいに、かつての駅が持っていたほどよい人波を思い出して、降りしきる雪の中でスマホを構えた。
こんな日に、一年前まで暮らしていた家ではどうしているかと、ふと思う。
雪は勢いを増したようで、降り積もるのはこれからなのかと思いを新たにする。
八王子を書いたのは何年前だったか。
高校時代に八王子の出で肌の合わない級友がいて、彼から受けた印象がオレの目に余計なフィルターをかぶせ、この街を見る羽目になった。
そんなことを書いた。
その該当人物と去年の同窓会で再会して、固い握手を交わした。
ティーンエイジャーだった二人は共に50歳のオッサンになっていた。
八王子でもう少し時間をとれていたらよかった。
16:50 東福生(ひがしふっさ)駅(八高線 東京都)にて
17:08 福生(ふっさ)駅(青梅線 東京都)
寂しい駅に降りた。
20分ほど前の東福生駅のことだ。
駅舎はなく、雪を遮る上屋に壁はなく、凍えた待ち人は背中を丸めて小さくなっている。
かつて旅の途中に寄ったこともあり、懐かしくて降りてみたが、あれは確か夏。
車を止めてしばらくそこにいたのだろう。
福生という街と、青梅線福生駅周辺に興味があり、徒歩で往復するつもりでいた。
でも福生の街は思いのほか大きく、この街を見た後にあの寂しい東福生駅に戻って列車を待つことに疑問を感じて、拝島に戻る青梅線に乗った。
ビールを飲むなら拝島の方がいい。
米軍キャンプがある福生の歓楽街の色は独特だった。
福生に降りるのならば感じてみたい感覚がこれだと思い当たる。
米兵の姿は見えない。
件の女友達は、少し前に横田基地内のハーフマラソン大会に参加している。
これも縁と言えば縁になる。
17:31 拝島(はいじま)駅(青梅線/五日市線/八高線/西武拝島線 東京都)
私鉄を含めて4線が交わる大鉄道駅に降りるのもまた一年振りになる。
あれは今暮らしている金町のアパートを見つけに行った日になるだろうか。
もはやすべてが定かではない。
西武線側の出口はロータリーとコンビニがあるだけで明かりは少ない。
コンビニの先に単線のレールが敷かれていて踏切がある。
この線路は米軍横田基地内に続いている。
思えば拝島との縁を遡れば40年近く前になる。
親父に連れられてここで西武線に乗り換えて、初めて西武球場に野球を観に行った12歳当時。
こうして降りてみると、例えば生まれ育った町田の隣町で、よく友人と待ち合わせた相模大野駅などより、よほど懐かしい。
【Facebookへの投稿より】
東京下町を出る一番列車に乗って、伊豆へとまいりました。
青春時代と言える頃、大勢の仲間たちと散々訪ねた観光地へ、ひとりで往く気恥ずかしさを感じて熱海を過ぎましたが、南蛮レトロ的かつ温泉街の情緒をまとう東伊豆の区々にたまらぬ懐かしさを感じて、先ほど下田を後にいたしました。
何の脈絡もございませんが、これより上州碓氷峠の麓、安中宿に向かいます。
関連記事
-
「鉄旅日記」2020年盛夏【コロナ禍の内緒旅VOl.2。宮島へ。錦帯橋へ。筑豊へ。島原へ。千綿駅へ。そして若松~戸畑の渡船。日本晴れの4日間の記録でございます。】2日目(防府-肥前鹿島)その3‐阿川、小串、下関、小倉(山陰本線/鹿児島本線)
鉄旅日記2020年8月14日・・・阿川駅、小串駅、下関駅、小倉駅(山陰本線/鹿児島本線) 1
-
「鉄旅日記」2020年卯月【緊急事態宣言発令直前のことでございます。常磐線全線運転再開を祝して人知れず旅に出たのでございます。】初日(東京-新津)その5‐小国、坂町、新津(米坂線/羽越本線)
鉄旅日記2020年4月4日・・・小国駅、坂町駅、新津駅(米坂線/羽越本線) 17:50 小国(おぐ
-
「鉄旅日記」2009年晩秋【陰陽を行き来した3日間。この国の秋は美しゅうございました。】初日(東京-倉敷)その2-北条町、姫路、播州赤穂、日生、備前片上、西片上、倉敷(北条鉄道/加古川線/山陽本線/赤穂線)
鉄旅日記2009年11月21日・・・北条町駅、姫路駅、播州赤穂駅、日生駅、備前片上駅、西片上駅、倉敷
-
「鉄旅日記」2016年夏【じきに廃線を迎える留萌~増毛に用がありました】4日目(富良野-大館)その2-南千歳、苫小牧、登別、東室蘭、北舟岡、伊達紋別、長万部、森、新函館北斗、大館(千歳線/室蘭本線/函館本線/北海道新幹線/奥羽本線)
鉄旅日記2016年8月13日・・・南千歳駅、苫小牧駅、登別駅、東室蘭駅、北舟岡駅、伊達紋別駅、長万部
-
「鉄旅日記」2020年如月【東日本大震災で被害を受けた大船渡に泊まりにまいりました。山田線完全乗車も目指しておりましたが・・。】初日(東京-大船渡)その1‐金町、北千住、上野、宇都宮、黒磯(常磐線/東北本線)
鉄旅日記2020年2月22日・・・金町駅、北千住駅、上野駅、宇都宮駅、黒磯駅(常磐線/東北本線) 2
-
「車旅日記」1998年春【下北半島を目指した春。男の旅は北を目指すものと思っていた20代後半。高倉健さんの影響でございましょうか。】2日目(岩手山SA-大間崎-青森駅)-岩手山SA、折爪PA、三沢市ドライブイン三陸、東通村レストラン潮騒、田名部駅、大間崎公営パーキング、大湊駅、陸奥横浜駅、青森駅
車旅日記1998年5月2日 1998・5・2 7:43 東北自動車道-岩手山SA 昨夜の強風が続
-
「車旅日記」1998年夏【20代最後の旅でございます。青森港から北海道上陸を目指して北へ向かったのでございますが・・・。】4日目(遠野-釜石-気仙沼-鳴子温泉)-遠野徳田屋旅館、遠野駅、釜石駅、釜石大観音、道の駅高田松原、気仙沼港、南気仙沼駅、小梨駅、一ノ関駅、鳴子サンハイツ
車旅日記1998年8月15日 1998・8・15 8:00 遠野 徳田屋旅館 4日目。 宿で知
-
「車旅日記」2000年夏Part.2【友を訪ねて備後福山へ。長門宇部へ。2000㎞に及ぶ長大な旅路でございました。】2日目(琵琶湖志賀-福山)桂川PA、三木SA、白鳥PA、篠坂PA、芦田川畔
車旅日記2000年8月13日・・・桂川PA、三木SA、白鳥PA、篠坂PA、芦田川畔 2000・8・1
-
「鉄旅日記」2012年春【青春18きっぷで、銚子へ、房総へ。】その2-猿田、旭、八日市場、八街、成東、本納、茂原、千倉、佐貫町、姉ヶ崎、市川(総武本線、東金線、内房線、外房線)
鉄旅日記2012年3月12日その2・・・猿田駅、旭駅、八日市場駅、八街駅、成東駅、本納駅、茂原駅、千
-
「車旅日記」1996年黄金週間【友を訪ねて大阪へ。そして約束の地、金沢へ。夢を見ながら国道を走った日々でございます。】初日(東京-大阪茨木 R246→R1→名神高速)その2-掛川、磐田駅、浜松、音羽町、岡崎、知立、名古屋渋滞、佐屋町、弥冨町
車旅日記1996年5月3日 6:25 1号国道‐掛川 あれから1時間か。 始まるよ、これか