*

「鉄旅日記」2019年如月 初日(東京-安中)その1-金町、熱海、城ヶ崎海岸、伊豆熱川、伊豆稲取、今井浜海岸、河津(常磐線/東海道本線/伊東線/伊豆急行線) 【週末パスで東京から伊豆。そして上州、信州へ。友人は言ったものでございます。何気に大層な移動距離だと。】

公開日: : 最終更新日:2025/05/10 旅話, 旅話 2019年

鉄旅日記2019年2月9日・・・金町駅、熱海駅、城ヶ崎海岸駅、伊豆熱川駅、伊豆稲取駅、今井浜海岸駅、河津駅(常磐線/東海道本線/伊東線/伊豆急行線)

2019・2・9 4:30 金町(かなまち)駅(常磐線 東京都)
本格的な降雪が予想される3連休初日。
列島は寒波に震え、北海道の映像はひたすらに白かった。

関東でも積雪になると気象庁は警告を発した。

雨から雪に変わるという段階を踏まずに、天はいきなり雪を寄越すらしい。

目安としては9時頃。
まずは南に向かうオレは、南の国で雪に遭遇することを期待している。

この旅から、別れの記憶が一年前のことになっていく。
同じこの3連休に北へ向かった去年の旅をしきりに思い出している。

あの頃に身近だった人々はいなくなり、孤独に生きているようでそうでもない。

そしてやはり1年は短かったと感じている。

7:22 熱海(あたみ)駅(東海道新幹線/東海道本線/伊東線 静岡県)
はす向かいに座った3人のよく似たお子さんと母親の姿に目を奪われていた。

その横、オレの正面に座る女子高生も愛らしい。

車窓は湘南海岸、小田原を過ぎて、相模湾を一望。
ほのぼのとして幸のある車内だった。

お馴染みの熱海駅前。


いくつかある思い出も、気づけば最新のものから少なくとも5年は経過している。

駅へと振り返れば、見覚えのない熱海駅がそこにあった。

8:39 城ヶ崎海岸(じょうがさきかいがん)駅(伊豆急行線 静岡県)
ここで1時間の滞在を予定していたけど、降りてみて分かった。
海岸は遠い。
30分切り上げた。

海へと向かう坂道を下りていく。
角のサーフショップを過ぎて、桜並木を下りていく。

冷たい風に吹かれたリゾートタウンは空き家の群れのように寂しげで、人を見かけず雨戸も下りていた。
海辺はやはり遠く、引き返す。

2週間ほど前からオレの人生に入ってきた女友達。
彼女からメッセンジャーが入っていた。

なくしたものだけを数えて生きているわけじゃない。
そう思う最近の暮らし。

ホームの先に足湯が沸いている。
利用できるのは10時から。

列車が来るまで彼女への返信を打っていた。

9:18 伊豆熱川(いずあたがわ)駅(伊豆急行線 静岡県)
若い頃に友人からよく話を聞かされたが、バナナワニ園には行ったことがない。
そんな施設が真っ先に頭に浮かぶ町に降りた。

駅前には盛大に湯気が沸き、海辺へ下りていく道には赤く塗られた橋が架かり、射的場が構える商店街が懐かしい。

浜辺では体操をする一団の姿があり、霞む大島に目をやり、SNSに上げる写真を撮る。
そんな行為が当たり前になった旅をおかしくも楽しんでいる。


こんなオレも、やはりつながってはいたい。

駅へときた道を上る。

駅前の高級温泉旅館を眺めて、オレが持ち得なかった団欒を想った。

そこでは憎みきれない人が浴衣を着て、オレは子供の手を握って海辺へと駈けていた。

10:04 伊豆稲取(いずいなとり)駅(伊豆急行線 静岡県)
商店街を海辺に下りていく。
突き当たりが漁港で、工事関係者の姿しか見られない。

観光客の見当たらない日常的な姿をした商店街。
駅へと上がる。


江戸城の礎石が切り出された町を謳う稲取。

駅には多くの人が待っていて、いち早くホームへ。
狭い待合室にいたたまれない人々が、オレを慕うようにホームに上がってきた。

中国人の姿はここにもある。
相変わらず活動的だといつも感心する。

世界であれこれよくない言われ方をするが、愛しきものを連れて降りた去年の本川越では、中国人家族に親切にしてもらった。
彼を抱いて自撮りに苦心しているところを、賑やかに声をかけてくれて撮ってくれたんだ。

愛しきものへは、家族総出で顔を崩して「笑え笑え」と。
ありがたくて何度も頭を下げた。

以来、基本的にあの民族には好意を持っている。

10:22 今井浜海岸(いまいはまかいがん)駅(伊豆急行線 静岡県)にて

10:50 河津(かわづ)駅(伊豆急行線 静岡県)
ひとつ手前の今井浜海岸駅で降りて、海岸線に沿って歩く。


ひと山越えれば河津の町に着くだろう。

その予測は当たり、トンネルを脇道にそれると町が見えた。

そしてまた山が立ちはだかる。

伊豆とはそんな土地だった。
紀伊半島をはじめ、そんな土地柄は本来険しい。

海岸線は美しく、空は明るさを取り戻している。
予報じゃ、この後に雪雲は伊豆半島にかかる。

心優しい女友達から便りが届いている。
まだ開けていない。

縁とは奥深いものだと思いながら、心の恋人が去った日常を埋めてくれる彼女との会話を心から楽しんでいる。


関連記事

「鉄旅日記」2020年弥生 初日(東京-高山)その4‐多治見、坂祝、美濃太田(太多線/高山本線)【富山地方鉄道に乗りにまいりました。太多線、高山本線に乗るのも楽しみにしていたのでございます。】

鉄旅日記2020年3月20日・・・多治見駅、坂祝駅、美濃太田駅(太多線/高山本線) 14:19 多

記事を読む

「鉄旅日記」2020年盛夏 初日(東京-防府)その3‐三滝、横川、宮島口フェリー乗場、宮島フェリー乗場、広電宮島口、宮島口(可部線/山陽本線/JR西日本宮島フェリー) 【コロナ禍の内緒旅VOl.2。宮島へ。錦帯橋へ。筑豊へ。島原へ。千綿駅へ。そして若松~戸畑の渡船。日本晴れの4日間の記録でございます。】

鉄旅日記2020年8月13日・・・三滝駅、横川駅、宮島口フェリー乗場、宮島フェリー乗場、広電宮島口

記事を読む

「鉄旅日記」2012年春 その2-新清水、静岡、草薙、興津、裾野、御殿場、駿河小山、国府津、逗子、横須賀、田浦、新川崎(東海道本線、静岡鉄道、御殿場線、横須賀線) 【青春18きっぷで、鶴見線・伊豆・駿河途中下車旅】

鉄旅日記2012年4月8日その2・・・新清水駅、静岡駅、草薙駅、興津駅、裾野駅、御殿場駅、駿河小山駅

記事を読む

「鉄旅日記」2020年晩秋 初日(東京-砺波)その4 ‐越ノ潟、末広町、高岡、城端(万葉線/城端線)/高岡大仏 【大人の休日倶楽部パスで北陸へ。新幹線、在来線特急乗り放題でございます。魚津、雨晴をめぐり、氷見線、万葉線、城端線、七尾線、えちぜん鉄道、福武線、北陸鉄道との再会でございます。】

鉄旅日記2020年11月21日・・・越ノ潟駅、末広町電停、高岡駅、城端駅(万葉線/城端線)/高岡大

記事を読む

「鉄旅日記」2011年秋【再びみちのくひとり旅】最終日(長井-東京)-長井、荒砥、赤湯、羽前千歳、作並、東照宮、槻木、角田、福島、飯坂温泉、本宮、宇都宮、雀宮(山形鉄道/仙山線/阿武隈急行/福島交通飯坂線/東北本線)

鉄旅日記2011年11月6日・・・長井駅、荒砥駅、赤湯駅、羽前千歳駅、作並駅、東照宮駅、槻木駅、角田

記事を読む

「鉄旅日記」2020年初秋 初日(東京-高松)その5 ‐岡山、児島、高松(本四備讃線/予讃本線)/児島の民話 【時空の友を訪ねて讃州高松へ。金比羅さん、瀬戸大橋、大歩危、小歩危などを友とめぐり、義仲寺に寄り、直島に渡り、水島臨海鉄道にも乗った4日間の記録でございます。】

鉄旅日記2020年9月19日・・・岡山駅、児島駅、高松駅(本四備讃線/予讃本線)/児島の民話

記事を読む

「鉄旅日記」2020年文月 最終日(三次-東京)その2‐万能倉、神辺、井原、吉備真備(福塩線/井原鉄道)【コロナ禍でございます。内緒の旅でございました。余部鉄橋へ。萩へ。霧の街へ。東京五輪延期で浮いた4連休の記録でございます。】

鉄旅日記2020年7月26日・・・万能倉駅、神辺駅、井原駅、吉備真備駅(福塩線/井原鉄道)

記事を読む

「鉄旅日記」2020年卯月 最終日(新津-東京)その2‐会津若松、郡山富田、喜久田、郡山(磐越西線) 【緊急事態宣言発令直前のことでございます。常磐線全線運転再開を祝して人知れず旅に出たのでございます。】

鉄旅日記2020年4月5日・・・会津若松駅、郡山富田駅、喜久田駅、郡山駅(磐越西線) 9:07 会

記事を読む

「車旅日記」2003年夏 初日(函館-札幌)走行距離471㎞ -知内駅、道の駅上ノ国もんじゅ、瀬棚町、道の駅いわない、小樽駅、札幌東急イン 【北海道初上陸。2,300㎞を移動した5日間の記録でございます。】

車旅日記2003年8月13日・・・知内駅、道の駅上ノ国もんじゅ、瀬棚町、道の駅いわない、小樽駅、札幌

記事を読む

「鉄旅日記」2015年春 最終日その3(岩倉-東京)-津島、須ヶ口、神宮前、豊明、岡崎公園前、中岡崎、東岡崎、国府、豊川稲荷、豊川(名鉄津島線/名鉄本線/名鉄豊川線) 【名鉄電車2DAYフリーきっぷで行く、中京旅】

鉄旅日記2015年3月8日その3・・・津島駅、須ヶ口駅、神宮前駅、豊明駅、岡崎公園前駅、中岡崎駅、東

記事を読む

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

「鉄旅日記」2022年皐月 初日(東京-磐梯熱海)その3 ‐黒磯、泉崎、白河、郡山(東北本線) 【日光線全駅乗降を果たし、猪苗代湖畔に遊び、磐梯熱海の湯につかり、国定忠治を訪ねた旅でございます。】

鉄旅日記2022年5月7日・・・黒磯駅、泉崎駅、白河駅、郡山駅(東北

「鉄旅日記」2022年皐月 初日(東京-磐梯熱海)その2 ‐文挟、鹿沼、鶴田、宇都宮(日光線) 【日光線全駅乗降を果たし、猪苗代湖畔に遊び、磐梯熱海の湯につかり、国定忠治を訪ねた旅でございます。】

鉄旅日記2022年5月7日・・・文挟駅、鹿沼駅、鶴田駅、宇都宮駅(日

「鉄旅日記」2022年皐月 初日(東京-磐梯熱海)その1 ‐金町、上野、宇都宮(常磐線/東北本線) 【日光線全駅乗降を果たし、猪苗代湖畔に遊び、磐梯熱海の湯につかり、国定忠治を訪ねた旅でございます。】

鉄旅日記2022年5月7日・・・金町駅、上野駅、宇都宮駅(常磐線/東

「鉄旅日記」2022年弥生vol.2 最終日(静岡-東京)その5 ‐東浦和、東川口、吉川、吉川美南、南流山(武蔵野線) 【念願の大井川鐡道に乗る旅。帰りは身延線経由、武蔵野線全駅下車達成でございます。】/江戸川堤菜の花絶景

2022年3月21日・・・東浦和駅、東川口駅、吉川駅、吉川美南駅、南

「鉄旅日記」2022年弥生vol.2 最終日(静岡-東京)その4 ‐西国分寺、北府中、新小平、青梅街道、北朝霞、朝霞台(武蔵野線) 【念願の大井川鐡道に乗る旅。帰りは身延線経由、武蔵野線全駅下車達成でございます。】

鉄旅日記2022年3月21日・・・西国分寺駅、北府中駅、新小平駅、青

→もっと見る

    PAGE TOP ↑