「車旅日記」2004年秋 番外編(京都で過ごす日)-四条大宮駅、嵯峨駅前駅、嵯峨嵐山駅、京福嵐山駅、阪急嵐山駅、京都駅 【瀬戸内から山陰へ。そんな旅がしたかったのでございます。】
車旅日記番外編2004年11月23日・・・四条大宮駅、嵯峨駅前駅、嵯峨嵐山駅、京福嵐山駅、阪急嵐山駅、京都駅
2004・11・23 嵯峨嵐山(さがあらしやま)駅(山陰本線 京都府)
堀川を下ル。
二条商店街を右入ル。
大宮通りを下ル。
京福電鉄四条大宮駅に着いた。
ここにこんな駅があることを知らずに歩いてきた。
駅は嵐山に向かう京都人であふれている。
京都とはまさに素晴らしい街。
こうして手軽に風光明媚な場所にいける。
路面を走る親しみ深い鉄路を往き、嵯峨駅前で降りて、ここまでを歩く。
費用は僅かに200円。
京福電鉄も満員だったが、こっちからも大勢の客が降りてきた。
駅では繰り返し「いい日旅立ち」を流している。
好きな女性に会いに、京都にはもう何度も来ているが、嵐山は初めてになる。
恋から解き放たれて、これからオレと京都の新たな関係が始まる。
それにしても凄い人の数だ。
嵐山にはもう一線、阪急電車が乗り入れているが、それでもさばききれないほどの人であふれている。
ここにオレの居場所はあるだろうか。
四条大宮(しじょうおおみや)駅(京福電鉄嵐山線 京都府)2020年7月26日撮影

嵯峨駅前(さがえきまえ)駅(京福電鉄嵐山線 京都府)2020年7月26日撮影(現在、嵐電嵐山駅に改称)

13:09 阪急嵐山(はんきゅうあらしやま)駅(阪急電鉄嵐山線 京都府)
京福嵐山駅はまるで歌舞伎座のようだった。
駅前の混雑は3日前よりも増してひどい。
渡月橋を渡る。
この駅は少しばかり雑踏を離れた民家の中にある。
人声が絶えた。
嵐山は、オレみたいな男にも優しい場所で、紅葉はことのほか美しい。
ひとまず桂へ。
そして河原町へ。
小豆色の阪急電車がやってきた。
11月にしては暑い。

2020年7月26日撮影
京福嵐山(けいふくあらしやま)駅(京福電鉄嵐山線 京都府)2020年7月26日撮影

渡月橋からの眺め 2020年7月26日撮影

17:43 京都(きょうと)駅(東海道・山陽新幹線/東海道本線/山陰本線/奈良線/湖西線/近鉄京都線 京都府)
19:16発のぞみ号を予約している。
出町柳からここまでも散々歩いた。
立つことは考えたくない。
昨日と同じ店にいる。
ひとりで気軽にビールを飲めるこの店を気に入っている。
昨夜、オレの数少ない居場所に行ったら、彼女がいた。
予期せぬ出来事だった。
マスターに頼まれて特別に働いていたのだという。
てっきりもうこの街にはいないと思っていた。
変わらぬ姿に安心もしたし、オレはもう2、3年前のオレではないことを自身知った。
彼女との間に明確な別れを意味する言葉を交わした記憶はないが、つまりもう彼女とのことは過去のものとして、気持ちを整理できていることに気づいた。
彼女はとうにオレとのことは過去にしている。
これでいい。
代わりに、オレと京都は遠くなると思ったよ。
そう、昨夜あの時は。
でも。
烏丸五条で見上げた月。
薄暮の嵐山。
オレの好きな京都を見ると、気持ちが揺らぐ。
鴨川では恋人たちが相変わらず規則正しく寄り添い、欧州女性は寝ころびながら本のページを捲り、親子は水生昆虫採りに夢中で、連れ立って走る一団の姿もある。
皆一様に11月末に訪れた暖かな一日を心から楽しんでいた。
そんな鴨川も9月の台風では河川敷は水没して、水は四条大橋に限りなく迫ったという。
彼女に用があって京都にいた頃は、東は八坂神社、西は堀川、北は下鴨神社、南は九条通りに限定されていたのが、今回は嵐山へ。
そして鞍馬へ。
皮肉なことに彼女との別れを意識した日に、京都はより多くの姿を見せてくれた。
でもオレが本当にいたいと思っている場所は、いつも変わらない。
京都タワーを目の前にした京都駅烏丸口。
夕暮れ近くなると燦燦と輝く巨大なクリスマス・ツリー。
女性たちはケータイを向けて、「きれい!」と友達と見せっこをしている。
新幹線ホームは大勢の旅行客で混雑していた。
相生駅で信号機故障が発生したとのことで遅れが生じているらしい。
ただ新大阪発ののぞみ号に影響はなく、鞄の中にささやかな荷物をひとつ増やして京都を離れる。
東京に戻ったら、また本来考えるべきことを考えてしっかり生きていこう。
そしていつかラヴ・トレインがやってくる停車場にいこう。

八条口(2020年7月26日撮影)
関連記事
-
-
「鉄旅日記」2017年春【近鉄に乗る日々】2日目(新大宮-大阪難波)その1-近鉄奈良、新田辺、三山木、JR三山木、狛田、下狛、新祝園、祝園、学園前、学研奈良登美ヶ丘(奈良線/京都線/けいはんな線)
鉄旅日記2017年3月18日・・・近鉄奈良駅、新田辺駅、三山木駅、JR三山木駅、狛田駅、下狛駅、新祝
-
-
「鉄旅日記」2019年年始 初日(東京-一ノ関)その2-新津、新発田、坂町、小国、今泉、西米沢~上杉家御廟~上杉神社~南米沢(信越本線/羽越本線/米坂線) 【雪が見たくて北へ向かいました。そして初めて仙台空港線に乗ったのでございます。】
鉄旅日記2019年1月5日・・・新津駅、新発田駅、坂町駅、小国駅、今泉駅、西米沢駅、南米沢駅(信越本
-
-
「鉄旅日記」2019年霜月 2日目(五所川原-北上)その1‐五所川原、津軽五所川原、津軽中里、鯵ヶ沢、東能代(津軽鉄道/五能線) 【津軽鉄道、弘南鉄道に乗りにいきました。羽州街道を歩いた晩秋の旅でございます。】
鉄旅日記2019年11月3日・・・五所川原駅、津軽五所川原駅、津軽中里駅、鯵ヶ沢駅、東能代駅(津軽鉄
-
-
「車旅日記」2004年春 4日目(旭川-稚内)走行距離428㎞その2-雄武町日の出岬、マリーンアイランド岡島、千畳岩、神威岬、クッチャロ湖、さるふつ公園、宗谷岬、稚内駅 【旭川に下りて、思う存分に北の大地を走った旅の記録でございます】
車旅日記2004年5月4日・・・雄武町日の出岬、マリーンアイランド岡島、千畳岩、神威岬、クッチャロ湖
-
-
「車旅日記」2004年夏 4日目(鹿児島-田原坂-長崎)走行距離384㎞その2-田原坂古戦場跡、大牟田駅、肥前山口駅、長崎ニューポート 【九州を一周してみよう。そう思いたった、真夏の日々でございます。】
車旅日記2004年8月14日・・・田原坂古戦場跡、大牟田駅、肥前山口駅、長崎ニューポート 2004
-
-
「車旅日記」2006年初夏 最終日(近江八幡-長浜-揖斐-岐阜)-ホテルはちまん、近江八幡駅、安土駅、彦根駅、長浜駅、垂井駅、美濃赤坂駅、揖斐駅、木知原駅 【これが最後の車旅でございます。鈴鹿山脈を回るように、終着駅を探して走ったのでございます。】
車旅日記2006年7月17日・・・ホテルはちまん、近江八幡駅、安土駅、彦根駅、長浜駅、垂井駅、美濃赤
-
-
「鉄旅日記」2009年秋 最終日(新庄-東京)その1-新庄、最上、鳴子温泉、岩出山、北浦、小牛田、鹿又、石巻(陸羽東線/石巻線) 【女川を目指した旅。ここには震災前の女川の姿が残されております。】
鉄旅日記2009年10月11日・・・新庄駅、最上駅、鳴子温泉駅、岩出山駅、北浦駅、小牛田駅、鹿又駅、
-
-
「鉄旅日記」2015年春 最終日その2(岩倉-東京)-笠松、新羽島、岐阜羽島、羽島市役所前、西笠松、新木曽川、名鉄一宮、玉ノ井、萩原、日比野、弥富、近鉄弥富(名鉄本線/名鉄竹鼻線/名鉄羽島線/名鉄尾西線) 【名鉄電車2DAYフリーきっぷで行く、中京旅】
鉄旅日記2015年3月8日その2・・・笠松駅、新羽島駅、岐阜羽島駅、羽島市役所前駅、西笠松駅、新木曽
-
-
「鉄旅日記」2018年師走 最終日(神島-鳥羽港-伊良湖岬-三河田原-豊橋-東京)その1-神島山海荘あじさい、神島漁港、菅島漁港、鳥羽城址(城山公園)、旧鳥羽小学校(鳥羽市営定期船) 【伊勢のいくつもの終着駅に降りまして、神島で2018年最後の満月を眺めたのでございます。】
鉄旅日記2018年12月24日・・・神島山海荘あじさい、神島漁港、菅島漁港、鳥羽城址(城山公園)、旧
-
-
「鉄旅日記」2019年弥生Part.3 初日(東京-多治見)その1-金町、三島、修善寺、蒲原、島田(常磐線/東海道本線/伊豆箱根鉄道駿豆線) 【明知鉄道、名鉄築港線。その2線に乗るために、東海道を下っていったのでございます。】
鉄旅日記2019年3月23日・・・金町駅、三島駅、修善寺駅、蒲原駅、島田駅(常磐線/東海道本線/伊豆
