*

「鉄旅日記」2014年春 初日(東京-紀伊勝浦)その1-熱田、尾頭橋、八田、四日市、亀山、一身田、津、高茶屋、松阪(東海道本線、関西本線、紀勢本線) 【青春18きっぷで、紀伊半島へ】

公開日: : 最終更新日:2025/06/06 旅話, 旅話 2014年

鉄旅日記2014年3月8日その1・・・熱田駅、尾頭橋駅、八田駅、四日市駅、亀山駅、一身田駅、津駅、高茶屋駅、松阪駅(東海道本線、関西本線、紀勢本線)

2014・3・8 11:16 熱田(あつた)駅(東海道本線 愛知県)
保谷から池袋、東京、沼津、静岡、浜松、豊橋と乗り継ぎ、新快速で金山で降りて、ひと駅戻る。

駅構内はとても広く、長い跨線橋を渡り、階段を下りて外に出る。
熱田の森と神宮前商店街にほんの一瞥。
その程度の時間しかここでは用意できなかった。

源氏の氏神であり、桶狭間合戦戦勝所縁の熱田神宮は名古屋市熱田区という行政の中心地であり、名古屋駅までは3駅の距離。
しかし快速列車は停車しない。

通り過ぎるばかりの愛知県だが、来年あたり愛知を知る旅を計画することにおそらくなる。

11:30 尾頭橋(おとうばし)駅(東海道本線 愛知県)
昨日東京に3月の雪をもたらした冷たい風に名古屋が凍えている。

街の狭間に位置した駅だけがある町。
今プラットフォームにいる。

錆びた印象のラブホテルがあり、並行する名鉄を含め、おびただしい数の列車が目の前を行き来しているが、そのほとんどがここに停車することはなく、気にもとめずに通過していく。
名古屋は次の駅になる。

11:53 八田(はった)駅(関西本線 愛知県)
名古屋で乗り換えてひと駅目。
真新しい印象の橋上駅で3分の停車に浮き足立ち、階段を駆け下り、駆け上がる。

下町のような家並に工場が混じる周囲は、遠くに養老山地を仰ぐ濃尾平野。
空は広く、鈍い色をしている。

東海でも春の到着が遅れている。

12:39 四日市(よっかいち)駅(関西本線 三重県)
かつて深刻な公害を世に送り出した工業地帯は健在で、一帯が吐き出す白煙はその煙突とともに濃尾平野の端からずっと見えていた。

複雑に交差する中京の鉄道事情に混乱しながら再び見えた四日市。
悪名高い長良川の河口堰が車窓から覗けた。

JR駅周辺には廃屋が目立ち、繁華街がここから少し離れた近鉄駅近くに集中する事情は今更変わりようもなく、かつては格調高さを謳ってであろう駅2階のレストランスペースの借り手は、8年前と変わらず今もついてない。

13:14 亀山(かめやま)駅(関西本線/紀勢本線 三重県)
雪を被った養老山地に鈴鹿川。
ビジネスホテルに東京荻窪ラーメン。
この駅での滞在時間は今回も多くなく、到着時に目にしたものを特に意味もなく列挙した。

改札を出る。
駅前の大鳥居の撮影を観光バスが塞ぎ、7年前に感嘆の声を漏らした駅前食堂はまだ営業を続けており、新たな感慨を催させる。

機関車時代には重要な駅だったという亀山駅も、伊勢方面からの特急や快速列車が、津と四日市を最短でつなぐ伊勢鉄道の線路を通ることで乗降客も奪われ、それでも尚かつ風格を保つ姿は重厚そのものだが、巨大な駅構内の外れに位置するホームに、たった一両編成で停車している紀勢本線の姿は寂しさを伴う。

その紀勢本線に乗り換える。

13:28 一身田(いしんでん)駅(紀勢本線 三重県)
四日市工業に開星高校。
知名度のある学校に通う若者と乗り合わせた寂れた関西本線路。

この駅でも茶色のブレザーに身を包んだ学生たちが多く乗り込んできて、僅か2分の停車中に改札を抜けて駅舎を撮影し、すぐに列車に戻ることだけを考えているオレに、気を揉む必要を失くしてくれた。
列車は悠々と歩いて来る彼等を急かすこともなく、全員が乗り込むのを悠然と待つ。
長者屋敷のような立派な駅を写した一枚には、彼等の後ろ姿も映っている。

13:38 津(つ)駅(紀勢本線/伊勢鉄道/近鉄名古屋本線 三重県)
戦国の昔、安濃津の地名で外洋に開かれ、繁華な港だった頃の面影は、三重県の県庁所在地という地位を得ている現在には見られない。
広大な駅前ロータリーには違法駐車の車すらなく、冷たい風が吹き渡っていた。

腰のないぐにゃりとした食感が独特の伊勢うどんを出す「駅そば」は他の店に席を譲っていた。
8年前に駅に寄った際に、その黒い汁で服を汚したことを思い出した。

ネガティブな材料を並べたが、この土地の言葉は耳に心地よい。
この街にもいつか泊まりにくることがあるだろう。

13:53 高茶屋(たかちゃや)駅(紀勢本線 三重県)
数分の停車。
ここで多くの乗客が降りる。

駅構内にはかつて膨大な量の物資が積まれたであろう空間が、朽ちた上屋の下で用を失くしている。

空地を挟んで並走する23号国道にはイオンモールが進出して人を集め、紀勢本線の立場をより小さなものにしている。

14:20 松阪(まつさか)駅(紀勢本線/名松線/近鉄山田線 三重県)
指折り数えたら、この街に泊まった7月は、もう6年も前の事になる。

あの夜に街を歩いた感覚を思いだした。
翌日は鳥羽に出て土産を買い求め、お伊勢さんに戻って当時想いを寄せていた女性に桜色のお守りを買い求めた。
この国最強の神様のお守りだと言って渡し、彼女は男性からお守りを貰うのは初めてだと、とても喜んでくれた。

弁当売りのおばちゃんの愛想がいい。
あまり売れていなかったのだろう。
オレが寄っていくと満面の笑みで迎えてくれて、お勧め品の説明を始めた。

あらためて訪れた松阪は畑作地帯に忽然と現れる都会で、津よりも街の規模も都会度も上のような気がする。

駅の土産物屋を覗いた。
松阪といったら松阪牛。
買って帰ったら喜ぶだろうなと思いつつ、財布の中に余分はないかと数えてみたが、ゴーサインは出せなかった。
やっぱり高いよ。

渡河したばかりの櫛田川の豊富な水量を誇る質感に目を見張らされた。

関連記事

「鉄旅日記」2019年師走 初日(東京-酒田)その4‐矢島、前郷、金浦、酒田(由利高原鉄道鳥海山ろく線/羽越本線) 【由利高原鉄道鳥海山ろく線に乗りにいきました。初冬の日本海は荒々しく、美しゅうございました。】

鉄旅日記2019年12月7日・・・矢島駅、前郷駅、金浦駅、酒田駅(由利高原鉄道鳥海山ろく線/羽越本線

記事を読む

「鉄旅日記」2017年冬 最終日(喜多方-東京)その2-会津若松、芦ノ牧温泉、大川ダム公園、芦ノ牧温泉南(会津鉄道)/大塚山古墳群【会津へ。会津へ行きたかったのでございます。】

鉄旅日記2017年12月3日・・・会津若松駅、芦ノ牧温泉駅、大川ダム公園駅、芦ノ牧温泉南駅(会津鉄道

記事を読む

「鉄旅日記」2021年春 最終日(松本-東京)その1 ‐松本、一日市場、信濃大町、信濃木崎(大糸線) 【週末パスで信濃へ。妙高高原駅で引き返し、松本の友人を訪ね、大糸線を旅して思い出の白馬へ。先の旅から一週間後のことでございました。】

鉄旅日記2021年4月25日・・・松本駅、一日市場駅、信濃大町駅、信濃木崎駅(大糸線) 20

記事を読む

「鉄旅日記」2020年睦月 初日(東京-湯沢)その2‐新白河、郡山、福島、仙台、あおば通(東北本線) 【秋田内陸縦貫鉄道に乗りにいきました。五能線の名所も歩いた旅初めでございます。】

鉄旅日記2020年1月11日・・・新白河駅、郡山駅、福島駅、仙台駅、あおば通駅(東北本線) 8:2

記事を読む

「鉄旅日記」2017年春【近鉄に乗る日々】2日目(新大宮-大阪難波)その1-近鉄奈良、新田辺、三山木、JR三山木、狛田、下狛、新祝園、祝園、学園前、学研奈良登美ヶ丘(奈良線/京都線/けいはんな線)

鉄旅日記2017年3月18日・・・近鉄奈良駅、新田辺駅、三山木駅、JR三山木駅、狛田駅、下狛駅、新祝

記事を読む

「鉄旅日記」2019年長月 最終日(宮古-東京)その1‐宮古、岩手船越、浪板海岸、吉里吉里(三陸鉄道リアス線) 【三陸鉄道、八戸線に乗りにいきました。区界、吉里吉里など、駅旅の者として見過ごせない駅にも寄りましてございます。】

鉄旅日記2019年9月23日・・・宮古駅、岩手船越駅、浪板海岸駅、吉里吉里駅(三陸鉄道リアス線)

記事を読む

「車旅日記」1997年1月【空しい日々を振り払い、28年目の人生もまた旅。そんな年頭の姿でございます。】-町田、愛甲石田駅、御殿場駅、岩波駅、熱海駅、西湘パーキング、奈良北

車旅日記1997年1月4日 1997・1・4 1:01 東京町田 明かりをつけた部屋にストーンズの

記事を読む

「鉄旅日記」2017年秋 その2-和田塚、由比ヶ浜、長谷、鎌倉大仏殿高徳院、極楽寺、稲村ケ崎、七里ヶ浜、鎌倉高校前(江ノ島電鉄) 【湘南へ向かう休日。江ノ電に乗りに行ったのでございます。】

鉄旅日記2017年11月12日・・・和田塚駅、由比ヶ浜駅、長谷駅、極楽寺駅、稲村ケ崎駅、七里ヶ浜駅、

記事を読む

「鉄旅日記」2014年春-館林、佐野、葛生、西小泉、赤城、太田、伊勢崎、新伊勢崎、足利、足利市(東武佐野線/東武小泉線/東武桐生線/東武伊勢崎線)【ふらっと両毛 東武フリーパスで、両毛ローカル旅】

鉄旅日記2014年4月6日・・・館林駅、佐野駅、葛生駅、西小泉駅、赤城駅、太田駅、伊勢崎駅、新伊勢崎

記事を読む

「鉄旅日記」2020年盛夏 3日目(肥前鹿島-門司港)その3‐諫早、松原、千綿(大村線) 【コロナ禍の内緒旅VOl.2。宮島へ。錦帯橋へ。筑豊へ。島原へ。千綿駅へ。そして若松~戸畑の渡船。日本晴れの4日間の記録でございます。】

鉄旅日記2020年8月15日・・・諫早駅、松原駅、千綿駅(大村線) 11:37 

記事を読む

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

「鉄旅日記」2022年皐月 最終日(磐梯熱海-東京)その1 ‐磐梯熱海、新白河、小山(磐越西線/東北本線)【日光線全駅乗降を果たし、猪苗代湖畔に遊び、磐梯熱海の湯につかり、国定忠治を訪ねた旅でございます。】

鉄旅日記2022年5月8日・・・磐梯熱海駅、新白河駅、小山駅(磐越西

「鉄旅日記」2022年皐月 初日(東京-磐梯熱海)その4 ‐関都、猪苗代湖畔、上戸、磐梯熱海(磐越西線)/志田浜~上戸浜/伊東園ホテル磐梯向滝【日光線全駅乗降を果たし、猪苗代湖畔に遊び、磐梯熱海の湯につかり、国定忠治を訪ねた旅でございます。】

鉄旅日記2022年5月7日・・・関都駅、猪苗代湖畔駅、上戸駅、磐梯熱

「鉄旅日記」2022年皐月 初日(東京-磐梯熱海)その3 ‐黒磯、泉崎、白河、郡山(東北本線) 【日光線全駅乗降を果たし、猪苗代湖畔に遊び、磐梯熱海の湯につかり、国定忠治を訪ねた旅でございます。】

鉄旅日記2022年5月7日・・・黒磯駅、泉崎駅、白河駅、郡山駅(東北

「鉄旅日記」2022年皐月 初日(東京-磐梯熱海)その2 ‐文挟、鹿沼、鶴田、宇都宮(日光線) 【日光線全駅乗降を果たし、猪苗代湖畔に遊び、磐梯熱海の湯につかり、国定忠治を訪ねた旅でございます。】

鉄旅日記2022年5月7日・・・文挟駅、鹿沼駅、鶴田駅、宇都宮駅(日

「鉄旅日記」2022年皐月 初日(東京-磐梯熱海)その1 ‐金町、上野、宇都宮(常磐線/東北本線) 【日光線全駅乗降を果たし、猪苗代湖畔に遊び、磐梯熱海の湯につかり、国定忠治を訪ねた旅でございます。】

鉄旅日記2022年5月7日・・・金町駅、上野駅、宇都宮駅(常磐線/東

→もっと見る

    PAGE TOP ↑