「鉄旅日記」2020年卯月【緊急事態宣言発令直前のことでございます。常磐線全線運転再開を祝して人知れず旅に出たのでございます。】最終日(新津-東京)その1‐新津、馬下、津川、喜多方(磐越西線)
鉄旅日記2020年4月5日・・・新津駅、馬下駅、津川駅、喜多方駅(磐越西線)
2020・4・5 5:59 新津(にいつ)駅(羽越本線/信越本線/磐越西線 新潟県)
弱い雨は降りやんでいない。
駅前のホテルと駅を往復するのみの新津滞在。
いつだったかアーケード街が尽きるまで歩いたことがあった。
よく覚えているつもりでいるが、だいぶ前のことになる。
改札はまだ開いておらず、たまたま出てこられた女性駅員さんを呼び止めて判を押してもらった。
青春18きっぷ。
今回もいい旅ができている。
6:00発の会津若松行。
乗客はオレを含めて2名。
新型コロナウイルスの影響かどうかの判断はつかない。
6:29 馬下(まおろし)駅(磐越西線 新潟県)
行き違い5分の停車。
春の雨に体が少し震えた。
静かな朝。
静かな雨。
壊れた靴に雨が染み込むこともなく、足元に気をつけて階段を上り下り。
静かな駅前を写す。
馬下を出ると左手に阿賀野川が現れた。
磐越西線に乗る楽しみがここから始まる。
7:11 津川(つがわ)駅(磐越西線 新潟県)
行き違い、時間待ち11分の停車。
この鉄路を往けば津川駅でこうした時間ができるケースは多く、3度目の下車になる。
麒麟橋の途中まで行き、阿賀野川を写す。
その雄大な流れを目にしながら、川沿いの集落を見てはとりとめのない思いにふける。
車中ではそんなふうに時間を過ごしていた。
そしてこの駅に降りれば、ここは「狐の嫁入り」の村だったと記憶に乗せる。
現在はほとんど見られないとのことだが、津川の狐火出現率は世界一レベルで、そうした怪火の連なりと、この地域におけるかつての嫁入りが夕方から夜にかけて行われたことがリンクしたと伝わる。
闇の中を提灯を提げた嫁入り行列が麒麟山を往く様。
なるほど。
毎年5月3日に「狐の嫁入り行列」の祭が開催されている。
8:28 喜多方(きたかた)駅(磐越西線 福島県)
日出谷駅に着く前に阿賀野川を渡る。
橋脚が遺された先に旧線跡を見る。
鉄路にも歴史がある。
高度経済成長期からバブル時代を過ごした身として、時代が進むにつれて衰退していくものがあることを知った時は不思議に思ったりもした。
川は流れ、時に目をつむり、磐越西線の風景に寄り添っていた。
山都を過ぎてしばらくすると視界が開ける。
そして美しい会津盆地を一望する。
行き違い6分の停車。
喜多方は濡れていなかった。
かろうじて感じる程度の雨が降っている。
寒い。
蔵と酒の街、喜多方。
2年振りに降りた。
1984年までは廃線となった日中線と接続するターミナル駅だった。
今市から米沢まで。
野州、岩州、羽州を結ぶ野岩羽線という路線構想があったという。
米沢藩はこの道を通り、会津からは会津藩、庄内藩、新発田藩、村上藩なども参勤交代でその道を往った。
会津西街道にその名残りをかつて見ている。
現在は東武鬼怒川線、野岩鉄道、会津鉄道、磐越西線を乗り継いで今市から喜多方までは行ける。
日中線はそうした構想の一翼を担うはずだったが、喜多方から4駅目の熱塩で延伸は止まり、熱塩駅北方にある日中温泉が線名の由来となった。
生まれてはいるが、そんな時代をオレは知らない。
関連記事
-
「車旅日記」1996年黄金週間【友を訪ねて大阪へ。そして約束の地、金沢へ。夢を見ながら国道を走った日々でございます。】初日(東京-大阪茨木 R246→R1→名神高速)その1-町田、御殿場、道の駅富士川、静岡駅、掛川
車旅日記1996年5月3日 1996・5・3 0:36 東京町田 旅が始まる。 今はそれ以外の
-
「車旅日記」2000年春【一年のブランクを経て、旅再開。出発場所は東京町田から、下町葛飾へと変わっております。】初日(東京‐足利‐鬼怒川‐会津若松‐新潟豊栄)その2‐足利郊外ポテチーノ、下今市駅、鬼怒川ホテルニュー岡部、上三依塩原駅、会津若松駅、津川町、道の駅豊栄
車旅日記2000年5月3日 15:12 293号国道‐足利郊外ポテチーノ 108㎞ 繁華街を抜け
-
「鉄旅日記」2014年夏【青春18きっぷで、中国ぶらぶら旅】2日目(津山-鳥取)その1-津山、坪井、久世、中国勝山、刑部、新見、総社、備中高松、高松城址、吉備津(姫新線、伯備線、吉備線)
鉄旅日記8月14日その1・・・津山駅、坪井駅、久世駅、中国勝山駅、刑部駅、新見駅、総社駅、備中高松駅
-
「鉄旅日記」2017年夏【私鉄王国で過ごす夏】初日(東京-大垣)その1-保谷、品川、三島、静岡、浜松、鷲津、豊橋、岐阜、蘇原、美濃太田(東海道本線/高山本線)
鉄旅日記2017年8月11日・・・保谷駅、品川駅、三島駅、静岡駅、浜松駅、鷲津駅、豊橋駅、岐阜駅、蘇
-
「車旅日記」2000年夏Part.2【友を訪ねて備後福山へ。長門宇部へ。2000㎞に及ぶ長大な旅路でございました。】最終日(東京町田-東京葛飾)
車旅日記2000年8月16日 2000・8・16 23:09 東京葛飾金町 旅が終わってほっとし
-
「車旅日記」2006年皐月【東京から出かける最後の車旅。関東、東北を2,265㎞走った記録でございます。】2日目(黒磯-郡山-いわき-仙台)その1-道の駅明治の森黒磯、高久駅、黒田原駅、白河駅、安積永盛駅、三春駅、船引駅、磐城常葉駅、川前駅、小川郷駅、四ツ倉駅
車旅日記2006年5月3日・・・道の駅明治の森黒磯、高久駅、黒田原駅、白河駅、安積永盛駅、三春駅、船
-
「鉄旅日記」2018年如月【冬の町を見たくて、週末パスを買いました。】初日(東京-河口湖-新島々-長野-直江津)その1-保谷、代々木、都留市、富士山、河口湖(西武池袋線/山手線/中央本線/富士急行)
鉄旅日記2018年2月10日・・・保谷駅、代々木駅、都留市駅、富士山駅、河口湖駅(西武池袋線/山手線
-
「鉄旅日記」2012年春【青春18きっぷで、ダム湖に水没する鉄路へ】その1-上尾、桶川、鴻巣、行田、岡部、神保原、新町、群馬総社、中之条、郷原、長野原草津口、万座・鹿沢口(高崎線、吾妻線)
鉄旅日記2012年4月1日その1・・・上尾駅、桶川駅、鴻巣駅、行田駅、岡部駅、神保原駅、新町駅、群馬
-
「鉄旅日記」2020年睦月【秋田内陸縦貫鉄道に乗りにいきました。五能線の名所も歩いた旅初めでございます。】2日目(湯沢-鷹ノ巣)その3‐驫木、風合瀬、大戸瀬、千畳敷、北金ヶ沢(五能線)
鉄旅日記2020年1月12日・・・驫木駅、風合瀬駅、大戸瀬駅、千畳敷駅、北金ヶ沢駅(五能線) 13:
-
「鉄旅日記」2008年初秋【秋になると北陸に行きたくなるものでございます。能登半島をはじめ、いくつもの終着駅へと行き着いたのでございます。】初日(東京-羽咋)その2-新西金沢、野町、加賀一の宮、西金沢、羽咋(北陸本線/北陸鉄道石川線/七尾線)
鉄旅日記2008年9月13日・・・新西金沢駅、野町駅、加賀一の宮駅、西金沢駅、羽咋駅(北陸本線/北陸