「鉄旅日記」2017年夏【私鉄王国で過ごす夏】2日目(大垣-姫路)その2-新今宮、天下茶屋、堺東、三国ヶ丘、上野芝、百舌鳥、百舌鳥八幡、金剛、千早口、高野山、極楽橋、新今宮、大阪、姫路(南海本線/南海高野線/阪和線/高野山ケーブル/大阪環状線/山陽本線)
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最終更新日:2020/09/12
旅話 2017年
鉄旅日記2017年8月12日
12:48 新今宮(しんいまみや)駅(関西本線/大阪環状線/南海本線 大阪府)
大阪に下りたら暑かった。
通天閣がどこにあるのか分からない。
前回降りたのは、もう遠い日。
発着メロディーはクラシックの「新世界」。
ここには新世界という繁華街がある。
13:04 天下茶屋(てんかちゃや)駅(南海本線/南海高野線 大阪府)
「チカンはアカンで。
ぜったいアカンで。」
大阪は笑えて、そしてホロッとくる。
「人生の節目に塩昆布。」
オレの人生はそうじゃなかったが、思わず唸りたくなる。
そんな標語を見かける南海道中。
アーケードの商店街を歩いた。
昼も薄暗い一角にはなぜか惹かれる。
眼鏡を拾ってあげたオバチャンと二言三言。
愛嬌のある大阪のオバチャンはかわいらしい。
オレの血には大阪は入っていないが、いつもオレの中の何かが反応する。
車内アナウンスがうまく聞き取れない。
新今宮から天下茶屋へはひと駅。
ここで高野線に乗り換える。
天下茶屋駅周辺風景
堺東(さかいひがし)駅(南海高野線)にて
堺東駅周辺風景
仁徳天皇陵古墳
13:51 三国ヶ丘(みくにがおか)駅(阪和線/南海高野線 大阪府)
堺の繁栄は堺東にあった。
これまで南海本線堺駅、阪和線堺市駅と降りてきたが、両駅周辺とも繁華な街並とは言えず、政令指定都市堺の中心とは一体どこを指すのか。
謎は深まるばかりだった。
大阪は商店街の街だが、くまなくアーケードで覆い、昼飲み屋が賑わっている。
三国ヶ丘までひと駅を歩く。
仁徳天皇陵古墳が見たかった。
でも、宮内庁に管轄された敷地に立ち入ることはできない。
展望台があるわけでもないから、巨大な森林公園的なものを側面から眺めるに過ぎない。
たいした感動は起こらない。
三国ヶ丘は堺東の喧騒と都会的風貌を持たず、すでに郊外。
車窓から百舌鳥古墳群を眺めるため、今はJR駅にいる。
14:14 上野芝(うえのしば)駅(阪和線 大阪府)
大阪では昼間も女性専用車両を導入している。
三国ヶ丘から2駅。
古墳群の見えかたに変化があるわけでもなく、駅前は郊外化している。
ここからまたひと駅戻る。
百舌鳥(もず)駅(阪和線 大阪府)にて
百舌鳥駅前仁徳天皇陵古墳
百舌鳥~百舌鳥八幡間(徒歩)
14:47 百舌鳥八幡(もずはちまん)駅(南海高野線 大阪府)
JR阪和線百舌鳥駅で降りて広大な仁徳天皇陵古墳の一端に再度触れ、向き直って歩き出す。
仁徳天皇陵古墳との出会いはここまで。
オレにはこれでいい。
オレが旅をするのは、ひとつでも多くの駅で降りて、町を見て、暮らしを見て、様々な歴史を知りたいから。
百舌鳥から百舌鳥八幡へは徒歩で10分ほど。
古代から歴史的な一帯だが、古の大王に敬意を表しているのか大阪的コテコテ感は見られない。
15:23 金剛(こんごう)駅(南海高野線 大阪府)
楠公、楠木正成を偲ぶつもりで降りた。
彼の出自の詳細はおそらく伝わっていないのだろう。
金剛山で育まれ、後醍醐天皇の蜂起と共に忽然と歴史に現れ、その数年後に神戸で死ぬ。
吉川英治さんは「私本太平記」で、彼の聖人的で美しい生涯を家族愛を交えて描いた。
事実か伝説かは詮索すまい。
物語の楠木正成を愛している。
高架駅から金剛山は見えた。
でも地上に下りると姿を隠す。
ここは大阪狭山市というのか。
もっと鄙びていて、麓の町かと思っていたけど、オレと同じような勤め人が暮らす町だった。
そりゃそうだ。
3月に訪れた河内長野はこの先にある。
PL教団の平和塔も金剛山と同じような見え方をしていた。
15:52 千早口(ちはやぐち)駅(南海高野線 大阪府)
降りたとたんに分かったよ。
オレはこの場所こいたかったのだと。
何もないんだ。
楠木正成が、数万にも上る関東の軍勢を迎え撃った千早赤阪の攻防に思いを馳せようとしても、何も見えない。
駅前にビールを置いているコンビニ的な店があって、百舌鳥古墳群に入ってから4本目だから控えようかとも思ったが、人助けにもなるからな。
耳の遠い老女主人をお友達が支えていた。
テレビじゃ甲子園。
こうして表に出れば焦がれていた蜩の声。
何もなくたっていいじゃんか。
何より、ここでこうしてなきゃ、こんな心境にはならない。
見渡せば、少しばかり緑の多い普通の住宅街。
そこに外からやってきた何者とも知れない男が、勝手に旅情を感じるのは迷惑かもしれないが、そんな自らの琴線に合致するものを自然に求めているのが人生。
17:57 高野山(こうやさん)駅(高野山ケーブル 和歌山県)
ここまでひとりでクルマを運転してきた過去がある。
ケーブルカーじゃそこまでは行けなくて、あとはバスの出番。
そんな時間はとっていない。
金剛峯寺の前で写真を撮るイメージはできていたから残念だ。
極楽橋へと向かう下りケーブルの車中、聞こえてくる言語は様々で国際色豊かだ。
南海電鉄はよくこんなとこまで線路を敷いたものだ。
誇るべき文化だ。
あまりにも高所で下界は木々に隠れ、九度山の町が僅かに見えるに過ぎない。
18:12 極楽橋(ごくらくばし)駅(南海高野線/高野山ケーブル 和歌山県)
ケーブルカーで下りてきて、駅が近づくと蜩の声に包まれる。
これが夏。
ここは人が暮らす里では最早ない。
集落は遥か下で、関ヶ原合戦の後に真田昌幸、幸村親子が流されたのが九度山なのが頷ける。
つまりそこが集落の最高所で、監視制度が敷ける限界地点だったわけだ。
高野山に上がればそこは聖地。
俗界の掟は及ばない。
19:55 新今宮(しんいまみや)駅(関西本線/大阪環状線/南海本線 大阪府)
高野山から急行列車で2時間着。
案外近い。
オレの家から江ノ島に行くより近い。
運賃も1260円と安い。
高野山駅からはバスに乗らなきゃ金剛峯寺には着かないが、それでも安い。
関西は魅力に満ちている。
通天閣に阿倍野ハルカス。
ホームから見えたよ。
駅前の広大な更地に何があったのか記憶にない。
かつて天王寺に泊まって新今宮周辺を隈なく歩いたが、そんな新今宮がオレにとってほんの少し遠くなった。
20:15 大阪(おおさか)駅(東海道本線/大阪環状線/福知山線 大阪府)
大阪環状線で大阪へ。
ここで東海道本線、通称神戸線に乗り換えて姫路に向かう。
傘を被った大阪駅。
ホームからの眺めは日本一巨大な街だった。
姫路(ひめじ)駅(山陽本線/播但線/姫新線 兵庫県)にて
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