*

「鉄旅日記」2012年夏【青春18きっぷで、富山・岐阜途中下車旅】最終日(富山-東京)その1-富山、水橋、速星、千里、越中八尾、笹津、猪谷、飛騨古川、高山、久々野、下呂、白川口、上麻生、下麻生(北陸本線、高山本線)

公開日: : 最終更新日:2023/06/29 旅話, 旅話 2012年

鉄旅日記2012年8月26日その1・・・富山駅、水橋駅、速星駅、千里駅、越中八尾駅、笹津駅、猪谷駅、飛騨古川駅、高山駅、久々野駅、下呂駅、白川口駅、上麻生駅、下麻生駅(北陸本線、高山本線)
2012・8・26 6:22 富山(とやま)駅(北陸本線/高山本線/富山地方鉄道/富山ライトレール 富山県)
高岡に続き、富山駅も工事中。
北陸新幹線建設に合わせた動きだろう。
完成はいつになる。
その時はまた北陸を目指さなきゃな。

0:00の富山は都会だった。
ホテルが建ち並び、リュックを背負った登山者が行き交い、酔人の狂声が鳴り響き、シネマ食堂街は昭和の街角の灯を保つ。

何年か前の5月に隅々まで歩いたと思っていたが、あの片隅の記憶はない。
面白い街だよ富山。
好きな街だ。

いま車窓から富山平野を眺めている。

6:37 水橋(みずはし)駅(北陸本線 富山県)
富山湾に出ればそこはホタルイカの群遊地。

この町出身の明治の横綱梅ヶ谷の身長はオレより3センチ低い。
ここは薬の町だ。

立山連山がぼんやりと見える。
その稜線の連なりはどこか女性を思わせる遥かな山並みだ。

随分線路が剥がされている。
使われなくなったホームというのは侘しい。
いつまで使われていたのだろう。

これからまた富山駅に戻る。

7:15 速星(はやほし)駅(高山本線 富山県)
2分の停車。

神通川を越えて富山とお別れ。
駅員は女性だった。

涼しげな駅前を囲んでいるのは婦中という町で、駅に着く手前に大きな工場があった。

地図で見ると富山空港が近い。

7:27 千里(ちさと)駅(高山本線 富山県)
3分の停車。

婦中町。

古城跡と古墳が散見される周辺。

駅前は商店の見当たらないごく平凡なものだった。

7:52 越中八尾(えっちゅうやつお)駅(高山本線 富山県)
「おわら風の盆」はすでに20日から始まっている。

今日の開催は東町といったか。
駅は祭の入口にあたり、駅前には仮設便所の設置が完了している。

風の舞台にしては平らな土地だった。
てっきり山間の町だと思っていた。

駅前旅館が小説の舞台になったのだろうか?
川上健一さんの「祭り囃子がきこえる」で描かれた涼しげな町。
時間的継続性のある切なくも美しい物語だった。

神通川を再び渡る。
まるで棒杭のように釣り人たちが川中に佇立していた。

「おわら風の盆」は9月1日から3日まで開催される。

8:06 笹津(ささづ)駅(高山本線 富山県)
山間に入る前の最後の町。
ここでも数分の停車。

神通川を渡る際に美しい風景を見た。
かつて2度この道を高山側から辿ったことがあるが、いずれのケースもあたりは闇に閉ざされていた。

楡原着。
眼下に興味深い駅が見える。

8:55 猪谷(いのたに)駅(高山本線 富山県)
吹く風が心地よい。
こんな風の中、「おわら風の盆」は佳境を迎えていくのだろう。

大雨で線路が流され、かつてここにいた日は雪にも閉ざされていた猪谷。
そして今日、目にしたものすべてが朽ち果てていた。

飛越国境の村で、神通川の流れがかつては恵みをもたらし、神岡鉱山が元気な頃はこの駅の乗降客もかなりの数に上ったのだろう。

でも今じゃ駅前喫茶は廃墟と化し、神通川遊歩道に続く道に彫られた絵は色褪せ、関所公園は夏草に埋もれていた。

遊歩道の先にも便所つきの広場があったけど、手前に行き止まりの柵が設けられ、もうそこにはいけなかった。
未来永劫いけないだろう。
神岡鉱業の社宅と思しき駅横の集合住宅も住む者はなさそうだった。

そんな村を夏の終わりを思わせる風が吹き抜けている。



10:01 飛騨古川(ひだふるかわ)駅(高山本線 岐阜県)
ここでも数分の停車。

岐阜まで150キロ。
山から下りきった飛騨市中心部。
41号国道は蝉の声に包まれていることだろう。

本数の少ない高山本線を求めて乗客が増えてきた。
しかし岐阜までは遠い。

駅前に出ると温泉街に着いたような気分にさせられる。
そんな街路が形成されていた。

10:23 高山(たかやま)駅(高山本線 岐阜県)
かつての雪の記憶が鮮明な高山で、真夏に降りる。

10分近くの停車。
人は多いが、あの1月ほどではない。

中国あたりの言葉が聞こえた。
乗客はほぼ入れ替わった。
高山に遊びにいくという日常もなかなかステキだ。

かわいらしい女子高生たちもみんな下り、うるさいおばさん連中が乗ってきた。

急病人発生で4分遅れの発車。
これでまた予定が狂うのか。

この夏は随分苦しめられたよ。

10:47 久々野(くぐの)駅(高山本線 岐阜県)
特急列車も歩みを遅めたようだ。
久々野駅での交換はうまくいき、走り降りると食堂商店が並ぶちょっとした町だった。

列車はさらに飛騨川に沿って進んでいく。
河原にテントを広げて川遊びに興じる家族の姿が見えた。

いろいろ考えたいことがあるけど、旅とは天秤にかけたくはない。

11:41 下呂(げろ)駅(高山本線 岐阜県)
2度目の乗客交換。
下呂で一番たくさんの人が下り、賑わいはかつての1月と変わらない。

天下の名湯温泉地。

河原を歩くご夫婦が風景にアクセントを与え、下呂を過ぎて飛騨川はまた自然の姿に戻り、車窓はにわかに峡谷に囲まれた。

12:27 白川口(しらかわぐち)駅(高山本線 岐阜県)
飛騨川の雄大な流れとの道行はまだ続き、ここは美濃白川。
白川郷の入口ということになるのか。
この駅に降りてもよく分からない。

岐阜に近づいているが峡谷はより狭く険しくなり、飛騨川はダムにより何度も寸断されているが、山水画の如き太古の姿を保ち寄り添う。

名勝日本ラインに劣らぬ絵を見ている。

12:42 上麻生(かみあそう)駅(高山本線 岐阜県)
赤池弁財天、飛水峡。

人間が険しい場所に神を設けたがる理由が分かる。

それはこの険しい土地に鉄道を通す理由と変わらないんだろう。

山頂が丸く尖った独特な形状の山々と飛騨川。
街から離れ、また街に近づく。

12:53 下麻生(しもあそう)駅(高山本線 岐阜県)
3駅連続で5分の交換待ち。

晴天だが日差しは弱まり気怠い午後が訪れつつある。

山並が低くなり突忽とした山も姿を消してきた。

いよいよ、街。
美濃加茂に近づいてきた。

関連記事

「鉄旅日記」2016年夏【じきに廃線を迎える留萌~増毛に用がありました】3日目(小樽-富良野)その2-深川、増毛、留萌、北一已、深川、旭川、美瑛、千代ヶ丘、富良野(留萌本線/函館本線/富良野線)

鉄旅日記2016年8月12日・・・深川駅、増毛駅、留萌駅、北一已駅、深川駅、旭川駅、美瑛駅、千代ヶ丘

記事を読む

「鉄旅日記」2014年春【青春18きっぷで、丹後若狭から北陸、信州へ】2日目(西舞鶴-魚津)その2-南条、今庄、北鯖江、鯖江、大土呂、福井、春江、丸岡、芦原温泉、動橋、石動、小杉、越中大門、魚津(北陸本線)

鉄旅日記2014年3月22日その2・・・南条駅、今庄駅、北鯖江駅、鯖江駅、大土呂駅、福井駅、春江駅、

記事を読む

「鉄旅日記」2009年秋【関東ぶらぶら旅その2-武蔵から相模へ】-川口、浦和、深谷、倉賀野、寄居、東飯能、飯能、寒川、茅ヶ崎、辻堂、新橋(京浜東北線/高崎線/八高線/相模線/東海道本線)

鉄旅日記2009年10月27日・・・川口駅、浦和駅、深谷駅、倉賀野駅、寄居駅、東飯能駅、飯能駅、寒川

記事を読む

「車旅日記」2006年皐月【東京から出かける最後の車旅。関東、東北を2,265㎞走った記録でございます。】3日目(仙台-山形-大曲)その2-羽前豊里駅、真室川駅、及位駅、院内駅、湯沢駅、横手駅、後三年駅、大曲グランドホテル

車旅日記2006年5月4日 14:15 羽前豊里駅(738㎞) 駅では少女たちが待っている。

記事を読む

「鉄旅日記」2007年如月【初日天王寺、2日目奈良。宿泊地だけを決めて、心のままに移動した記録でございます。】初日(東京-天王寺)-東京、名古屋、大垣、米原、草津、柘植、京都、木津、京橋、天王寺(東海道新幹線/東海道本線/草津線/奈良線/学研都市線/大阪環状線)

鉄旅日記2007年2月10日・・・東京駅、名古屋駅、大垣駅、米原駅、草津駅、柘植駅、京都駅、木津駅、

記事を読む

「鉄旅日記」2017年夏【私鉄王国で過ごす夏】3日目(姫路-十三)その3-高速神戸、湊川神社、神戸三宮、甲陽園、夙川、西宮北口、宝塚、箕面、石橋、北千里、十三(阪急電鉄神戸高速線/阪急電鉄神戸本線/阪急電鉄甲陽線/阪急電鉄今津線/阪急電鉄宝塚本線/阪急電鉄箕面線/阪急電鉄千里線)

鉄旅日記2017年8月12日・・・高速神戸駅、神戸三宮駅、甲陽園駅、夙川駅、西宮北口駅、宝塚駅、箕面

記事を読む

「鉄旅日記」2017年冬【会津へ。会津へ行きたかったのでございます。】初日(東京-下今市-会津高原尾瀬口-会津若松)その3-鶴ヶ城、七日市、塩川、姥堂、会津若松(只見線/磐越西線)

鉄旅日記2017年12月2日・・・七日市駅、塩川駅、姥堂駅、会津若松駅(只見線/磐越西線) 16:

記事を読む

「車旅日記」1996年秋【夏をあきらめきれず、秋。再び夏のルートへと向かったのでございます。】最終日(鳴子温泉‐米沢‐東京) 鳴子サンハイツ、鳴子温泉駅、芦沢駅、赤湯駅、米沢郊外、磐梯、猪苗代湖、新白河駅、氏家、春日部、三軒茶屋、東京町田

車旅日記1996年11月3日 1996・11・3 9:09 鳴子サンハイツ 拝啓 その後、元気

記事を読む

「鉄旅日記」2009年晩秋【陰陽を行き来した3日間。この国の秋は美しゅうございました。】初日(東京-倉敷)その1-東京、円町、園部、安栖里、山家、市島、柏原、谷川、西脇市、粟生(東海道新幹線/山陰本線/福知山線/加古川線)

鉄旅日記2009年11月21日・・・東京駅、円町駅、園部駅、安栖里駅、山家駅、市島駅、柏原駅、谷川駅

記事を読む

「車旅日記」2000年春【一年のブランクを経て、旅再開。出発場所は東京町田から、下町葛飾へと変わっております。】最終日(郡山‐茂木‐下館‐東京)郡山スターホテル、新白河駅、黒羽くらしの館、茂木駅、下館駅、みつかいどうロードパーク、葛飾金町

車旅日記2000年5月7日 2000・5・7 8:35 郡山スターホテル510号室 最後の朝がや

記事を読む

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

2019年師走~2020年弥生【SNSへの投稿より】大晦日、正月、誕生日、菜の花の頃。

【Facebookへの投稿より2019年12月31日】 【今年も暮れ

「鉄旅日記」2019年師走【由利高原鉄道鳥海山ろく線に乗りにいきました。初冬の日本海は荒々しく、美しゅうございました。】最終日(酒田-東京)その4‐水上、高崎、籠原(上越線/高崎線)

鉄旅日記2019年12月8日・・・水上駅、高崎駅、籠原駅(上越線/高崎

「鉄旅日記」2019年師走【由利高原鉄道鳥海山ろく線に乗りにいきました。初冬の日本海は荒々しく、美しゅうございました。】最終日(酒田-東京)その3‐押切、帯織、長岡(信越本線)

鉄旅日記2019年12月8日・・・押切駅、帯織駅、長岡駅(信越本線)

「鉄旅日記」2019年師走【由利高原鉄道鳥海山ろく線に乗りにいきました。初冬の日本海は荒々しく、美しゅうございました。】最終日(酒田-東京)その2‐小波渡、五十川、府屋、あつみ温泉(羽越本線)

鉄旅日記2019年12月8日・・・小波渡駅、五十川駅、府屋駅、あつみ温

「鉄旅日記」2019年師走【由利高原鉄道鳥海山ろく線に乗りにいきました。初冬の日本海は荒々しく、美しゅうございました。】最終日(酒田-東京)その1‐酒田、象潟、砂越(羽越本線)

鉄旅日記2019年12月8日・・・酒田駅、象潟駅、砂越駅(羽越本線)

→もっと見る

    PAGE TOP ↑