「鉄旅日記」2020年文月【コロナ禍でございます。内緒の旅でございました。余部鉄橋へ。萩へ。霧の街へ。東京五輪延期で浮いた4連休の記録でございます。】2日目(香住-東萩)その2‐浜坂、東浜、福部、鳥取(山陰本線)
鉄旅日記2020年7月24日・・・浜坂駅、東浜駅、福部駅、鳥取駅(山陰本線)
8:55 浜坂(はまさか)駅(山陰本線 兵庫県)
餘部を出ると日本海からは離れ、浜坂駅前にも海の気配はない。
町名は新温泉町という。かつて車でこのあたりを通った際に温泉という町があるのかと驚いた記憶がある。
余部鉄橋を通る「夢千代日記」の主人公は、この町の湯村温泉で置屋の女将をしていた。その温泉街は南へ行った山間にある。
ここで行き違い13分の停車。浜坂駅に降りるのは2度目になる。
駅を出ると歓迎門が出迎える。こんな駅前風景が好きだ。

歩き出そうとするオレを雨が濡らす。振り返るとかつても降りた懐かしい駅。

旅のような人生で、山陰本線での記録も多く残しているが、京都から下関までを通して乗ったことはない。
餘部や浜坂を含むこの区間。
この区間とは具体的にどこを指すのかつらつら思い起こしてみれば、それは和田山~岩美間なのかと新鮮な思いを招き寄せたが、あるいはと思いはしたものの、その鉄路を往くのはこれでわずか2度目なのかと我ながら驚く。
9:21 東浜(ひがしはま)駅(山陰本線 鳥取県)
3分の停車。モダンなデザインの小さな駅があった。


通りの先に小さく日本海が覗く。

東浜駅の開業は戦後しばらくしてからで、待ちかねたかのように臨海学校で京阪地区から子供たちが訪れ、周辺は多くの宿屋が林立して賑わったという過去を持つという。
それも50年前の昔話。車が幅を利かすようになると急速に廃れて、1972年には無人駅になった。
気にならない程度の雨にまた濡れて、列車に戻る。
9:41 福部(ふくべ)駅(山陰本線 鳥取県)
稲田に白鳥の群れを見る。
岩美から大岩までは、かつての夜に物好きにも歩いた道。
あの夜、闇に溶けていた岩美駅。あらためて車窓から眺めるその後ろ姿はとても立派だった。
ここで上りの城崎温泉行との行き違い。5分の停車。



簡素な駅舎が立っている。

田舎風景にえんじ色の客車が映える。
10:22 鳥取(とっとり)駅(山陰本線/因美線/若桜鉄道 鳥取県)
福部から次の鳥取までは約15分。
山間地を抜けるとそのまま高架になり、鳥取平野へと分けいる際の白い街並みに惹かれ、鳥取という街を大きく感じた。
事実大きな街だ。やがて中国山地から延びてきた因美線と、まるで空中で交わるように高架上で合流する。
駅周辺に商業施設が増えたように感じたのは、前回の訪問が夜と早朝の活動だったからなのかもしれない。



懐かしいとも思わず、ここにいることに何らの違和感も持たず、特に感慨も持たずにホームでビールを飲んでいた。
あるいはもう2度と訪れることもないかもしれない遠くの街。

だけど再会の時も別れ際も、とてつもなくさりげない。
思えば、それは人との付き合いにも当てはまる。
関連記事
-
-
「鉄旅日記」2009年初夏【上信越ひとり旅】初日(東京-十日町)-上野、高崎、大前、渋川、沼田、水上、越後湯沢、六日町、越後川口、十日町(高崎線/吾妻線/上越線/飯山線)
鉄旅日記2009年7月18日・・・上野駅、高崎駅、大前駅、渋川駅、沼田駅、水上駅、越後湯沢駅、六日町
-
-
「鉄旅日記」2018年如月【冬の町を見たくて、週末パスを買いました。】最終日(直江津-六日町-大前-東京)その3-金島、中之条、川原湯温泉、大前、羽根尾、高崎問屋町(吾妻線)
鉄旅日記2018年2月11日・・・金島駅、中之条駅、川原湯温泉駅、大前駅、羽根尾駅、高崎問屋町駅(吾
-
-
「鉄旅日記」2019年長月【三陸鉄道、八戸線に乗りにいきました。区界、吉里吉里など、駅旅の者として見過ごせない駅にも寄りましてございます。】2日目(盛岡-宮古)その1-盛岡、仙北町、花巻、遠野、足ヶ瀬(東北本線/釜石線)
鉄旅日記2019年9月22日・・・盛岡駅、仙北町駅、花巻駅、遠野駅、足ヶ瀬駅(東北本線/釜石線)
-
-
「鉄旅日記」2019年弥生Part.2【青春18きっぷ常磐旅。この当時、常磐線は富岡止まりでございます。そしてこの季節、臨時駅の偕楽園駅に列車が止まります。】その3-常陸太田、東海、大甕、南中郷、石岡(水郡線常陸太田支線/常磐線)
鉄旅日記2019年3月10日・・・常陸太田駅、東海駅、大甕駅、南中郷駅、石岡駅(水郡線常陸太田支線/
-
-
「鉄旅日記」2006年晩夏【ふと誘われるように、上州へ向かう列車に乗ったのでございます。】-伊勢崎、桐生、西桐生、下仁田、上州富岡、高崎(高崎線/両毛線/上信電鉄)
鉄旅日記2006年9月2日・・・伊勢崎駅、桐生駅、西桐生駅、下仁田駅、上州富岡駅、高崎駅(高崎線/両
-
-
「鉄旅日記」2018年師走【伊勢のいくつもの終着駅に降りまして、神島で2018年最後の満月を眺めたのでございます。】初日(東京-桑名-阿下喜-西藤原-四日市-内部-西日野-津)その2-西藤原、あすなろう四日市、内部、日永、西日野、泊、南四日市(三岐鉄道三岐線/四日市あすなろう鉄道内部線/四日市あすなろう鉄道八王子線)
鉄旅日記2018年12月22日・・・西藤原駅、あすなろう四日市駅、内部駅、日永駅、西日野駅、泊駅、南
-
-
「車旅日記」2003年夏【北海道初上陸。2,300㎞を移動した5日間の記録でございます。】2日目(札幌-旭川-網走-北見)走行距離431㎞ -岩見沢駅、砂川駅、旭川駅、白滝PA、遠軽駅、サロマ湖、網走刑務所、網走駅、北見東急イン
鉄旅日記2003年8月14日・・・岩見沢駅、砂川駅、旭川駅、白滝PA、遠軽駅、サロマ湖、網走刑務所、
-
-
「鉄旅日記」2021年春【大人の休日倶楽部パスで東北へ。新幹線、在来線特急乗り放題でございます。続くコロナ禍ではございますが、約半年の辛抱の時を過ぎて、天候にも苛まれながら秋田内陸縦貫鉄道に乗りに行きました。】初日(東京-米内沢)その1‐金町、上野、古川、陸前谷地(常磐線/東北新幹線/陸羽東線)
鉄旅日記2021年4月17日・・・金町駅、上野駅、古川駅、陸前谷地駅(常磐線/東北新幹線/陸羽東線
-
-
「鉄旅日記」2018年春【伊那谷へ。長篠へ。安曇野へ。木曽へ。青春18きっぷを握ったそんな旅でございます。】初日(東京-岡谷-長篠-飯田)その1-国立、高尾、宮田、伊那八幡、三河東郷、新城、三河一宮(中央本線/飯田線)
鉄旅日記2018年4月7日・・・国立駅、高尾駅、宮田駅、伊那八幡駅、三河東郷駅、新城駅、三河一宮駅(
-
-
「鉄旅日記」2020年弥生【富山地方鉄道に乗りにまいりました。太多線、高山本線に乗るのも楽しみにしていたのでございます。】最終日(速星-東京)その1‐速星、越中八尾、楡原(高山本線)
鉄旅日記2020年3月22日・・・速星駅、越中八尾駅、楡原駅(高山本線) 2020・3・22 7: