「鉄旅日記」2020年文月【コロナ禍でございます。内緒の旅でございました。余部鉄橋へ。萩へ。霧の街へ。東京五輪延期で浮いた4連休の記録でございます。】2日目(香住-東萩)その3‐末恒、浦安、米子、揖屋(山陰本線)
鉄旅日記2020年7月24日・・・末恒駅、浦安駅、米子駅、揖屋駅(山陰本線)
10:39 末恒(すえつね)駅(山陰本線 鳥取県)
鳥取大学前を過ぎると左手に湖山池が現れる。美しい眺めだった。
ここで列車行き違い5分の停車。さらに上り列車が遅れて2分の遅延。

ばあ様に連れられたかわいらしい兄弟が電車を見にきていて、思わず写す。

様々なものを見たくて長く旅の空の下にいたが、一番見たいと思っているのは実はこんな光景なのだと気づく。
それならわざわざ旅になど出なくても日常の中にありそうだが、どうかそうは言わないで。
しかし列車の遅延で、次の宝木駅でも予定されていた3分の停車は失われた。まぁしょうがない。
そして宝木に着く手前右手に水尻池が現れる。
11:32 浦安(うらやす)駅(山陰本線 鳥取県)
倉吉あたりでは眠りに落ちていた。
駅に到着すれど降りていく者はなく、若者たちは相席を拒んで立っている。
いくぶん退屈した風景の中にチラチラと覗いていた日本海。
ここで行き違い3分の停車。11年前にもこうした停車時間に降りた浦安駅。

角の雑居ビルが町に昭和を残し、駅前通りの果てに日本海が見える。

車がひっきりなしにやってきて、鳥取に向かう人々を下ろしていく。
12:45 米子(よなご)駅(山陰本線/伯備線/境線 鳥取県)
浦安から快速運転を始めた列車。次の停車駅は伯耆大山。
隠岐島を脱出した後醍醐天皇の御座所が置かれた船上山の表示を目にする。大山は雲に隠れていた。
米子には12:04に着いている。駅舎を隠すように土産物屋とコンビニができていた。



ここ米子でも懐かしいという感情は表れてこない。この遠くの街にこれまでに3度もきてるんだ。泊まったのも2度。縁と人生について思う方がより強い。

途中に名探偵コナンの駅を謳っていたのは由良駅だったか。米子から出る境線は妖怪列車。
鳥取県は漫画王国。そんなことが描かれた列車が視界を横切る。
おそらくこの手記をブログに乗せるのは再来年以降になる。その頃にはすべての望みを叶えているだろう。
そうありたくて、希望を乗せる。
13:09 揖屋(いや)駅(山陰本線 島根県)
安来を過ぎて、ふと右手に目をやると中海が広がっている。スマホに目を落としている場合じゃないな。
ここで行き違い3分の停車。おそらく5年振りに降りたのだろう。闇に溶けていたあの夜の駅と現在の姿がうまくつながらない。


列車は3分遅れで発車する。そして山口県内の大雨と落石の影響でダイヤが大幅に乱れているとの放送が入る。
新型コロナウイルスの発生で世界中にパンデミックが拡がった2020年。
何者あるいは何物かが人の人生を狂わす邪悪な遊びを続けている。
プロレスリング・ノアは無観客でも試合を続けているが、夏の甲子園は中止になった。報道は滅入るものばかり。
もう家にはいたくなくて、こうして旅に出たんだ。滅入る時間などいらない。
そう、日本海が荒れるのは常のことさ。
関連記事
-
-
「鉄旅日記」2020年睦月【秋田内陸縦貫鉄道に乗りにいきました。五能線の名所も歩いた旅初めでございます。】初日(東京-湯沢)その1‐金町、北千住、上野、宇都宮、黒磯(常磐線/東北本線)
鉄旅日記2020年1月11日・・・金町駅、北千住駅、上野駅、宇都宮駅、黒磯駅(常磐線/東北本線) 2
-
-
「鉄旅日記」2008年初夏【まほろばの路から紀州へ。紀伊半島で過ごした短い夏の記憶でございます。】2日目(和歌山-松阪)その2-串本、新宮、尾鷲、紀伊長島、三瀬谷、多気、松阪(紀勢本線)
鉄旅日記2008年7月20日・・・串本駅、新宮駅、尾鷲駅、紀伊長島駅、三瀬谷駅、多気駅、松阪駅(紀勢
-
-
「鉄旅日記」2020年卯月【緊急事態宣言発令直前のことでございます。常磐線全線運転再開を祝して人知れず旅に出たのでございます。】初日(東京-新津)その1‐松戸、土浦、友部(常磐線)
鉄旅日記2020年4月4日・・・松戸駅、土浦駅、友部駅(常磐線) 2020・4・4 5:29 松戸(
-
-
「鉄旅日記」2014年冬【まるごと日光・鬼怒川 東武フリーパスで、野州旅】最終日(鬼怒川温泉-東京)-小佐越、大桑、大谷向、下今市、西新井、大師前(東武鬼怒川線/東武大師線)
鉄旅日記2014年12月7日・・・小佐越駅、大桑駅、大谷向駅、下今市駅、西新井駅、大師前駅(東武鬼怒
-
-
「鉄旅日記」2020年卯月【緊急事態宣言発令直前のことでございます。常磐線全線運転再開を祝して人知れず旅に出たのでございます。】最終日(新津-東京)その3‐小野新町、要田、いわき(磐越東線)
鉄旅日記2020年4月5日・・・小野新町駅、要田駅、いわき駅(磐越東線) 12:33 小野新町(おの
-
-
「鉄旅日記」2014年春【青春18きっぷで、丹後若狭から北陸、信州へ】最終日(魚津-東京)その2-有間川、谷浜、名立、直江津、犀潟、二本木、今井、川中島、姨捨、信濃境、すずらんの里、富士見(北陸本線/信越本線/篠ノ井線/中央本線)
鉄旅日記2014年3月23日その2・・・有間川駅、谷浜駅、名立駅、直江津駅、犀潟駅、二本木駅、今井駅
-
-
「鉄旅日記」2020年文月【コロナ禍でございます。内緒の旅でございました。余部鉄橋へ。萩へ。霧の街へ。東京五輪延期で浮いた4連休の記録でございます。】初日(東京-香住)その3‐米原、京都、梅小路京都西、丹波口、花園(東海道本線/山陰本線)
鉄旅日記2020年7月23日・・・米原駅、京都駅、梅小路京都西駅、丹波口駅、花園駅(東海道本線/山
-
-
「鉄旅日記」2005年初冬【鉄旅に目覚め、銚子へと向かったのでございます。】その1-松戸、我孫子、成田、銚子(常磐線/成田線/銚子電鉄)
鉄旅日記2005年12月10日・・・松戸駅、我孫子駅、成田駅、銚子駅(常磐線/成田線/銚子電鉄) 小
-
-
「鉄旅日記」2020年文月【コロナ禍でございます。内緒の旅でございました。余部鉄橋へ。萩へ。霧の街へ。東京五輪延期で浮いた4連休の記録でございます。】初日(東京-香住)その5‐並河、園部、胡麻、下山、福知山(山陰本線)
鉄旅日記2020年7月23日・・・並河駅、園部駅、胡麻駅、下山駅、福知山駅(山陰本線) 16
-
-
「鉄旅日記」2003年冬【ご縁と別れがあり、34歳の誕生日を北九州で迎えた日の記憶でございます。】最終日(博多-小倉-門司港-宇部)その1-博多そして小倉
鉄旅日記2003年2月16日 2003・2・16日の記憶 日曜日の朝だった。 34歳の誕生日に