「鉄旅日記」2021年春 最終日(米内沢-東京)その1 ‐米内沢、鷹巣、鷹ノ巣、早口、秋田(秋田内陸縦貫鉄道/奥羽本線) 【大人の休日倶楽部パスで東北へ。新幹線、在来線特急乗り放題でございます。続くコロナ禍ではございますが、約半年の辛抱の時を過ぎて、天候にも苛まれながら秋田内陸縦貫鉄道に乗りに行きました。】
鉄旅日記2021年4月18日・・・米内沢駅、鷹ノ巣駅、早口駅、秋田駅(秋田内陸縦貫鉄道/奥羽本線)
2021・4・18 6:04 米内沢(よないざわ)駅(秋田内陸縦貫鉄道 秋田県)
温泉館は近々休業に入ると伺った。週末の宿泊客はオレも含めてわずかなもの。コロナ禍で大変なご苦労をなさってきた。
ご厄介をおかけした礼を述べて温泉館を出て、しばらく川辺を歩いてきた。
熱い湯が湧き、川霧がたつ。東京では得られない清々しい朝。




阿仁川の水運で栄えた町に多くの旧跡が残る。その中に縄文時代晩期集落の白坂遺跡がある。
そこで発見された「笑う岩偶」が観光駅長を勤める米内沢駅。人気のない駅前と合わせて眺め、ようやく冬の気配が消えた秋田という国柄を想う。



昨夜も写した駅舎内にはピアノ、電子ピアノが置かれ、作曲家の成田為三の出身地ということから町は音楽館を持つ。

その名も「浜辺の歌音楽館」。そして不意に誰もいない駅に「浜辺の歌」の美しいピアノ演奏が流れ、感動が身を震わせた。
何という美しいメロディー。何か大切なものを教えられたような気分でいる。
降り続けた雨は一旦上がり、雲は白を取り戻し、隙間に覗く青は神々しく、輝かしい未来を予感させてくれる。


6:41 鷹巣(たかのす)駅(秋田内陸縦貫鉄道 秋田県)にて

6:50 鷹ノ巣(たかのす)駅(奥羽本線 秋田県)
先に触れた縄文遺跡にはストーンサークルが残る。秋田内陸線は時空を超えた価値を示す得がたい路線。車内には「ブサかわいい」と愛された秋田犬の写真が飾られていた。
終点の鷹巣へ。去年はこの町に泊まったよ。またこの線区を往く旅を計画するだろう。

世界一の大太鼓の里はまた雨。初めてこの町を通った15年前も雨だった。

アーケード街を歩く姿はなく、空はまたグレーに覆われた。

ふと傘に目をやると桜の花びらがついていた。
7:13 早口(はやぐち)駅(奥羽本線 秋田県)
鷹ノ巣から弘前行に乗る。米代川に沿う。右手に姿のいい山が現れる。
2駅目。快速列車が停車する早口で降りる。
次の快速秋田行が来るのは11分後。あの山や川辺に下りられるだろうかと外に出れば大雨。米内沢での朝のひとときは楽園だった。

レンガ造りが残る駅舎はきっと歴史的な価値を持つものだろう。特徴的な姿を愛でた後、運動系少女4名とともに上り列車を待っていた。

あるいはコンビニでもあるかと思っていたが、仕方がない。覚悟はしていたが、秋田まで水だけで過ごさなければ。
9:11 秋田(あきた)駅(秋田新幹線/奥羽本線/羽越本線/男鹿線 秋田県)
グレーの空を眺めていた。目をつむることが多かった。八郎潟が見えてくると振り向いてしばし眺めた。
この3月に開業したばかりの新駅「泉外旭川駅」で降りるつもりでいたけど、腹が減っている。車窓から見渡したところすぐに食料を調達できる店もない。車両基地内にできた一風変わった駅で、もちろん興味を引いたが、計画を変更した。
その頃には車内も県都に向かう人々で賑わっていた。
「駅そば」で朝食。メニューに「コロッケそば」があるなら、たいていの場合選ぶ。

駅構内に置かれた「なまはげ」の前では駅員さんが並び、何事かが進行中。ただ、売店から出てみると散会していた。


羽越本線に乗る。そして駅旅を重ね、在来線特急で新潟に出て、上越新幹線で帰る予定でいる。
向かいのシートでご婦人が編み物をしている。昔はよく見た牧歌的な風景が得がたいものに思える。
桂根を過ぎると日本海が見え始めた。そして空には米内沢で見たような青。
1時間後の空を信用できるか。それでまた計画は変わる。
関連記事
-
-
「鉄旅日記」2009年秋-越生、坂戸、小川町、寄居、羽生、久喜、新越谷、南越谷(東武越生線/東武東上線/秩父鉄道/東武伊勢崎線/武蔵野線)【関東ぶらぶら旅その3-武蔵国で遊ぶ日。7つの交差点へ。】
鉄旅日記2009年11月3日・・・越生駅、坂戸駅、小川町駅、寄居駅、羽生駅、久喜駅、新越谷駅、南越谷
-
-
2020年水無月【緊急事態宣言から解放された週末。石和温泉につかりにいった記憶をSNS風に綴ります。】-甲府、善光寺、酒折、石和温泉、大月(中央本線/身延)
鉄旅日記2020年6月20日~21日・・・甲府駅、善光寺駅、酒折駅、石和温泉駅、大月駅(中央本線/
-
-
「鉄旅日記」2020年卯月 初日(東京-新津)その3‐仙台、北山、葛岡、山形(仙山線) 【緊急事態宣言発令直前のことでございます。常磐線全線運転再開を祝して人知れず旅に出たのでございます。】
鉄旅日記2020年4月4日・・・仙台駅、北山駅、葛岡駅、山形駅(仙山線) 12:25 仙台(せんだ
-
-
「車旅日記」2004年春 最終日(稚内-旭川空港)走行距離353㎞その1-稚内サンホテル、稚内公園、ノシャップ岬、サロベツ原生花園、サロベツ河畔、パンケ沼、下沼駅、幌延駅、雄信内駅 【旭川に下りて、思う存分に北の大地を走った旅の記録でございます】
車旅日記2004年5月5日・・・稚内サンホテル、稚内公園、ノシャップ岬、サロベツ原生花園、サロベツ河
-
-
「鉄旅日記」2018年春 最終日(飯田-東京)その2-安曇沓掛、信濃常盤、細野、海ノ口、信濃大町、信濃松川、安曇追分、南松本(大糸線/篠ノ井線)【伊那谷へ。長篠へ。安曇野へ。木曽へ。青春18きっぷを握ったそんな旅でございます。】
鉄旅日記2018年4月8日・・・安曇沓掛駅、信濃常盤駅、細野駅、海ノ口駅、信濃大町駅、信濃松川駅、安
-
-
「鉄旅日記」2009年秋 2日目(新山口-大分)その1-新山口、宇部、居能、雀田、長門本山、小野田、厚狭、新下関、下関、門司、小倉(山陽本線/宇部線/小野田線/長門本山支線/山陽本線/鹿児島本線) 【遅い夏休みをとり、長崎までの切符を買いました。】
鉄旅日記2009年9月19日・・・新山口駅、宇部駅、居能駅、雀田駅、長門本山駅、小野田駅、厚狭駅、新
-
-
「鉄旅日記」2012年初冬【週末パスで、甲信越途中下車旅】最終日(長野-東京)その1-長野、信州中野、湯田中、安茂里、戸倉、上田、別所温泉、西上田、田中(長野電鉄、信越本線、しなの鉄道、上田交通)
鉄旅日記2012年12月9日その1・・・長野駅、信州中野駅、湯田中駅、安茂里駅、戸倉駅、上田駅、別所
-
-
「鉄旅日記」2019年霜月 2日目(五所川原-北上)その4‐小柳、筒井、八戸、盛岡、北上(青い森鉄道/東北・北海道新幹線/東北本線) 【津軽鉄道、弘南鉄道に乗りにいきました。羽州街道を歩いた晩秋の旅でございます。】
鉄旅日記2019年11月3日・・・小柳駅、筒井駅、八戸駅、盛岡駅、北上駅(青い森鉄道/東北・北海道新
-
-
「鉄旅日記」2021年師走 最終日(古川-東京)その3 ‐瀬見温泉(陸羽東線)/湯前神社/山神社 【特急乗り放題の大人の休日倶楽部パスで冬の国へ。山田線完全乗車と鳴子温泉郷を始めとした陸羽東線沿線を歩くことが目的でございました。】
鉄旅日記2021年12月6日・・・瀬見温泉駅(陸羽東線)/湯前神社/山神社 11:37 瀬見
-
-
「鉄旅日記」2020年弥生 初日(東京-高山)その4‐多治見、坂祝、美濃太田(太多線/高山本線)【富山地方鉄道に乗りにまいりました。太多線、高山本線に乗るのも楽しみにしていたのでございます。】
鉄旅日記2020年3月20日・・・多治見駅、坂祝駅、美濃太田駅(太多線/高山本線) 14:19 多
- PREV
- 「鉄旅日記」2021年春 初日(東京-米内沢)その5‐比立内、阿仁合、阿仁前田温泉、合川、米内沢(秋田内陸縦貫鉄道) 【大人の休日倶楽部パスで東北へ。新幹線、在来線特急乗り放題でございます。続くコロナ禍ではございますが、約半年の辛抱の時を過ぎて、天候にも苛まれながら秋田内陸縦貫鉄道に乗りに行きました。】
- NEXT
- 「鉄旅日記」2021年春 最終日(米内沢-東京)その2 ‐小砂川、女鹿、象潟、秋田(羽越本線/秋田新幹線)/三崎峠 【大人の休日倶楽部パスで東北へ。新幹線、在来線特急乗り放題でございます。続くコロナ禍ではございますが、約半年の辛抱の時を過ぎて、天候にも苛まれながら秋田内陸縦貫鉄道に乗りに行きました。】
