「鉄旅日記」2019年長月 最終日(宮古-東京)その2‐陸前赤崎、大船渡、気仙沼、一ノ関(三陸鉄道リアス線/大船渡線) 【三陸鉄道、八戸線に乗りにいきました。区界、吉里吉里など、駅旅の者として見過ごせない駅にも寄りましてございます。】
鉄旅日記2019年9月23日・・・陸前赤崎駅、大船渡駅、気仙沼駅、一ノ関駅(三陸鉄道リアス線/大船渡線)
8:28 陸前赤崎(りくぜんあかさき)駅(三陸鉄道リアス線 岩手県)にて
9:17 大船渡(おおふなと)駅(大船渡線 岩手県)
大船渡を歩きたかった。
終点の盛駅のひとつ手前の陸前赤崎で降りる。
太平洋セメントの脇を通る。
貨物線が敷かれている。
線路は盛駅を通り越して長岩鉱山までをつなぎ、石灰石を運んでいる。
岩手開発鉄道。
現在は貨物専業だが、平成4年までは盛~岩手石橋間で旅客営業も行っていたとのこと。
当初は地域振興や林産資源の開発などを目的として、釜石線の平倉駅と盛駅をつなぐ計画で発足したが、第二次世界大戦をはさんで中断。
開業したのは戦後5年目のことだった。
大船渡湾を突っ切ってここまで歩いてきた。
東日本大震災による痛ましい傷痕はいくつも残され、茫漠たる眺めに何を思うべきか考える。
街を飲み込んだ津波の映像は今も記憶に鮮明で、たまたま手洗い所を借りに入った公共施設では当時の生々しい写真を展示していた。
なんだか妙な臭いがしたよ。
あるいはたんにそれは港の臭いだったのかもしれない。
ただ何度か突き上げる思いにかられて、いくつかの廃墟の前で黙礼していた。
大船渡にはもうホテルもできている。
もう泊まりにきてもいいんだよ。
10:46 気仙沼(けせんぬま)駅(大船渡線/気仙沼線 宮城県)
BRTは外観もバスだが、乗り心地もバスだった。
揺れが激しい。
BRT(bus rapid transit)とは、バスを基盤とした大量輸送システムのことで、道路も走れば線路も走ると思っていたオレは大きな勘違いをしながらここまで何度も乗ってきたことになる。
喪失の激しかった陸前高田に希望を見た。
BRT乗場に旧陸前高田駅を模した駅舎がたち、かつて寄った「道の駅高田松原」が再建されて、奇跡の一本松と新たな復興記念館をあわせて人を集めていた。
3年前にはBRTから見えた奇跡の一本松は、そうした様々な事情で車窓からは隠されてしまった。
大船渡に陸前高田。
やがてオレが行くべき街がある。
ここ気仙沼でBRTから乗り継いで普通列車に揺られている。
そして、盛~気仙沼間にはもう二度と鉄路が敷かれることはないという事実と、あの大震災から8年になるが、8年という歳月ができたことを、自分の人生に重ねて考えていた。
12:41 一ノ関(いちのせき)駅(東北・北海道新幹線/東北本線/大船渡線 岩手県)
乗り換え時間30分強。
1番ホームの駅そばで出してくれる美味しいラーメンは、また食べられると思うだけで幸せな気持ちにさせてくれる。
朝からウイスキーハイボールばかり飲んで喉が乾いていた。
今日は汁まで飲み干す。
高血圧を気にする身だが、よく歩いたし構わないさ。
小説「吉里吉里人」では、夜行列車「十和田3号」に乗った乗客が一ノ関手前の赤壁付近で、「吉里吉里人」と名乗る暴徒に連れ去られるところから物語が始まる。
赤壁ではないが、一ノ関の次の駅は有壁。
急行「十和田」は上野~青森間を常磐線経由で1985年まで走っていた。
12:44発小牛田行。
閑散区間らしく、まばらな客を乗せて発車した。
【Facebookeへの投稿より】
雨の宮古を出て、再び三陸旅を始めました。
浪板海岸から故井上ひさしさんの小説「吉里吉里人」のモデルになった吉里吉里(きりきり)へと歩きました。
小説「吉里吉里人」は、東北地方のある地域に忽然と「吉里吉里国」という独立国ができるお話でございます。
さらに大船渡へ。
吉里吉里がある大槌町も大船渡も、東日本大震災で深刻な被害を受けた地域でございます。
そんな復興へと向かう町を歩きたかったのでございます。
関連記事
-
-
「鉄旅日記」2021年春 最終日(松本-東京)その1 ‐松本、一日市場、信濃大町、信濃木崎(大糸線) 【週末パスで信濃へ。妙高高原駅で引き返し、松本の友人を訪ね、大糸線を旅して思い出の白馬へ。先の旅から一週間後のことでございました。】
鉄旅日記2021年4月25日・・・松本駅、一日市場駅、信濃大町駅、信濃木崎駅(大糸線) 20
-
-
「鉄旅日記」2009年秋【遅い夏休みをとり、長崎までの切符を買いました。】2日目(新山口-大分)その1-新山口、宇部、居能、雀田、長門本山、小野田、厚狭、新下関、下関、門司、小倉(山陽本線/宇部線/小野田線/長門本山支線/山陽本線/鹿児島本線)
鉄旅日記2009年9月19日・・・新山口駅、宇部駅、居能駅、雀田駅、長門本山駅、小野田駅、厚狭駅、新
-
-
「車旅日記」1996年黄金週間【友を訪ねて大阪へ。そして約束の地、金沢へ。夢を見ながら国道を走った日々でございます。】最終日 北陸より東京へ‐その1(北陸道→R8)有磯海SA、玉ノ木パーキング、親不知ピアパーク、能生
車旅日記1996年5月6日 3:40 北陸自動車道-有磯海SA 多少はスッキリしたんだ。 あれから
-
-
「鉄旅日記」2020年睦月 初日(東京-湯沢)その4‐ゆだ錦秋湖、ほっとゆだ、横手、湯沢(北上線/奥羽本線)/慶 【秋田内陸縦貫鉄道に乗りにいきました。五能線の名所も歩いた旅初めでございます。】
鉄旅日記2020年1月11日・・・ゆだ錦秋湖駅、ほっとゆだ駅、横手駅、湯沢駅(北上線/奥羽本線)/慶
-
-
「鉄旅日記」2013年春【青春18きっぷで、甲斐駿河途中下車旅】その2-源道寺、入山瀬、下部温泉、塩之沢、甲斐常葉、市川大門、甲府、新府、穴山、東山梨、東所沢(身延線、中央本線、武蔵野線)
鉄旅日記2013年3月3日その2・・・源道寺駅、入山瀬駅、下部温泉駅、塩之沢駅、甲斐常葉駅、市川大門
-
-
「鉄旅日記」2008年初夏【まほろばの路から紀州へ。紀伊半島で過ごした短い夏の記憶でございます。】初日(東京-和歌山)その2-畝傍、高田、大和高田、近鉄郡山、郡山、王寺、五条、和歌山(桜井線/近鉄大阪線/近鉄橿原線/和歌山線)
鉄旅日記2008年7月19日・・・畝傍駅、高田駅、大和高田駅、近鉄郡山駅、郡山駅、王寺駅、五条駅、和
-
-
「鉄旅日記」2020年睦月 2日目(湯沢-鷹ノ巣)その3‐驫木、風合瀬、大戸瀬、千畳敷、北金ヶ沢(五能線) 【秋田内陸縦貫鉄道に乗りにいきました。五能線の名所も歩いた旅初めでございます。】
鉄旅日記2020年1月12日・・・驫木駅、風合瀬駅、大戸瀬駅、千畳敷駅、北金ヶ沢駅(五能線) 13
-
-
「鉄旅日記」2020年晩秋 初日(東京-砺波)その3 ‐氷見、雨晴、越中国分、伏木、中伏木(氷見線/万葉線)/義経岩/伏木神社 【大人の休日倶楽部パスで北陸へ。新幹線、在来線特急乗り放題でございます。魚津、雨晴をめぐり、氷見線、万葉線、城端線、七尾線、えちぜん鉄道、福武線、北陸鉄道との再会でございます。】
鉄旅日記2020年11月21日・・・氷見駅、雨晴駅、越中国分駅、伏木駅、中伏木駅(氷見線/万葉線)
-
-
「鉄旅日記」2015年春【朝に宇治を出て、近江鉄道に乗る一日】最終日その2(宇治-東京)-水口、水口石橋、水口城南、八日市、近江八幡、高宮、多賀大社前、彦根(近江鉄道本線/八日市線/多賀線)
鉄旅日記2015年3月22日その2・・・水口駅、水口石橋駅、水口城南駅、八日市駅、近江八幡駅、高宮駅
-
-
「車旅日記」2004年夏【九州を一周してみよう。そう思いたった、真夏の日々でございます。】3日目(宮崎-志布志-枕崎-鹿児島)走行距離382㎞その2-隼人駅、枕崎駅、開聞駅、指宿、鹿児島東急イン
車旅日記2004年8月13日・・・隼人駅、枕崎駅、開聞駅、指宿、鹿児島東急イン 2004・8・13