「JR東海&16私鉄乗り鉄☆たびきっぷ」でめぐる東海旅】最終日(桑名-揖斐-樽見-金城ふ頭-東京)その1-桑名、養老、大垣、揖斐、垂井、美江寺、本巣、樽見(養老鉄道/東海道本線/樽見鉄道)
鉄旅日記2018年9月16日
2018・9・16 6:10 桑名(くわな)駅(関西本線/近鉄名古屋本線/養老鉄道 三重県)
朝6:00前。
歓楽街を歩く男たちが大声で歌っていた。
この通りは、羽目をはずすにはちょっぴり狭い。
桑名藩は松平家。
戊辰戦争で城は無血開城したが、立見鑑三郎率いる雷神隊は北越、会津、庄内と転戦して硬骨ぶりを満天下に示した。
JR、近鉄、養老、三岐4線が合流する駅構内は広く、若者を中心にホームには列ができている。
壬申の乱で大海人皇子が率いる東軍が不破の関へと向かった道を往く。
久々に顔を見せた太陽。
涼しかった昨日を懐かしむような暑さを今日は経験しそうだ。
7:19 養老(ようろう)駅(養老鉄道 岐阜県)
雲間から日差しが洩れた車内はまぶしく、向かいで笑い合うオジサンを眺めながら「人はああして年をとるのだ」と思い、しかしオレはそうはいかないと、しばらく到来することのなかった自由な身を喜んだ。
自動改札などは一生無縁であろう養老駅の涼しげで立派な造りは一見に価する。
由緒ある額が飾られた壁に、電飾看板が不自然でなく共存する様に温泉旅館を思い浮かべた。
こうして座っている静かな時間が愛しい。
心の恋人を思い浮かべている。
養老の滝は実際に存在する。
養老時代の天皇行幸も実際にあったようだ。
滝を示す坂道の両側には豪邸が並んでいる。
酒が湧き、親孝行を尊ぶ伝説の地は豊かなのだろう。
かつて寄った際に冷たい飲み物を出してくれて、土産も購入できた味のある店は今はもうなくて、スタジオになっていた。
腹が空いてきた。
この和風の空間では味噌汁と白飯、焼き海苔、納豆、焼き鮭といった朝食に焦がれる。
8:04 大垣(おおがき)駅(東海道本線/美濃赤坂支線/樽見鉄道/養老鉄道 岐阜県)にて
8:51 揖斐(いび)駅(養老鉄道 岐阜県)
川を見に行った。
鉄路はその手前で止まっている。
古めかしい駅舎は健在。
駅前通りは古街道を思わせるたたずまいを見せ、すぐに立ち去った前回ではこの道を来たのかとの感慨をもつ。
車内への自転車の持ち込みが許された日曜日だが、揖斐まで乗ってきたのはオレを含めて5人。
赤坂の削られた山が風景の中で印象を残したが、これといった特徴の見当たらない線区だった。
9:47 垂井(たるい)駅(東海道本線 岐阜県)
大垣に戻り、ビールとおにぎり。
養老で思い浮かべた朝食セットを提供してくれる吉野家系の店はなかった。
時間潰しに米原方面へひと駅。
様々な線路が行き交うとても好きな区間で、ここでの滞在時間は4分。
駅前では竹中半兵衛が迎えてくれる。
水運でも栄えたという中仙道垂井宿。
揖斐に寄った日にここにも車を止めて川辺まで歩き、宿場町の風情を愛でた。
今日もそんな時間があればとも思ったが仕方がない。
10:36 美江寺(みえじ)駅(樽見鉄道 岐阜県)
大垣に戻り、樽見鉄道に乗り換える。
10:05発は途中の本巣行。
駅名に惹かれて降りてみたら、思いがけずそこは中仙道の宿場町だった。
案内に沿って美江寺神社まで歩く。
高札場跡や当時の高札場を再現したものなど興味深く、旧中仙道の穏やかな風情にも心は踊った。
曇天の蒸し暑い一日。
やはり昨日が懐かしい。
今は気持ちのいい二人の運動少年と共に次の樽見行を待っている。
そこにとても清潔な少女が加わった。
あたりは民家で、大きな家も並ぶが、こうした鄙びた駅で次の列車を待つのは旅の醍醐味であろうと思う。
車寅次郎はいつもそうしていた。
さっきの本巣行は満載の人を乗せていたが、次のはどうだろうか。
11:14 本巣(もとす)駅(樽見鉄道 岐阜県)
本巣行にも増して満載でやっきた樽見行。
多くの青少年たちはふたつ手前のモレラ岐阜で降りていった。
とてつもなく巨大なアウトレットモールで、美江寺から一緒に乗った彼等もその中に含まれている。
ここで7分の停車。
本巣には樽見鉄道の本社がある。
改札は昔のままだった。
次の駅は織部で、茶人であり、戦国武将でもあった古田織部生誕の地とのこと。
彼は大坂夏の陣で豊臣方への内通の嫌疑を受け、落城後に切腹を命じられている。
11:57 樽見(たるみ)駅(樽見鉄道 岐阜県)
すでに折り返し車両に身を置いている。
終着駅には8名が降り、迎えのバスに揺られて温泉地に向かう者か、オレと同じように折り返す者に分かれた。
鉄路はまだしばらく続いていた。
宮脇俊三さんの著書では途中の神海までだった線は予定通りに延びて、そしてなぜここで止まったのか。
樽見鉄道前身の国鉄樽見線は、越美北線の越前大野を通って金沢に至ることを計画されて発足している。
越美線も北線と南線に分かれたまま、越前美濃国境を越えることはなく、北線はJRとして残り、南線は長良川鉄道として再生した。
駅前ロータリーぶらぶらしただけで、おそらく再訪はムズカシイであろう終着駅を後にしている。
根尾川の急流と鉄橋が織り成す景観は見事であろう。
根尾には濃尾地震の際にできた断層が残り、谷汲口、木知原にもまた名所があるようで、行きでは多くが降りている。
谷汲口にはかつて名鉄も走り、木知原からは川中に滝状になっている箇所があり、車内では歓声が上がった。
ひどい雨の中、あの駅にも寄ったことがある。
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