「鉄旅日記」2019年師走【由利高原鉄道鳥海山ろく線に乗りにいきました。初冬の日本海は荒々しく、美しゅうございました。】初日(東京-酒田)その4‐矢島、前郷、金浦、酒田(由利高原鉄道鳥海山ろく線/羽越本線)
鉄旅日記2019年12月7日・・・矢島駅、前郷駅、金浦駅、酒田駅(由利高原鉄道鳥海山ろく線/羽越本線)
16:39 矢島(やしま)駅(由利高原鉄道鳥海山ろく線 秋田県)
由利高原鉄道は鳥海山ろく線と謳っている。
かつて鳴子温泉へと向かった道がおそらく左手に見えている道だ。
冬枯れた田園に雪はなく、たんに路面は濡れている。
車窓に貼られた秋田を記すマークは、人と秋田犬がキスをするように愛情を交換するイラスト。
テーブル席を占めてお菓子を広げていた可愛らしい女子たちは、話し疲れ、自身のスマホに目を落とし、やがて眠りこける。
鳥海山という名山を見たいと思っている。
ただ、思ったより日暮れは早い。
ワンマンカーはたんたんと田園地帯を進んでいく。
気づくと、終点に近づくにつれてあたりは雪景色になっていった。
矢島駅には16:29に到着して、今はこうして折り返しのワンマンカーに乗っている。
平らな土地でも山裾には雪が積もるのか。
幼い男の子の元気な声を聞き、まるで記憶のない駅前風景の中に身を置きながら、ここがこの旅の終着駅なのだと漠然と思っていた。
確か木材の集積所だったはずだが、当時の記憶を呼び起こすものはひとつとして目につかなかった。
4日に上弦を迎えた月はおぼろにオレを照らし、応えるように手をかざす。
幸福の予感はいつでも持ち合わせているが、この師走はとりわけ強い。
17:05 前郷(まえごう)駅(由利高原鉄道鳥海山ろく線 秋田県)
どうやら雨のようだ。
そして夜のとばりは早々に下りた。
雪原も何もかもに闇が覆い、窓は濡れている。
行き違い3分の停車。
駅舎を出ると、通りがカーブを描いていた。
雨に濡れながら何気ない風景を写してワンマンカーに戻る。
あの雨の中でもおぼろな月は見えていた。
12月の月は、去年の旅の記憶を連れてくる。
17:51 金浦(このうら)駅(羽越本線 秋田県)
行き違い4分の停車。
3名の若者が降りていった。
行きに虹が架かった空から落ちる雨は上がり、さして冷たくもない風が吹いている。
多目的な用途の駅舎は好ましく、町の灯まではあとわずかだった。
18:39 酒田(さかた)駅(羽越本線 山形県)にて
21:08 ホテルα1酒田
酒田の食を食べ尽くして今ここにいる。
たいして寒くはなかったけど、北風は強く、八雲神社の手前で前進行動をやめた。
あの店で飲み食いを終えた後の話しだ。
「ぶっかけ寿司こぼれ盛り」
メニュー表の中で強烈な存在感を放っていた一品だった。
店の女性にひとりで食べきれるものなの?と聞く。
笑顔で「YES」。
それじゃ頼もうか。
店を出て、もう一度酒田駅に歩み寄る。
酒田との出会いは古く、当時を懐かしむ気持ちがないわけじゃないが、あれからオレは24年先を生きている。
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