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「鉄旅日記」2019年師走【由利高原鉄道鳥海山ろく線に乗りにいきました。初冬の日本海は荒々しく、美しゅうございました。】最終日(酒田-東京)その1‐酒田、象潟、砂越(羽越本線)

公開日: : 最終更新日:2024/04/13 旅話, 旅話 2019年

鉄旅日記2019年12月8日・・・酒田駅、象潟駅、砂越駅(羽越本線)
2019・12・8 5:34 酒田(さかた)駅(羽越本線 山形県)
24年前の話になる。
この街がオレにとって一番遠い街だった頃のことだ。

阪神・淡路大震災が起こり、春にオウム真理教が地下鉄サリン事件を起こした1995年。
駅前に車を止めて夜を明かすつもりでいたんだ。

警察官の職務質問を受けたり、結果眠れない夜となり、真夜中に街を離れた。

当時の酒田はもっと賑やかだった。
今や駅前に駐車スペースはなく、従って当時を思う気持ちが湧いてこなかったのは自然なことだった。

強く乾いた北風が吹いていた。
でもその風は師走の日本海を思わせるほど冷たくはなかった。

5:35発の秋田行に乗っている。

6:49 象潟(きさかた)駅(羽越本線 秋田県)
大切に思う場所なんだ。
その地を粉雪が舞う。

駅を降りて海岸に向かった。
かつて泊まった旅館がどこにあったか思い出すことはできず、角の廃墟前には砂が溜まり、寂れ乾いたリゾートを見つめる胸にやるせなさが募る。

「もういい」と背を向けて九十九島へ。
暁に見る田野に浮かぶ島々は深遠な気持ちを呼び起こし、蚶満寺では鐘が鳴る。
手を合わせ祈りを捧げる。


1804年に起きた象潟大地震によって入江が約2m以上隆起して陸地となり、国指定天然記念物の姿となった九十九島。
入江に浮かんでいた頃は松島のような景観だったのだろう。

駅前の民芸喫茶は健在だった。
美人のおかみさんもご健在だろうか。
あの店で飲んだコーヒーの味は忘れがたい。

奥の細道最北の地、象潟。
最後に鳥海山を望み、離れた。





上浜から女鹿にかけて荒々しい日本海を右手に見て、吹浦を過ぎて鳥海山を正面に見る。

遊佐を過ぎて、左手には鳥海山、右手に雲間から覗く太陽。
地には冬枯れた田園。
夢中でスマホを向ける。








まるで神の庭を見るようだ。

7:42 酒田(さかた)駅(羽越本線 山形県)
かつてオレがいた場所。
やはりその感慨が湧くことはなく、明るい時間帯の酒田駅を写す。

恋人にお土産のポッキーを購入。
余目から陸羽西線に乗り入れる列車に乗る。

行き先はこのまま真っ直ぐ羽越本線だが、その列車には砂越駅で乗る。
そして発車。

東酒田駅前の冬枯れた田に白鳥が群れている。
神の庭は続いている。

8:03 砂越(さごし)駅(羽越本線 山形県)
冷たい北風に吹かれている。
日本海に吹く風を浴びている。

海は荒れていた。
そんな風。

ここ平田は彫刻の町らしい。
柿の木や米の貯蔵倉を写す静かなひととき。

覚悟はしていたが、やはり寒い。
酒田でも雪が舞っていた。

強くありたい。
ふと浮かんだそのひとこと。






列車は北余目に着き、相変わらず冬枯れた景色を眺めている。

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