*

「鉄旅日記」2020年文月 3日目(萩-三次)その4‐宍道、加茂中、出雲横田、出雲坂根(木次線) 【コロナ禍でございます。内緒の旅でございました。余部鉄橋へ。萩へ。霧の街へ。東京五輪延期で浮いた4連休の記録でございます。】

公開日: : 最終更新日:2025/05/04 旅話, 旅話 2020年

鉄旅日記2020年7月25日・・・宍道駅、加茂中駅、出雲横田駅、出雲坂根駅(木次線)

13:57  宍道(しんじ)駅(山陰本線/木次線 島根県)

木次線への乗換。時間は5分。

山陰本線の上下線とも列車が去って、木次線の運転士が笛を吹く。

みんな行ってしまって、宍道湖の畔には静寂が。

5年前、雨を避けながら煙草を手にして駅を写した煙草屋の角を思い出した。確かにオレはそこにいた。

煙草は4年前にやめた。それからしばらくして最愛の存在がこの世に生まれた。

14:14  加茂中(かもなか)駅(木次線 島根県)

山陰本線と分かれると人煙稀とも言える段丘をいく。ひたすらに緑の中を往く。

宍道から2駅。ここで行き違い4分の停車。駅を写しに降りたオレ。青少年が2名続く。

丘の麓に立派な駅があった。あの青少年はきっと地域の誇りだろう。

この閑散路線がもう一度役に立つ様を想像してみる。そんな想像が未来を造る。無理に背負わすつもりはないが、彼等の世代に期待したい。

15:50  出雲横田(いずもよこた)駅(木次線 島根県)

出雲大東は町といえる。2名が降りる。車内はひとりを除いて余所者となった。

わずかだが、この路線が止まると困る者がいる。昨日触れた三江線にもいただろう。それを切り捨てていくのが人類の歴史。じきにオレも非難される側に回る。

木次は沿線中のオアシス的な町。三江線じゃ石見川本がそんな町だった。ビールが買えたもんだ。

木次を過ぎて列車は山深い地域を走行するため速度は遅い。昨日は倒木騒ぎで一時ストップしたんだ。運転は慎重を極める。

やがて視界は開け、田野では人々がたち働く。耕作が放棄された棚田は自然な緑に染まる。

収穫の秋に向けて稲穂に向き合う人々を見た。平地は収穫にあてて、山裾に寄り添うように暮らしてきた人々。

理不尽にも大雨は土砂をも降らし、九州をはじめ各地で被害が出た。オレは何度でも祈る。

長いトンネルをくぐった。列車の速度は上がらない。

着いた先の出雲八代で4名が降りて、残すは3名。

亀嵩を出ると乗客はとうとうオレひとり。亀嵩駅のそば屋は時間帯もあってか客足のピークを過ぎていた。列車のドアが開くとヒグラシの声が漏れてくる。

出雲横田駅に到着。行き違い16分の停車。ヒグラシの声に導かれて外に出る。出雲大社とのご縁から大社風にしめ縄が張られた駅舎には侵さざる威厳が備わる。

かつては観光客に沸いたこの路線も今じゃオレひとり。青春18きっぷを使う身が鉄道文化を守る担い手になりうるのか疑問だが、到着した町の人々はそいつがどんな切符を持っているかなどに関心はない。

そしてそいつはビールを売っている店を探し当てる。

16:17  出雲坂根(いずもさかね)駅(木次線 島根県)

木次線ではひと駅ごとに神々の由来が記されている。

出雲は現代を生きる者にとって、どのような存在なのだろうか。

若くして得度する者もいれば煩悩の果てに神にたどり着く者もいる。オレは後者で、本物の愛を知ることで無明は脱した。

地元の古狸を100歳まで生き永らえさせたと伝わる延命水で顔を洗い、水を含む。12年前と駅は変わっていた。

これより木次線はスイッチバッグの難所に差し掛かる。里山は我関せずと夏を予感させる日差しを浴びている。

途中に慰霊碑のようなものを見た。

関連記事

「鉄旅日記」2008年初夏 初日(東京-和歌山)その2-畝傍、高田、大和高田、近鉄郡山、郡山、王寺、五条、和歌山(桜井線/近鉄大阪線/近鉄橿原線/和歌山線) 【まほろばの路から紀州へ。紀伊半島で過ごした短い夏の記憶でございます。】

鉄旅日記2008年7月19日・・・畝傍駅、高田駅、大和高田駅、近鉄郡山駅、郡山駅、王寺駅、五条駅、和

記事を読む

「鉄旅日記」2020年盛夏 最終日(門司港-東京)その4‐周防高森、徳山、下松、光(岩徳線/山陽本線)/虹ヶ浜 【コロナ禍の内緒旅VOl.2。宮島へ。錦帯橋へ。筑豊へ。島原へ。千綿駅へ。そして若松~戸畑の渡船。日本晴れの4日間の記録でございます。】

鉄旅日記2020年8月16日・・・周防高森駅、徳山駅、下松駅、光駅(岩徳線/山陽本線)/虹ヶ浜

記事を読む

「鉄旅日記」2020年文月 初日(東京-香住)その1‐東京、国府津、小田原、三島(東海道本線) 【コロナ禍でございます。内緒の旅でございました。余部鉄橋へ。萩へ。霧の街へ。東京五輪延期で浮いた4連休の記録でございます。】

鉄旅日記2020年7月23日・・・東京駅、国府津駅、小田原駅、三島駅(東海道本線) 2020

記事を読む

「車旅日記」1996年黄金週間【友を訪ねて大阪へ。そして約束の地、金沢へ。夢を見ながら国道を走った日々でございます。】3日目 金沢を後にして‐その3(R8→北陸道)小矢部、富山駅、有磯海SA

車旅日記1996年5月5日 22:15 8号国道‐小矢部 恋する女よ。 あれからオレはまだ走ってい

記事を読む

「鉄旅日記」2021年秋 最終日(飯坂温泉-東京)その2 ‐峠(奥羽本線)/力餅商店/峠の力餅売り/峠駅今昔物語 【4度目の緊急事態宣言明け。これ以降そのようなものが発令されることはございませんでした。阿武隈急行、峠駅、立石寺。お宿は飯坂温泉。秋の東北を満喫すべく常磐線に乗りました。】

鉄旅日記2021年10月10日・・・峠駅(奥羽本線)/力餅商店/峠の力餅売り/峠駅今昔物語

記事を読む

「鉄旅日記」2012年春 その1-新子安、石川町、山手、磯子、根岸、大磯、二宮、鴨宮、早川、根府川、伊東、熱海、函南、東田子の浦(京浜東北線、根岸線、東海道本線、伊東線) 【青春18きっぷで、相模・駿河・甲斐途中下車旅】

鉄旅日記2012年3月20日その1・・・新子安駅、石川町駅、山手駅、磯子駅、根岸駅、大磯駅、二宮駅、

記事を読む

「鉄旅日記」2018年師走 初日(東京-津)その2-西藤原、あすなろう四日市、内部、日永、西日野、泊、南四日市(三岐鉄道三岐線/四日市あすなろう鉄道内部線/四日市あすなろう鉄道八王子線) 【伊勢のいくつもの終着駅に降りまして、神島で2018年最後の満月を眺めたのでございます。】

鉄旅日記2018年12月22日・・・西藤原駅、あすなろう四日市駅、内部駅、日永駅、西日野駅、泊駅、南

記事を読む

「車旅日記」2000年春 3日目(象潟‐秋田‐盛岡‐鳴子温泉)象潟海岸、秋田駅、角館花葉館、田沢湖駅、紫波SA、前沢SA、古川駅 【一年のブランクを経て、旅再開。出発場所は東京町田から、下町葛飾へと変わっております。】

車旅日記2000年5月5日 8:54 象潟海岸 636㎞ 朝、人気のない海もいい。 車を降りるつ

記事を読む

「鉄旅日記」2020年初秋 最終日(高松-東京)その2 ‐茶屋町、岡山、倉敷、倉敷市、水島、常盤、栄、三菱自工前(宇野線/伯備線/水島臨海鉄道)/倉敷センター街、阿智神社、倉敷美観地区 【時空の友を訪ねて讃州高松へ。金比羅さん、瀬戸大橋、大歩危、小歩危などを友とめぐり、義仲寺に寄り、直島に渡り、水島臨海鉄道にも乗った4日間の記録でございます。】

鉄旅日記2020年9月22日・・・茶屋町駅、岡山駅、倉敷駅、倉敷市駅、水島駅、常盤駅、栄駅、三菱自

記事を読む

「鉄旅日記」2014年春 その1-水海道、三妻、下妻、大田郷、下館、久下田、茂木、真岡、大和、新治、水戸(関東鉄道常総線/真岡鐵道/水戸線) 【ときわ路パスで、常陸ローカル旅】

鉄旅日記2014年4月27日その1・・・水海道駅、三妻駅、下妻駅、大田郷駅、下館駅、久下田駅、茂木駅

記事を読む

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

「鉄旅日記」2022年盛夏 初日(東京-伊那市)その3 ‐龍岡城、小海、青柳、下諏訪(小海線/中央本線)【讃州高松に時空の友を訪ねて。小海線、津山線、播但線、山陰本線の駅旅も印象深い旅でございます。】

鉄旅日記2022年8月11日・・・龍岡城駅、小海駅、青柳駅、下諏訪駅

「鉄旅日記」2022年盛夏 初日(東京-伊那市)その2 ‐横川、軽井沢、平原、乙女、馬流(信越本線/JRバス関東碓氷線/しなの鉄道/小海線)/秩父事件戦死者の墓【讃州高松に時空の友を訪ねて。小海線、津山線、播但線、山陰本線の駅旅も印象深い旅でございます。】

鉄旅日記2022年8月11日・・・横川駅、軽井沢駅、平原駅、乙女駅、

「鉄旅日記」2022年盛夏 初日(東京-伊那市)その1 ‐金町、上野、籠原、高崎(常磐線/高崎線)【讃州高松に時空の友を訪ねて。小海線、津山線、播但線、山陰本線の駅旅も印象深い旅でございます。】

鉄旅日記2022年8月11日・・・金町駅、上野駅、籠原駅、高崎駅(常

「鉄旅日記」2022年文月 ツレと訪ねた佐久海ノ口温泉~諏訪湖旅でございます。初日(東京-佐久海ノ口) ‐甲府、小淵沢、清里、野辺山、佐久海ノ口(中央本線/小海線)【Facbookへの投稿より振り返ります。】

鉄旅日記2022年7月23日・・・甲府駅、小淵沢駅、清里駅、野辺山駅

「鉄旅日記」2022年水無月 最終日(中山平温泉-東京)その4 ‐土浦、ひたち野うしく、亀有(常磐線)【鳴子温泉郷の湯を求めての旅でございます。】/葛西神社~江戸川堤葛飾情緒

鉄旅日記2022年6月12日・・・土浦駅、ひたち野うしく駅、亀有駅(

→もっと見る

    PAGE TOP ↑