*

「鉄旅日記」2020年文月 3日目(萩-三次)その3‐黒松、仁万、出雲市、荘原(山陰本線) 【コロナ禍でございます。内緒の旅でございました。余部鉄橋へ。萩へ。霧の街へ。東京五輪延期で浮いた4連休の記録でございます。】

公開日: : 最終更新日:2025/05/04 旅話, 旅話 2020年

鉄旅日記2020年7月25日・・・黒松駅、仁万駅、出雲市駅、荘原駅(山陰本線)

12:06  黒松(くろまつ)駅(山陰本線 島根県)

気づけば都野津を過ぎて江津。昨日ここで必要としたものは求め得なかったが、建築ラッシュのような一帯を見る。

江の川の流れ込みを過ぎると、日本海とトンネルが交互に訪れる。

昨日も見たフィリピン系の青年二人連れが乗ってきた。異国で暮らす彼等の苦労は思わない。青春を思う。

いつの間にか眠りに落ちていた。列車行き違い12分の停車中に目覚めた。乗客の顔触れに変化はなく、駅からはまだ日本海が見える。

狭隘な区間に入っている。また雨が落ちたようだ。昨日はこれから先の湯里~馬路間で降雨による倒木があり、沿線は辛酸を舐めた。

黒松から2駅目にあたる温泉津に着く頃になると、家並からあぁ温泉津に着くのだと解った。かつて降りて歩いている。車寅次郎がしばらく過ごした温泉街までは歩きでがあった。

こうして山陰にもオレの足跡がいくつかついている。

12:41  仁万(にま)駅(山陰本線 島根県)

車内に昨日のような無線が響く。ググるが山陰地区に遅れはない。降りる客が運賃精算でもたついたようだ。

仁万駅に着くと町のような駅前風景がある。

アクアライナーへの乗り換えに降りると、美人の石州娘2人組と先のアジア青年2人組が後を慕う。

総合結婚式場と記された2階建てのごく些細な割烹料理屋を見て、オレが生まれた50年くらい前の昭和を見た。営業されているようには見受けられなかったが、ご健在であるのなら喜ばしい。

潮川のたもとには、廃墟となって久しい喫茶店のショーケースが長い歳月の埃をまとっていた。

市町村合併により仁万という町名は50年以上前になくなっているという。

この旅で、細かい雨が何度もオレを濡らす。

13:34  出雲市(いずもし)駅(山陰本線 島根県)

次の停車駅は大田市、さらに次が出雲市。

大田市では仁万まで乗ってきた米子行が停車している。あのまま乗車していたら、宍道での木次線の接続に間に合わない。

凄絶ともいえる沿岸の景観を眺めている。海面に対してほぼ直角に切り立つ緑に覆われた山塊。人類が死に絶えたとしても草木は生き残る。生命体としての強靭さを感じる。

見上げた空に入道雲が浮かんでいる。気紛れなお天道は出雲地方に今は晴れを送っている。

江南駅あたりで水辺を見た。神域に入っていく。出雲は前世に関わりがあると鑑定師から聞いた。この地も4度目。

ここで6分の停車。出雲は今朝からひどく降ったようだ。

13:48  荘原(しょうばら)駅(山陰本線 島根県)

アクアライナーは出雲市からは各駅停車。

空は晴れにするのか降らすのか、態度を明らかにしない。

降ってもいい。でももう人界を困らすな。通りすがりに出雲の神に祈る。

行き違い4分の停車。青少年が多く降りて、会話もなくそれぞれに散っていく。

寂しいとも言えるが、人の世の倣いともいえる。

関連記事

「車旅日記」2004年夏 初日(佐賀空港-別府)走行距離254㎞その2-田川後藤寺駅、豊前川崎駅、宝珠山駅、日田駅、豊前中村駅、鳥栖駅、別府・ホテル清風屋上ビヤガーデン【九州を一周してみよう。そう思いたった、真夏の日々でございます。】

車旅日記2004年8月11日・・・田川後藤寺駅、豊前川崎駅、宝珠山駅、日田駅、豊前中村駅、鳥栖駅、別

記事を読む

「鉄旅日記」2018年如月 最終日(直江津-東京)その1-直江津、土底浜、犀潟、虫川大杉、六日町、塩沢(信越本線/北越急行ほくほく線/上越線) 【冬の町を見たくて、週末パスを買いました。】

鉄旅日記2018年2月11日・・・直江津駅、土底浜駅、犀潟駅、虫川大杉駅、六日町駅、塩沢駅(信越本線

記事を読む

「鉄旅日記」2022年弥生vol.2 最終日(静岡-東京)その2 ‐十島、鰍沢口、甲斐住吉、国母、常永(身延線) 【念願の大井川鐡道に乗る旅。帰りは身延線経由、武蔵野線全駅下車達成でございます。】

鉄旅日記2022年3月21日・・・十島駅、鰍沢口駅、甲斐住吉駅、国母駅、常永駅(身延線) 1

記事を読む

「鉄旅日記」2020年卯月 最終日(新津-東京)その4‐浪江、いわき、常陸多賀、石岡(常磐線) 【緊急事態宣言発令直前のことでございます。常磐線全線運転再開を祝して人知れず旅に出たのでございます。】

鉄旅日記20220年4月5日・・・浪江駅、いわき駅、常陸多賀駅、石岡駅(常磐線) 16:34 浪江

記事を読む

「鉄旅日記」2020年睦月 初日(東京-湯沢)その4‐ゆだ錦秋湖、ほっとゆだ、横手、湯沢(北上線/奥羽本線)/慶 【秋田内陸縦貫鉄道に乗りにいきました。五能線の名所も歩いた旅初めでございます。】

鉄旅日記2020年1月11日・・・ゆだ錦秋湖駅、ほっとゆだ駅、横手駅、湯沢駅(北上線/奥羽本線)/慶

記事を読む

「鉄旅日記」2013年春【青春18きっぷで、関東途中下車旅】その1-赤羽、岡本、烏山、大金、宝積寺、氏家、石橋、自治医大、小金井、小山(東北本線、烏山線)

鉄旅日記2013年3月31日その1・・・赤羽駅、岡本駅、烏山駅、大金駅、宝積寺駅、氏家駅、石橋駅、自

記事を読む

2020年水無月【緊急事態宣言から解放された週末。石和温泉につかりにいった記憶をSNS風に綴ります。】-甲府、善光寺、酒折、石和温泉、大月(中央本線/身延)

鉄旅日記2020年6月20日~21日・・・甲府駅、善光寺駅、酒折駅、石和温泉駅、大月駅(中央本線/

記事を読む

「鉄旅日記」2016年春 2日目(下北-石巻)その2-金田一温泉、斗米、二戸、好摩、いわて沼宮内、厨川、矢幅、日詰、小牛田、涌谷、石巻(IGRいわて銀河鉄道、東北本線、石巻線) 【下北半島から東日本大震災被災地へ】

鉄旅日記2016年3月20日その2・・・金田一温泉駅、斗米駅、二戸駅、好摩駅、いわて沼宮内駅、厨川駅

記事を読む

「鉄旅日記」2019年長月 初日(東京-盛岡)その3-盛岡、上米内、区界(東北本線/山田線)/大正館 【三陸鉄道、八戸線に乗りにいきました。区界、吉里吉里など、駅旅の者として見過ごせない駅にも寄りましてございます。】

鉄旅日記2019年9月21日・・・盛岡駅、上米内駅、区界駅(東北本線/山田線)/大正館 17:39

記事を読む

「鉄旅日記」2021年秋 初日(東京-飯坂温泉)その2 ‐竜田、原ノ町、鹿島、新地、岩沼(常磐線/東北本線) 【4度目の緊急事態宣言明け。これ以降そのようなものが発令されることはございませんでした。阿武隈急行、峠駅、立石寺。お宿は飯坂温泉。秋の東北を満喫すべく常磐線に乗りました。】

鉄旅日記2021年10月9日・・・竜田駅、原ノ町駅、鹿島駅、新地駅、岩沼駅(常磐線/東北本線)

記事を読む

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

「鉄旅日記」2022年水無月 最終日(中山平温泉-東京)その1 ‐中山平温泉、鳴子温泉(陸羽東線)/旅館三之丞湯【鳴子温泉郷の湯を求めての旅でございます。】

鉄旅日記2022年6月12日・・・中山平温泉駅、鳴子温泉駅(陸羽東線

「鉄旅日記」2022年水無月 初日(東京-中山平温泉)その3 ‐小牛田、古川、上野目、池月、鳴子温泉、中山平温泉(陸羽東線)【鳴子温泉郷の湯を求めての旅でございます。】

2022年6月11日・・・小牛田駅、古川駅、上野目駅、池月駅、鳴子温

「鉄旅日記」2022年水無月 初日(東京-中山平温泉)その2 ‐いわき、竜田、原ノ町、鹿島、新地、仙台(常磐線)【鳴子温泉郷の湯を求めての旅でございます。】

鉄旅日記2022年6月11日・・・いわき駅、竜田駅、原ノ町駅、鹿島駅

「鉄旅日記」2022年水無月 初日(東京-中山平温泉)その1 ‐金町、石岡、友部、水戸(常磐線)【鳴子温泉郷の湯を求めての旅でございます。】

鉄旅日記2022年6月11日・・・金町駅、石岡駅、友部駅、水戸駅(常

「鉄旅日記」2022年皐月 ツレと訪ねた下部温泉~富士宮~田子の浦旅でございます。最終日(下部温泉-東京) ‐下部温泉、波高島、身延、甲斐大島、内船、西富士宮、富士宮、東田子の浦(身延線/東海道本線)/富士浅間神社【Facbookへの投稿より振り返ります。】

鉄旅日記2022年5月29日・・・下部温泉駅、波高島駅、身延駅、甲斐

→もっと見る

    PAGE TOP ↑