「鉄旅日記」2019年弥生Part.3【明知鉄道、名鉄築港線。その2線に乗るために、東海道を下っていったのでございます。】初日(東京-多治見)その1-金町、三島、修善寺、蒲原、島田(常磐線/東海道本線/伊豆箱根鉄道駿豆線)
鉄旅日記2019年3月23日・・・金町駅、三島駅、修善寺駅、蒲原駅、島田駅(常磐線/東海道本線/伊豆箱根鉄道駿豆線)
2019・3・23 4:29 金町(かなまち)駅(常磐線 東京都)
春本番の列島。
山陰、北陸に吹いた春一番はまだ関東までは及ばないが、満開には遠いとはいえ、桜は開花を迎えている。
去年3月の終わり。
それまで暮らしていた練馬の家を離れた。
最愛の存在と離れて暮らして一年になる。
彼を想うと胸が疼く。
そして一週間前にできた恋人と新しい愛を交わす。
無常の3月。
春の切符はまだ2回分残っている。
改札口で判を押してもらい、東へ向かう一番列車に乗っている。
7:34 三島(みしま)駅(東海道新幹線/東海道本線/伊豆箱根鉄道駿豆線 静岡県)
いつものように乗り換えていく。
北千住、日暮里、そして東京。
湘南も熱海も街路は濡れていた。
三島大社の文字が目を引く駅前には若者の姿が目立つ。
伊豆箱根鉄道駅で三嶋大社の授与品である「三嶋駒」を模したフリー切符を購入。
この鉄道に乗るのは2度目になる。
専用の三島駅舎を持つことに当時は気づいていない。
あれはもう11年前。
師走の寒い日だった。
修善寺からの帰りには伊豆長岡で降りて、夕焼けの道を歩き、温泉につかった。
さらに三島広小路で降りて、夕食の店を選んだ。
ボックス席が並ぶ車内は伊豆への誘いに満ちていて、目の前の車窓には「浄蓮の滝」と、「割狐塚稲荷神社」のステッカーが貼られている。
8:18 修善寺(しゅぜんじ)駅(伊豆箱根鉄道駿豆線 静岡県)
かつて恋人と訪ねた終着駅。
駅に降りてみたら、当時の記憶が消えていたことを知った。
駅舎も当時のものではない。
観光地の駅前らしく、商店に囲まれたロータリーは春の雨に濡れて美しく、隣に立っていた関西訛りの男が「寒い」と洩らす。
温泉街は駅から遠く、歩いてはいけない。
駅を出てそこへ至るスタート地点に狩野川に架かる修善寺橋がある。
その橋の上で微笑む当時の恋人の画像が、まだどこかに仕舞われているはずだ。
源頼家が幽閉の後に暗殺された舞台。
オレの中の修善寺とは、そういう町だ。
行きの車窓では、韮山の手前で蛭ヶ小島を指し示す矢印を見た。
源頼朝がそこに流されて以来、伊豆は源氏と縁が深い。
9:57 蒲原(かんばら)駅(東海道本線 静岡県)
三島、沼津と乗り継いで東海道蒲原宿に降りる。
これで東海道本線東京~浜松間のすべてに駅に降りるか、寄ったことになる。
数日前、この道を友人のM氏が東海道五十三次踏破を目指して通りすぎている。
彼は今日、大井川を渡るだろう。
跨線橋から海が見えた。
駅前には何もなく、駿河湾を目指して歩く。
約3分でテトラポットが目立つ海辺に出た。
波の音が余計な音を消す。
海辺とは静かなものだ。
太平洋を背に自撮り。
近況とともに恋人に送る。
静岡方面に向かう列車に席を得ることはできなかった。
異邦人の旅行者が多く乗り合わせている。
仏陀の国の人々だろうか。
男女ともに腰回りが一様に太い。
体型にも国民性がありそうだ。
もやった海上に島がぼんやりと輪郭を浮かべている。
11:09 島田(しまだ)駅(東海道本線 静岡県)
静岡で席を得ると車内は一気に空いた。
乗っていた列車は島田行き。
10数年振りに降りた島田駅は当時の姿をしていなかった。
栄西禅師の銅像が立つ駅前から商店街が続いている。
禅師は茶の効用を説いて、静岡茶の発展に貢献したとのこと。
大井川を越えると車窓には茶畑が現れる。
大井川の川幅は広いが、水はほぼ涸れて流木の散らばる川底が剥き出しになっていた。
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