*

「鉄旅日記」2019年弥生Part.3 初日(東京-多治見)その1-金町、三島、修善寺、蒲原、島田(常磐線/東海道本線/伊豆箱根鉄道駿豆線) 【明知鉄道、名鉄築港線。その2線に乗るために、東海道を下っていったのでございます。】

公開日: : 最終更新日:2025/05/10 旅話, 旅話 2019年

鉄旅日記2019年3月23日・・・金町駅、三島駅、修善寺駅、蒲原駅、島田駅(常磐線/東海道本線/伊豆箱根鉄道駿豆線)

2019・3・23 4:29 金町(かなまち)駅(常磐線 東京都)
春本番の列島。
山陰、北陸に吹いた春一番はまだ関東までは及ばないが、満開には遠いとはいえ、桜は開花を迎えている。

去年3月の終わり。
それまで暮らしていた練馬の家を離れた。

最愛の存在と離れて暮らして一年になる。
彼を想うと胸が疼く。

そして一週間前にできた恋人と新しい愛を交わす。

無常の3月。
春の切符はまだ2回分残っている。
改札口で判を押してもらい、東へ向かう一番列車に乗っている。

7:34 三島(みしま)駅(東海道新幹線/東海道本線/伊豆箱根鉄道駿豆線 静岡県)
いつものように乗り換えていく。
北千住、日暮里、そして東京。

湘南も熱海も街路は濡れていた。

三島大社の文字が目を引く駅前には若者の姿が目立つ。

伊豆箱根鉄道駅で三嶋大社の授与品である「三嶋駒」を模したフリー切符を購入。

この鉄道に乗るのは2度目になる。
専用の三島駅舎を持つことに当時は気づいていない。

あれはもう11年前。
師走の寒い日だった。

修善寺からの帰りには伊豆長岡で降りて、夕焼けの道を歩き、温泉につかった。
さらに三島広小路で降りて、夕食の店を選んだ。

ボックス席が並ぶ車内は伊豆への誘いに満ちていて、目の前の車窓には「浄蓮の滝」と、「割狐塚稲荷神社」のステッカーが貼られている。

8:18 修善寺(しゅぜんじ)駅(伊豆箱根鉄道駿豆線 静岡県)
かつて恋人と訪ねた終着駅。
駅に降りてみたら、当時の記憶が消えていたことを知った。
駅舎も当時のものではない。

観光地の駅前らしく、商店に囲まれたロータリーは春の雨に濡れて美しく、隣に立っていた関西訛りの男が「寒い」と洩らす。

温泉街は駅から遠く、歩いてはいけない。
駅を出てそこへ至るスタート地点に狩野川に架かる修善寺橋がある。

その橋の上で微笑む当時の恋人の画像が、まだどこかに仕舞われているはずだ。

源頼家が幽閉の後に暗殺された舞台。
オレの中の修善寺とは、そういう町だ。

行きの車窓では、韮山の手前で蛭ヶ小島を指し示す矢印を見た。
源頼朝がそこに流されて以来、伊豆は源氏と縁が深い。

9:57 蒲原(かんばら)駅(東海道本線 静岡県)
三島、沼津と乗り継いで東海道蒲原宿に降りる。
これで東海道本線東京~浜松間のすべてに駅に降りるか、寄ったことになる。

数日前、この道を友人のM氏が東海道五十三次踏破を目指して通りすぎている。
彼は今日、大井川を渡るだろう。

跨線橋から海が見えた。
駅前には何もなく、駿河湾を目指して歩く。

約3分でテトラポットが目立つ海辺に出た。

波の音が余計な音を消す。
海辺とは静かなものだ。

太平洋を背に自撮り。
近況とともに恋人に送る。


静岡方面に向かう列車に席を得ることはできなかった。
異邦人の旅行者が多く乗り合わせている。

仏陀の国の人々だろうか。
男女ともに腰回りが一様に太い。
体型にも国民性がありそうだ。

もやった海上に島がぼんやりと輪郭を浮かべている。

11:09 島田(しまだ)駅(東海道本線 静岡県)
静岡で席を得ると車内は一気に空いた。

乗っていた列車は島田行き。
10数年振りに降りた島田駅は当時の姿をしていなかった。

栄西禅師の銅像が立つ駅前から商店街が続いている。
禅師は茶の効用を説いて、静岡茶の発展に貢献したとのこと。

大井川を越えると車窓には茶畑が現れる。

大井川の川幅は広いが、水はほぼ涸れて流木の散らばる川底が剥き出しになっていた。

関連記事

「鉄旅日記」2018年神無月 最終日(松本-辰野-天竜峡-岡谷-東京)その1-松本、辰野、北殿、伊那市、伊那福岡、伊那本郷、上片桐、飯田、天竜峡(篠ノ井線/中央本線辰野支線/飯田線) 【北陸へ。信州へ。友を訪ねての巡礼旅でございます】

鉄旅日記2018年10月8日・・・松本駅、辰野駅、北殿駅、伊那市駅、伊那福岡駅、伊那本郷駅、上片桐駅

記事を読む

「鉄旅日記」2018年師走 2日目(津-松阪-伊勢奥津-鳥羽-神島)その3-神島にて・・・八代神社、神島灯台、監的哨、ニワの浜、神島山海荘あじさい 【伊勢のいくつもの終着駅に降りまして、神島で2018年最後の満月を眺めたのでございます。】

鉄旅日記2018年12月23日・・・八代神社、神島灯台、監的哨、ニワの浜、神島山海荘あじさい 14

記事を読む

「鉄旅日記」2015年夏 4日目(西鉄柳川-広島)その2-田川後藤寺、糸田、糒、金田、門司港、厚狭、湯ノ峠、四郎ヶ原、南大嶺、美祢(平成筑豊鉄道糸田線、平成筑豊鉄道伊田線、鹿児島本線、美祢線) 【日本最南端の終着駅、枕崎までの往復旅】

鉄旅日記2015年8月15日その2・・・田川後藤寺駅、糸田駅、糒駅、金田駅、門司港駅、厚狭駅、湯ノ峠

記事を読む

「鉄旅日記」2006年如月 その2-勿来、いわき(常磐線) 【房総半島から1週間。常磐線に乗って、下っていったのでございます。】

鉄旅日記2006年2月11日・・・勿来駅、いわき駅(常磐線) 2006・2・11 いわき東急イン6

記事を読む

「鉄旅日記」2019年霜月 最終日(北上-東京)その4‐米沢、福島、上野(奥羽本線/東北新幹線) 【津軽鉄道、弘南鉄道に乗りにいきました。羽州街道を歩いた晩秋の旅でございます。】

鉄旅日記2019年11月4日・・・米沢駅、福島駅、上野駅(奥羽本線/東北新幹線) 17:38 米沢

記事を読む

「鉄旅日記」2020年神無月【ツレと筑波山を訪ねたのでございます。関東に暮らす身にとりまして、高所に上がりますと平野の果てに浮かぶ筑波山はいつか登るべき山でございました。】-北千住駅、つつじヶ丘駅、女体山、男体山、筑波山頂駅、宮脇駅、筑波山神社、沼田バス停、つくば駅(つくばエクスプレス/筑波山シャトル/筑波山ロープウェイ/筑波山ケーブルカー)

鉄旅日記2020年10月4日・・・北千住駅、つつじヶ丘駅、女体山、男体山、筑波山頂駅、宮脇駅、筑波

記事を読む

「鉄旅日記」2019年弥生Part.3 最終日(多治見-東京)その1-多治見、瑞浪、明智、岩村、極楽、恵那(中央本線/明知鉄道) 【明知鉄道、名鉄築港線。その2線に乗るために、東海道を下っていったのでございます。】

鉄旅日記2019年3月24日・・・多治見駅、瑞浪駅、明智駅、岩村駅、極楽駅、恵那駅(中央本線/明知鉄

記事を読む

「鉄旅日記」2018年弥生 最終日(会津若松-東京)その1-会津若松、広田、野沢、徳沢、津川、五十島(磐越西線) 【青春18きっぷを握り、目指したのはまたしても会津。練馬から旅立つ最後の旅でございます。】

鉄旅日記2018年3月4日・・・会津若松駅、広田駅、野沢駅、徳沢駅、津川駅、五十島駅(磐越西線)

記事を読む

「鉄旅日記」2020年文月 最終日(三次-東京)その4‐二条、大宮、四条大宮、北野白梅町、帷子ノ辻(山陰本線/京福電鉄嵐山本線/京福電鉄北野線) 【コロナ禍でございます。内緒の旅でございました。余部鉄橋へ。萩へ。霧の街へ。東京五輪延期で浮いた4連休の記録でございます。】

鉄旅日記2020年7月26日・・・二条駅、大宮駅、四条大宮駅、北野白梅町駅、帷子ノ辻駅(山陰本線/

記事を読む

「車旅日記」1996年黄金週間【友を訪ねて大阪へ。そして約束の地、金沢へ。夢を見ながら国道を走った日々でございます。】2日目-友人夫婦と過ごした一日

車旅日記1996年5月4日 1996年5月4日の記憶 一夜明けた。 友人夫婦はそこでしっかりと生

記事を読む

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

「鉄旅日記」2022年皐月 最終日(磐梯熱海-東京)その2 ‐国定(両毛線)/国定忠治墓(養寿寺)【日光線全駅乗降を果たし、猪苗代湖畔に遊び、磐梯熱海の湯につかり、国定忠治を訪ねた旅でございます。】

鉄旅日記2022年5月8日・・・国定駅(両毛線)/国定忠治墓(養寿寺

「鉄旅日記」2022年皐月 最終日(磐梯熱海-東京)その1 ‐磐梯熱海、新白河、小山(磐越西線/東北本線)【日光線全駅乗降を果たし、猪苗代湖畔に遊び、磐梯熱海の湯につかり、国定忠治を訪ねた旅でございます。】

鉄旅日記2022年5月8日・・・磐梯熱海駅、新白河駅、小山駅(磐越西

「鉄旅日記」2022年皐月 初日(東京-磐梯熱海)その4 ‐関都、猪苗代湖畔、上戸、磐梯熱海(磐越西線)/志田浜~上戸浜/伊東園ホテル磐梯向滝【日光線全駅乗降を果たし、猪苗代湖畔に遊び、磐梯熱海の湯につかり、国定忠治を訪ねた旅でございます。】

鉄旅日記2022年5月7日・・・関都駅、猪苗代湖畔駅、上戸駅、磐梯熱

「鉄旅日記」2022年皐月 初日(東京-磐梯熱海)その3 ‐黒磯、泉崎、白河、郡山(東北本線) 【日光線全駅乗降を果たし、猪苗代湖畔に遊び、磐梯熱海の湯につかり、国定忠治を訪ねた旅でございます。】

鉄旅日記2022年5月7日・・・黒磯駅、泉崎駅、白河駅、郡山駅(東北

「鉄旅日記」2022年皐月 初日(東京-磐梯熱海)その2 ‐文挟、鹿沼、鶴田、宇都宮(日光線) 【日光線全駅乗降を果たし、猪苗代湖畔に遊び、磐梯熱海の湯につかり、国定忠治を訪ねた旅でございます。】

鉄旅日記2022年5月7日・・・文挟駅、鹿沼駅、鶴田駅、宇都宮駅(日

→もっと見る

    PAGE TOP ↑