「鉄旅日記」2018年秋 初日(松戸-流山-潮来-銚子-東金-松戸)その1-松戸、北松戸、馬橋、流山、小金城趾、幸谷、新松戸、北小金、南柏、北柏、我孫子(常磐線/流鉄流山線) /萬満寺/近藤勇陣屋跡【サンキューちばフリーパスでめぐる上総下総安房旅】
鉄旅日記2018年9月22日・・・松戸駅、北松戸駅、馬橋駅、流山駅、小金城趾駅、幸谷駅、新松戸駅、北小金駅、南柏駅、北柏駅、我孫子駅(常磐線/流鉄流山線)/萬満寺/近藤勇陣屋跡
2018・9・22 5:15 松戸(まつど)駅(常磐線/新京成線 千葉県)
夜を明かした男たちの雄叫びが響く金町からひと駅。
まだ夏が始まる前に新京成の旅で降りた松戸に再び。
昨日は晩秋を思わせる雨に濡れた東京。
今日も雨の予報が出ていたが、今朝は上がっていて、まだ夏の装いでいる。
「サンキューちばフリーパス」を購入。
ホームに立つオレに風を浴びせ、大きな烏が羽音も雄々しく飛び回る。
5時過ぎの街に、人々が動き出す音が大きくなってきた。
それぞれの大切な朝が始まる音。
その大きさに新鮮な思いでいる。

5:44 北松戸(きたまつど)駅(常磐線 千葉県)
西口に出てみる。
ロータリーからは松戸を流れる川の堤防が見えた。
川辺にいくと松戸の川辺と寸分違わない。
すぐに引き返して東口への跨線橋を渡る視界に光の固まりが見えた。
再び川辺に戻ると松戸競輪場だった。
手前には薄汚れたラブホテルがある。

ギャンブル街には独特の臭気がある。
荒んだ男と女がタバコをふかし、裾が擦りきれたズボンをはく黒づくめの男が気だるげに駅に向かう。
東口は水戸街道に面している。
町の奥行きは深くない。


我孫子方面に向かう席はほぼ塞がっている。
6:23 馬橋(まばし)駅(常磐線/流鉄流山線 千葉県)
10年前に酒を飲んだ店はもうなくなっていたのだろうか。
特定はできなかった。


でも「確かにこんな町だった」と歩いていくと立派な山門に行き当たった。
鎌倉時代に小金城主千葉介頼胤が建立した萬満寺。
掃き清められた寺内に線香の香りが漂い、風格溢れる御堂に頭を垂れる。
山門の先に見えたのは確かに俗界だった。



西口広場の水は枯れ、電線には鳩の列が並び、古ぼけた工場の屋根が見える。
自動改札化には永遠に着手しそうにない流鉄改札脇の事務室で駅員さんは眠っている。

数時代前の便所から出て階段を上がった先に見えた朝には、晴れを予感させる空があった。

6:52 流山(ながれやま)駅(流鉄流山線 千葉県)
わずかに6駅を結ぶ流鉄。
開業から100年を越えて未来を歩く流山本町には、「半旅」と印された仄かな灯籠があちこちに置かれ、街道を雅なものに見せている。



案内に従って角を入ると土産物屋や倉が並ぶ趣のある通りで、狭い一郭に近藤勇陣屋跡がある。


彼の闘争はここで終わり、尚も闘いを止めない土方歳三は東に去り、彼等の二人三脚の人生の旅路もここで終わった。
京都を震撼させてきた時代の鬼たちの終幕の地。
多摩で生まれた彼等は何かに導かれるようにこの地まで敗亡の道をたどり、そして永遠に別れた。
そんなことを思いながら聞く烏の声。
物悲しい気分になる。
7:17 小金城趾(こがねじょうし)駅(流鉄流山線 千葉県)
秋を迎えた町に烏の声がこだまするように聞こえる。
隣の男は鼻をすすり、商店が見られない町の空はなぜかいつも鈍い。
城跡には行き着けず駅に戻る。
列車が行き違うこの駅で降りると、上りと下りに同時に別れていく、どことなく切ない旅を意識する光景が見える。

7:27 幸谷(こうや)駅(流鉄流山線 千葉県)にて



7:31 新松戸(しんまつど)駅(常磐線/武蔵野線 千葉県)
幸谷駅で降りて踏切の先にはもう新松戸駅が見える。
ロッテリアの脇を通ると、赤い鳥居の連なりを思わせるオブジェが改札口へと続く。
徒歩1分。


ホームに上がると学生たちで狭いホームは混みあっていた。
7:41 北小金(きたこがね)駅(常磐線 千葉県)
水戸街道小金宿。
小金城の存在も謳う駅前。
旅の途中にここで降りたのはオレだけで、足早に駅を通りすぎていく人々の日常に紛れた。
滞在時間6分。

7:50 南柏(みなみかしわ)駅(常磐線 千葉県)
北小金と似たような町。
ロータリーは背丈の揃った現代建築に取り巻かれ、人々が駅へと階段を上がってくる。
西口ロータリーは狭く、町の歴史を感じさせてくれる。
ここも滞在6分。


すでに次の柏駅に入線している。
柏で半数以上が降りて、最早車内に学生の姿は見えない。
8:02 北柏(きたかしわ)駅(常磐線 千葉県)
柏を過ぎると湿気が少なくなり、吹く風に冷たさを感じた。
人々の絶対数は減り、駅前には郊外を感じた。
かえって柏駅周辺の大きさを思うこととなる。


下り列車をホームで待つ目の前を、時に常磐線快速列車が文字通り快速で通りすぎ、水戸街道の車の流れもまた早い。
滞在時間10分。
8:23 我孫子(あびこ)駅(常磐線/成田線我孫子支線 千葉県)
北口に降りてみる。
南口には小さな繁華街があるが、ひとめぐりしてコンビニでビールと肉まんを購入。
肉まんの美味しい季節への入口を感じた時に夏が去った切なさなどはなく、ただただ幸福感に包まれる。
馬橋で晴れを予感させた空は南柏で鼻を一滴濡らし、ここ我孫子では油断のできない色になった。
傘を持つ者はいない。
常磐路旅で気づいた高台の住宅地を思い、足が向いた北口でのひととき。

関連記事
-
-
「鉄旅日記」2020年弥生 2日目(高山-速星)その1‐高山、打保、猪谷、富山、電鉄富山(高山本線) 【富山地方鉄道に乗りにまいりました。太多線、高山本線に乗るのも楽しみにしていたのでございます。】
鉄旅日記2020年3月21日・・・高山駅、打保駅、猪谷駅、富山駅、電鉄富山駅(高山本線) 2020
-
-
「鉄旅日記」2015年夏 2日目(新南陽-鹿児島中央)その1-新南陽、新山口、阿知須、宇部新川、小野田港、下関、八幡、陣原(山陽本線/宇部線/小野田線/鹿児島本線) 【日本最南端の終着駅、枕崎までの往復旅】
鉄旅日記2015年8月13日その1・・・新南陽駅、新山口駅、阿知須駅、宇部新川駅、小野田港駅、下関駅
-
-
「車旅日記」2005年春 最終日(富山-松本)走行距離218㎞ その1-アパホテル富山駅前、城川原駅、岩瀬浜駅、東富山駅、中滑川駅、滑川駅、魚津駅、石田駅、電鉄黒部駅、入善駅【松本から富山へ。今にして思えば、なぜこの旅を思い立ったのか思い出せないのでございます。】
車旅日記2005年4月30日・・・アパホテル富山駅前、城川原駅、岩瀬浜駅、東富山駅、中滑川駅、滑川駅
-
-
「鉄旅日記」2005年秋 最終日(小諸-東京)その1-小諸、軽井沢、横川(しなの鉄道) 【軽井沢で挙式する身内を祝うために、初めて鉄道で旅をいたしました。】
鉄旅日記2005年11月7日・・・小諸駅、軽井沢駅、横川駅(しなの鉄道) 2005・11・7 東京
-
-
「鉄旅日記」2007年皐月 2日目(米子-福山)-松江、宍道、出雲横田、出雲坂根、備後落合、塩町、府中、福山(山陰本線/木次線/芸備線/福塩線)/福山城 【夜汽車で東京を離れ、山陰山陽へ。鉄旅最初の長旅でございました。】
鉄旅日記2007年5月4日・・・松江駅、宍道駅、出雲横田駅、出雲坂根駅、備後落合駅、塩町駅、府中駅、
-
-
「鉄旅日記」2013年夏 初日(東京-徳山)穂積、姫路、英賀保、金光、福山、天神川、徳山(東海道本線、山陽本線) 【青春18きっぷで、鹿児島県志布志へ】
鉄旅日記2013年8月10日・・・穂積駅、姫路駅、英賀保駅、金光駅、福山駅、天神川駅、徳山駅(東海道
-
-
「鉄旅日記」2017年夏 3日目(姫路-十三)その2-新開地、湊川、鈴蘭台、三木上の丸、三木城址、三木、粟生、神鉄三田、ウッディタウン中央、横山、有馬口、有馬温泉、鵯越(神戸電鉄有馬線/粟生線/三田線/公園都市線) 【私鉄王国で過ごす夏】
鉄旅日記2017年8月13日・・・新開地駅、湊川駅、鈴蘭台駅、三木上の丸駅、三木駅、粟生駅、神鉄三田
-
-
「鉄旅日記」2020年卯月 初日(東京-新津)その3‐仙台、北山、葛岡、山形(仙山線) 【緊急事態宣言発令直前のことでございます。常磐線全線運転再開を祝して人知れず旅に出たのでございます。】
鉄旅日記2020年4月4日・・・仙台駅、北山駅、葛岡駅、山形駅(仙山線) 12:25 仙台(せんだ
-
-
「鉄旅日記」2018年秋 最終日(松戸-五井-大原-安房鴨川-松戸)その1-市川塩浜、五井、上総牛久、馬立、上総鶴舞、里見(京葉線/外房線/小湊鉄道)【サンキューちばフリーパスでめぐる上総下総安房旅】
鉄旅日記2018年9月23日・・・市川塩浜駅、五井駅、上総牛久駅、馬立駅、上総鶴舞駅、里見駅(京葉線
-
-
「鉄旅日記」2008年初夏 最終日(松阪-東京)-松阪、鳥羽、伊勢市、宇治山田、亀山、名古屋、豊橋、浜松、熱海(近鉄山田線/参宮線/紀勢本線/関西本線/東海道本線) 【まほろばの路から紀州へ。紀伊半島で過ごした短い夏の記憶でございます。】
鉄旅日記2008年7月21日・・・松阪駅、鳥羽駅、伊勢市駅、宇治山田駅、亀山駅、名古屋駅、豊橋駅、浜
