「鉄旅日記」2020年盛夏【コロナ禍の内緒旅VOl.2。宮島へ。錦帯橋へ。筑豊へ。島原へ。千綿駅へ。そして若松~戸畑の渡船。日本晴れの4日間の記録でございます。】3日目(肥前鹿島-門司港)その2‐諫早、古部、島原港、島原船津、島原(島原鉄道)
鉄旅日記2020年8月15日・・・諫早駅、古部駅、島原港駅、島原船津駅、島原駅(島原鉄道)
7:42 諫早(いさはや)駅(長崎本線/長与支線/大村線/島原鉄道 長崎県)
朝早い諫早駅はまるで人がいないかのように静まりかえっている。
その優美な姿を愛でたかつての諫早駅舎は解体され、ホテル併設の銀色の駅ビルへと変貌していた。
無常。もう嘆かない。
本明川沿いの古びた歓楽街に町が歩んできた歴史を想う。かつてはあの川辺まで人がたくさん歩いていたのだろう。土曜日の朝、すれ違う人もなく、駅に戻る。
島原鉄道に乗っている。
16年前に一度島原に寄っている。当時は加津佐まで線路は延びていた。
8:21 古部(こべ)駅(島原鉄道 長崎県)
車窓に多良岳の全貌を見る。晴天下に雄偉な姿が映える。
海辺の駅に着いた。
スマホを向けていると、行き違い2分の停車とのこと。運転士さんに断って外に飛び出る。
よくぞこんな場所に駅を作ったものだ。こんな景観に接するためにオレはこれまでを生きてきた。そう結論づけても構わない。
車内に流れる観光案内は地元高校の放送部によるもの。島原を支える青少年の活動に賛辞を送る。
車内を移動して普賢岳、有明海を写す。
9:18 島原港(しまばらこう)駅(島原鉄道 長崎県)
線路は続いていたはずだった。唐突に終点を迎えた島原鉄道。廃線になった加津佐までが偲ばれる。
20駅に及ぶ加津佐~島原港間が廃線になったのは2008年。当時この駅は島原外港という駅名だった。
駅から港までは近く、港からは大牟田、熊本へ向かうフェリーが出る。そんな旅もいいだろう。港を囲むように旅館やホテルも並ぶ。
滞在18分。駅周辺や島原温泉の文字が印象深い。諫早へと折り返す。
普賢岳は雲をまとっている。30年前の噴火の記憶が褪せることはない。
9:27 島原船津(しまばらふなつ)駅(島原鉄道 長崎県)
島原港駅からひと駅。車両基地のある駅で5分の停車。
普賢岳が目の前に迫り、海辺には漁船がつながれている。
太陽とともに生きる夏。日差しは容赦なく、オレは水を含む。
島原を楽しむ終戦記念日。
10:11 島原(しまばら)駅(島原鉄道 長崎県)
16年振りの島原駅。駅正面に島原城が見える。
島原は松平10万石の城下町。武家屋敷が残り、駅からは少し離れているが古びた商店街が見えた。
禁教徒が起こした大反乱は当時を震撼させただろう。オウム真理教が起こした大規模な犯罪に震えた現代人にも理解できる話だ。
駅前には島原の子守唄の銅像が立つ。唐へと渡った少女を唄った悲しいメロディー。貧しい頃を生きた人々の伝承の伝わり形は様々だ。
佐賀の太守、龍造寺隆信が有馬晴信・島津家久軍との戦いで敗死した沖田畷古戦場跡は駅前案内から消えていた。
16年前は車旅で、線路沿いにあった古戦場を記している。写真に残したくて島原街道を歩くが見つからない。駅から近いように感じていたが当時は車での移動。わずかな時間で歩ける距離じゃなかったのだろう。
そんなことで20分を費やした。後悔はない。
恋人への土産は島原手延べそうめん。長崎カステラにするか迷ったけど、ここは島原。
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