「鉄旅日記」2021年春 初日(東京-米内沢)その2‐小牛田、瀬峰、田尻、新田(東北本線)/伊豆沼 【大人の休日倶楽部パスで東北へ。新幹線、在来線特急乗り放題でございます。続くコロナ禍ではございますが、約半年の辛抱の時を過ぎて、天候にも苛まれながら秋田内陸縦貫鉄道に乗りに行きました。】
鉄旅日記2021年4月17日・・・小牛田駅、瀬峰駅、田尻駅、新田駅(東北本線)/伊豆沼
8:57 小牛田(こごた)駅(東北本線/石巻線/陸羽東線 宮城県)
列車が小牛田に到着する頃、石巻へ向かう列車が駅を離れていく光景が見えた。
動きのない風景の中で、それは生き物のようでもあり、遊園地のアトラクションのようでもある。カーブを曲がって、真っ直ぐな一本道を去っていく姿にはたまらない哀愁がある。
美里町ターミナル駅。今日も閑散として、アテにしていた酒屋はまだ開いていない。

満天星通りの水路を写し、暖かな待合室へ。雨音は大きくなり、入線した列車に乗るために人々が出ていった待合室に、次の女川行を待つ女子高生が入ってきた。

まだ9時過ぎ。町が動き出してから間がない。
9:31 瀬峰(せみね)駅(東北本線 宮城県)
駅員さんに迎えられて降りた駅には、善意の書庫が置かれていた。

栗原観光のタクシーが止まる駅前。バスを待つ人々の穏やかな話し声が聞こえる脇で、つぶれてから相当な歳月が経過したであろうパチンコ屋の看板が特徴づける駅前風景を写す。そして流線形の廃れた家並に美を感じる。

かつて車窓から廃線にまつわる石碑を眺めたのはここだったのではないかと、駐車場となった駅の反対側に目を向けると、それらしきものが認められる。
さっき異郷の女性が渡ってきた跨線橋を上がりそちらへ。
仙北鉄道瀬峰駅跡の石碑。瀬峰駅と築館駅、瀬峰駅と登米駅を結ぶ2路線を持つ軽便鉄道で、1968年に廃止された。

少し前まではこの先の石越からも栗原観光の線が敷かれていたが、その跡もやがて消えていってしまうのだろう。
9:58 田尻(たじり)駅(東北本線 宮城県)
ひと駅戻る。今日は小牛田~一ノ関間のいくつかの駅に降りることが大いなる目的。
立派な駅前通りがある。見渡す先にはローソンがある。

安心できるだけの金を財布に入れ忘れたことに気づいたのはどこだったか。コンビニ銀行とは便利だ。ただ土曜日は手数料が330円と高い。
この先にも街はあるさ。水とレモンサワーだけを購入して離れる。
通りにはなかなか洒落た飲食店がある。コンビニに車をつける人々は後をたたないが、駅に用を持つ者はなく、雨よけのないホームを濡れながら歩き、ひとりひっそりと一ノ関行に乗る。

11:03 新田(にった)駅(東北本線 宮城県)
127歳の新田駅。東北本線最古の駅舎とのこと。その歴史的な建屋も12月に建て変わる。その姿はこの村に馴染むだろうか。





伊豆沼を見に行く。栗原観光では栗駒山に次ぐ地位を持つようで、毎年冬には3,000羽にも上るオオハクチョウが飛来する日本最大の越冬地とのこと。
畜舎の臭いに誘われるように線路に沿って歩くと5分ほどで踏切に出る。線路を渡れば伊豆沼。
何度も車窓から眺めてきたが案外大きい。野鳥観察所の屋上でしばし時を過ごした。


踏切脇のお店でささやかに金を落とす。流れていた緩やかな音楽にも誘われた。
アイスクリームや豚まんを食べてあげたかったけど、ちょっと気分が違った。地元の酒とずんだをはじめとした団子。
店を出ると鳥居と石段に気づいた。この村の神は、村の一番高い場所におわす。
お参りを済ますと社の背後から人が出てきて驚いた。村の古老で、最初は怪訝そうにしていたが、すぐに打ち解けて様々な話を聞かせてくれる。
正直なところ言ってることの半分以上は理解できなかったが、ハナタレ小僧の時分には石段などはなく、麓の一の鳥居までよくソリ遊びをされたそうだ。



伊豆沼では鴨を獲って地元の店に売ったとのこと。牧歌的な時代の話だ。
もっと話したそうだったが、駅に戻った。「大学生か?」と聞かれたのにはさすがに驚いたが、見慣れぬ人間を見る機会に乏しそうな彼には、五十路に入ったオレでも若く見えたのだろう。
新田の駅名由来は遠く古代にさかのぼる。中央政権が奥東北を蝦夷と呼んで敵対視した頃、多賀城に征討拠点を置き、新田には柵が築かれた故事による。
関連記事
-
-
「鉄旅日記」2020年睦月 最終日(鷹ノ巣-東京)その3‐余目、三瀬、羽前水沢、間島(陸羽西線/羽越本線) 【秋田内陸縦貫鉄道に乗りにいきました。五能線の名所も歩いた旅初めでございます。】
鉄旅日記2020年1月13日・・・余目駅、三瀬駅、羽前水沢駅、間島駅(陸羽西線/羽越本線) 14:
-
-
「鉄旅日記」2017年冬 初日(東京-会津若松)その1-大泉学園、北千住、東武動物公園、上三依塩原温泉口、中三依温泉、会津高原尾瀬口、七ヶ岳登山口、会津山村道場(西武池袋線/東武伊勢崎線/東武鬼怒川線/野岩鉄道/会津鉄道) 【会津へ。会津へ行きたかったのでございます。】
鉄旅日記2017年12月2日・・・大泉学園駅、北千住駅、東武動物公園駅、上三依塩原温泉口駅、中三依温
-
-
「鉄旅日記」2019年弥生Part.3 初日(東京-多治見)その4-古虎渓、釜戸、美乃坂本、多治見(中央本線) 【明知鉄道、名鉄築港線。その2線に乗るために、東海道を下っていったのでございます。】
鉄旅日記2019年3月23日・・・古虎渓駅、釜戸駅、美乃坂本駅、多治見駅(中央本線) 18:23
-
-
「鉄旅日記」2019年如月 最終日(安中-東京)その1-安中、松井田、西松井田、横川、軽井沢、大屋(信越本線/しなの鉄道) 【週末パスで東京から伊豆。そして上州、信州へ。友人は言ったものでございます。何気に大層な移動距離だと。】
鉄旅日記2019年2月10日・・・安中駅、松井田駅、西松井田駅、横川駅、軽井沢駅、大屋駅(信越本線/
-
-
「鉄旅日記」2019年長月 2日目(盛岡-宮古)その1-盛岡、仙北町、花巻、遠野、足ヶ瀬(東北本線/釜石線) 【三陸鉄道、八戸線に乗りにいきました。区界、吉里吉里など、駅旅の者として見過ごせない駅にも寄りましてございます。】
鉄旅日記2019年9月22日・・・盛岡駅、仙北町駅、花巻駅、遠野駅、足ヶ瀬駅(東北本線/釜石線)
-
-
「鉄旅日記」2020年卯月 最終日(新津-東京)その3‐小野新町、要田、いわき(磐越東線) 【緊急事態宣言発令直前のことでございます。常磐線全線運転再開を祝して人知れず旅に出たのでございます。】
鉄旅日記2020年4月5日・・・小野新町駅、要田駅、いわき駅(磐越東線) 12:33 小野新町(お
-
-
「車旅日記」2005年冬 最終日(人吉-熊本空港)走行距離240㎞ その1-人吉駅、一勝地駅、球泉洞駅、佐敷駅、上田浦駅、千丁駅、有佐駅、道の駅不知火 【どこへ行こうか。まっさきに浮かんだのが、昨夏に旅した南九州でございました。】
車旅日記2005年2月13日・・・人吉駅、一勝地駅、球泉洞駅、佐敷駅、上田浦駅、千丁駅、有佐駅、道の
-
-
「鉄旅日記」2008年初夏 初日(東京-和歌山)その2-畝傍、高田、大和高田、近鉄郡山、郡山、王寺、五条、和歌山(桜井線/近鉄大阪線/近鉄橿原線/和歌山線) 【まほろばの路から紀州へ。紀伊半島で過ごした短い夏の記憶でございます。】
鉄旅日記2008年7月19日・・・畝傍駅、高田駅、大和高田駅、近鉄郡山駅、郡山駅、王寺駅、五条駅、和
-
-
「鉄旅日記」2020年初秋 初日(東京-高松)その3 ‐坂本比叡山口、びわ湖浜大津、大津(京阪石山坂本線/東海道本線)/大津港 【時空の友を訪ねて讃州高松へ。金比羅さん、瀬戸大橋、大歩危、小歩危などを友とめぐり、義仲寺に寄り、直島に渡り、水島臨海鉄道にも乗った4日間の記録でございます。】
鉄旅日記2020年9月19日・・・坂本比叡山口駅、びわ湖浜大津駅、大津駅(京阪石山坂本線/東海道本
-
-
「鉄旅日記」2013年夏 3日目(南宮崎-隼人)その2-宮崎、清武、田野、山之口、西都城、餅原、都城、京町温泉、えびの、吉松(日豊本線、吉都線) 【青春18きっぷで、鹿児島県志布志へ】
鉄旅日記2013年8月12日その2・・・宮崎駅、清武駅、田野駅、山之口駅、西都城駅、餅原駅、都城駅、
- PREV
- 「鉄旅日記」2021年春 初日(東京-米内沢)その1‐金町、上野、古川、陸前谷地(常磐線/東北新幹線/陸羽東線) 【大人の休日倶楽部パスで東北へ。新幹線、在来線特急乗り放題でございます。続くコロナ禍ではございますが、約半年の辛抱の時を過ぎて、天候にも苛まれながら秋田内陸縦貫鉄道に乗りに行きました。】
- NEXT
- 「鉄旅日記」2021年春 初日(東京-米内沢)その3‐梅ヶ沢、一ノ関、盛岡、小岩井(東北本線/東北新幹線/田沢湖線) 【大人の休日倶楽部パスで東北へ。新幹線、在来線特急乗り放題でございます。続くコロナ禍ではございますが、約半年の辛抱の時を過ぎて、天候にも苛まれながら秋田内陸縦貫鉄道に乗りに行きました。】
