*

「鉄旅日記」2013年春【青春18きっぷで、関東途中下車旅】その2-結城、下館、川島、岩瀬、笠間、十王、小木津、磯原、湯本、内原、羽鳥、土浦、ひたち野うしく(水戸線、常磐線)

公開日: : 最終更新日:2025/06/13 旅話, 旅話 2013年

鉄旅日記2013年3月31日その2・・・結城駅、下館駅、川島駅、岩瀬駅、笠間駅、十王駅、小木津駅、磯原駅、湯本駅、内原駅、羽鳥駅、土浦駅、ひたち野うしく駅(水戸線、常磐線)

12:03 結城(ゆうき)駅(水戸線 茨城県)
関東平野に一級の寒気が張りついている。

室町の頃の結城合戦ではこの地に天下の軍勢が押し寄せた。
茨城地域は反抗的な土地柄なのか歴史上に大きな騒動の記録をいくつか残している。

古くは平将門。
最近では水戸天狗党、幕末の大鳥圭介、土方歳三軍の転戦記。

しかしそんな歴史の痕跡は見当たらず、廃屋の目立つ駅前には葬儀屋が雇った車両誘導員が所在なげに立ち尽くし、飲食スナックは駅前通りを外れた駐車場エリアで灰色にうずくまっている。
ホテルが2軒あって市役所口には巨大な集合施設がそびえていた。

12:29 下館(しもだて)駅(水戸線/真岡鐵道/関東鉄道常総線 茨城県)
茨城で起こった歴史上の騒動には明治の加波山事件もある。
その志士たちが眠る墓がある。

私鉄含め3線が乗り入れる下館は鉄道の街。
駅は北九州の折尾駅を彷彿とさせる洋館建築で古いものに違いない。

街の地図には城跡、蔵の町並みといったものが記されている。
利根川につながる水運で栄えた街なのだろう。

前回ここに寄った時と今との間に13年の歳月がある。

12:52 川島(かわしま)駅(水戸線 茨城県)
2駅戻る。

日立ケミカルの工場に通じていた線路が剥がされていた。

寿司屋以外特に目に付くもののない駅前に平成ホテルとビジネスホテルがある。
工場利用者用だろうか。
ここじゃ桜は満開だ。

再び水戸方面へ。
車窓から眺める今日2度目の下館の街はとても大きく見える。

14:06 岩瀬(いわせ)駅(水戸線 茨城県)
小貝川を渡り、湿原のような大池を跨ぎ、大和駅に思いを残し、だだっ広い岩瀬駅前で途方に暮れる。

50号国道に出てマクドナルドに寄り、あったかいコーヒー。
こんな寒い日の居場所として悪くなかったが、注文したすべてを腹に入れたらすぐに古い町並を歩き駅に戻った。
やけに中華料理屋の多い通りだった。

平将門が大乱を起こした地はもう過ぎたのだろうか。
水郷筑波の表示だけが案内板に踊っている。

今日は花見旅。
50号国道では見えなかった旅情の中にいる。

14:49 笠間(かさま)駅(水戸線 茨城県)
日本三大稲荷の街。

駅前は過疎と不景気、そして今日の花冷えに暗く沈んでいる。

40年前に国際プロレスはディック・マードック、ダスティ・ローデスのジ・アウトローズを呼び、この街でタイトル戦を組んだ。

駅からじゃお稲荷さんも体育館も遠く、雑居ビルの壁は剥がれ、「旅館いなみ」裏の駅前横丁のドアは朽ち、どちらも夢の跡を晒していた。

16:26 十王(じゅうおう)駅(常磐線 茨城県)
水戸偕楽園は梅祭りで臨時駅を開放し、二人の梅美人に着物を着せ観光アピールをしていた。
水戸駅で常磐線に乗り換える。

勇ましい駅名のこの地に焦がれてから4年になるのか。
降りたら何もなく、洒落た造りのきれいな駅に「喧嘩どころ茨城」の怒声が聞こえた。

発生場所は喫煙所で声の主は二人の若者。
ふざけ合い、笑い合っていた。

16:57 小木津(おぎつ)駅(常磐線 茨城県)
ひと駅戻る。

日立電線の城下町だった。
行けども行けども工場で、グレーの三角屋根が果てしなく連なっている。

今日は日曜日。
操業が休みなら町もお休み。
通りで見かけた者はいない。
この町にもシティホテルがある。

骨にまで染みわたるような春の寒さだ。

17:52 磯原(いそはら)駅(常磐線 茨城県)
跨線橋から海が見える。

歩いていこうと思ったけど6号国道まで出たところで断念した。
遠いし寒い。

北茨城の佑都磯原。
でも日曜日はやはり休みだな。
いま寿司屋の電灯が点った。

列車が走りだして2年前に津波が襲った海岸に出た。
雨情の町を、あれ以上先には行けなかったけど、あったかい列車に乗ってオレはさらに北へと向かっている。

18:37 湯本(ゆもと)駅(常磐線 茨城県)
みちのくの風が体を冷やす。

寒さへの耐性に自信を持つこのオレを凍えさせる寒さが東北、北関東という土地柄だ。

湯本に着いて、山頂まで連なる橙の提灯行列が駅を出るまでもなく見えて、何事かを持った町に着いたことを知った。

湯のあたたかさまでは伝わらないが、真実のいわきを知った。
かつて常磐炭坑で栄え、磐高(ばんこう)こと磐城高校は夏の甲子園で準優勝の実績を持ち、漫画「ドカベン」でも、いわき東高校を夏の甲子園の決勝まで送り込んだいわきの実力を見た気がした。

ハワイアンリゾートは地図の外れ、山あいに位置していた。

東京方面へ戻る。


20:26 内原(うちはら)駅(常磐線 茨城県)
数分の停車。

メールが届いた。
どうやら東京も寒いらしい。
当たり前の話だ。

駅前は柵に囲われ、広大なロータリーのムコウに交番が光を放つ。
他に見えたのは街路灯の明かりだけだった。

20:44 羽鳥(はとり)駅(常磐線 茨城県)
特急通過待ちで5分の停車。

町の灯はすべて落ち、駅名を照らす電灯も消えていた。

あたたかい車内がありがたい。

21:16 土浦(つちうら)駅(常磐線 茨城県)
10分近く停車。
亀城公園に下りる。

巨大な駅ビルだったことに前回降りた時には気づいていたのだろうか。
外に出て1階に下りて駅を振り返って初めて事態に気づいた。
大きな街の明かりがそこにあった。

かつて土浦から筑波山麓へと通じる鉄道が走っていた。
オレが生きていく歴史は続いていくが、その間に様々な歴史に終止符が打たれ、またこれからも繰り返されるのだろう。

21:30 ひたち野うしく(ひたちのうしく)駅(常磐線 茨城県)
数分の停車。
かつての筑波万博駅だと知ったのはWeb上でのことだった。

まるでNASAの関連施設だ。
未来型の光を発した駅の周囲は広大な駐車場にあてられ、その無機的なたたずまいはこの上なく人工的だ。

ここから未来なり宇宙なりに行ければいいが、今現在ここを発着しているのは上野行きであり、北の方へは今どこまで行けるのだろう。

原発事故により常磐線は分断され、全線開通の見通しに対してオレが知っている情報はない。

話がだいぶ逸れた。
そんな駅だが、西友の他に存在したものを挙げることはできない。

関連記事

「車旅日記」2005年初夏 2日目(山形-新潟)走行距離313㎞ その1-アパホテル山形駅前大通、羽前山辺駅、寒河江駅、左沢駅、柴橋駅、天童駅、村山駅、新庄駅、羽前前波駅 【長岡、会津、庄内。戊辰戦争ゆかりの地を巡りたかったのだと記憶しております。】

車旅日記2005年7月17日・・・アパホテル山形駅前大通、羽前山辺駅、寒河江駅、左沢駅、柴橋駅、天童

記事を読む

「車旅日記」1997年梅雨明け【疲れきっていた若き日々。またしても向かうのは北でございました。】(東京-鳴子温泉-東京)2日目~最終日-いわき久ノ浜パーキング、亘理、名取、松山町、鳴子サンハイツ、町田

車旅日記1997年7月20日 7:03 6号国道‐いわき久ノ浜パーキング 太陽光線で目が覚める。

記事を読む

「鉄旅日記」2005年初冬 その1-松戸、我孫子、成田、銚子(常磐線/成田線/銚子電鉄) 【鉄旅に目覚め、銚子へと向かったのでございます。】

鉄旅日記2005年12月10日・・・松戸駅、我孫子駅、成田駅、銚子駅(常磐線/成田線/銚子電鉄)

記事を読む

「鉄旅日記」2021年師走 初日(東京-古川)その2 ‐水沢江刺、盛岡、上米内(東北新幹線/山田線)【特急乗り放題の大人の休日倶楽部パスで冬の国へ。山田線完全乗車と鳴子温泉郷を始めとした陸羽東線沿線を歩くことが目的でございました。】

鉄旅日記2021年12月4日・・・水沢江刺駅、盛岡駅、上米内駅(東北新幹線/山田線) 9:4

記事を読む

「鉄旅日記」2005年初冬 その2-外川、犬吠、本銚子、観音、仲ノ町、銚子、千葉(銚子電鉄/総武本線) 【鉄旅に目覚め、銚子へと向かったのでございます。】

鉄旅日記2005年12月10日・・・外川駅、犬吠駅、本銚子駅、観音駅、仲ノ町駅、銚子駅、千葉駅(銚子

記事を読む

「車旅日記」2000年夏Part.1 最終日(小千谷-桐生-下妻-東京)道の駅おぢや、塩沢らーめんショップ、月夜野情報サービスセンター、旅の駅桐生、道の駅しもつま、柏市あけぼの2丁目、葛飾金町 【信濃、飛騨、そして能登島。帰りは北陸路。この国の美しさをあらためて感じました夏旅でございます。】

車旅日記2000年7月23日 2000・7・23 2:09 17号国道‐おぢや(道の駅) 都合3時

記事を読む

「鉄旅日記」2015年夏 3日目(鹿児島中央-西鉄柳川)その1-指宿、枕崎、入野、開聞、山川、喜入、瀬々串、慈眼寺、南鹿児島、郡元(指宿枕崎線) 【日本最南端の終着駅、枕崎までの往復旅】

鉄旅日記2015年8月14日その1・・・指宿駅、枕崎駅、入野駅、開聞駅、山川駅、喜入駅、瀬々串駅、慈

記事を読む

「鉄旅日記」2011年秋【再びみちのくひとり旅】初日(東京-長井)-保谷、宮内、柏崎、小島谷、内野、関屋、早通、豊栄、佐々木、坂町、小国、羽前小松、今泉、長井(西武池袋線/上越線/信越本線/越後線/白新線/米坂線/山形鉄道)

鉄旅日記2011年11月5日・・・保谷駅、宮内駅、柏崎駅、小島谷駅、内野駅、関屋駅、早通駅、豊栄駅、

記事を読む

「鉄旅日記」2009年皐月【四国へ、途中下車の旅】初日(東京-三ノ宮)-金町、東京、静岡、浜松、弁天島、大垣、美濃赤坂、石山寺、膳所、尼崎、西宮、芦屋、三ノ宮(東海道本線、美濃赤坂支線、京阪石山坂本線)

鉄旅日記2009年5月1日・・・金町駅、東京駅、静岡駅、浜松駅、弁天島駅、大垣駅、美濃赤坂駅、石山寺

記事を読む

「鉄旅日記」2014年冬 最終日(桐生-東京)-間藤、足尾、通洞、神戸、水沼、大間々、相老、桐生、西桐生、新里、膳、大胡、江木、中央前橋、治良門橋、三枚橋、太田(わたらせ渓谷鐵道/上毛電鉄/東武伊勢崎線) 【フリー切符で行く、両毛ローカル旅】

鉄旅日記2014年12月29日・・・間藤駅、足尾駅、通洞駅、神戸駅、水沼駅、大間々駅、相老駅、桐生駅

記事を読む

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

「鉄旅日記」2022年新春 最終日(三沢-東京)その1 ‐三沢、八戸、滝沢、巣子、盛岡(青い森鉄道/IGRいわて銀河鉄道)/薬師神社/岩手山 【巨大な土偶が貼りつく木造駅を見たくて冬の東北を旅しました。】

鉄旅日記2022年1月10日・・・三沢駅、八戸駅、滝沢駅、巣子駅、盛

「鉄旅日記」2022年新春 2日目(湯瀬温泉-三沢)その5 ‐青森、三沢(青い森鉄道)/ホテル天水 【巨大な土偶が貼りつく木造駅を見たくて冬の東北を旅しました。】

鉄旅日記2022年1月9日・・・青森駅、三沢駅(青い森鉄道)/ホテル

「鉄旅日記」2022年新春 2日目(湯瀬温泉-三沢)その4 ‐板柳、川部、撫牛子、大釈迦、鶴ヶ坂(五能線/奥羽本線) 【巨大な土偶が貼りつく木造駅を見たくて冬の東北を旅しました。】

鉄旅日記2022年1月9日・・・板柳駅、川部駅、撫牛子駅、大釈迦駅、

「鉄旅日記」2022年新春 2日目(湯瀬温泉-三沢)その3 ‐川部、五所川原、木造(五能線)/神武食堂 【巨大な土偶が貼りつく木造駅を見たくて冬の東北を旅しました。】

鉄旅日記2022年1月9日・・・川部駅、五所川原駅、木造駅(五能線)

「鉄旅日記」2022年新春 2日目(湯瀬温泉-三沢)その2 ‐東大館、大館、弘前(花輪線/奥羽本線) 【巨大な土偶が貼りつく木造駅を見たくて冬の東北を旅しました。】

鉄旅日記2022年1月9日・・・東大館駅、大館駅、弘前駅(花輪線/奥

→もっと見る

    PAGE TOP ↑