「鉄旅日記」2013年春【青春18きっぷで、関東途中下車旅】その2-結城、下館、川島、岩瀬、笠間、十王、小木津、磯原、湯本、内原、羽鳥、土浦、ひたち野うしく(水戸線、常磐線)
鉄旅日記2013年3月31日その2・・・結城駅、下館駅、川島駅、岩瀬駅、笠間駅、十王駅、小木津駅、磯原駅、湯本駅、内原駅、羽鳥駅、土浦駅、ひたち野うしく駅(水戸線、常磐線)
12:03 結城(ゆうき)駅(水戸線 茨城県)
関東平野に一級の寒気が張りついている。
室町の頃の結城合戦ではこの地に天下の軍勢が押し寄せた。
茨城地域は反抗的な土地柄なのか歴史上に大きな騒動の記録をいくつか残している。
古くは平将門。
最近では水戸天狗党、幕末の大鳥圭介、土方歳三軍の転戦記。
しかしそんな歴史の痕跡は見当たらず、廃屋の目立つ駅前には葬儀屋が雇った車両誘導員が所在なげに立ち尽くし、飲食スナックは駅前通りを外れた駐車場エリアで灰色にうずくまっている。
ホテルが2軒あって市役所口には巨大な集合施設がそびえていた。
12:29 下館(しもだて)駅(水戸線/真岡鐵道/関東鉄道常総線 茨城県)
茨城で起こった歴史上の騒動には明治の加波山事件もある。
その志士たちが眠る墓がある。
私鉄含め3線が乗り入れる下館は鉄道の街。
駅は北九州の折尾駅を彷彿とさせる洋館建築で古いものに違いない。
街の地図には城跡、蔵の町並みといったものが記されている。
利根川につながる水運で栄えた街なのだろう。
前回ここに寄った時と今との間に13年の歳月がある。
12:52 川島(かわしま)駅(水戸線 茨城県)
2駅戻る。
日立ケミカルの工場に通じていた線路が剥がされていた。
寿司屋以外特に目に付くもののない駅前に平成ホテルとビジネスホテルがある。
工場利用者用だろうか。
ここじゃ桜は満開だ。
再び水戸方面へ。
車窓から眺める今日2度目の下館の街はとても大きく見える。
14:06 岩瀬(いわせ)駅(水戸線 茨城県)
小貝川を渡り、湿原のような大池を跨ぎ、大和駅に思いを残し、だだっ広い岩瀬駅前で途方に暮れる。
50号国道に出てマクドナルドに寄り、あったかいコーヒー。
こんな寒い日の居場所として悪くなかったが、注文したすべてを腹に入れたらすぐに古い町並を歩き駅に戻った。
やけに中華料理屋の多い通りだった。
平将門が大乱を起こした地はもう過ぎたのだろうか。
水郷筑波の表示だけが案内板に踊っている。
今日は花見旅。
50号国道では見えなかった旅情の中にいる。
14:49 笠間(かさま)駅(水戸線 茨城県)
日本三大稲荷の街。
駅前は過疎と不景気、そして今日の花冷えに暗く沈んでいる。
40年前に国際プロレスはディック・マードック、ダスティ・ローデスのジ・アウトローズを呼び、この街でタイトル戦を組んだ。
駅からじゃお稲荷さんも体育館も遠く、雑居ビルの壁は剥がれ、「旅館いなみ」裏の駅前横丁のドアは朽ち、どちらも夢の跡を晒していた。
16:26 十王(じゅうおう)駅(常磐線 茨城県)
水戸偕楽園は梅祭りで臨時駅を開放し、二人の梅美人に着物を着せ観光アピールをしていた。
水戸駅で常磐線に乗り換える。
勇ましい駅名のこの地に焦がれてから4年になるのか。
降りたら何もなく、洒落た造りのきれいな駅に「喧嘩どころ茨城」の怒声が聞こえた。
発生場所は喫煙所で声の主は二人の若者。
ふざけ合い、笑い合っていた。
16:57 小木津(おぎつ)駅(常磐線 茨城県)
ひと駅戻る。
日立電線の城下町だった。
行けども行けども工場で、グレーの三角屋根が果てしなく連なっている。
今日は日曜日。
操業が休みなら町もお休み。
通りで見かけた者はいない。
この町にもシティホテルがある。
骨にまで染みわたるような春の寒さだ。
17:52 磯原(いそはら)駅(常磐線 茨城県)
跨線橋から海が見える。
歩いていこうと思ったけど6号国道まで出たところで断念した。
遠いし寒い。
北茨城の佑都磯原。
でも日曜日はやはり休みだな。
いま寿司屋の電灯が点った。
列車が走りだして2年前に津波が襲った海岸に出た。
雨情の町を、あれ以上先には行けなかったけど、あったかい列車に乗ってオレはさらに北へと向かっている。
18:37 湯本(ゆもと)駅(常磐線 茨城県)
みちのくの風が体を冷やす。
寒さへの耐性に自信を持つこのオレを凍えさせる寒さが東北、北関東という土地柄だ。
湯本に着いて、山頂まで連なる橙の提灯行列が駅を出るまでもなく見えて、何事かを持った町に着いたことを知った。
湯のあたたかさまでは伝わらないが、真実のいわきを知った。
かつて常磐炭坑で栄え、磐高(ばんこう)こと磐城高校は夏の甲子園で準優勝の実績を持ち、漫画「ドカベン」でも、いわき東高校を夏の甲子園の決勝まで送り込んだいわきの実力を見た気がした。
ハワイアンリゾートは地図の外れ、山あいに位置していた。
東京方面へ戻る。
20:26 内原(うちはら)駅(常磐線 茨城県)
数分の停車。
メールが届いた。
どうやら東京も寒いらしい。
当たり前の話だ。
駅前は柵に囲われ、広大なロータリーのムコウに交番が光を放つ。
他に見えたのは街路灯の明かりだけだった。
20:44 羽鳥(はとり)駅(常磐線 茨城県)
特急通過待ちで5分の停車。
町の灯はすべて落ち、駅名を照らす電灯も消えていた。
あたたかい車内がありがたい。
21:16 土浦(つちうら)駅(常磐線 茨城県)
10分近く停車。
亀城公園に下りる。
巨大な駅ビルだったことに前回降りた時には気づいていたのだろうか。
外に出て1階に下りて駅を振り返って初めて事態に気づいた。
大きな街の明かりがそこにあった。
かつて土浦から筑波山麓へと通じる鉄道が走っていた。
オレが生きていく歴史は続いていくが、その間に様々な歴史に終止符が打たれ、またこれからも繰り返されるのだろう。
21:30 ひたち野うしく(ひたちのうしく)駅(常磐線 茨城県)
数分の停車。
かつての筑波万博駅だと知ったのはWeb上でのことだった。
まるでNASAの関連施設だ。
未来型の光を発した駅の周囲は広大な駐車場にあてられ、その無機的なたたずまいはこの上なく人工的だ。
ここから未来なり宇宙なりに行ければいいが、今現在ここを発着しているのは上野行きであり、北の方へは今どこまで行けるのだろう。
原発事故により常磐線は分断され、全線開通の見通しに対してオレが知っている情報はない。
話がだいぶ逸れた。
そんな駅だが、西友の他に存在したものを挙げることはできない。
関連記事
-
-
「鉄旅日記」2021年春 初日(東京-米内沢)その4‐雫石、田沢湖、神代、角館(田沢湖線) 【大人の休日倶楽部パスで東北へ。新幹線、在来線特急乗り放題でございます。続くコロナ禍ではございますが、約半年の辛抱の時を過ぎて、天候にも苛まれながら秋田内陸縦貫鉄道に乗りに行きました。】
鉄旅日記2021年4月17日・・・雫石駅、田沢湖駅、神代駅、角館駅(田沢湖線) 14:50
-
-
「鉄旅日記」2013年春【青春18きっぷで、房総途中下車旅】その1-検見川浜、大貫、保田、那古船形、富浦、安房勝山、館山、太海、江見、勝浦、行川アイランド、東浪見、御宿(京葉線、内房線、外房線)
鉄旅日記2013年3月9日その1・・・検見川浜駅、大貫駅、保田駅、那古船形駅、富浦駅、安房勝山駅、館
-
-
「鉄旅日記」2014年秋【休日おでかけパスで、関東ローカル旅】その1-日進、宮原、加茂宮、北大宮、大宮公園、土呂、東鷲宮、鷲宮、栗橋、古河、新古河、野木、間々田、岩舟(川越線/東北本線/両毛線)
鉄旅日記2014年11月3日その1・・・日進駅、宮原駅、加茂宮駅、北大宮駅、大宮公園駅、土呂駅、東鷲
-
-
「鉄旅日記」2017年秋 その1-東長崎、本鵠沼、鵠沼海岸、藤沢、石上、柳小路、鵠沼、湘南海岸公園、鎌倉(西武池袋線/小田急電鉄江ノ島線/江ノ島電鉄) 【湘南へ向かう休日。江ノ電に乗りに行ったのでございます。】
鉄旅日記2017年11月12日・・・東長崎駅、本鵠沼駅、鵠沼海岸駅、藤沢駅、石上駅、柳小路駅、鵠沼駅
-
-
「鉄旅日記」2009年秋【遅い夏休みをとり、長崎までの切符を買いました。】初日(東京-新山口)その2-廿日市、広電廿日市、宮島口、広電宮島口、大竹、岩国、徳山、新山口(山陽本線/岩徳線)
鉄旅日記2009年9月18日・・・廿日市駅、広電廿日市駅、宮島口駅、広電宮島口駅、大竹駅、岩国駅、徳
-
-
「鉄旅日記」2003年冬【ご縁と別れがあり、34歳の誕生日を北九州で迎えた日の記憶でございます。】初日(宇部-飯塚-博多)その1-山口宇部空港、宇部新川、宇部、下関、小倉、折尾、飯塚、博多(宇部線/山陽本線/鹿児島本線/筑豊本線/篠栗線)
鉄旅日記2003年2月15日・・・山口宇部空港、宇部新川駅、宇部駅、下関駅、小倉駅、折尾駅、飯塚駅、
-
-
「車旅日記」2003年晩秋【紀伊半島に焦がれる日々。南海道を往くのは2度目でございます。】2日目(南紀白浜-潮岬-新宮-十津川-伊勢志摩)走行距離421㎞ -白良浜、白浜駅、見老津駅、潮岬、紀伊大島樫野灯台、湯川駅、瀞峡街道・熊野川、十津川、熊野きのくに、紀伊長島駅、伊勢志摩
車旅日記2003年11月23日・・・白良浜、白浜駅、見老津駅、潮岬、紀伊大島樫野灯台、湯川駅、瀞峡街
-
-
「鉄旅日記」2020年初秋 初日(東京-高松)その3 ‐坂本比叡山口、びわ湖浜大津、大津(京阪石山坂本線/東海道本線)/大津港 【時空の友を訪ねて讃州高松へ。金比羅さん、瀬戸大橋、大歩危、小歩危などを友とめぐり、義仲寺に寄り、直島に渡り、水島臨海鉄道にも乗った4日間の記録でございます。】
鉄旅日記2020年9月19日・・・坂本比叡山口駅、びわ湖浜大津駅、大津駅(京阪石山坂本線/東海道本
-
-
「鉄旅日記」2020年如月 初日(東京-大船渡)その4‐前谷地、志津川、南気仙沼、気仙沼(気仙沼線)/南三陸さんさん商店街 【東日本大震災で被害を受けた大船渡に泊まりにまいりました。山田線完全乗車も目指しておりましたが・・。】
鉄旅日記2020年2月22日・・・前谷地駅、志津川駅、南気仙沼駅、気仙沼駅(気仙沼線)/南三陸さんさ
-
-
「鉄旅日記」2021年秋 初日(東京-飯坂温泉)その4 ‐福島、卸町、東福島、桑折、飯坂温泉(阿武隈急行/東北本線/福島交通飯坂線) 【4度目の緊急事態宣言明け。これ以降そのようなものが発令されることはございませんでした。阿武隈急行、峠駅、立石寺。お宿は飯坂温泉。秋の東北を満喫すべく常磐線に乗りました。】
鉄旅日記2021年10月9日・・・福島駅、卸町駅、東福島駅、桑折駅、飯坂温泉駅(阿武隈急行/東北本