*

「鉄旅日記」2009年皐月【四国へ、途中下車の旅】初日(東京-三ノ宮)-金町、東京、静岡、浜松、弁天島、大垣、美濃赤坂、石山寺、膳所、尼崎、西宮、芦屋、三ノ宮(東海道本線、美濃赤坂支線、京阪石山坂本線)

公開日: : 最終更新日:2025/06/19 旅話, 旅話 2009年

鉄旅日記2009年5月1日・・・金町駅、東京駅、静岡駅、浜松駅、弁天島駅、大垣駅、美濃赤坂駅、石山寺駅、膳所駅、尼崎駅、西宮駅、芦屋駅、三ノ宮駅(東海道本線、美濃赤坂支線、京阪石山坂本線)

2009・5・1 4 :26 金町(かなまち)駅(常磐線 東京都)
眠れぬ夜が明けた。
じきに明るくなって、5月1日はどうやら晴天を連れてくる。

始発電車がやってくる。
いつものことだが、旅立ち前の不安に包まれている。

5:11 東京(とうきょう)駅(東海道新幹線/東北新幹線/上越新幹線/長野新幹線/東海道本線/中央本線/横須賀線/山手線/東京メトロ 東京都)
北千住、日暮里、東京。
東京の朝は早い。
ホームの人影こそ少ないが、移動する人の数は少なくない。
やがてこの列車も埋まるだろう。

北千住で、そこに暮らす彼女に想いを飛ばし、日暮里では跨線橋から見えた空を美しく思った。

次に降りるのは静岡。

湘南海岸が見えるあたりが好きなんだが、オレは起きていられるだろうか。

8:44 静岡(しずおか)駅(東海道新幹線/東海道本線 静岡県)
暁の列車は終点静岡へ。

席は埋まっている。
東海路は変わらず平穏らしい。

強い日差しに何度も眠りに落ちた。
金町で感じていた不安はすでにない。

国府津だったか。
ひなびた海沿いの町に教会が見えた。

美しい風景だった。

10:03 浜松(はままつ)駅(東海道新幹線/東海道本線 静岡県)
東海道を半分きた。

方々から集まった駿河人はこの街で多くは降りたが、ここ遠州を越えて、さらに三河を目指す者が少なくない。

今日は平日だが、このあたりじゃ勤め人を見かけない。
メーデー会場にでも動員されているのか。

駿河娘はなかなか美しい。

10:36 弁天島(べんてんじま)駅(東海道本線 静岡県)
浜名湖にはいくつか思い出がある。
潮干狩りの看板を見て思い出したよ。

ああ、そうだった。
両親が、まだ子供だったアニキとオレを新幹線に乗せるために潮干狩りに連れてきてくれたんだ。

その日、昼に入った食堂のテレビでついていた大河ドラマ「草燃える」で木曽義仲の死を知った。

車がある頃には重要な通過地点だった。
当時、最も大切だと思われた記憶が中田島砂丘をはじめこのあたりで生まれた。

浜名湖は縦横に手足を広げ、マリーナが生まれ、島には船が出ている。
風はほんの少しだけ冷たいが、湖畔はあたたかな光に照らされ、うららかな風景が続いている。

サザンオールスターズが大規模な野外Liveを行った場所は駅のムコウか。

弁天島の大鳥居が見える船着き場で、同じような皺を顔に刻んだ男たちが無言のまま座っていた。

12:43 大垣(おおがき)駅(東海道本線/東海道本線美濃赤坂支線/樽見鉄道/養老鉄道 岐阜県)
中京地域に差し掛かる頃はいつも眠くてかなわない。
三河湾が尽きる蒲郡あたりから眠りに落ちた。
必ず起こるといっていい現象で、実は予定に入っている。
ダメだな、これじゃ。

名古屋駅周辺の東京とも他の都会とも違う、巨大な鉄骨やら橋脚が目に飛び込んでくる、どことなく場末を思わせる風景には懐かしさを感じている。

木曽川、長良川、揖斐川を越えて大垣。
美濃赤坂に向かう車中にいる。

美濃赤坂(みのあかさか)駅(東海道本線美濃赤坂支線 岐阜県)にて

荒尾(あらお)駅(東海道本線美濃赤坂支線 岐阜県)にて

北大垣(きたおおがき)駅(養老鉄道 岐阜県)にて

14 :31 大垣(おおがき)駅(東海道本線/東海道本線美濃赤坂支線/樽見鉄道/養老鉄道 岐阜県)
美濃赤坂駅から大垣の裏街道を歩いて1時間。

大垣に戻ってビールとおでん。
腹は満ちた。

東京的感覚じゃ随分寂しいあたりを歩いてきたが、そこには間断のない暮らしがあった。
北大垣駅の近くで小学生の少女がきちんとした挨拶をしてくれたよ。

赤坂ではきれいな美濃娘が降りていった。
かつて関ヶ原合戦の前夜まで徳川家康率いる東軍が陣を張り、何事かで栄えたのであろう一帯に延びる線路はまだ生きていて、今もそこで生きている男の力強い姿を見た。

3年前は雨だったよ。

赤坂の背後に削られた山が見える。
あれは鉱山か。
いくつか廃線となった鉄路を跨いだが、あの町は現在も生き続けている。

次の荒尾駅の背後は小学校で子供たちの弾けるような歓声が耳に心地好かった。
あの環境を維持するのが大人の役目だ。
今そんなことを思っている。

4両編成の米原行きの席は埋まっている。

石山(いしやま)駅(東海道本線/京阪石山坂本線 滋賀県)にて

16:31 石山寺(いしやまでら)駅(京阪石山坂本線 滋賀県)
瀬田川の存在には気づいていなかった。

マヌケだったが、今回の旅の唐突な喜びとなった。

石山駅からスナック街を抜けて瀬田川畔へ。

遠くに近江大橋が見え、向かった先には唐橋が架かっている。
そして渋滞している。

ボート競技の若者は眩しく、一帯の清楚なたたずまいに魅せられた。

京阪電車に乗って膳所に向かっている。


京阪膳所(けいはんぜぜ)駅(京阪石山坂本線 滋賀県)にて

16:54 膳所(ぜぜ)駅(東海道本線 滋賀県)
琵琶湖は遠かった。

かつて近江大橋を渡り終えた時に見た湖畔の灯を探していたんだ。
今回だけじゃない。
2003年の春に今は大津京と駅名が変更された西大津駅から浜大津に向けて歩いた時もそうだった。
でも、あれから幻のように姿を見せない。

石山、膳所は思っていたような町で降りてよかった。

木曽義仲終焉の地、粟津を冠した駅は住宅街の中に小さく存在していた。
興味の尽きない一帯だった。

18:10 尼崎(あまがさき)駅(東海道本線/福知山線/東西線 兵庫県)
深田恭子さんが圧倒的なまでにカワイイ、映画「下妻物語」でジャージの街として登場し、タイガースが優勝した際には騒動を待つマスコミ連中が張り込む俗に言う尼崎は阪神駅を指すらしい。

ここは海からは離れ、六甲側は未完成で、梅田の高層ビルが微妙な距離を置いて見える。

沿線の風景にも駅前にも都会は感じられない。

18:28 西ノ宮(にしのみや)駅(東海道本線 兵庫県)
六甲が迫ってきた。
海も近づいてきたのだろう。

オレが二十歳前までは阪急野球団の本拠地があった。

駅近くに繁華街らしきものは見当たらない。
集合住宅だけが目立つ姿は尼崎の事情と変わらない。

ただ夜になれば実力以上の輝きを放つ街。
かつて阪神高速から六甲に沿って広がるきれいな光の連なりを見た。

この街はその珠玉の夜景に参加している。

18:52 芦屋(あしや)駅(東海道本線 兵庫県)
高級住宅街の玄関口に相応しい品を備えた駅前だった。
人の流れは多くない。

たぶんこの街の有名校なのだろう。
そこの学生に絡んでいるオッサンがいて気分を害した。
絡まれていた3人から、後ろで何かひそひそと言われたのだろう。

ヤツはオレと同年齢くらいだろうと思われるが、情けない身なりをしていた。
関西や浅草に行くといつもああいうのがいる。

さて、西国も日暮れの時間だ。
神戸に泊まるのは初めてだ。

周囲で交わされている関西弁に耳を傾ける。
懐かしくて優しい響きだ。

21:54 スーパーホテル神戸410号
三ノ宮で降りる。
甘いパンの香りに包まれていた。

海側に下りていった。
阪神電鉄三宮駅が入った百貨店を過ぎて2号線に出るあたりへ。

繁華街と呼べる一帯じゃなかった。

肉が食いたくてビヤレストランの看板を出している店に入り、神戸人に紛れた。
居心地は悪くなかったけど、家族連れが多く少し遠慮した。

ふとラーメンが食べたくなった。
神戸ラーメンってあったっけ。
店を出てネスレ本社前を通り、ポートライナー駅の脇を抜けて三ノ宮駅に戻る。

このホテルに行く道は歩いたことがある。
上り詰めると新神戸駅に出る。
そこからさらに上がればハーブ園。
いい思い出しか残っていない街だ。

途中にラーメン屋くらいあるだろうと思い元町方面に目を向けると、人であふれている。
どれほどかと見に行ったら、その繁華さに驚いた。
これが神戸かと。

縦横に路地が走り、スナックの看板に飲み屋、食べ物屋。客引きの男が大勢出て、ヤクザやホステスが行き交う。
イキイキとしていたよ。

遠くない過去にこの街は最悪の震災に見舞われている。
すれ違った大半の人々があの悲惨な光景の当事者もしくは目撃者なのかと思うと、神戸人に向ける目は優しくなる。
問題は残しているだろうが、復興したのだろう。

かつての恋人が選んだ大手ゼネコン勤めの男は社命で復興要員に選ばれ、彼女も東京を離れた。
そんなことを思いながらここにきた。

神戸娘も魅力的だ。
そして彼女たちも震災を知っている。
途方もない悲しみを知った神戸人に敬意を払い、明日の朝ここを離れる。

新神戸駅に向かう坂を上がっていて思い出したこと。
何年前だか正確に思い出すつもりはないが、オレの誕生日の翌日だった。

京都に行って、冷たい彼女に苦い思いをして、あてもなく神戸にやってきてぶらぶら歩いたんだ。

今日と同じですれ違う女性が素敵で、ちょっとした妄想と遊んで、元気になって帰った。

今回も同じだ。
オレは北千住に暮らす彼女と、遠く離れたここ神戸でばったり行き逢う光景を浮かべながら、繁華な街をどこまでも歩いていった。

関連記事

「鉄旅日記」2022年弥生vol.1 最終日(熱海-東京)その1 ‐熱海、五百羅漢、大雄山、緑町、小田原(東海道本線/大雄山線)/北条氏政・氏照の墓 【金沢シーサイドライン、根岸線、湘南モノレール、横須賀線、御殿場線、鶴見線、南武線etc.駅旅人本領発揮の旅でございます。】

鉄旅日記2022年3月6日・・・熱海駅、五百羅漢駅、大雄山駅、緑町駅、小田原駅(東海道本線/大雄山

記事を読む

「車旅日記」1998年春 最終日(鳴子温泉-郡山-東京)-鳴子サンハイツ、川渡温泉駅、槻木駅、道の駅安達、郡山文化センター前、那須公営パーキング、黒磯PA、佐野SA、大井PA、東京町田 【下北半島を目指した春。男の旅は北を目指すものと思っていた20代後半。高倉健さんの影響でございましょうか。】

車旅日記1998年5月4日 1998・5・4 8:47 鳴子サンハイツ 連休中初めての日差しだ。

記事を読む

「鉄旅日記」2006年如月 初日-佐倉、成東、大網、上総一ノ宮、上総興津、安房鴨川、館山、安房勝山(常磐線/成田線/総武本線/東金線/外房線/内房線) 【鉄道旅に目覚め、1泊2日で房総半島にまいりました。】

鉄旅日記2006年2月4日・・・佐倉駅、成東駅、大網駅、上総一ノ宮駅、上総興津駅、安房鴨川駅、館山駅

記事を読む

「鉄旅日記」2017年春【近鉄に乗る日々】2日目(新大宮-大阪難波)その4-柏原、道明寺、河内長野、古市、畝傍御陵前、田原本、西田原本、新王寺、近鉄王寺(道明寺線/長野線/南大阪線/橿原線/田原本線/生駒線)

鉄旅日記2017年3月18日・・・柏原駅、道明寺駅、河内長野駅、古市駅、畝傍御陵前駅、田原本駅、西田

記事を読む

「鉄旅日記」2019年師走 初日(東京-酒田)その3‐新潟、村上、羽後本荘(信越本線/白新線/羽越本線) 【由利高原鉄道鳥海山ろく線に乗りにいきました。初冬の日本海は荒々しく、美しゅうございました。】

鉄旅日記2019年12月7日・・・新潟駅、村上駅、羽後本荘駅(信越本線/白新線/羽越本線) 11:

記事を読む

「鉄旅日記」2018年春 最終日(飯田-東京)その3-日出塩、贄川、村井、上諏訪、日野春、西国分寺、新松戸(中央本線/武蔵野線) 【伊那谷へ。長篠へ。安曇野へ。木曽へ。青春18きっぷを握ったそんな旅でございます。】

鉄旅日記2018年4月8日・・・日出塩駅、贄川駅、村井駅、上諏訪駅、日野春駅、西国分寺駅、新松戸駅(

記事を読む

「鉄旅日記」2021年秋 初日(東京-飯坂温泉)その1 ‐金町、高浜、友部、水戸、いわき(常磐線) 【4度目の緊急事態宣言明け。これ以降そのようなものが発令されることはございませんでした。阿武隈急行、峠駅、立石寺。お宿は飯坂温泉。秋の東北を満喫すべく常磐線に乗りました。】

鉄旅日記2021年10月9日・・・金町駅、高浜駅、友部駅、水戸駅、いわき駅(常磐線) 202

記事を読む

「車旅日記」1996年黄金週間【友を訪ねて大阪へ。そして約束の地、金沢へ。夢を見ながら国道を走った日々でございます。】最終日 北陸より東京へ‐その2(R8→R18→R19)直江津駅、新井、豊野町、長野駅、道の駅信州新町、道の駅大岡村

車旅日記1996年5月6日 6:58 直江津駅 恋する女よ、いつの間にか日本海とさよならしていたよ

記事を読む

「鉄旅日記」2021年師走 最終日(古川-東京)その3 ‐瀬見温泉(陸羽東線)/湯前神社/山神社 【特急乗り放題の大人の休日倶楽部パスで冬の国へ。山田線完全乗車と鳴子温泉郷を始めとした陸羽東線沿線を歩くことが目的でございました。】

鉄旅日記2021年12月6日・・・瀬見温泉駅(陸羽東線)/湯前神社/山神社 11:37 瀬見

記事を読む

「鉄旅日記」2019年霜月 最終日(北上-東京)その3‐仙台、国見、愛子、山形(仙山線) 【津軽鉄道、弘南鉄道に乗りにいきました。羽州街道を歩いた晩秋の旅でございます。】

鉄旅日記2019年11月4日・・・仙台駅、国見駅、愛子駅、山形駅(仙山線) 14:39 仙台(せん

記事を読む

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

「鉄旅日記」2022年皐月 ツレと訪ねた下部温泉~富士宮~田子の浦旅でございます。初日(東京-下部温泉) ‐市川大門、下部温泉(身延線)【Facbookへの投稿より振り返ります。】

鉄旅日記2022年5月28日・・・市川大門駅、下部温泉駅(身延線)

「鉄旅日記」2022年皐月 最終日(磐梯熱海-東京)その3 ‐駒形、前橋大橋、高崎、本庄(両毛線/高崎線)【日光線全駅乗降を果たし、猪苗代湖畔に遊び、磐梯熱海の湯につかり、国定忠治を訪ねた旅でございます。】

鉄旅日記2022年5月8日・・・駒形駅、前橋大島駅、高崎駅、本庄駅(

「鉄旅日記」2022年皐月 最終日(磐梯熱海-東京)その2 ‐国定(両毛線)/国定忠治墓(養寿寺)【日光線全駅乗降を果たし、猪苗代湖畔に遊び、磐梯熱海の湯につかり、国定忠治を訪ねた旅でございます。】

鉄旅日記2022年5月8日・・・国定駅(両毛線)/国定忠治墓(養寿寺

「鉄旅日記」2022年皐月 最終日(磐梯熱海-東京)その1 ‐磐梯熱海、新白河、小山(磐越西線/東北本線)【日光線全駅乗降を果たし、猪苗代湖畔に遊び、磐梯熱海の湯につかり、国定忠治を訪ねた旅でございます。】

鉄旅日記2022年5月8日・・・磐梯熱海駅、新白河駅、小山駅(磐越西

「鉄旅日記」2022年皐月 初日(東京-磐梯熱海)その4 ‐関都、猪苗代湖畔、上戸、磐梯熱海(磐越西線)/志田浜~上戸浜/伊東園ホテル磐梯向滝【日光線全駅乗降を果たし、猪苗代湖畔に遊び、磐梯熱海の湯につかり、国定忠治を訪ねた旅でございます。】

鉄旅日記2022年5月7日・・・関都駅、猪苗代湖畔駅、上戸駅、磐梯熱

→もっと見る

    PAGE TOP ↑