「鉄旅日記」2021年春 初日(東京-米内沢)その1‐金町、上野、古川、陸前谷地(常磐線/東北新幹線/陸羽東線) 【大人の休日倶楽部パスで東北へ。新幹線、在来線特急乗り放題でございます。続くコロナ禍ではございますが、約半年の辛抱の時を過ぎて、天候にも苛まれながら秋田内陸縦貫鉄道に乗りに行きました。】
鉄旅日記2021年4月17日・・・金町駅、上野駅、古川駅、陸前谷地駅(常磐線/東北新幹線/陸羽東線)
2021・4・17 5:16 金町(かなまち)駅(常磐線 東京都)
コロナ蔓延防止措置がとられた首都。政府の政策決定は巷では「まんぼう」と通称され、失笑を買っている。
暮らす町は汚れ、早朝のカラオケ店やラーメン屋の前ではコロナ状況をものともしない若者たちの痴態が見られる。
オレも若いやつにウイルスなんか恐れてほしくないさ。でもこの状況下では見苦しく思える。
1月に予定していた旅は2度目の緊急事態宣言発令によって延期して、11月以来5ヶ月振りの旅に出た。
4月の朝は5時には明け放たれる。季節毎の朝を知ってからじきに1年になる。新型コロナによって世界は変わってしまったが、オレの日常もまた変わった。
1月4日から再開した早起きとそれに伴う筋トレはすっかり習慣となり、今日まで連続104日を数えた。明日で途切れるが、構わない。おそらくこんな記録が生まれることは2度とないだろうが、そんなふうにしてこの厳しい時代を耐えている。
「いつだって潰されないように、心の中の太陽がそっと輝きだすのを待ってる。」
佐野元春さんの楽曲を繰り返しかけながら、目についた場所の埃を払い、仕事に出かける時を待っていた今週。
旅立ちの朝、部屋に音楽が流れることはなく、たんたんと日常を済ませて、起床から約90分後に部屋を出た。

北千住で常磐線快速に乗り換えて、上野に向かっている。
6:04 上野(うえの)駅(北海道・東北新幹線/上越新幹線/北陸新幹線/東北本線/山手線/京浜東北・根岸線/常磐線/上野東京ライン/東京メトロ銀座線/東京メトロ日比谷線 東京都)
6時前の駅前は、いかに上野駅と言えど6時前。駅のコンビニの開店も6時。





不機嫌そうな店員も「面倒をかけてすみません」の言葉に心をほどく。朝の習慣を優先して朝食は新幹線に回した。ビールとレモンサワー。
オレの旅に新幹線が登場するのも定番化しつつあるが、こうして座席について思い出すのはまだ旅に出る前の20代前半。
郡山で暮らす友を訪ねるために上野駅へ向かった。当時は町田に住んでいたから上野に出るのも一苦労。東京を出ることとは相当な面倒が伴う行為だった。だから車で出かけていた。
あの当時のオレが未来をどう見ていたのか。日記を紐解いても記されてはいないだろう。ましてや30年後のオレがどんな大人になっているかなどは及びもつかない。
まだ携帯電話もなかった時代。世界はもっと緩やかだった。
新幹線は大宮を過ぎて、ビールはすでに空いている。
8:22 古川(ふるかわ)駅(北海道・東北新幹線/陸羽東線 宮城県)
改札に向かうとそばつゆの匂いが香る。駅ビルに収まった駅だが、そんな旅情を醸している。


20代の頃に何度も通った街道は目に入らなかった。
東北旅のベースキャンプにしていた鳴子温泉へ向けて何度ここを通り過ぎただろう。古川駅には何度か車を寄せたこともある。
懐かしさはそぼ降る雨が消した。

8:30 陸前谷地(りくぜんやち)駅(陸羽東線 宮城県)
古川から3分。漠然と上下の線路が行き交う駅を想像していたら、列車はおもむろに停車した。


ホームだけが脇にあり、降りると簡素な待合室のみ。そこに電子案内版があり、兄の頼朝に追われて平泉を目指した義経を、藤原秀衡が温かく迎え入れた情景を再現する「源義経公東下り行列」に関するテロップが流れていた。


100メートルほど離れた街道をタンクローリーが行き、周辺を埋める田畑は一面の土色。雨足が増している。
雨は東京よりも先に落ちてきたのか。あるいは雨雲の移動は早く、すでに東京は大雨か。
鳥たちのさえずりに注意を払うと、風が何かを起こそうとする音にも気づく。
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