*

「車旅日記」2005年春 初日(松本-富山)走行距離317㎞ その2-妙高高原駅、親不知駅、アパホテル富山駅前 【松本から富山へ。今にして思えば、なぜこの旅を思い立ったのか思い出せないのでございます。】

公開日: : 最終更新日:2025/05/24 旅話, 旅話 2005年

車旅日記2005年4月29日・・・妙高高原駅、親不知駅、アパホテル富山駅前

16:44 妙高高原駅(松本駅より156㎞)
このあたりには懐かしい場所が多い。
以前は車にスキー板を結わえつけて、よく来たものだ。

斑尾高原は深い霧の中だった。
去年の日勝峠ほどじゃないにしても、視界は完全に閉ざされ、かつて3日間滞在した場所は現世から消えていた。

霧の中の走行は続き、国道を無視した走行も続く。
突き当りは野尻湖。
その名はオレの中でも有名なものだったが、湖畔に辿り着いたのは初めてだ。

気温7度の世界は山の上から始まっていた。
久々に感じる寒さ。
日本海へはもう30数キロの距離。

雪国仕様の駅が坂の上から見えた。
妙高という優しげな地名はとても素敵だ。

駅前には土産物屋と蕎麦屋が軒を並べている。
車で立ち寄る者はよく見かけるが、たいていはオレのように便所を借りて去っていく。

冬山仕様のタクシーが横長の駅に沿って並ぶ。
ホテルの名が記された看板に、ホームの様子が覗ける僅かな隙間。
九州じゃ、こんな造りの駅には出会わなかった。

寒い土地に向かうのも久しぶり。
何だかいいな。
まだまだオレの行く道はたくさん残されている。

今オレは、昔きたことがあるような、初めての場所に立っている。

18:51 親不知駅(松本駅より248㎞)
大山塊が日本海へと落ち込む名勝親不知。
付近に見られる民家は僅かで、駅のホームから凪いだ日本海を見渡す。

ここは承久の乱の古戦場でもあり、悲しい伝説や海賊話の残る場所。
いつ来ても神秘的な場所だ。

18号国道を日本海へ。
北の大地にしかないと思っていた風景は越後平野でも見られた。
妙高、黒姫と雪をかぶった険しい山塊を左に、180度に広がる空の果てに地平線が見える。
日本最大の穀倉地帯の風景は遥かだ。

日本海に出ると心が静まった。
静かな海に物静かな沿岸の町並。

赤い夕陽が浮かんだのはどのあたりでのことだったのだろう。
日が暮れるまで走ろうと決めて、着いたのがこの駅。

雪解け水は瀬を造り、川に合流して濁流となり海を目指す。
海まで到達した川水が勢いよく沖合まで流れ出す様を見ていると、胸が熱くなった。
あれは紛れもなく生き物だ。
そしてどこか哀しい。
やがて海水に揉み消される存在であることをオレは知っているが、彼等はそうとは知らずに広い場所を目指して、山上からここまでやってくる。
川の流れは龍の化身ともいう。

8号国道を富山方面に向かうのは初めてだ。
オレにできることはまだまだたくさんある。
そしてオレがやりたかったこととは、こうして波の音を聞く静かな場所で物思いにふけること。
ほんの些細なことなんだ。

これからいよいよ難所越え。
天下の険、親不知とはここから始まる。

2014年3月23日撮影

21:16 富山駅(松本駅より317㎞)
駅ビルにいる。
富山はオレ好みの街。
市電が走っているとは知らなかった。
富山駅にはかつて2度寄ったことがあるはずだが、路面電車の記憶はない。

到着した時刻が夜遅かったため、営業を終えていたのかもしれないが、記憶とはいい加減なものだ。
その拙い記憶の中じゃ、富山はもっと小さな街だった。

印象的な建物がいくつかある。
ライトアップされた富山城、α1、全日空ホテルにテレビ塔。
遠くから街の場所がはっきりと分かった。

それにしても、なぜ記憶と現実の街がこうも違うのか。
あの頃は何が目的だったのか。
オレという男もだんだん変わっていったのだろう。
もちろんいい方向に。

駅前風景はオレには絶景だ。
車通りも路面電車の本数も21時過ぎの街に相応しい。

北陸の大都会の夜景を眺めている。

24:06 アパホテル富山駅前1107号室
信越北陸路は優しさに満ちて、まるで故郷のようだった。
思えば旅を始めた頃には一番遠い場所だった。
あの頃は北海道や九州にまで延びるようなもんじゃなかった。

一人で暮らすようになって視野は広がった。
この5月で、旅を始めてからちょうど10年になる。

富山まできて悲しい話なんかしないよ。
最近じゃ遠くにばかり行っていたから、今回の旅をそれらとどこか一線を置いて捉えていることに自身気づいていたが、辿ってきた道はもちろん旅先でしか出会えない顔を見せてくれる。

ここ北陸で、、、これまではまるで逃げるように先を急いでいたけど、今回はそうしなくていい。

ここ富山で、全日本プロレスは大きな試合を組んできた。
ジャイアント馬場×ブルーザー・ブロディのPWF選手権。
ジャイアント馬場、ジャンボ鶴田×タイガー・ジェット・シン、キラー・トーア・カマタのインタータッグ選手権。
ジャンボ鶴田、天龍源一郎×テリー・ゴディ、マイケル・ヘイズ(ザ・ファビュラス・フリーバーズ)のインタータッグ選手権。
長州力、谷津喜章×ザ・ファンクスのインタータッグ選手権。
三沢光晴×スタン・ハンセン、川田利明×田上明のチャンピオン・カーニバル公式戦・・・。
最近じゃそんな興行も打たれていない。

九州や北海道でもそんな過去を持つ町を見てきたが、富山は廃れてなどはいない。
遅い時間まで路面電車が走る街並には格があった。

駅ビルでの記憶に満足して県庁前公園からNHK、城址通りと歩く。

繁華街での客引きは越中美人ではなく、外国人だった。
外国娘は今じゃどこの街にもいる。
ある意味この国の国際化を認識した。

そして黄金通りを歩き、このホテルへ。
県内を隈なく走る私鉄の名称が富山地方鉄道という、まさにローカルなもので泣かせる。

さっき駅で記したんだ。
富山には実力があると。

真下には線路が敷かれている。
列車が通るたびに腰を上げてその姿を見に行く。
同じくそうして過ごした稚内はもう1年前。
この1年はとても早かったが、今日のオレが思い出していたのは10年以上前の話だ。

このあたりには歴史がある。
もちろん地域的なこともそうだが、オレが生きてきた中にも多く登場する。

明日の昼飯はタラ汁だよ。
美味い店を知っているんだ。
今夜はその店の前を一瞬のうちに通り過ぎてしまったが、明日は寄るだろ?

あの頃の理想がどのようなものだったのか覚えていないが、今のオレがその姿をしていないことも分かっているが、その間をしっかり生き続けて、こうして10年経って富山と再会できたことを喜ぼう。
だってそうじゃないか。
未知の世界とは何もないところから始まるわけじゃない。
昨日までは相変わらずの日々。
しかも周囲はだんだんくだらなくなっていっている。

ブルートレインが富山駅を離れた。
あの夜汽車は、どこで朝を迎えるのか。

そう言えば、札幌行の夜行列車にどこかで会ったな。

関連記事

「鉄旅日記」2013年春【青春18きっぷで、甲斐駿河途中下車旅】その2-源道寺、入山瀬、下部温泉、塩之沢、甲斐常葉、市川大門、甲府、新府、穴山、東山梨、東所沢(身延線、中央本線、武蔵野線)

鉄旅日記2013年3月3日その2・・・源道寺駅、入山瀬駅、下部温泉駅、塩之沢駅、甲斐常葉駅、市川大門

記事を読む

「鉄旅日記」2006年晩秋 初日-掛川、尾奈(東海道本線/天竜浜名湖鉄道)/リステル浜名湖 【浜名湖へ。そして飯田線に乗って、友に会いにいったのでございます。】

鉄旅日記2006年11月3日・・・掛川駅、尾奈駅(東海道本線/天竜浜名湖鉄道)/リステル浜名湖 2

記事を読む

「車旅日記」2005年冬 最終日(人吉-熊本空港)走行距離240㎞ その1-人吉駅、一勝地駅、球泉洞駅、佐敷駅、上田浦駅、千丁駅、有佐駅、道の駅不知火 【どこへ行こうか。まっさきに浮かんだのが、昨夏に旅した南九州でございました。】

車旅日記2005年2月13日・・・人吉駅、一勝地駅、球泉洞駅、佐敷駅、上田浦駅、千丁駅、有佐駅、道の

記事を読む

2018年初秋 最終日(桑名-東京)その2-大垣、名古屋、金城ふ頭、豊橋、磐田、焼津(東海道本線/名古屋臨海高速鉄道あおなみ線) 【JR東海&16私鉄乗り鉄☆たびきっぷ」でめぐる東海旅】

鉄旅日記2018年9月16日・・・大垣駅、名古屋駅、金城ふ頭駅、豊橋駅、磐田駅、焼津駅(東海道本線/

記事を読む

「鉄旅日記」2019年霜月 初日(東京-五所川原)その1‐金町、北千住、上野、宇都宮、黒磯、新白河(常磐線/東北本線) 【津軽鉄道、弘南鉄道に乗りにいきました。羽州街道を歩いた晩秋の旅でございます。】

鉄旅日記2019年11月2日・・・金町駅、北千住駅、上野駅、宇都宮駅、黒磯駅、新白河駅(常磐線/東北

記事を読む

「鉄旅日記」2019年弥生Part.1 最終日(紀伊田辺-東京)その2-吉野口、高田、畝傍、桜井、柳本(和歌山線/桜井線) 【和歌山電鐵に乗るために、青春18きっぷで紀伊半島一周を思い立ったのでございます。】

鉄旅日記2019年3月3日・・・吉野口駅、高田駅、畝傍駅、桜井駅、柳本駅(和歌山線/桜井線) 10

記事を読む

「鉄旅日記」2017年夏 3日目(姫路-十三)その2-新開地、湊川、鈴蘭台、三木上の丸、三木城址、三木、粟生、神鉄三田、ウッディタウン中央、横山、有馬口、有馬温泉、鵯越(神戸電鉄有馬線/粟生線/三田線/公園都市線) 【私鉄王国で過ごす夏】

鉄旅日記2017年8月13日・・・新開地駅、湊川駅、鈴蘭台駅、三木上の丸駅、三木駅、粟生駅、神鉄三田

記事を読む

「鉄旅日記」2019年長月 2日目(盛岡-宮古)その3-陸中野田、久慈、陸中八木、八戸(三陸鉄道リアス線/八戸線) 【三陸鉄道、八戸線に乗りにいきました。区界、吉里吉里など、駅旅の者として見過ごせない駅にも寄りましてございます。】

鉄旅日記2019年9月22日・・・陸中野田駅、久慈駅、陸中八木駅、八戸駅(三陸鉄道リアス線/八戸線)

記事を読む

「車旅日記」2005年春 最終日(富山-松本)走行距離218㎞ その1-アパホテル富山駅前、城川原駅、岩瀬浜駅、東富山駅、中滑川駅、滑川駅、魚津駅、石田駅、電鉄黒部駅、入善駅【松本から富山へ。今にして思えば、なぜこの旅を思い立ったのか思い出せないのでございます。】

車旅日記2005年4月30日・・・アパホテル富山駅前、城川原駅、岩瀬浜駅、東富山駅、中滑川駅、滑川駅

記事を読む

「鉄旅日記」2023年新春 初日(東京-泉佐野)その1 ‐金町、東京、三島、沼津(常磐線/東海道本線)【南海各支線、水間鉄道、阪堺電気軌道、泉北高速鉄道、信楽高原鉄道、、、関西乗り鉄旅でございます。】

鉄旅日記2023年1月7日・・・金町駅、東京駅、三島駅、沼津駅(常磐線/東海道本線) 202

記事を読む

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

「鉄旅日記」2023年新春 2日目(泉佐野-彦根)その2 ‐貝塚、住吉大社、粉浜、岸里玉出、汐見橋、桜川(南海本線/南海高野線)【南海各支線、水間鉄道、阪堺電気軌道、泉北高速鉄道、信楽高原鉄道、、、関西乗り鉄旅でございます。】

鉄旅日記2023年1月8日・・・貝塚駅、住吉大社駅、粉浜駅、岸里玉出

「鉄旅日記」2023年新春 2日目(泉佐野-彦根)その1 ‐泉佐野、貝塚、水間観音(南海本線/水間鉄道)【南海各支線、水間鉄道、阪堺電気軌道、泉北高速鉄道、信楽高原鉄道、、、関西乗り鉄旅でございます。】

鉄旅日記2023年1月8日・・・泉佐野駅、貝塚駅、水間観音駅(南海本

「鉄旅日記」2023年新春 初日(東京-泉佐野)その4 ‐加太、和歌山市、泉佐野(南海加太線/南海本線)【南海各支線、水間鉄道、阪堺電気軌道、泉北高速鉄道、信楽高原鉄道、、、関西乗り鉄旅でございます。】

鉄旅日記2023年1月7日・・・加太駅、和歌山市駅、泉佐野駅(南海加

「鉄旅日記」2023年新春 初日(東京-泉佐野)その3 ‐みさき公園、多奈川、紀ノ川(南海本線/南海多奈川線)【南海各支線、水間鉄道、阪堺電気軌道、泉北高速鉄道、信楽高原鉄道、、、関西乗り鉄旅でございます。】

鉄旅日記2023年1月7日・・・みさき公園駅、多奈川駅、紀ノ川駅(南

「鉄旅日記」2023年新春 初日(東京-泉佐野)その2 ‐豊橋、大垣、大阪、新今宮(東海道本線/大阪環状線)【南海各支線、水間鉄道、阪堺電気軌道、泉北高速鉄道、信楽高原鉄道、、、関西乗り鉄旅でございます。】

鉄旅日記2023年1月7日・・・豊橋駅、大垣駅、大阪駅、新今宮駅(東

→もっと見る

    PAGE TOP ↑