*

「鉄旅日記」2012年春 その1-保谷、稲毛、都賀、四街道、久住、下総神崎、松岸、銚子(総武本線、成田線) 【青春18きっぷで、銚子へ、房総へ。】

公開日: : 最終更新日:2025/06/17 旅話, 旅話 2012年

鉄旅日記2012年3月12日その1・・・保谷駅、稲毛駅、都賀駅、四街道駅、久住駅、下総神崎駅、松岸駅、銚子駅(総武本線、成田線)

2012・3・12 4:21 保谷(ほうや)駅(西武池袋線 東京都)
雨上がりの濡れた路上に立つ。

街灯がどこか懐かしい気持ちにさせる。

保谷駅前でも普段じゃ気付かない灯をひとつ見つけたよ。

スナックからは歌声が漏れていた。

6:33 稲毛(いなげ)駅(総武本線 千葉県)
たくさんの荷物を車内に放り込み、蹴り込み、男が乗ってきた。
関西弁で独り言を捲くし立てるように呟く。
何者が乗ってきたのか?とジョン・レノン似の男が目を向ける。

千葉とはそういう地域か。
東京では見かけようのない胡散臭さだ。

今朝もまだたっぷりの冬。
風は冷たく、カラスにつつかれた角のゴミ袋が街を場末に変え、終夜営業の駅前ボーリングは閑散とし、発展が一段落した街という印象だけが残された。

駅から徒歩10分。
海岸は遠い。

7:10 都賀(つが)駅(総武本線/千葉都市モノレール 千葉県)
千葉を過ぎ、寒木の一帯を過ぎるとあたりは鄙びる。
電車が行ってしまうと静かなものだ。

千葉都市モノレールが通る町は一見都会風だが、駅前の風景を突っ切るとすぐに民家が現れ、タイ人の居留地かと思わせる一角に目を奪われる。

いつか房総で見た、乾いていてどことなく貧しく、純正日本とは違った民度が空気にも感じられた風景を思い出す。

朝日を浴びて真っ直ぐに延びていくモノレールの高架には美を感じた。

7:30 四街道(よつかいどう)駅(総武本線 千葉県)
Yさんはまだこの町に住んでいるのだろうか。

風がなくなると日差しに温かみを感じる町。
だけどやはり風が冷たい。

角に廃墟になったいくつもの料理屋が入っていたビルが見える。
去年の震災の影響によるものか、あるいはこの町が抱えた必然だったのか。

かつてのありふれた週末。
オレが子どもの頃にそうだったように、いくつもの幸せな家族が顔をほころばせながらこのビルを目指した様に思いを馳せた。

一見都会風の駅前は四街道でも同じだが、反対側には何もなかったよ。

8:27 久住(くずみ)駅(成田線 千葉県)
佐倉で乗り換え。

関東平野の小さな駅。
成田の次だが、あの参道の賑わいは遠く、商店のない駅前に簡易駅舎が寒風に吹かれていた。

線路に沿ってゴルフコースがあり、平らな大地に人の姿を見かけることはない。

8:47 下総神崎(しもうさこうざき)駅(成田線 千葉県)
駅前に大きな地図があった。
それとヤマザキのお店が一軒。
町のホールを兼ねた近代的な駅舎には鉄道員も詰めている。

神崎はこのあたりじゃ代表的な町なんだろう。

利根川の堤防が見えてきた。
そしてまた日本一の関東平野。

かつて恋人とも辿った道。
あの日にこの寒々とした景色を眺める彼女の表情を思い出したような気がしたよ。

10:04 松岸(まつぎし)駅(総武本線/成田線 千葉県)
千葉には雨の予報が出ていたな。
時折降り注ぐ日差しに一息つくがすぐに冷たい風が温もりを消してしまう。

上空にあるのは雨雲だ。
このままじゃどこかで粒となって落ちてくるだろう。

ヤマザキのお店で缶コーヒーとピザまん。
ここらじゃまだ駅のホームに灰皿が置かれている。

ワンコップ食堂に中華料理屋。
他に何もなく駅に引き返す。

平野に吹く風が電車内を冬に戻し終着の銚子へ。

利根川の対岸には、かつて友人が結婚式を挙げた鹿島のホテルと工場群が見えている。
郷愁を誘われたよ。

10:48 銚子(ちょうし)駅(総武本線/成田線/銚子電鉄 千葉県)
4度目の銚子。

寂れた様子はなく、むしろ前回よりも賑やかな印象を受ける。

大きな額がかかっていた駅舎内の広場はすでになく、改札口も含めて一新されたようだ。

銚子にはこんなにもホテルがあったんだな。
今まで気付いてなかったよ。

銚子大橋が見える場所まで歩く。
銚子に降りればいつもそうしていたはずだ。

風に当たる。
記憶も蘇る。
また銚子電鉄にも乗りたいな。

今はひとりで暮らす身ではないが、こうしてまたひとり。


関連記事

「車旅日記」1996年黄金週間【友を訪ねて大阪へ。そして約束の地、金沢へ。夢を見ながら国道を走った日々でございます。】2日目-友人夫婦と過ごした一日

車旅日記1996年5月4日 1996年5月4日の記憶 一夜明けた。 友人夫婦はそこでしっかりと生

記事を読む

「車旅日記」2004年夏 最終日(長崎-福岡空港)走行距離291㎞その1-長崎ニューポート、島原駅、沖田畷古戦場(龍造寺隆信戦死の地)、大村駅、千綿駅、高橋駅 【九州を一周してみよう。そう思いたった、真夏の日々でございます。】

車旅日記2004年8月15日・・・長崎ニューポート、島原駅、沖田畷古戦場(龍造寺隆信戦死の地)、大村

記事を読む

「鉄旅日記」2020年卯月 初日(東京-新津)その4‐置賜、高畠、米沢(奥羽本線) 【緊急事態宣言発令直前のことでございます。常磐線全線運転再開を祝して人知れず旅に出たのでございます。】

鉄旅日記2020年4月4日・・・置賜駅、高畠駅、米沢駅(奥羽本線) 15:32 置賜(

記事を読む

「鉄旅日記」2017年春 最終日(JR難波-東京)その2-大曽根、勝川、春日井、中津川、上松、原野、広丘、みどり湖、相模湖、豊田(中央本線/篠ノ井線)【近鉄に乗る日々】

鉄旅日記2017年3月20日・・・大曽根駅、勝川駅、春日井駅、中津川駅、上松駅、原野駅、広丘駅、みど

記事を読む

「鉄旅日記」2020年盛夏 3日目(肥前鹿島-門司港)その2‐諫早、古部、島原港、島原船津、島原(島原鉄道) 【コロナ禍の内緒旅VOl.2。宮島へ。錦帯橋へ。筑豊へ。島原へ。千綿駅へ。そして若松~戸畑の渡船。日本晴れの4日間の記録でございます。】

鉄旅日記2020年8月15日・・・諫早駅、古部駅、島原港駅、島原船津駅、島原駅(島原鉄道)

記事を読む

「鉄旅日記」2016年夏 初日(東京-弘前)-福島、仙台、北山形、新庄、秋田、井川さくら、大館、弘前(東北本線/仙山線/奥羽本線) 【じきに廃線を迎える留萌~増毛に用がありました】

鉄旅日記2016年8月10日・・・福島駅、仙台駅、北山形駅、新庄駅、秋田駅、井川さくら駅、大館駅、弘

記事を読む

「鉄旅日記」2020年盛夏 3日目(肥前鹿島-門司港)その3‐諫早、松原、千綿(大村線) 【コロナ禍の内緒旅VOl.2。宮島へ。錦帯橋へ。筑豊へ。島原へ。千綿駅へ。そして若松~戸畑の渡船。日本晴れの4日間の記録でございます。】

鉄旅日記2020年8月15日・・・諫早駅、松原駅、千綿駅(大村線) 11:37 

記事を読む

「鉄旅日記」2009年秋 最終日(新庄-東京)その2-女川、渡波、松島海岸、本塩釜、仙台、駒ヶ嶺、原ノ町、桃内、いわき、石岡(石巻線/仙石線/常磐線) 【女川を目指した旅。ここには震災前の女川の姿が残されております。】

鉄旅日記2009年10月11日・・・女川駅、渡波駅、松島海岸駅、本塩釜駅、仙台駅、駒ヶ嶺駅、原ノ町駅

記事を読む

「鉄旅日記」2015年夏 2日目(新南陽-鹿児島中央)その3-宇土、松橋、八代、出水、牛ノ浜、草道、鹿児島中央(鹿児島本線/肥薩おれんじ鉄道) 【日本最南端の終着駅、枕崎までの往復旅】

鉄旅日記2015年8月13日その3・・・宇土駅、松橋駅、八代駅、出水駅、牛ノ浜駅、草道駅、鹿児島中央

記事を読む

「鉄旅日記」2019年師走 最終日(酒田-東京)その1‐酒田、象潟、砂越(羽越本線) 【由利高原鉄道鳥海山ろく線に乗りにいきました。初冬の日本海は荒々しく、美しゅうございました。】

鉄旅日記2019年12月8日・・・酒田駅、象潟駅、砂越駅(羽越本線) 2019・12・8 5:34

記事を読む

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

「鉄旅日記」2022年皐月 初日(東京-磐梯熱海)その1 ‐金町、上野、宇都宮(常磐線/東北本線) 【日光線全駅乗降を果たし、猪苗代湖畔に遊び、磐梯熱海の湯につかり、国定忠治を訪ねた旅でございます。】

鉄旅日記2022年5月7日・・・金町駅、上野駅、宇都宮駅(常磐線/東

「鉄旅日記」2022年弥生vol.2 最終日(静岡-東京)その5 ‐東浦和、東川口、吉川、吉川美南、南流山(武蔵野線) 【念願の大井川鐡道に乗る旅。帰りは身延線経由、武蔵野線全駅下車達成でございます。】/江戸川堤菜の花絶景

2022年3月21日・・・東浦和駅、東川口駅、吉川駅、吉川美南駅、南

「鉄旅日記」2022年弥生vol.2 最終日(静岡-東京)その4 ‐西国分寺、北府中、新小平、青梅街道、北朝霞、朝霞台(武蔵野線) 【念願の大井川鐡道に乗る旅。帰りは身延線経由、武蔵野線全駅下車達成でございます。】

鉄旅日記2022年3月21日・・・西国分寺駅、北府中駅、新小平駅、青

「鉄旅日記」2022年弥生vol.2 最終日(静岡-東京)その3 ‐南甲府、金手、甲府、八王子、京王八王子(身延線/中央本線)/甲府城跡 【念願の大井川鐡道に乗る旅。帰りは身延線経由、武蔵野線全駅下車達成でございます。】

鉄旅日記2022年3月21日・・・南甲府駅、金手駅、甲府駅、八王子駅

「鉄旅日記」2022年弥生vol.2 最終日(静岡-東京)その2 ‐十島、鰍沢口、甲斐住吉、国母、常永(身延線) 【念願の大井川鐡道に乗る旅。帰りは身延線経由、武蔵野線全駅下車達成でございます。】

鉄旅日記2022年3月21日・・・十島駅、鰍沢口駅、甲斐住吉駅、国母

→もっと見る

    PAGE TOP ↑