「鉄旅日記」2012年春 その1-保谷、稲毛、都賀、四街道、久住、下総神崎、松岸、銚子(総武本線、成田線) 【青春18きっぷで、銚子へ、房総へ。】
鉄旅日記2012年3月12日その1・・・保谷駅、稲毛駅、都賀駅、四街道駅、久住駅、下総神崎駅、松岸駅、銚子駅(総武本線、成田線)
2012・3・12 4:21 保谷(ほうや)駅(西武池袋線 東京都)
雨上がりの濡れた路上に立つ。
街灯がどこか懐かしい気持ちにさせる。
保谷駅前でも普段じゃ気付かない灯をひとつ見つけたよ。
スナックからは歌声が漏れていた。
6:33 稲毛(いなげ)駅(総武本線 千葉県)
たくさんの荷物を車内に放り込み、蹴り込み、男が乗ってきた。
関西弁で独り言を捲くし立てるように呟く。
何者が乗ってきたのか?とジョン・レノン似の男が目を向ける。
千葉とはそういう地域か。
東京では見かけようのない胡散臭さだ。
今朝もまだたっぷりの冬。
風は冷たく、カラスにつつかれた角のゴミ袋が街を場末に変え、終夜営業の駅前ボーリングは閑散とし、発展が一段落した街という印象だけが残された。
駅から徒歩10分。
海岸は遠い。

7:10 都賀(つが)駅(総武本線/千葉都市モノレール 千葉県)
千葉を過ぎ、寒木の一帯を過ぎるとあたりは鄙びる。
電車が行ってしまうと静かなものだ。
千葉都市モノレールが通る町は一見都会風だが、駅前の風景を突っ切るとすぐに民家が現れ、タイ人の居留地かと思わせる一角に目を奪われる。
いつか房総で見た、乾いていてどことなく貧しく、純正日本とは違った民度が空気にも感じられた風景を思い出す。
朝日を浴びて真っ直ぐに延びていくモノレールの高架には美を感じた。

7:30 四街道(よつかいどう)駅(総武本線 千葉県)
Yさんはまだこの町に住んでいるのだろうか。
風がなくなると日差しに温かみを感じる町。
だけどやはり風が冷たい。
角に廃墟になったいくつもの料理屋が入っていたビルが見える。
去年の震災の影響によるものか、あるいはこの町が抱えた必然だったのか。
かつてのありふれた週末。
オレが子どもの頃にそうだったように、いくつもの幸せな家族が顔をほころばせながらこのビルを目指した様に思いを馳せた。
一見都会風の駅前は四街道でも同じだが、反対側には何もなかったよ。

8:27 久住(くずみ)駅(成田線 千葉県)
佐倉で乗り換え。
関東平野の小さな駅。
成田の次だが、あの参道の賑わいは遠く、商店のない駅前に簡易駅舎が寒風に吹かれていた。
線路に沿ってゴルフコースがあり、平らな大地に人の姿を見かけることはない。

8:47 下総神崎(しもうさこうざき)駅(成田線 千葉県)
駅前に大きな地図があった。
それとヤマザキのお店が一軒。
町のホールを兼ねた近代的な駅舎には鉄道員も詰めている。
神崎はこのあたりじゃ代表的な町なんだろう。
利根川の堤防が見えてきた。
そしてまた日本一の関東平野。
かつて恋人とも辿った道。
あの日にこの寒々とした景色を眺める彼女の表情を思い出したような気がしたよ。

10:04 松岸(まつぎし)駅(総武本線/成田線 千葉県)
千葉には雨の予報が出ていたな。
時折降り注ぐ日差しに一息つくがすぐに冷たい風が温もりを消してしまう。
上空にあるのは雨雲だ。
このままじゃどこかで粒となって落ちてくるだろう。
ヤマザキのお店で缶コーヒーとピザまん。
ここらじゃまだ駅のホームに灰皿が置かれている。
ワンコップ食堂に中華料理屋。
他に何もなく駅に引き返す。
平野に吹く風が電車内を冬に戻し終着の銚子へ。
利根川の対岸には、かつて友人が結婚式を挙げた鹿島のホテルと工場群が見えている。
郷愁を誘われたよ。

10:48 銚子(ちょうし)駅(総武本線/成田線/銚子電鉄 千葉県)
4度目の銚子。
寂れた様子はなく、むしろ前回よりも賑やかな印象を受ける。
大きな額がかかっていた駅舎内の広場はすでになく、改札口も含めて一新されたようだ。
銚子にはこんなにもホテルがあったんだな。
今まで気付いてなかったよ。
銚子大橋が見える場所まで歩く。
銚子に降りればいつもそうしていたはずだ。
風に当たる。
記憶も蘇る。
また銚子電鉄にも乗りたいな。
今はひとりで暮らす身ではないが、こうしてまたひとり。



関連記事
-
-
「鉄旅日記」2014年冬 初日(東京-鬼怒川温泉)-下今市、新藤原、川治湯元、川治温泉、湯西川温泉、龍王峡、鬼怒川公園、新高徳、鬼怒川温泉(東武鬼怒川線/野岩鉄道) 【まるごと日光・鬼怒川 東武フリーパスで、野州旅】
鉄旅日記2014年12月6日・・・下今市駅、新藤原駅、川治湯元駅、川治温泉駅、湯西川温泉駅、龍王峡駅
-
-
「鉄旅日記」2016年春 最終日(水沢-東京)その2-気仙沼、一ノ関、小牛田、大河原、福島、安積永盛、久喜(大船渡線、東北本線) 【東日本大震災被災地へ】
鉄旅日記2016年3月6日その2・・・気仙沼駅、一ノ関駅、小牛田駅、大河原駅、福島駅、安積永盛駅、久
-
-
「鉄旅日記」2013年如月【休日おでかけパスで、上総下総途中下車旅&習志野シンフォニックブラス(NSB)演奏会】その1-我孫子、東我孫子、新木、湖北、布佐、小林、木下、安食、下総松崎、成田空港、酒々井、物井、東千葉、本千葉、西千葉、新検見川、幕張、東船橋、津田沼(成田線、総武本線)
鉄旅日記2013年2月17日その1・・・我孫子駅、東我孫子駅、新木駅、湖北駅、布佐駅、小林駅、木下駅
-
-
「鉄旅日記」2015年夏 2日目(新南陽-鹿児島中央)その1-新南陽、新山口、阿知須、宇部新川、小野田港、下関、八幡、陣原(山陽本線/宇部線/小野田線/鹿児島本線) 【日本最南端の終着駅、枕崎までの往復旅】
鉄旅日記2015年8月13日その1・・・新南陽駅、新山口駅、阿知須駅、宇部新川駅、小野田港駅、下関駅
-
-
「鉄旅日記」2019年年始 最終日(一ノ関-東京)その2-本吉、柳津、前谷地、石巻、宮城野原、仙台空港(気仙沼線/石巻線/仙石線/仙台空港鉄道仙台空港線) 【雪が見たくて北へ向かいました。そして初めて仙台空港線に乗ったのでございます。】
鉄旅日記2019年1月6日・・・本吉駅、柳津駅、前谷地駅、石巻駅、宮城野原駅、仙台空港駅(気仙沼線/
-
-
「鉄旅日記」2019年霜月 最終日(北上-東京)その4‐米沢、福島、上野(奥羽本線/東北新幹線) 【津軽鉄道、弘南鉄道に乗りにいきました。羽州街道を歩いた晩秋の旅でございます。】
鉄旅日記2019年11月4日・・・米沢駅、福島駅、上野駅(奥羽本線/東北新幹線) 17:38 米沢
-
-
「鉄旅日記」2006年如月 初日-佐倉、成東、大網、上総一ノ宮、上総興津、安房鴨川、館山、安房勝山(常磐線/成田線/総武本線/東金線/外房線/内房線) 【鉄道旅に目覚め、1泊2日で房総半島にまいりました。】
鉄旅日記2006年2月4日・・・佐倉駅、成東駅、大網駅、上総一ノ宮駅、上総興津駅、安房鴨川駅、館山駅
-
-
「鉄旅日記」2020年晩秋 初日(東京-砺波)その3 ‐氷見、雨晴、越中国分、伏木、中伏木(氷見線/万葉線)/義経岩/伏木神社 【大人の休日倶楽部パスで北陸へ。新幹線、在来線特急乗り放題でございます。魚津、雨晴をめぐり、氷見線、万葉線、城端線、七尾線、えちぜん鉄道、福武線、北陸鉄道との再会でございます。】
鉄旅日記2020年11月21日・・・氷見駅、雨晴駅、越中国分駅、伏木駅、中伏木駅(氷見線/万葉線)
-
-
「鉄旅日記」2020年睦月 最終日(鷹ノ巣-東京)その4‐中条、新発田、新津、長岡(羽越本線/信越本線) 【秋田内陸縦貫鉄道に乗りにいきました。五能線の名所も歩いた旅初めでございます。】
鉄旅日記2020年1月13日・・・中条駅、新発田駅、新津駅、長岡駅(羽越本線/信越本線) 17:3
-
-
「鉄旅日記」2020年盛夏 3日目(肥前鹿島-門司港)その5‐肥前山口、久保田、西唐津、博多、門司港(佐世保線/唐津線/筑肥線/福岡市地下鉄空港線/鹿児島本線) 【コロナ禍の内緒旅VOl.2。宮島へ。錦帯橋へ。筑豊へ。島原へ。千綿駅へ。そして若松~戸畑の渡船。日本晴れの4日間の記録でございます。】
鉄旅日記2020年8月15日・・・肥前山口駅、久保田駅、西唐津駅、博多駅、門司港駅(佐世保線/唐津
