*

「鉄旅日記」2014年春【青春18きっぷで、紀伊半島へ】最終日(紀伊勝浦-東京)その1-紀伊勝浦、太地、湯川、那智、三輪崎、新宮、丹鶴城公園、鵜殿(紀勢本線)

公開日: : 最終更新日:2023/06/24 旅話, 旅話 2014年

鉄旅日記2014年3月9日その1・・・紀伊勝浦駅、太地駅、湯川駅、那智駅、三輪崎駅、新宮駅、鵜殿駅(紀勢本線)
2014・3・9 7:12 紀伊勝浦(きいかつうら)駅(紀勢本線 和歌山県)
旅館のおかみさんはとても美人でやわらかい和歌山弁を話す。
バレーボール全日本代表の中に彼女に似た美人がいるが名を思い出せない。

港では松島巡りを売り、マグロとクジラ料理を推奨している。
朝の早い喫茶店は、確か昨夜暗くなっても営業していた。

黒潮の町を出る一番列車は都会からすれば遅く、旅先のオレにしてはのんびりとした朝を迎えた。
朝の寒さは東京と変わらない。

駅から港へと向かう道は昨夜も何度も通り、今朝もまた。
港の風景とあわせて、おそらくオレなら見飽きることはないだろう。

那智本宮、熊野古道、那智の滝。
ゆっくりと旅ができる地点まで人生を進められたら、また来よう。




7:31 太地(たいじ)駅(紀勢本線 和歌山県)
串本方面に2駅。
クジラ漁で世界的に悪名が轟いたのが太地湾。
その太地の風景を見ておきたかった。

上りの列車はたいして時間を置かずにくるから、すぐに引き返すことになる。
駅は少し奥まった場所にあり、高台のホームから現場は見えなかった。

漁師は何も悪いことをしているわけじゃない。
昔からの営みを守っているに過ぎない。
そんな暮らしに外野から非難が起こる。
やりきれない思いでおられることだろう。

生きていくことの意味を考えのるには、ここはいい場所なのかもしれない。

湯川(ゆかわ)駅(紀勢本線 和歌山県)
紀伊勝浦方面に戻り、ひと駅目。

かつて駅前の駐車場に車を止めて、駅のホームへと駆け上がり眺めた湯川湾。

外洋に口を開けた美しい景色が、そこにあった。

8:16 那智(なち)駅(紀勢本線 和歌山県)
渡海上人舟出の浜で日を浴びる。

駅から海辺はすぐの距離にある。
駅前には補陀洛山寺が鎮座している。
古歌に詠まれた「渚の森」だという。

「近畿の駅百選」に選ばれた那智駅は、道の駅に隣接している。特に目につくものはない。
寂れた現代風景と輝かしい世界遺産。
皮肉にも見えるが、ここは古の道の入口にあたる。
そんな場所の現代風景として、この駅前は違和感を持たない。

平家ゆかり地でもあり、平時子、平維盛の慰霊碑が近くにあるという。
しかし肌寒い。
ビールは余計だった。

8:41 三輪崎(みわざき)駅(紀勢本線 和歌山県)
数分の停車。

神話の浜に冷たい風が吹く。
南海人の会話はラジオを聞くより面白い。

神武東征上陸地の看板が見えた。
神話の頃、現在オレが暮らすあたりは蛮族の巣だったわけだ。

新宮へとつながる開けた砂浜が美しい。
那智の砂浜もまた白かった。

新宮(しんぐう)駅(紀勢本線 和歌山県)にて

9:19 丹鶴城公園(たんかくじょうこうえん)
乗ってきた列車は新宮止まり。
街に下りる。
次の上り列車が来るまで3時間近く待たなければならない。

新宮の街をぶらぶらしながら時間を潰そうと思っていたけど、計画変更。
かつて42号国道から眺めた風景を頼りに、ひと駅歩いて県境を越えようとしている。
手始めに百貨店やスーパーが並ぶ一帯を抜けてここ新宮城跡に登り、新宮市内を一望に収めた。

古い時代、このあたりがどういう経緯で神域になったのかよくは知らない。
どれくらい昔の話なのかも知らない。
新宮駅前に公園として整備されている徐福さんの話もそうだ。

でもこうして外洋に開かれた街を眺めると、様々なことがあったのだろうという想像はつく。
海洋民族でもあった日本人。
南海道の知らざる歴史に思いを馳せる。


新宮~鵜殿間(徒歩)


10:47 鵜殿(うどの)駅(紀勢本線 三重県)
ジャズの名演奏が流れていた新宮の「仲の町」。

熊野速玉大社に立ち寄り、熊野川を渡る。

新宮の街中が幻かと思えるほど歩き、渡った先の三重県紀宝町には穏やかな春の日差しが満ち、冷たかった北風は心地いいものに変わった。
雲雀の声が聞こえる春先の南紀を満喫している。

北越紀州製紙の工場へとつながる引込み線が敷かれた寂れた駅にいる。
しかし駅前は42号国道(熊野街道)に沿ってなかなか賑やかだ。
ホテル、各種飲食店にギターショップまである。

コンビニの若い女性は、都会的な可愛らしさとよそよそしさでオレにビールを売った。
近くでビートたけしさんによく似たじいさんを見かけた。

それにしても、なかなか堪える徒歩行だった。

関連記事

「鉄旅日記」2007年如月【初日天王寺、2日目奈良。宿泊地だけを決めて、心のままに移動した記録でございます。】初日(東京-天王寺)-東京、名古屋、大垣、米原、草津、柘植、京都、木津、京橋、天王寺(東海道新幹線/東海道本線/草津線/奈良線/学研都市線/大阪環状線)

鉄旅日記2007年2月10日・・・東京駅、名古屋駅、大垣駅、米原駅、草津駅、柘植駅、京都駅、木津駅、

記事を読む

「鉄旅日記」2013年如月【休日おでかけパスで、上総下総途中下車旅&習志野シンフォニックブラス(NSB)演奏会】その1-我孫子、東我孫子、新木、湖北、布佐、小林、木下、安食、下総松崎、成田空港、酒々井、物井、東千葉、本千葉、西千葉、新検見川、幕張、東船橋、津田沼(成田線、総武本線)

鉄旅日記2013年2月17日その1・・・我孫子駅、東我孫子駅、新木駅、湖北駅、布佐駅、小林駅、木下駅

記事を読む

「鉄旅日記」2018年エイプリルフール【8年振りに金町に帰ってまいりました。青春18きっぷはまだ3日分残っております。呼んでくれたのは会津でございました。】その1-金町、上野、鹿沼、日光、東武日光、宇都宮、野崎(常磐線/東北本線/日光線)

鉄旅日記2018年4月1日・・・金町駅、上野駅、鹿沼駅、日光駅、東武日光駅、宇都宮駅、野崎駅(常磐線

記事を読む

「鉄旅日記」2016年夏【じきに廃線を迎える留萌~増毛に用がありました】4日目(富良野-大館)その1-富良野、滝川、岩見沢、白石、新札幌、北広島、恵庭、千歳、新千歳空港(根室本線/函館本線/千歳線/石勝線)

鉄旅日記2016年8月13日・・・富良野駅、滝川駅、岩見沢駅、白石駅、新札幌駅、北広島駅、恵庭駅、千

記事を読む

「鉄旅日記」2012年春【青春18きっぷで、相模・駿河・甲斐途中下車旅】その2-富士宮、身延、鰍沢口、市川大門、南甲府、石和温泉、山梨市、塩山、甲斐大和、四方津、梁川、上野原、国分寺、武蔵境(身延線、中央本線)

鉄旅日記2012年3月20日その2・・・富士宮駅、身延駅、鰍沢口駅、市川大門駅、南甲府駅、石和温泉駅

記事を読む

「鉄旅日記」2007年新春【本格的に鉄旅が始まりまして、まずは冬の北陸を目指したのでございます。】2日目(高岡-金沢)-高岡駅前、越ノ潟、高岡、氷見、高岡、城端、金沢(万葉線/氷見線/城端線/北陸本線)

鉄旅日記2007年1月7日・・・高岡駅前駅、越ノ潟駅、高岡駅、氷見駅、高岡駅、城端駅、金沢駅(万葉線

記事を読む

「鉄旅日記」2019年師走【由利高原鉄道鳥海山ろく線に乗りにいきました。初冬の日本海は荒々しく、美しゅうございました。】最終日(酒田-東京)その1‐酒田、象潟、砂越(羽越本線)

鉄旅日記2019年12月8日・・・酒田駅、象潟駅、砂越駅(羽越本線) 2019・12・8 5:34

記事を読む

「車旅日記」2006年皐月【東京から出かける最後の車旅。関東、東北を2,265㎞走った記録でございます。】2日目(黒磯-郡山-いわき-仙台)その2-末続駅、双葉駅、原ノ町駅、相馬駅、亘理駅、岩沼駅、名取駅、ホテルイーストワン仙台

車旅日記2006年5月3日 13:26 末続駅(403㎞) 国道から見えたんだ。 こんな素

記事を読む

「鉄旅日記」2009年秋【遅い夏休みをとり、長崎までの切符を買いました。】初日(東京-新山口)その1-金町、北千住、東京、岡山、笠岡、尾道、糸崎、入野(常磐線/山手線/東海道山陽新幹線/山陽本線)

鉄旅日記2009年9月18日・・・金町駅、北千住駅、東京駅、岡山駅、笠岡駅、尾道駅、糸崎駅、入野駅(

記事を読む

「鉄旅日記」2012年春【青春18きっぷで、鶴見線・伊豆・駿河途中下車旅】その2-新清水、静岡、草薙、興津、裾野、御殿場、駿河小山、国府津、逗子、横須賀、田浦、新川崎(東海道本線、静岡鉄道、御殿場線、横須賀線)

鉄旅日記2012年4月8日その2・・・新清水駅、静岡駅、草薙駅、興津駅、裾野駅、御殿場駅、駿河小山駅

記事を読む

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

「鉄旅日記」2020年卯月【緊急事態宣言発令直前のことでございます。常磐線全線運転再開を祝して人知れず旅に出たのでございます。】初日(東京-新津)その1‐松戸、土浦、友部(常磐線)

鉄旅日記2020年4月4日・・・松戸駅、土浦駅、友部駅(常磐線) 20

「鉄旅日記」2020年弥生【富山地方鉄道に乗りにまいりました。太多線、高山本線に乗るのも楽しみにしていたのでございます。】最終日(速星-東京)その4‐藤枝、静岡、熱海、上野、北千住(東海道本線/常磐線)

鉄旅日記2020年3月22日・・・藤枝駅、静岡駅、熱海駅、上野駅、北千

「鉄旅日記」2020年弥生【富山地方鉄道に乗りにまいりました。太多線、高山本線に乗るのも楽しみにしていたのでございます。】最終日(速星-東京)その3‐多治見、金山、豊橋、御厨(太多線/中央本線/東海道本線)

鉄旅日記2020年3月22日・・・多治見駅、金山駅、豊橋駅、御厨駅(太

「鉄旅日記」2020年弥生【富山地方鉄道に乗りにまいりました。太多線、高山本線に乗るのも楽しみにしていたのでございます。】最終日(速星-東京)その2‐猪谷、高山、久々野、古井、美濃川合(高山本線/太多線)

鉄旅日記2020年3月22日・・・猪谷駅、高山駅、久々野駅、古井駅、美

「鉄旅日記」2020年弥生【富山地方鉄道に乗りにまいりました。太多線、高山本線に乗るのも楽しみにしていたのでございます。】最終日(速星-東京)その1‐速星、越中八尾、楡原(高山本線)

鉄旅日記2020年3月22日・・・速星駅、越中八尾駅、楡原駅(高山本線

→もっと見る

    PAGE TOP ↑