「鉄旅日記」2020年盛夏【コロナ禍の内緒旅VOl.2。宮島へ。錦帯橋へ。筑豊へ。島原へ。千綿駅へ。そして若松~戸畑の渡船。日本晴れの4日間の記録でございます。】最終日(門司港-東京)その3‐宇部、富海、福川、戸田(山陽本線)
鉄旅日記2020年8月16日・・・宇部駅、富海駅、福川駅、戸田駅(山陽本線)
8:57 宇部(うべ)駅(山陽本線/宇部線 山口県)
5分の停車。何を思うでもなくぶらぶらとホームに降りる。

この街に暮らす友人がいるため、宇部には少なからず縁がある。彼の奥さんの導きで恋もした。
去年彼の出張による上京に合わせて浅草で会っている。ちゃんこ鍋、美味かったよな。
互いに何でも言い合える仲を築けた。そんな二人だが、2度とは会えないかもしれないと互いに覚悟をした。東京と宇部とはそれほどの距離がある。
彼の上京の機会はそれなりにあるが、いつも会えるわけじゃない。オレもこうして何度も宇部を通りすぎる。
共に他に大切なものがあるからすれ違う。それでいいのだと、次に会うことがあれば酒を酌み交わす。
10:05 富海(とのみ)駅(山陽本線 山口県)
今日も雲ひとつない夏空。彼岸を過ぎたが、この暑さは永遠を思わせる。
3日前に泊まった防府からひと駅。このあたりは車窓からの眺めが素晴らしく、山陽本線でも屈指の区間とも言える。
この駅に降りてみたかった。今日も広島から先は新幹線を利用するため、遠く山口県でこうしたゆとりを得た。

古い駅舎は旅情に満ちて、夏をも引き立てる。

駅から約200メートルの富海海岸へ。海の家はどこも閉鎖していて、人の姿はないのかと思いきや、波と戯れる慎ましやかとも言える歓声が上がっている。

山陽本線に沿った防潮堤は白く、青と緑の自然美。生を終えた蝉の姿もよく見かけるが、今が盛りと鳴く声も賑やか。


海に手をかざしてスサノオとアマテラスに恵みを求めると沖から涼しい風が吹いてくる。そんなことを何度か繰り返しながら太平洋と戯れた。
沖に島陰は見えないが、そうかここはもう瀬戸内じゃない。
駅の壁面に描かれた富海を表現するイラストが涼やかで好ましい。




オレの夏休みも今日が最後。こんなにも夏空に恵まれる日々も、そうは経験していない。
10:30 福川(ふくがわ)駅(山陽本線 山口県)
富海から2駅。10:27着。涼しげな駅前通りが中国山地へと伸びていく。
かつての本陣が置かれた町ということもあり、駅前風景にはほんのりとした賑やかさがある。角の料理屋もそんな町に趣を提供している。

あぁ素晴らしい駅舎だ。旅先にいる実感が湧く。

待合室に待ち人がいる。5分後に下り列車がやってくる。ひと駅戻る。
10:58 戸田(へた)駅(山陽本線 山口県)
ここにも古い駅舎が残っている。時代を経たグレーの跨線橋が夏空の下で駅という存在の重みを表現している。


徒歩5分のコンビニまで夏に焼かれた埃っぽい道を歩く。
ここも2号国道。かつてこの道を尾道へと車を走らせた。この駅前も通っていたのだと思うと見覚えがありそうに思えてくる。
湯野温泉の看板など、尚更そんな気にさせる。

古風で涼やかな改札の先には美しい夏景色。

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