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「鉄旅日記」2012年夏【青春18きっぷで、みちのくひとり旅】最終日(羽後本荘-東京)-羽後本荘、古口、袖崎、天童、漆山、かみのやま温泉、山形、左沢、寒河江、長町、太子堂、南仙台、名取、館腰、船岡(羽越本線、陸羽西線、山形線、左沢線、東北本線)

公開日: : 最終更新日:2020/08/22 旅話 2012年

鉄旅日記2012年8月15日
2012・8・15 6:31 羽後本荘(うごほんじょう)駅(羽越本線/由利高原鉄道 秋田県)
昨夜、星がきれいだったことを覚えていたい。

刈和野でも何度か見上げてみた。
でも刈和野での記述からは漏れていた。
仕方のないことなんだ。
ありのままを記すとはそういうことを指す。

駅前ホテルに投宿して街へ出た。
話を聞いてローソンへ。
営業している居酒屋はちらほら見かけたけど、魚民、白木屋、いろはにほへとといった外来勢が中央通りを占拠して明かりを放ち、地元勢は点在する格好で、繁華街として一際明るい一角が形成されることもなく、お盆を沈黙でもって迎えていた。

だから空を見たんだよ。

本荘も城下町。
江戸時代全国に300藩だったかの国があった中のひとつだが、殿様の末裔は今も街にいるのだろうか。

本荘公園に行ってみたかったが、この旅程じゃムリだった。

今日も上天気で日本海は美しい。
この旅で見かけた顔、空と海がこの車両にふたつともある。
象潟で美味いコーヒーを淹れている駅前喫茶は健在だった。
あのきれいなマスターもまた元気だろうか。

たった今通り過ぎた女鹿駅が気になった。
森林に覆われた駅舎の先に行ってみたい。

羽越本線の旅もいい。
そして秋田は美人が多い。
愛らしい運動少女がまたオレの前に座ってくれたよ。


8:30 古口(ふるくち)駅(陸羽西線 山形県)
余目で乗り換え、ここで数分の停車。

庄内から最上川へ。
この旅2度目の旅程になる。

4日前は夜だった。
何も見えないことは分かっていた。
どうして過ごしていたか記憶にも残っていない。

平野、山々、河川、海。
ここにはすべてがあった。
朝の光を浴びて、すべてが美しい。

オレの生活圏にはそのすべてがない。
もしくは失われた。
高層建築物に朝の光が差したところで感銘を覚える者はいない。

最上川からは若干離れた。
そこに村があり駅があった。

初めての旅で震えながら朝を迎えたドライブインが近くにある。
友人Aから教えられた滝が見える場所だよ。
それから高屋、トンネルと人生について思い耽った羽前前波。

余目から約50分の短い旅がじきに終わる。

新庄(しんじょう)駅(山形新幹線/奥羽本線/陸羽東線/陸羽西線 山形県)で乗り換え。

9:30 袖崎(そでさき)駅(奥羽本線 山形県)
羽州街道沿いの無人の小駅にて数分の停車。

鳥の糞で汚された独房のような薄暗い待合室があり、昭和45年に無人駅になるまでの歴代駅長の名が記された筆書きが額に収まっていた。

10:00 天童(てんどう)駅(山形新幹線/奥羽本線 山形県)
数分の停車。

蝉の声を聞くと夏であることに思いを新たにする。
今日もステキな夏の日だ。
賑やかというわけではなく、晩夏を思わせる声だった。

天童は将棋の街であり、城下町、温泉街でもある。
駅から少し離れているが、そこにはオレが望む街並がありそうだ。
駅からそっちの方を眺めたらそんな気になった。

以前車で寄った際はそんなこと思いもしなかった。

また来ようなんてな。

10:10 漆山(うるしやま)駅(奥羽本線 山形県)
ここでも数分の停車。

山形線の小駅はどれも似ている。
駅はその町の顔であり、誇りを持つべき歴史遺産だ。

いつのことか知らないが漆山駅は改装され、柔らかな色合いの涼しげな存在となった。
好ましい。

余韻を残してオレは列車に戻った。
山形行は混んでいる。

11:14 かみのやま温泉(かみのやまおんせん)駅(山形新幹線/奥羽本線 山形県)
上山士族はよく闘った。

小藩ながら戊辰戦争最終局面までその名は戦線に刻まれている。
城跡、武家屋敷。
会津が筆頭に上がるが、現在に残されている武家屋敷で必見に値するのは、武士の世が終わる最後まで、一分を守り通した武人たちが拠った場所だ。

待合室のテレビでは、甲子園での倉敷×松阪を放送している。

街へと続く道を眺めながら夏を満喫していることに、果てしない幸せを感じていた。

車窓から見る蔵王

11:56 山形(やまがた)駅(山形新幹線/奥羽本線/仙山線/左沢線 山形県)
3駅戻る。

確か4度目の山形。
天気にも気候にもよるが、出発前と違ってここにいられてよかったと思ってる。
さっき霞城公園脇を通った時にその思いが湧いた。

通るだけなら何度も通っている馴染みの街なんだ。

12:49 左沢(あてらざわ)駅(左沢線 山形県)
懐かしい。

たった6分間の再会だったけど、そのためだけに長い旅路を辿る決心をしなければならないことがある。

最上川下りと秋祭りの町。
花火のポスターもどこかに貼ってあったな。

利用客、結構多いじゃないか。
これだけ鮮やかな緑を毎日目にしてりゃ視力がよくなりそうだ。

聞けば、現在は山形鉄道と名乗る旧長井線とつながる計画だったという。
心ならずも終着駅となった左沢。

また縁があれば。

13:10 寒河江(さがえ)駅(左沢線 山形県)
左沢から折り返し、途中下車。

祭に関する展示があった記憶がある。
ここに座ってから思い出したよ。
人懐こい駅員にさくらんぼ美人。
寒河江の夏も暑く、駅の高架から洒落た建物が並ぶ通りが見えた。

寒河江公園を中心に展開する街。
映画「男はつらいよ」の車寅次郎にはこの街で重要な出会いがあった筈だ。

15:10 長町(ながまち)駅(東北本線/常磐線/仙台空港鉄道 宮城県)
北山形駅で仙山線に乗り換え、仙台駅で東北本線に乗り換える。

仙台を理解する旅が最後に始まり、西へ1駅。
伊達家ゆかりの町名を持つ駅だ。

広大な空き地にミズノのフットサル施設が見える。
これも巨大だ。
メイン出口には車通りも人通りも多く、歴史散策コースの提案書が貼ってあった。

15:23 太子堂(たいしどう)駅(東北本線/常磐線/仙台空港鉄道 宮城県)
さらに1駅。

人影が消えた。
駅前にはこじゃれた飲み屋が2軒。
高架駅がなんだか侘しい。

長町でもそうだったが空き地が目立つ。
それもかなりの範囲に及ぶ。
工場音もまた侘しい。

渡河。

15:36 南仙台(みなみせんだい)駅(東北本線/常磐線/仙台空港鉄道 宮城県)
線路は地上に下りた。

東北本線、常磐線、仙台空港線が行き交い、電車の本数は多い。
しかしこの場所から3駅先の仙台駅周辺の巨大さは想像できない。

この形の駅舎は嫌いじゃない。
ただ串焼き屋が2軒しか見当たらなかった駅前は寂しい。

風景に田が加わった。
仙台の果ての風景を見ている。

15:49 名取(なとり)駅(東北本線/常磐線/仙台空港鉄道 宮城県)
空港はじめ名取は先の震災で大変な被害を受け心を痛めていた。
今回立ち寄ることができて嬉しく思っている。

閑散とした駅前はオレが知っている名取のままだった。
あの駅舎は夜にはとてもきれいな光を放つ。

15:57 館腰(たてこし)駅(東北本線/常磐線 宮城県)
4号国道に面した駅だった。
それなら一度車で駅前を通ってることになる。

曇り空に蝉の声。
あたりには芭蕉の句碑、古墳、廃寺跡など史跡が多い。

地図上の仙台空港はとても海に近かったけど、仙台あたりの海を想像できない。

小さな川を渡ったが、あの規模の河川をも悪魔津波は駆け上がったんだろうか。

名取に着いて、記すべきことが増えた。

16:29 船岡(ふなおか)駅(東北本線 宮城県)
柴田町船岡城下町。

「ホテル原田inさくら」という大きなホテルが出迎え、振り返ると武家屋敷のような駅舎がある。
こんもりした山上に観音像が見える。

仙台圏を抜けて違う文化圏に入ったようだ。
次は白石。
伊達藩の勢力範囲ではあるけれど。

「ひさご」という旅館もあり、ビールを買い求めたコンビニの先の通りには歩き続けたくなるような店構えが見えた。
啄木が詠んだ句が染みた。

これでおしまいだ。
すべてが計画通りとはいかなかったけど、いい旅だった。

快速列車は川沿いの駅を通過した。
いい感じの駅だったな。
調べて、またこよう。

しかしこの分じゃ、先の道中もきっと混んでいる。

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